あらすじ
十代の娘の「なぜ、世の中にはこんなに格差があるの?」というシンプルな質問をきっかけに、元ギリシャ財務大臣の父が経済の仕組みを語る。「宗教」や「文学」「SF映画」など多彩な切り口で、1万年以上の歴史を一気に見通し、「農業の発明」や「産業革命」から「仮想通貨」「AI革命」までその本質を鮮やかに説く。
...続きを読む本書は、経済危機に陥ったギリシャで財務大臣も務めた経済学者である父が、10代の娘に話すようなつもりで「経済」について書いた本です。専門用語(例えば「資本主義」とか!)を使わずに、今、世界で問題になっている「格差」や「金融市場」、ひいては「民主主義」なども含めて、経済というものをシンプルかつわかりやすい言葉で説明してくれます。しかも、文中では文学や映画、そしてギリシャ神話などを引いた説明が多くなされますし、娘に向けて書いたとあっても子どもに話しかけるような文体ではないので、「なるほど」と思わされ続けてあっという間に読み終わってしまいました。そして、作者は文中で娘に、つまり読者にいろいろな情報を与え続けますが、本当に作者がしたいことは読者に考え続けさせることなのだろうと感じました。経済について、表面的なことを知るだけではなく、自分で考えられるようになりたい方におすすめしたい良書です。
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Posted by ブクログ
2度読んだ
1度目は高校3年生のとき。
2度目は大学2年生のとき。
これを読んで市場社会への疑念を培った。
当たり前と受け入れていた社会の歪み。
Posted by ブクログ
タイトル通り、10代の娘に話す口調で書かれていて、経済を映画や神話を例を挙げながら語っているので、わかりやすい。経済学の見方も180度変わった。こういう話を10代の時に聞きたかったし、今の若者にも読んでほしい。
Posted by ブクログ
経済の基礎の基礎が分かってなくても、例え話な分かりやすくて理解できることが多かった。
ニュースで聞く経済用語や政策の意図が少し分かった気がする!ニュースを追ってたまに読み返して、理解を深めたいと思った。
Posted by ブクログ
とても分かりやすく、難しい専門用語ほとんどなしで説明してあります。そして、この本が書かれてから6年近くたった今、その予想が当たっているのを目の当たりにできます。中高生に是非お勧めしたいです。
Posted by ブクログ
交換価値の視点だけで世界を見ようとする経済学全般、そして特に新自由主義。それに対して、様々な喩えや思考実験でもって批判を展開していく。排出権取引もまた大気を市場経済に取り込もうとする企みである等、なるほどの指摘が多数。締めくくりの文章も素晴らしい。ただこの一見易しそうな文章を理解するには、やはり経済、特に貨幣や金融に関する基本的な知識やイメージを持っていないと苦しいのではないかと思った。
Posted by ブクログ
めちゃ面白く、ためになる。一気に読める。格差は余剰から生まれた。余剰が結局経済を生み出す。
映画「マトリックス」の引用が良い。人工的に与えられる幸せで人間を満足するのか?という問い。
「満足した豚であるより不満足な人間である方がよい。満足した愚者であるより不満足なソクラテスである方がよい。そして愚者や豚の意見がこれと違っていても、それは彼らがこの問題を自分の立場からしか見ていないからである」
ジョン・スチュワート・ミル
まぁつまり、自分の頭でちゃんと考えろって事。
「市場社会は見事な機械や莫大な富をつくりだすと同時に、信じられないほどの貧困と山ほどの借金を生み出す。それだけではない。市場社会は人間の欲望を永遠に生み出し続ける。」
そして今の世界を変える事を考えていけという事。企業の経営者や為政者が言う事なんてしょせん自分達の都合のいい事を庶民に伝え、庶民をコントロールしようとしているだけ。まぁその通りですね。
Posted by ブクログ
格差はどこから生まれるのか。なぜイギリス人がアボリジニを支配して、逆にアボリジニがイギリスを侵略することが起きなかったのか。本書はその問いから始まる。
人口の増加を狩猟で支えうことが出来なくなった社会は強制的に農耕へ移行するしかなくなり、農耕が余剰を生み出し、農耕が文字を、官僚制度を、軍隊を、権力を生み出したという、すべては余剰に突き動かされていた。オーストラリアはこれに従えば農地を耕さなくても生活の営みが可能だった。だから余剰を記録する文字も生まれなかった。
