【感想・ネタバレ】父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。―――1万年前から現代まですべてを紐解く「資本主義」全からくりのレビュー

本書は、経済危機に陥ったギリシャで財務大臣も務めた経済学者である父が、10代の娘に話すようなつもりで「経済」について書いた本です。専門用語(例えば「資本主義」とか!)を使わずに、今、世界で問題になっている「格差」や「金融市場」、ひいては「民主主義」なども含めて、経済というものをシンプルかつわかりやすい言葉で説明してくれます。しかも、文中では文学や映画、そしてギリシャ神話などを引いた説明が多くなされますし、娘に向けて書いたとあっても子どもに話しかけるような文体ではないので、「なるほど」と思わされ続けてあっという間に読み終わってしまいました。そして、作者は文中で娘に、つまり読者にいろいろな情報を与え続けますが、本当に作者がしたいことは読者に考え続けさせることなのだろうと感じました。経済について、表面的なことを知るだけではなく、自分で考えられるようになりたい方におすすめしたい良書です。

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Posted by ブクログ 2024年01月09日

題名通りとんでもなくわかりやすかった。
質問を出してたとえ話で答えていく形式。

特に、テクノロジーが発達して仕事が自動化するほど逆に経済が苦しくなる矛盾
仮想通貨が上手く成り立たない話
経済と宗教の関係
政治が経済に重要な役割を持っていること
漁師が魚を採りすぎてしまう話
など なるほどなあと思っ...続きを読むた。

翻訳もわかりやすくサクサク読めた。

年内再読予定。

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Posted by ブクログ 2023年09月23日

知っているつもりだったことをさらに平易にわかりやすく教えてもらって、経済についての問題点(特に資本主義経済)がわかりました。普段聴いている融資、債券、インフレなどそう言われてみればそういうことか、と納得しながら読みました。さらにこの本では説明するだけではなく、先にも書いたように問題点も指摘しており、...続きを読む私たちがこれからどうしたら良いかきめていく必要性について述べています。知らないふりはできないんだな。生きている限り経済問題からは抜けられないということか。

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Posted by ブクログ 2023年07月18日

経済学部出身ですが、大学時代にまともに勉強しなかったので、
大人になってから色々と疑問が出てきたことにスッとではないですが、
読み手に考えるように一歩ずつ誘導しながら、
答えを教えてくれる本でした。
最後は自身の生業をこき下ろし、
※厳密には、世間一般の経済学者は嘘ばかりついて、
政治的に関与してい...続きを読むるか、
または、ハリボテの経済理論を展開して、
一般社会に全く役に立っていないという、
事態に陥ってしまっていることを憂いでいるという意味です※
娘に語るというよりも、
世界全体に便利になっていく世の中の代償について警鐘でもなく、
周りの出来事で違和感を感じる場合は、
そのまま受け入れずに考えて欲しいと願いが込められた内容となっています。
筆者自身が違和感を覚える出来事があり、
現在の職業に辿り着いた理由も書かれています。

私の個人的な意見としましては、
欲望を満足させることと本物の幸せの違いについて筆者なりの見解は興味深かったです。
無知は幸せという前提で、
本物の幸せには無知と正反対の何かが必要だと説きます。
本物の幸せを味わえるようになる人生とは、
何者かになるプロセスではないかと、
その人自身の人生が少しずつ花開いていくというプロセスの中で、
性格、思考、好み、欲望といったものは常に変化していくと述べられています。
では、なぜ変化していくのかというと、
それは衝突があるからと結論付けています。
全ての望みを一度に叶えてくれる世界は存在し得ないので、
人は人格形成がなされ、
自身と葛藤を重ねることで考える力が生まれると推察しています。
制約=嫌だという感情が、
自身の動機を自問させてくれる契機となり、
その結果、自分自身を助けてくれることで、
本物の幸せが手に入るのではないかと書かれています。

満足という言葉は一見美しく聞こえますが、
経済学者のヤニス・バルファキスさんからは、
奴隷になることと等しく、
反対に不満といえば、ネガティブなイメージを抱きますが、それは、私達を自由にしてくれるのではと書かれています。
私なりにまとめると、
人や世界と衝突することが、幸福への切符を手に入れた瞬間と言えるのではないかと思います。

