チョン・セランのレビュー一覧

  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    ユニークでゆるくて、ちょっとだけ泣けて、少しだけ気分を明るくさせてくれる。そんな軽やかな読み心地の、大人の寓話のような物語でした。

    役に立たないようなマニアックな超能力が、めぐりめぐって人を救う。それは結果的に自分自身や大切な人たちをも救うことにもつながっていく。その温かな人情の連鎖が心地よく描かれていて、好きだなあと思えました。

    軽やかな筆致で、さりげなくユーモアも忍ばせていて、心がほころぶような表現も多くて作者の感性そのものが素敵だなと感じました。好きなお話です。

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    2025年01月30日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    50人が少しずつ交差したりすれ違ったりしながら進んでいく物語。
    韓国の情勢を織り交ぜつつ、ちょっとシリアスで悲しくなる物語もあるけれど、いろんな人の視点で描かれるのはとても面白い。
    ただ韓国の名前に慣れてないせいか、誰が誰なのか混乱しやすいかもw
    3、4回読んでやっと理解できるかもしれません。

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    2025年01月04日
  • 地球でハナだけ

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     宇宙人と地球人のラブストーリーというSF設定、主人公のハナは厳格なエコロジスト、という、私とはやや縁遠い人々のお話しだったけど、だからこそ私の知る愛と変わらない素朴さや温かさが嬉しかった。
     生まれや思想というラベルを見ると、つい「自分とは違う存在」と断定してしまいがちだけど、そんな思考をいま一度正してもらえたように思う。
     ラブストーリーとしても、2人がだんだんと親交を深め、愛を形作っていく過程が、ほんとうに甘やかで穏やかで素敵だった。好きなお話でした。

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    2025年01月03日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    50人の主人公がそれぞれの人生を生きながら交差する話。ある病院を中心の舞台とし、韓国の現代の社会と問題を織り交ぜ、生きていく人を新鮮に描写している。
    韓国の人の名前がとにかく覚えられない私は、何度も目次で確認しながら読み進めた。漢字は視覚的に記憶に残るけれど、カタカナってこんなにも記憶できないのか。

    韓国も日本も社会がすごく似ている。例えば今日自分とすれ違った人が実は50人の1人だったとしても全くおかしくはない。

    やっとチョン・セランを読めて満足。

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    2025年01月03日
  • 声をあげます

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    軽やかにユーモアを交えながら描き出すのは、ときにディストピア、ゾンビが群れる世界、人間が絶滅しかけた世界、特殊な能力を持つ人々が強制収容されている世界。

    舞台はそんな風にシリアスなのだけれど、物語を走る登場人物たちはたくましくしなやかに、そしてポジティブに楽しげに生き生きとその奇妙な世界を生きている。そのミスマッチさ、明るさがとても読んでいて心地よくて楽しくて堪らなかったです。

    私が一番好きなのは「メダリストのゾンビ時代」。終末世界で自分らしく最後まで貫いて、切ない想いを閃かせて生きる主人公がとても素敵でした。

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    2024年11月28日
  • 地球でハナだけ

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    あまーーーーい話の中にも環境問題や次世代へのシェルターの話があるのがさすがチョン・セラン先生。マジ甘すぎて途中『強すぎる…』ってなったけど好き…

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    2024年10月22日
  • 声をあげます

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    他の作品よりユーモアの中の皮肉成分が多いような一冊だったな。現在を生きる人の生活が未来の人の生活を左右することが強調されてると思う。特に『小さな空色の錠剤』と『七時間め』が好き

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    2024年10月21日
  • 八重歯が見たい

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    素敵な八重歯の持ち主で作家のジェファは小説の中で元彼ヨンギを9回も死なせる。
    ジェファはある時からストーカーに脅えはじめて…

    ジェファの書く小説がバラエティ豊かで面白い。
    そのゲラをチェックする度に何故かヨンギの体にジェファの小説の文字の一部が浮かび上がるというのも面白い。

    インパクトあるタイトルもロマンチックスリラーというのも読んで納得。可笑しさもあるが思わぬ展開になって最後はゾッとする怖さ。

    独特でちょっと不思議でそれでいて面白いという、チョン・セランの小説は癖になりそう。

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    2024年08月08日
  • 八重歯が見たい

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    ロマンチック・スリラーとは…なるほど!読む前と読んだ後では、題名の印象が大きく変わるほど前半と後半で物語が一変します。さすがチョン・セラン!「地球が記憶するラブストーリー」のヨンギと彼女の会話と「私と勝負してみる?」の短編が好きだった。

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    2024年01月19日
  • 八重歯が見たい

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    面白くてどんどん読み進めてしまった!

    ファンタジー要素の入ったロマンチック・スリラーではあるけれど、
    女性ならではの恐怖心や、(男女関係なく)現代社会の生きづらさなども感じられた。

    でもやっぱりくすっと笑える要素も入っていて、さすがチョン・セランさんだなあ…

    他の作品も、もう一度読み返したくなった。

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    2023年10月12日
  • 地球でハナだけ

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    ネタバレ

    世界を放浪する癖のある恋人キョンミンが、カナダからハナのところへ帰ってきた。が、箸の持ち方が前より上手いし、嫌いだった茄子を食べる。極めつけはプラスチックかペットか見分けるために目からビームを出していた。これを見たハナはキョンミンが宇宙人ではないかと疑い始める。
    SFファンタジー恋愛もの。
    数万年前の内乱を逃れて地球の深海に隠れている宇宙人に内乱が終わったことを知らせに行く、とかエピソード一つ一つがユーモラスで、SFといってもガチガチではない。ストランディングしたクジラたちと交信するシーンは泣ける。
    エコロジー(ハナの仕事自体が古い衣服を別のものに再生すること)やフェミニズムの視点が、心地よく