続いて市場社会の誕生の話に移り、かつては商品ではなかった、「労働力」、「土地」が囲い込みを通じて、かつて領主との使役関係にあった農奴は自由を得る代わりに土地から追い出され、唯一持つ労働力を市場を通じて取引をせざるを得なくなった流れが説明される。
不況の最中にむしろ人間と機械のうち人間の方が食べていかなければならないからこそ、労働力として安上がりになり、機械に奪われた仕事を逆に人間の雇用が取り戻すというのは、逆説的なようでいて考えていなかった視点だし、ラッダイト運動が目指したのは機械に奪われた仕事を取り戻すことではなく、機械を一部の人間が支配していたことに対する反抗であったことは知らなかった。
Posted by ブクログ
映画「マトリックス」のたとえ話はままあるが、
映画を観ていない人は分からないかもしれないと感じた。
「エピローグ」の中に、とても考えさせられる文章があった。
Posted by ブクログ
交換価値と経験価値の違いが興味深かった。コスパやタイパといった言葉からも、「交換価値」をいかに高めるかといった雰囲気が現代には充満していると思う。本書は経済がいかに人間臭い学問かを教えてくれる。
Posted by ブクログ
経済の入門書的な立ち位置としても使える一書。数年前に買って、最近もポップや帯や平積みされていたから、「よっしゃ読み切るぞ!」と決意して残り100ページくらいを読めた。マルクス経済のエッセンスも入ってるので、バランスが取れていると思う。
元国の大臣だったこともあり、話がリアル。歴史から現代まで、誰に対しての本(今回は娘)なのかが明確になっていると書くべきことも明確になり面白くなるだろうなと、物作りのコンセプトの大事さを学ぶ。
Posted by ブクログ
資本主義経済の成り立ちについて、原子の時代から今までの流れをとても平易な形で記されており、読んでいてすっと入ってきた
特に印象に残った話は
・グローバル貿易で、羊を飼うために農奴が追いやられたことで、労働市場が形成された
・産業革命がイギリスで起こった理由として、軍隊が弱く貿易に頼るしかなかった・農奴の立ち退きを支援する王家があった・土地の所有権が一定規模で集約されていた
・分配が生産に先立つことにより、借金が生産プロセスに欠かせない一部になり、利益を追求するようになった
あたり
Posted by ブクログ
面白かった。
「なぜ格差が存在するのか」という問いから始まり、経済史や金融の役割などの話を分かりやすい言葉で説明してくれた。進んでいくと、人としての在り方のような話になり、興味深かった。
市場社会は人間の欲望を永遠に生み出す、という文があり「足るを知る」という言葉を思い出した。
Posted by ブクログ
この本は、経済学について知識がない状態でも面白く読むことができますが、マトリックスを見たことがない場合は、まずはマトリックスを観ることをおすすめします。
経済学は、公式のある神学である。
確かに、誰も真に経済のことを分かっている人はいないのに、全員がそれがルールだと信じ、そして振り回されていること。そして、一部の人種が、その状態を悪用しているという状況は、それに近いのかもと思いました。
Posted by ブクログ
SFに影響を受けた著者のSFチックな経済本。数式は出てこない。数式アレルギー、SF好きの僕にはピッタリ。どこまでが現実でどこからがファンタジーなのか。経済はファンタジーなのでは?哲学的な要素もあり、興味深く、考えさせられる。
以下、ネタバレ。お気に入りの箇所。
「経済について語るとはつまり、余剰によって社会に生まれる、債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ることだ」
「本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスだ。ギリシャ人はそれをエウダイモニアと呼ぶ。「花開く」という意味だ」
経済思想をわかりやすく
前評判通り、読みやすかった。
なんていうか、ズバッと正解はこれだ!と言い切らないところがいい。まさしく娘に語るという味が良く出てます。
Posted by ブクログ
2025/10/08
著者の意図「君には今の怒りをそのまま持ち続けて欲しい。でも、賢く戦略的に怒り続けて欲しい気が熟したら、その時に必要な行動をとって欲しい。この世界を本当に構成で理にかなったあるべき姿にするために」
交換価値と経験価値p50
交換価値は、お金と商品の交換
経験価値は、本人の意思と経験との交換(献血を無料でやることや、溺れている人を助けること)
そこにお金が発生すると、経験と交換を嫌がる人がいる
→感謝の意を伝えるときに、対価が必要でない時がある
p124
狩人のジレンマールソーの寓話?
