清水幾太郎のレビュー一覧
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面白い。
ただし、この本はビジネス書ではない。
また、「本を読む本」のように、真剣に本の読み方について論じた本ではない。
講談社からでていることからわかるように、半分アカデミックな本で、残りの半分エッセイの本である。
著者の半生とともに、どうやったら本をもっとより良く読めるのかについての意見が述べられている。
本の読み方のハウツーを論理的に構築した本というよりも、著者の人生に照らし合わせると本はこう読むべきではないか?と語りかけてくる本である。
楽しくこんな意見もあるんだな!著者の人生すごいな、面白いな、そういうふうに読む本である。
個人的には面白かったので星5 だが、期待される -
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東京駅の本屋さんで気になっていた。BOOK-OFFのGW20%OFFセールで見つけて購入しました。
前半部分はかなり古典的で、普段読む文体ではなかったため読み進めるのに少し苦労を要したが、中盤から、特に洋書の読み方からは納得、共感の嵐。
洋書を読めるようになって、はじめて英語の楽しさ、翻訳書ではなく洋書をあえて読むことの大切さが言語化されていてすっきりした。
日本語で読むよりも、外国語で読むほうがわかりやすく、楽しいことがある、という記述。ある程度のレベルまで外語のスキルが付くとこうなるんですよね。。
引用:
「電波メディアが発達した喧噪と繁忙の時代の私たち小インテリにとっては、真面目な読 -
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日本語の技術
私の文章作法
中公文庫 し23-3
著:清水 幾太郎
出版社:中央公論新社
筆者は、戦前から、戦後にかけてのジャーナリスト、学者で、1988年(昭和63年)に没している。2022年にベストセラーの復刻版として出版をされている
独特な感性で、文章修業を語っている
気になったのは、以下です。
・自分の読んでいる文章に好き嫌いがあるかどうか、あれば、上達の見込みがあり、気にならなければ、上達の見込みはない
・修業というものは、はじめは、みな、だれかの真似をするものなのです
・戦前の文語体から、戦後の口語体へ、美文からの解放とともに、レトリックという大切なものが失われた
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ネタバレ「自分の精神を通して、自分自身が書くのである。」とある。「が」への警戒を筆者が述べている中で、この文の意味に深みを感じる。
この本で述べている論文の書き方をざっとまとめると、
1、テーマを決める
2、答えようとすることのイメージとか方向
紙に書き留めることをする
3、思いつきを書き留めておく
4、深く考えること、調べること
5、長い文章を組み立てるのに過不足ない短文の群れができる。部分品を揃えて全体を組み立てるイメージ。
「とにかく文章を書くというのは自分を主張する行為である。与えられた現実を自分というものを通して再構築する働きに他ならぬ。」
こんな本を読んだら、決められた文字数で作文を -
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社会学者・清水幾太郎氏による読書論。
これまで読んだ読書論の中ではこれが一番面白かったです。
印象に残ったのはマスメディアの比較。
書籍、雑誌、新聞、映画、ラジオ、テレビという六つのメディア。
この順序は各メディアが登場した順序ですが、逆に並べるとメディアの難易度の順序、ということになります。
読書は努力を要求するがテレビを見る側には努力はいらない、しかしテレビを見て我々に残るのは印象だけ、テレビは全体から僅かなものを抽象し大部分が捨象されるが、想像力が働かなければ何か捨象されているのかも分からない、といった具合で、テレビには1と0の間に横たわる広大な灰色の世界を示すことが出来ず、沢山の可能 -
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20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の相互性などです。また歴史を語る歴史家自身も、少なからず自分の生活している環境に影響を受けているので、純粋に客観的な存在としての歴史家など存在していない、と断言しています。絶対的な存在としての歴史家はいない。「まず歴史家を研究せよ」というのは非常に重要なメッセージだと思います。彼はどんな時代のどんな国
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この本に、早く出会っていたら私の読書スタイルも変わっていたでしょう。
本書で、ケチはいけませんとあります。私は、本書で言うケチな人間でした。
4.本とどうつきあうか
の章にケチはいけないとあります。ケチとは、
・読み始めたら最後のページまで読み通さなければならぬ。
・本を読む以上どの頁も有意味であるはずと考えること
・一語一句をユックリと噛みしめて読まなければならないという態度