ただ、最後のページで、人は自身や世界を俯瞰してこそ、
創造性や人との絆といった
人間らしい生活ができるとし、
環境破壊など地球を守る姿勢を維持できると
書かれてあるが、
それは反対に言うと、
どの社会に属そうが、どんな国に生まれようが、
常に自立した考えを持ち、
一見すると属している社会や国がありながらも、
常に懐疑の目で自身を見続けるという、
かなりハードルが高いことが書かれています。
人や世界との衝突が幸福への入口になることは理解できますが、
常に自身や社会のあり方に疑問を抱きながら生きていくという状態は家族や友人の健全な支えや国という大きな後ろ盾がなければなし得ないことなので、
やはりギリシャ危機の際に財務大臣をされていた経験をお持ちの方の内容で、マクロ的な目線が壮大でした。
一日本人の平凡な私からすると、
とてもハードな状況だと感じました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月10日

シンプルに面白かった。
著者自身の娘さんにあてて書いたとあるよう、経済学の本を読んでるとは思わないくらい読みやすかった。
『読みやすい=核心に触れない、あやふやに理論を書いて終わっていく。』ではなかった。
しっかりと著者がこういう考えを持っている。という一貫した内容でした。

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Posted by ブクログ 2023年04月06日

高校の社会の授業はもう、これわかるように解説するだけでいいのでは?と思うぐらい基礎的な、そもそも論の難しい部分をわかりやすく書いてくれている。

現代に近づくに連れて、答えはないとなるがそれも個人的には良いと思う。

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Posted by ブクログ 2023年02月12日

多くの経済学の本で最もわかりやすい本である。これを読んだら一般の経済評論家の話は誰も聞かなくなるどころか、金融機関や証券会社のアナリストがいう意見について、判断がつくであろう。
 つまり経済のフェイクに対応する本である。卒論と関係なく、経済を知るための常識のような本になる。

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Posted by ブクログ 2023年01月19日

とても面白かった。経済について、娘に語る口調のため難解すぎることなく、またストーリー性もあって、どんどん読み進めてしまった。この人の他の著作も是非読んでみたいと思う満足感だった。

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Posted by ブクログ 2023年03月24日

数字がとことん嫌いな私が、物語のようにするすると読めた経済学の良書。
経済学者を「科学者」よりではなく「哲学者」よりの存在だとするだけで、経済学がぐっと身近になる。
著者が10代半ばの娘に語るという設定が何より秀逸。
池上彰もそうだが、この年頃の子どもにわかるように、社会の大事なことを解説した本には...続きを読む、わかりやすく面白いものが多い。
「誰でも科学者になれる」とは言えないけれど、「誰でも哲学者にはなれる」かもしれない。
経済のことは、難しくてわからないからと他人に任せるのではなく、自分もそれに関わる一員なのだと目が覚める思いである。

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Posted by ブクログ 2024年03月06日

経済の諸問題について、馴染みやすい語り口で書かれた一般書です。

面白く読み通すことができました。

全てのものが商品化していくことで社会が大きく変化していったことや、商品価値が経験価値に勝るようになったことで環境問題が起こったことなどが印象的でした。

次は、より体系的な本を読んで、知識を固めてい...続きを読むきたいと思います。

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Posted by ブクログ 2024年02月27日

おもしろくて一気読みしてしまいました。

「私が絶対に嫌だし恐ろしいのは、気づかないうちに誰かにあやつられ、意のままに動かされてしまうことだ。」

「経済のような大切なことを経済学者にまかせておいてはいけないのだ。」 .

知ってよかったです。
知って意識して行動するのと、何も考えず行動するのは、全...続きを読む然違うから。

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Posted by ブクログ 2023年12月22日

市場、環境、いずれも経済と政治が絡み合う。価値=「市場価値」vs「経験価値」それは人間が利益を追求するようになった世界から始まり、競争により多くの格差を生むようになった。また、現実には「作物を収穫する能力があるのに、飢えた人たちに配分することができない社会」を作り出した、と言う。社会は「余剰」を作り...続きを読む出し市場を独占、あり余った分は廃棄処分するというシステムに変え市場統制をしている、と言う。今後社会はAIロボットとの共存を余儀なくされるが人間の暮らす場所はあっても、工場など生産場所の仕事は失くなる。人間はただ単に消費する生物化し、物事は一才AIロボット(独裁者のように)が仕切る可能性も高く、人間との格差が生まれるだろう。更に追求すると「人間の求める幸せとは何か」、ここにある「無知は幸せ」になるのだろうか。

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Posted by ブクログ 2023年10月08日

数字を使った難しい話じゃなく、よりシンプルにお金という存在がこの世界に生まれた瞬間から、それによって人の行動が操作され、またその人の行動によって、経済が動くという流れが面白い例を交えながら誰でもわかるように書いてあった。
楽しみながら読める経済の本