集団で狩りが必要な鹿と、個人で狩りが可能なうさぎ
鹿を狩ることで、数日間は仲間内で全員助かるが、彼なければ手ぶらで帰ることになる。うさぎであれば、その日のご飯にはありつけるが、毎日からなくてはならない。
狩人はもし鹿を狩ることができなければ手ぶらで帰ってしまう心配と、目の前のうさぎを狩らないように意識を作ることのジレンマに駆られる
→自分とチームを信じることが大切、信じさせることが大切
労働力と賃金
賃金が2割下がることにより、経営者は給料2割安く払うことで助かる面がある。そこで浮いた2割の金額で新しい労働者を雇うことができ、生産性を上げることができる。しかし、世の中の労働者が2割給料が削減されると、購買力も低下する。そこで、自分が売っているものを労働者が買えなくなることを懸念すると、新しい従業員は雇えなくなる。
経済において、集団が全員楽観的であれば、楽観的が事実になる。全員が悲観的であれば、悲観的なものが事実となる。
→実際の事実よりも、みんなの感情や思いが事実となる
支配者だけが国を支配する権利を持っているように振る舞うと、庶民は支配者が権力を維持することができる。その物語や理想感、宗教を作り込むことが大事。
→洗脳、まずは価値観のラベリングをしてから行うと測りにくいのかな?
Posted by ブクログ
経済とは市場とは何かをイメージしやすい様に
映画や日常を喩えに書いてある。
原始的というか、ややこしい経済や市場に対する考え方に対して、概念的というか骨組み的な感じで書いてある。
わかりやすい例もあったが、思想的なところでイメージし辛く感じるところもあった。
Posted by ブクログ
投稿した順序が逆になったが、同著者の「テクノ封建制」からの流れで手に取った。気づきようもなく経済市場にどっぷりと浸かった生活を送り「交換価値」としての地球破壊に加担させられている、また生活するために一部の金持ちに搾取されている、そんなそんな構造が垣間見える一冊となった。
Posted by ブクログ
たとえ話を多く用いて、経済とは、市場とは何かを解説してくれる本。
生き残るために必死になった結果、余剰を生み、その余剰が生み出したものが必死にならなかったものを淘汰する。この結果は環境が生み出したものであり、それ以外に差はない。
すべての民主化か商品化か、それしか選択肢はないのだろうか。
Posted by ブクログ
通信大学の単位を取るために、勉強していてその中で読みました
最初は少し難しかったので。2回読みました
2回目になると理解出来てきた
ストーリー仕立てなので、
飽きずに最後まで読めた
Posted by ブクログ
経済の基本的なことが平易に書かれていて、専門用語も少なくわかりやすい。例え話が多く、時折説明が回りくどいと感じる部分もあったが、全体的に理解しやすい内容だったと思います。
Posted by ブクログ
京大卒で現ケンブリッジ大で研究者をしている友達の、お父さんおすすめの1冊。
鉄銃病原菌のジャレドダイヤモンドの話を友達としていて、この本が出てきて読んでみた。
上手くまとめられているけど、後半読みずらい。
途中で挫折しそうになった。。
Posted by ブクログ
様々な例え話や神話を使って経済を分かりやすく伝えようとしているのはわかるが、余計に遠回りになっていることもあって、あまりピンとこないところも多かった。
Posted by ブクログ
経済学の諸概念を難しいデータなどを使わずに説明した1冊。
「誰もが経済についてしっかり意見を言える」という「経済の民主化」を筆者が大切にしていることに首肯した。
所々、「根拠は?」と疑ってしまう部分があるので、この本をきっかけにさらに経済学を勉強したくなった。
Posted by ブクログ
経済の誕生から現在の流れまで、色々な表現で教えてくれる本だと思う。特に収容所のタバコの話なんかはすごくわかりやすかった。実際に働いてお金を稼ぐ事がどういう事なのかをもう一度考えるいいきっかけの本だと思うので、是非おすすめしたい一冊。
Posted by ブクログ
序盤にあった、なぜヨーロッパからオーストラリアへと侵攻し逆は起きなかったのか、と論じていたところが面白かった。
(このような話を主に扱う関連図書を見つけて読みたい)
ギリシャ神話やマトリックスなど色々な物語などが例に使われているものの、その作品を知らずに理解しにくかった点もしばしば。
Posted by ブクログ
難しい経済用語などはなく、一気に読めました。
仮想通貨や環境問題まで論じているのも面白いところです。たとえにマトリックスなどなるほどと思いました。
★NHK「100分de名著forティーンズ」で「ただのお金の話ではない」と話題沸騰!
