ヤニス・バルファキスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近はポスト資本主義を提唱する本が多い。
それぞれ理想的であり、また欠陥も抱えているが、提案と議論があることは良い環境と思う。
読んで、どこが良いか、欠陥は何かを読者が考えることが重要ではないかと思う。
さて、本書は2008年、リーマンショックを機に資本主義と分かれたパラレルワールドのポスト資本主義がどうなったかをSF小説仕立てで書かれている。
作者が、特に重要視して説明したいところは図が示されている。
・給与体系
・株式市場亡き後の議決権
・配当、相続、積立
その後もジェンダーやテック企業の市場支配について書かれているが、作者の主張は概ね上の3つだろう。
さて、給与体系についてはメンバーシップ型からジョブ型、さらに先のプロジェクト型への移行は、おいおい日本でも進んでいくだろう。
株式保有比率ではなく、一人一票の議決権というのは、プロジェクト専門の合同会社という形が広がっていけば成り立つのでは。
スタートアップの資金調達も株式市場以外にも、クラウドファンディングという手法が取れる現在では、非上場は株式会社ではなく、合同会社でよいのではと思う。
そして一点、どう考えても解決できそうにないのが「配当」にあると考える。
社会資本から個人への配当は、つまりはベーシックインカムである。
ベーシックインカムは、必要だとは思う。
最低限の生活保証があるだけで、失敗しても最悪生きていけるというセーフティネットがないと、挑戦ができない。
財源問題が出てくるが、ベーシックインカムは現金給付ではなく、クーポンの形になら実現できるのでは。
しかし、俺が思うにベーシックインカムの欠陥が一点。
”誰がエッセンシャルワークを引き受けるのか”という疑問が解消できない。
最低限の生活が保証されれば、誰が好き好んでキツイ仕事を引き受けるのか。
ゴミ回収、建築物の解体、インフラ保全、その他諸々、更には国防とか。
最低限の生活が保証されているのに、誰が率先してそんな仕事をやりたがるのか(仕事に貴賤はないと言うけれどさ)。
ベーシックインカム論に違和感を覚えるのは、頭のいい連中が理想論で語るけど、実際に社会を支えている仕事を見ていないのではないか。
労働者全員が頭脳労働して社会が回るってわけじゃないんだぜ。
ベーシックインカムが可能になるのは、おそらく社会インフラが技術的に完全無人化を達成できればと思う。
それができずにベーシックインカムの導入は、何らかの理由で無戸籍とかで社会保障から外れた人が、そういったエッセンシャルワークを引き受ける、本物の格差社会のディストピア社会が生まれると思うのは妄想すぎるだろうか。
そんなことを読後に考えました。 -
購入済み
経済思想をわかりやすく
前評判通り、読みやすかった。
なんていうか、ズバッと正解はこれだ!と言い切らないところがいい。まさしく娘に語るという味が良く出てます。 -
Posted by ブクログ
土地を媒介とした地主と小作人の関係=封建制をプラットフォーム上に商品やサービスを提供する供給者とそれらを購入することで手数料を支払う需要者の関係の類似性をテクノ封建制と呼ぶ分析評価は興味深い。
またそのテクノ封建制がポスト資本主義として産業革命以降、生産手段の独占所有と労働力の剰余価値の搾取から発達した資本主義とステージの変容が生じたことの指摘はその分析からも説得力はある。
リーマンショックに端を発する金融システムを維持するという大義名分から資本主義が金融中心の資本主義に変容していく過程から更にコロナ禍での生活者救済の大義名分から巨大な金融緩和が世界を覆っていることでインフレが進行した(国によって時差があるが)中で、テクノプラットフォームをより強靭に効率化するために資本が集中していることは多くの者が知っている。
その弊害をどう是正していくのかが重要な論点だが、それは他の著作(SF)で抜本的な提案をしているが、欧州左派の空想の範疇に過ぎないとか思った。 -
Posted by ブクログ
2025/10/08
著者の意図「君には今の怒りをそのまま持ち続けて欲しい。でも、賢く戦略的に怒り続けて欲しい気が熟したら、その時に必要な行動をとって欲しい。この世界を本当に構成で理にかなったあるべき姿にするために」
交換価値と経験価値p50
交換価値は、お金と商品の交換
経験価値は、本人の意思と経験との交換(献血を無料でやることや、溺れている人を助けること)
そこにお金が発生すると、経験と交換を嫌がる人がいる
→感謝の意を伝えるときに、対価が必要でない時がある
p124
狩人のジレンマールソーの寓話?
集団で狩りが必要な鹿と、個人で狩りが可能なうさぎ
鹿を狩ることで、数日間は仲間内で全員助かるが、彼なければ手ぶらで帰ることになる。うさぎであれば、その日のご飯にはありつけるが、毎日からなくてはならない。
狩人はもし鹿を狩ることができなければ手ぶらで帰ってしまう心配と、目の前のうさぎを狩らないように意識を作ることのジレンマに駆られる
→自分とチームを信じることが大切、信じさせることが大切
労働力と賃金
賃金が2割下がることにより、経営者は給料2割安く払うことで助かる面がある。そこで浮いた2割の金額で新しい労働者を雇うことができ、生産性を上げることができる。しかし、世の中の労働者が2割給料が削減されると、購買力も低下する。そこで、自分が売っているものを労働者が買えなくなることを懸念すると、新しい従業員は雇えなくなる。
経済において、集団が全員楽観的であれば、楽観的が事実になる。全員が悲観的であれば、悲観的なものが事実となる。
→実際の事実よりも、みんなの感情や思いが事実となる
支配者だけが国を支配する権利を持っているように振る舞うと、庶民は支配者が権力を維持することができる。その物語や理想感、宗教を作り込むことが大事。
→洗脳、まずは価値観のラベリングをしてから行うと測りにくいのかな? -
Posted by ブクログ
前作は娘のために書いた本だったが今回は無き父親との対話的な話。ギリシャ神話の例えとかよく出て読みにくい…
GAFAMに無償でデータを提供し続け、各 CEO達の莫大な富形成に知らずのうちに加担させられる現代の愚民達をクラウド農奴としかつての封建制に例えるのはまぁよくある話だけど、GAFAM批判し過ぎな気もする。それなりの恩恵を受けてるし…そう思う時点でテクノ封建制にやられているのかもしれないが…ちょっと思想が左よりすぎるかな。
自由を手に入れるために何を諦めるのか、本当の自由とは?とみんな思いつつこの資本主義社会の中でなんとか生きていく折り合いを見つけないといけない訳で…映画マトリックスの引用も出てくるが自分なら抵抗軍になるかどうか…