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Posted by ブクログ 2023年04月30日

知人からオススメされて手に取った本。学部自体に経済学や倫理学を学んでいたので比較的理解できたし、面白く読ませてもらった。
ただ、経済学って何?という方が最初に手に取るには、難しいかもしれない。

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Posted by ブクログ 2023年03月23日

なんかわかりやすかったけど、詳しい話はあんまり覚えていない。サピエンス全史とか銃・病原菌・鉄も一緒に読むとなかなかいいかもね。

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Posted by ブクログ 2023年03月22日

なぜイギリスがオーストラリアの先住民アボリジニを侵略し、アボリジニがイギリスを侵略しなかったのか?という問から始まるこの本。そんなんたまたまとちゃうん?と思っていたら大間違い。それにはきちんとした答えがあるんです。この本は、例えば鹿狩りや収容所内を例に挙げながら、すごく分かりやすく、中央銀行の役割を...続きを読む始め、経済のことが説明されています。それもそのはず。著者はギリシアの経済危機のときの財務大臣を務めた方。あまり構えずに読めて良かったです。

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Posted by ブクログ 2023年02月24日

本の帯にあるように異様に面白い。一気読みできる経済の本。
なぜ格差があるのか、資本主義における借金・銀行(金融)の話や、政策に対する予測に基づく反応により政策が効かない話等、急所を突く語りがすばらしい。

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Posted by ブクログ 2023年02月21日

経済について学ぶ必要があり、しばらく前に購入し途中まで読み進めたところで止まっていたため、せっかくの機会だと思い読み通した。
仕事柄、「利益の追求」に関しては思うところが多かったが、第3章には「そもそもなぜ利益を追求しなければならないのか?」の答えがあった。
「経済の先行き」について描かれた第5章で...続きを読むは、経済といえば理論や公式、数値にデータなどの堅いイメージを持っていたが、それが覆された。
人がやることなんだなと思い、経済がより身近なものに感じられた。
第7章の「収容所の経済」からは、「通貨」や「金利」といった要素を分かりやすく学ぶことができた。
恥ずかしながら経済に関してまともに勉強をしてこなかったため、随所で立ち止まりながらの読書だったが、総じて楽しみながら読み進められた。

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Posted by ブクログ 2023年02月20日

自分の経済のことを誰かに任せてしまうのは、占い師に自分の運命を任せるようなもの、みたいな説明が面白かったです。

あと市場主義の反対が「民主主義」て訳なのかそう書いてあるのか知りませんがいいですね。社会主義でもない。

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Posted by ブクログ 2023年01月26日

専門用語はほとんど使われておらず、とても分かりやすかった!
鹿の狩りの例えや、ビットコインの話なども面白かった。
食料となるものが豊富じゃなかったからこそ、農耕がうまれ、農耕がうまれたからこそ余剰が出来た。
経済学の入門本としておすすめです。

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Posted by ブクログ 2023年01月22日

読みやすい。
・アボリジニがイギリスを侵略したのではなく、イギリス人がアボリジニを侵略する事になったのはなぜか
・機械は生産はするが、消費はしない
・人は地球のウイルス

なるほど、、と思わされることがたくさん書かれている。
マトリックス見てみたくなった。

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Posted by ブクログ 2022年12月28日

無駄に大仰なタイトルと表紙のセンスの悪さで引いてしまうけど、内容は分かりやすくて興味深い話ばかりだった。

強制収容所でタバコが通貨代わりになってる話が特に面白い。

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購入済み

経済思想をわかりやすく

2020年07月02日

前評判通り、読みやすかった。
なんていうか、ズバッと正解はこれだ!と言い切らないところがいい。まさしく娘に語るという味が良く出てます。

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Posted by ブクログ 2024年03月03日

父が娘に語る、というタイトルにもある通り、経済の成り立ちや事象について平易な言葉で語られている。マトリックスなどの映画に例えて説明する形もわかりやすかった。(映画を知っていることが前提だが)

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Posted by ブクログ 2023年10月22日

経済学者、元ギリシャ財務大臣が、お金とは何か、資本主義とは何かを平易な言葉で本質に迫る本。
わかったようでまだ理解しきれない。自分の言葉語れるようにもう一度読んでみよう。、

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Posted by ブクログ 2023年08月13日

娘に小説のように経済を語るけれども、その内容に引き込まれた。歴史の中で経済が成り立っていくのがよく分かる。戦争と同じで、経済でも人間は何度も同じ過ちをすると確信する。もう一度読みたい。