★NHK「理想的本箱 君だけのブックガイド」で絶賛!
★「朝日新聞」(梶山寿子氏評)にて
「とんでもなくわかりやすいだけでなく、とんでもなくおもしろい」
「知的好奇心を刺激するドラマチックな展開に、ぐいぐい引き込まれる」
「一冊で仮想通貨や公的債務の是非、環境問題まで網羅しているのも驚き」と絶賛!
★年間ベスト海外ノンフィクション(Apple Books)
★23万部突破! 読売新聞、毎日新聞、東京新聞、中日新聞、産経新聞、週刊文春、週刊朝日、
HONZ、NIKKEI STYLE他、絶賛・紹介続々!
★世界的ベストセラー! 25ヵ国で続々刊行!
★世界ってこういうものだったのか!
★「経済を知る」とはこれほど面白いことだったのか!
◎世界はどんな「仕組み」で動いているのか
◎なぜ一部の人たちだけに「富」が集中するのか
◎「経済危機」の裏に隠れているものは何か
「資本」や「資本主義」という言葉を
使わずに経済を語ったら、
とんでもなく本質がわかるようになった!
経済の本なのに「一気に読める」
「ページをめくる手が止まらない」と大反響!
読み終えた瞬間、世界が180度変わって見える!
★元財務大臣の父が、十代の娘に向けて、
シンプルで、心に響く言葉で本質を語り、
世界中で支持されている、
究極の「経済×文明論」!
小説、映画から、ギリシャ神話まで、
古今東西の知を総動員!
もっともシンプルで、もっとも伝わる言葉で、
「世界」と「経済」の本質を捉えた書!
・なぜ、こんなに「格差」があるのか
・自分のことすら「市場価格」で測ってしまう
・すべての富は「借金」から生まれる
・「金融」の仕組みのウラ側とは
・「終わりの予感」が経済を崩壊させる
これからの時代を生きていくために、
もっとも大切な「知識・考え方・価値観」を
一気に詰め込んだ、驚くべき一冊。
Posted by ブクログ
ちょっとだけ経済のことがわかった気がする。
土地や気候によって技術の発達スピードが変わってくる話や、自動化すればするほどモノを買える人が少なくなる流れなど、世の中の仕組みがほんの少しだけわかった。
狩人のジレンマの話も面白い。たしかに裏切ってうさぎを狩ってしまう人はいそう。
Posted by ブクログ
作者の主張としては、「持続的な格差の少ない社会を目指すには今の資本主義に対して、経済リテラシーの高い民主主義」ということだと思う。
資本主義を市場社会と表現して、市場の成り立ちや特性について語っている。交換価値と経験価値という表現は、印象に残った。なんでも交換価値にしてしまう市場社会(≒評価経済社会@岡田斗司夫)の波は、プライベートを切り売りしていいねやフォロワーを稼ぐ現代の特性を上手く捉えている。経験価値については、貨幣価値や取引という概念から外れ、人の関係の下に成り立つ一種の関係性である。作者は、とある日の会食時の知り合いの船乗りから潜水して錨を直して欲しいという経験を元に、いい思い出として語っている。
価値の関係性から、労働問題にまで及ぶ。労働市場と狩人のジレンマ。皆が信頼し合って、大きな獲物を狩りに行くということは、持続的な格差の少ない社会という獲物を狩るためには、信頼し合うべきということも作者は主張しているのかもしれない。