・買った本は絶対に手放さないという信念で生きている人
これらの考え方を持って本と接していることとあります。若かりし頃は、ほぼこれらケチな考え方で本に接していました。最近はそうでもないのですがね。
本との付き合い方は、大 -
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素晴らしい本。
>思想というものを最後的にテストするのは、家庭という平凡な場所であると思う。
~略~
>家庭という平凡な、しかし厳然たるリアリティのテストに堪えた時、思想は恐ろしい力で世の中を変えるであろう。
自分も「借り蛮刀」を振り回しがちだ。思想がツルッとした脳を上滑りしているのだ。
脳から脊髄、血液に流れ込んで、全身から蒸発して他者に乗り移るほどの思想には程遠い。そこまで考えに考えないとリアリティのテストに耐えられない。考えることが足りないのだ。
考えることは考えることであり、考えること以外に代替はない。そして他人が考えているかどうかは傍目ではわからない。だから言語化するし -
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言葉なしでは何も考えることはできない。それほどまでに大事な事柄であるにも関わらず、言葉を真剣に学ぼうと思いはじめたのは、背伸びをしてみてもここ数年がいいところである。過去を悔いても仕方がないので、せめてこれからは怠ることなく歩みを進めていきたい。まずは「文章」と「読書」をテーマに扱っている書籍を濫読しようと思う。
本書に登場する文章執筆についての記述を以下に要約する。こうして書き続けている記録の一つひとつが、今の自分にとっての「小高い地点」である。
人生というのは、山を登って行くようなものだ。その途中で、或る小高い地点に達することがある。俄に展望が開け、自分が辛くも渡ることのできた川 -
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ネタバレ名著。
入試や卒業で論文を書く際、わかりやすい文章を作るコツが書かれている。
書く内容は頭にあるのだが、それをどう書いていいのか・・・と頭を悩ませている人には是非読んでほしい本。
と書いている54歳の私めにはそんなチャンスはありませんが。
それでもよかったのは、文章や概念、言葉や価値観は時代によって刻々と変化していて、外国からも取り入れられて、一方では廃れていくものがあって・・・
というのを実感しながら読めたこと。
そしてもう一つ。
文を読んだり書いたり、人の話を聞いたりしているとき、頭の中の別の部分に、フッと浮かんで消えていく閃きのような思考。
それを言葉にしてくれている、と感 -
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1 著者の清水氏は社会学者で、評論家でもあります。本書は論文の基本ルールについて、氏の経験を元に書かれています。ハウツー本とは一線を画し、高水準な内容です、文章を書く人には、是非とも読んで欲しい一冊です。
2 先ず本書でいう、論文は「哲学・思想・文化・社会科学の方面」における知的散文です。小説や随筆とは区別されます。
3 私にとって、有益だった点を拾ってみます。
① 文章の修業は、短文から始めた方がよい。短文が長文の基礎或は要素になっている。沢山の短文を繋ぎ合わせたり、組み立てたりすることによって長い文章が出きる。 ⇒ 私はメモする習慣があるので、よく理解できます。
② “が” -
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初めて手に取ったのは、大学生時代(1990年代)での最初の概論でのテキストにて、
確か、1961年のカー氏の、ケンブリッジ大学での講演録を基調にしていて、
日本での初版が1962年ですから、訳語としての言い回しはやや古めで、
正直とっつきにくい部分もありますが、内容としてはよくまとまっているかと。
- 歴史家の機能は、(中略)現在を理解する鍵として過去を征服し理解すること
その上で、、
- 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、
現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話
との点は、私にとって非常に肚落ちのする内容で、今でも(2020年代)、
各種の物事に対し -
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胸に刺さった。とても知的で誠実な説教をされた気分。編集者だったときに、ここまで真剣に言葉に向き合ってなかったなあと反省した。
いわゆる「文章読本」としては珍しく、例文がほとんど出てこない。how to本を期待した読者の多くは、そこで肩すかしを食らったような気になるかもしれない。では、例文なしでどのように「論文の書き方」を説明しているのか。本著で展開されるのは、「知的文章を書くとはどういうことか」についての深い考察だ。「書くとは?」 「日本語の特徴とは?」 「言葉の裏側にある本質的な何かを伝えるのは?」 そういった、知的文章を書くために根源的に向き合わなければならないことのひとつひとつを、著者