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    2023年09月21日
  • シソンから、

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    映像化希望!すごく魅力的なシム・シソン女史。その子孫(かけらたち)が10回忌をハワイで行うお話なんだけど、御膳に並べるのは食べ物ではなく…シソンが喜びそうなものを各々集めるという企画。家族とシソン女史のエピソードや関係性があたたかくて且つぶっ飛んでいて面白かった。

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    2023年09月20日
  • 地球でハナだけ

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    なんかふしぎな、ほんわかラブストーリー?
    設定が少しSFなんですが。

    交際歴の長いハナとキョンミンのカップル。
    ある日、キョンミンが
    ひとりでカナダ旅行へ出かけて事件に巻き込まれ
    帰ってきたら別人のようにハナ想いになった。
    いや、別人じゃなくて…もしかして宇宙人?

    その事件というのが、隕石落下事故で
    同じように巻き込まれて行方不明になった
    人気歌手のアポロと
    彼の長年のサポーターだったジュヨンの話も
    同時並行で描かれて
    やっぱりキョンミン怪しいわ!で盛り上がって
    あっさり三分の一くらいで正体判明。

    でも、そこからもまた、なんかおもしろい。
    別人キョンミンはハナのことが大好きで
    ハナもだん

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    2023年08月01日
  • 地球でハナだけ

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    読後 やっぱりチョン・セランが好き
    と思った。大好きな『シソンから、』とは違ってSFだし、あまあまな彼が出てくるけれど

    著者が26歳の時に書いた小説を36歳で書き直し、もう2度とこれほど甘い話を書くことはできないと思う というこの話は、もともとは『新環境SFラブロマンス』と銘打って出された話。それを現代の著者の目で書き直している。

    「大好きな服を生まれ変わらせます」という『洋服直し屋』をしている主人公ハナは、彼に振り回されてばかり
    その彼がひとりでカナダに流星群を見に行き、そこに隕石落下の知らせが…
    帰ってきた彼はなにか違う。
    とてもハナに優しく思いやりを持っていて、今までの彼とはずいぶん

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    2023年06月29日
  • 絶縁

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    東アジア~東南アジアの若手作家による『絶縁』という共通テーマのもとに書き下ろされたアンソロジー。

    かなり読みごたえがある。
    読み終えるのに結構な時間がかかった。
    同じ時代を生きているのに、その国の政治・社会状況によりこんなにも違った世界が広がっているとは、想像もしなかった。そう、同じテーマのもとに書かれているにも関わらず。
    作家の個人的な傾向もあるだろうが、それとてその国の社会情勢に影響されることは少なくないだろう。

    村田沙耶香、チョン・セランの作品は、読みながら(村田沙耶香のはディストピアのようだったが)その状況や心理が掴みやすかったのは、やはり似通った社会構造の国の作家だからだろうか。

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    2023年06月17日
  • シソンから、

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    音を「彫り上げる」
    ヘリムが鳥を愛してて親族を鳥にたとえていくとこ好き
    転んでもスケートやめなかったナンジョンの昔話、サーフィンを諦めずに続けてるウユンの姿思い出して母娘を感じる
    ウユンが怪物のアイデアに思いを巡らせてる場面、ワクワクする
    リリカ・ベーカリーのココパフ レナーズ・ベーカリーのマラサダ
    28章シソンの飽きないことが才能の話が冒頭にあってウユンが波に乗れた話が続くのいいなぁ
    ミョンジュンが塔作ったホノルル美術館のスポルディングハウス、2019年に閉館しちゃってるのね
    末代になることもまた選択だと肯定してくれてるようでいい

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    2023年06月03日
  • 絶縁

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    正直、難解なものも多く(特に燃える)、途中で断念しそうだったが、「穴の中には雪蓮花が咲いている」が素晴らしくて、読んでよかった〜と思った。チベットが中国なことも知らなかかった無知な私だが、ラシャムジャさんの他の作品も読んでみたい

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    2023年06月02日
  • 地球でハナだけ

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    表紙、毛糸かと思ってました・・・ふふ。

    日常を描いているけど、どこかにSFを盛り込んだ話が好きです。おもしろい物語に出会えてうれしい!!

    実は初めての韓国の本です。
    訳書なので、訳者のすんみさんの訳のおかげなのか、痛快で、心地よいテンポで読み進められました。

    何を書いても、ネタバレになりそうで、何も書けません(笑)
    読んでみてください!

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    2023年05月11日
  • 絶縁

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    「絶縁」がテーマだからどの作品も薄暗い雰囲気だった。けどほのかに温かみも感じる作品が多かった。(特に、『穴の中には雪蓮花が咲いている』という話が最もそれ)
    全然読んだことないような国の作家さんたちの作品が読めてよかった。国が違うだけで雰囲気が全然変わる!

    そもそも村田沙耶香さん目当てだったからだけれども、やっぱ村田沙耶香さんは圧倒的だ〜…
    読者をピシャリと閉め出す感覚がくせになるよね

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    2023年04月29日
  • 絶縁

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    アジアの作家の豪華ラインナップ。村田は相変わらずで、たまに読むとそのヘンさが心地よい。ハオ・ジンファンの作品は、彼女らしい寓話だがやや月並み。チョン・セランはさすが。こういう、ストレートに苦いテイストの作品も書くんだと思った。あとよいと思ったのは、ベトナムのグエン・ゴック・トゥと台湾のリエン・ミンウェイの作品。こうしてみると結局、日本と距離的に近い国々の作家に共感しやすいのかもしれない。

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    2023年03月03日