山口雅也のレビュー一覧
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なぜ今バドリス?という意表をつく国書刊行会というより山口雅也氏のチョイス。
舞台はソビエト連邦ありし日の冷戦時代、国境付近の研究所での事故で重傷をおった研究員がソ連に収容されサイボーグ化され解放。顔はロボコップなみに仮面で覆われ体も多くが機械となって解放された。果たして本物の研究員なのかスパイなのか?
第三次大戦前夜の位置付けとなった現代において、もはや洒落にならない情報戦。歴史は懲りずに繰り返してしまうのか。という表面上のサスペンスもどきどきなのですが、この本の本質である自分とは何であるかどのように証明できるのか?という深いテーマが1周回って現代的。一度疑われたりレッテルを貼られたら「そう -
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死者が甦るという現象がアメリカの各地で発生したことが主軸の舞台となる特殊設定ミステリ。最初は設定が突飛すぎて読もうかどうしようか悩んでいたのだが、いざ読み進めてみるとこれが滅茶苦茶面白い!死んだ人間が甦るわけだが、死者には死者なりの悩みや葛藤がありそこには勿論生者の思惑も絡んでくる。途中まではしっちゃかめっちゃかの乱痴気騒ぎの無礼講パーティーという有り様で、この五里霧中状態にどんな収拾をつけるのか気になって気になって頁をめくる手が止まらなかった。そうして最後に告げられた犯人の名を示す手掛かりは、きちんと作中に散りばめられていたのに全く気付かなかった。うーん、見事にしてやられた!でもこの感覚が最
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ネタバレ新本格30周年の記念アンソロジー。
新本格に夢中になってたのが20年前くらいなので、思えば自分も年をとったものだなあと。あと、出産~育児で読書から離れていたのもあり、これで久しぶりに読んだ作者も結構いたりして懐かしくなった。
全体を通して、ストレートな本格の割合が低くて、結構意外だった。全員の個性が良く出ているというか。意外とみんなゴリゴリの本格というわけではないんだねえ、なんて思った。でもそれがつまらないわけでは無くて、それもとても楽しめた!!
○「水曜日と金曜日が嫌いー大鏡家殺人事件―」
麻耶雄嵩らしい。「7人の名探偵」と言われてメルカトル出してくるのがすごいと思ってしまった。でもやっぱ -
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パラレル英国を舞台にしたマザーグースミステリ短編集。さまざまな形での狂気や妄想に囚われた奇妙な人たちが引き起こす奇妙な事件。だけれども、狂気や妄想なりにもそこには一貫した論理があって、きちんと論理的に解かれる爽快なミステリです。イロモノ感はとても強いシリーズだけれど、本格度も高いなあ。本当に読んでいて楽しい♪
お気に入りは「神なき塔」。実はこういうの、一番嫌いなタイプのジャンルなんですけどね(苦笑)。物理大嫌い。ていうか、もう受け付けない。でもダンプリー博士の講義が意外とわかりやすかった……。そして事件の解決に続き、あの結末。キッド、よくやった! と思ってしまいました。 -
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改訂決定版で再読。マザーグース&見立て殺人が大好物なので、もうこのシリーズは大好きとしか言いようがありません。でも読んだのが昔なので、かなり忘れてました(苦笑)。
パラレル英国を舞台に繰り広げられる、イカレたとしかいいようのない事件の数々。フィクションだからこそ楽しめるこういう事件が楽しくって仕方ありません。事件現場のシチュエーションだけでも楽しめるのに、もちろん本格的な推理も楽しめ、最高!
お気に入りは「曲がった犯罪」。マザーグースの物語への密着度も高いし、やはりこれが一番本格として綺麗な解決だったなあ。さりげないところにあった伏線にもあっと驚かされたし。まさかそこから証拠が出てくるとはっ! -
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5
CDを模した構成に強烈な共感を覚える。と言うのも、私も自分の創作物を並べる際に、同様のことをするからだ。
オープニングトラックはコレ、2番目はヘヴィなヤツ、3番目はキャッチーなコイツ、インストゥルメンタルはこの位置、これはバラードだから後ろから2番目、いや3番目かな、終わりにアウトロも付けよう、先行シングル(ダイレクトメール)はコレね、とかなんとか。
さらにかつては家族や知人が呆れるほどのCDやらなんやらのコレクターだった。音楽好きで、オーディオ好きで、蒐集家で、表現者で、ミステリ好き。登場人物に我が身を重ねる。
「蒐集の鬼」のマッケリー氏は私だ。“人知れず埋もれている宝物を掘り出