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Posted by ブクログ 2023年08月01日

◆農作物の余剰が、人類を永遠に変えるような、偉大な制度を生み出した。
Ex. 文字、債務、通貨、国家、官僚制、軍隊、宗教…
→農耕が発達しなかった社会(南アフリカ)では、文字が発達しなかった

◆何も持たない人を見ると、同情してそんな状況に怒りを感じるけれど、自分たちの豊かさが、彼らから何かを奪った...続きを読む結果かもしれないとは思わない。

◆産業革命によるグローバル化は、「偉大なる矛盾」を生み出した。「思いもよらないほどの富」と「言葉にできないほどの苦痛」が共存する世界ができあがったのだ。

◆市場の参加者はみな悪い予言を自ら実現しがちなのだ。

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Posted by ブクログ 2023年02月26日

わかりやすい、ようでよくわからなかった、が正直な感想。
経済の仕組み、ポイントポイントで理解できたが、例えが多すぎて何かよくわからない部分も正直あった。
改めて読んでみたいと思う。

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Posted by ブクログ 2023年02月03日

私の理解では、経済学こそ人間理解が不可欠、かつ資本主義にとっては無限に広がるフロンティアが不可欠。この2つをわかりやすくまとめてくれた本であり自分の理解を補強してくれた。と同時に歴史を振り返り新たな気づきをくれた部分もあった。

著者の人間洞察は独特で深いと感じられる。それが納得感につながる。また、...続きを読む人間の存在自体が地球に負の影響を与えているという指摘は、フロンティアがなくなり成長率が鈍化し歪みが生じている現状を説明することもできそう。いまは小学校でSDGsをおしえている。その意味では、大人が読むよりも10代が読んだ方がすんなり読めるだろうなと感じた。

とにかくわかりやすい本。ただ、わかりやすいものには気をつけなくてはならない面もあり、批判的にとらえることも重要。イノベーションを信じてみる、こんなこともしてみたい。

著者もいうように、自分の頭で資本主義や経済、地球の問題を自分ごととして考え抜くことが肝要なのだとの思いを新たにした。

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Posted by ブクログ 2022年12月30日

分かりやすく市場社会(資本主義を著者が言い換えた造語)の成り立ちと不可能を解説した書。市場社会はこのまま進むと崩壊するという説。
興味深い例えとして「経済学は占いと同じであり、科学的ではない。」がある。経済学が生まれた背景には、権力者の支配根拠を示すためであるという。権力者は昔、宗教によって「神から...続きを読む選ばれた」として人々を支配していた。それが産業革命で科学の力が証明され、宗教の力か後ろに下がったため、新たな支配根拠が必要だった。そこで生まれたのが経済学だ。経済学は、数字や表を使っていかにも科学に見えるように装っているため、現代において「科学的な学問」と錯覚させる効果を狙っている。つまり経済学は権力者が民衆を制御するための装置。
そこで著者は一貫して「経済学者だけに経済を任せてはいけない」と主張している。本書が書かれた背景もこれを根拠とする。

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Posted by ブクログ 2023年10月19日

語り口は優しいし、ギリシャの「債務免除」を論理的に正当化している部分は興味深く読んだ。

でも、著者がこの本でいちばん言いたいことであろう「すべての民主化」の話があまりストンと入ってこなかった。

通貨も労働力もロボットも地球資源も、「市場化」「商品化」による管理では金持ちと権力者が全てを支配するこ...続きを読むとになる。自分の利益追求しか頭にない彼らに委ねていては、社会と地球が破壊されてしまう。それを防ぐためには「民主化」「共同管理」がカギになる。というのが著者の主張。(というふうに読んだ)

でも、「民主化」「共同管理」をしても、結局は目先の利益追求に行き着くだけじゃないか?普通の民衆は遠い未来のことより自分の生活の方が大事なんじゃないか?社会主義的な共同所有を目指してるのか?....いやそもそもここで言われている「民主化」って何?

きっと私の理解が浅いだけなんだろう。もう少し勉強してからまた考えることにする。

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Posted by ブクログ 2023年03月12日

経済は余剰から生まれた、という言葉が心に残った。小麦などの穀物の余剰を倉庫に預けたことが始まりだという。

また、ヨーロッパは東西に広いため、農業などの成功体験が広がりやすかった。アフリカは南北に長いため気候が様々で、ある土地で成功しても別の場所では上手くいかないことがあり、広まりにくかった。

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