清水幾太郎のレビュー一覧

  • 歴史とは何か
    現代史の扱いは難しい。何故なら出来事に利害や未練を有する人たちがまだいるからである。
    歴史を決定論として捉える説、偶然の連鎖として捉える説がある。いずれにせよ歴史家康とは因果経過を選択し価値観に基づき体系化する。
    過去に対する建設的意見を持たぬ者は、神秘主義かニヒリズムに陥いる。
    進歩史観は幻想であ...続きを読む
  • 本はどう読むか
     1970年代の読書論であり仕事論・人生論であるが、全く古びていない。読み手を楽しませようというサービス精神に満ちていて、読んでいてとても楽しい。テクニカルな面で参考になったのはメモの取り方と洋書の読み方。ただ、この本の魅力はそのような細部だけでなく、職業を持つこと、そして家庭の重要性を、これでもか...続きを読む
  • 歴史とは何か
    20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の...続きを読む
  • 本はどう読むか
    この本に、早く出会っていたら私の読書スタイルも変わっていたでしょう。
    本書で、ケチはいけませんとあります。私は、本書で言うケチな人間でした。
    4.本とどうつきあうか
    の章にケチはいけないとあります。ケチとは、
    ・読み始めたら最後のページまで読み通さなければならぬ。
    ・本を読む以上どの頁も有意味である...続きを読む
  • 本はどう読むか
    素晴らしい本。
    >思想というものを最後的にテストするのは、家庭という平凡な場所であると思う。
    ~略~
    >家庭という平凡な、しかし厳然たるリアリティのテストに堪えた時、思想は恐ろしい力で世の中を変えるであろう。

    自分も「借り蛮刀」を振り回しがちだ。思想がツルッとした脳を上滑りしているのだ。
    脳から脊...続きを読む
  • 日本語の技術 私の文章作法
     言葉なしでは何も考えることはできない。それほどまでに大事な事柄であるにも関わらず、言葉を真剣に学ぼうと思いはじめたのは、背伸びをしてみてもここ数年がいいところである。過去を悔いても仕方がないので、せめてこれからは怠ることなく歩みを進めていきたい。まずは「文章」と「読書」をテーマに扱っている書籍を濫...続きを読む
  • 日本語の技術 私の文章作法
    ずいぶん久しぶりの清水幾太郎。IT時代よりも遥かに以前の指南ではあっても、古びていないところもある。読んでもらえる文章を書いたり、聞いてもらえるスピーチをするのであれば、普段から教養を整備しておき、十分に内容を組み立ててから、区切りとつながりを意識してやれ、とのこと。
  • 論文の書き方
    名著。

    入試や卒業で論文を書く際、わかりやすい文章を作るコツが書かれている。

    書く内容は頭にあるのだが、それをどう書いていいのか・・・と頭を悩ませている人には是非読んでほしい本。

    と書いている54歳の私めにはそんなチャンスはありませんが。

    それでもよかったのは、文章や概念、言葉や価値観は時代...続きを読む
  • 論文の書き方
    1 著者の清水氏は社会学者で、評論家でもあります。本書は論文の基本ルールについて、氏の経験を元に書かれています。ハウツー本とは一線を画し、高水準な内容です、文章を書く人には、是非とも読んで欲しい一冊です。
    2 先ず本書でいう、論文は「哲学・思想・文化・社会科学の方面」における知的散文です。小説や...続きを読む
  • 論文の書き方
    めちゃくちゃ読みやすいのに、中身がつまっていて無駄がない。魔法のような文章だと思った。ここで説明されていることが、全てこの本で体現されている。
  • 歴史とは何か
    歴史は、過去の経験を糧にしながら未来をよりよく照らすための学問である、とぼんやり思っていた私の考えを大きく変えてくれた。
    歴史は単に事実の集積ではない。歴史における解釈はいつでも価値判断と結びついている。過去とは、現在の光に照らして初めて私たちに理解ができる。歴史は直線的ではなく、逸脱や後退、明瞭な...続きを読む
  • 歴史とは何か
    初めて手に取ったのは、大学生時代(1990年代)での最初の概論でのテキストにて、
    確か、1961年のカー氏の、ケンブリッジ大学での講演録を基調にしていて、

    日本での初版が1962年ですから、訳語としての言い回しはやや古めで、
    正直とっつきにくい部分もありますが、内容としてはよくまとまっているかと。...続きを読む
  • 論文の書き方
    胸に刺さった。とても知的で誠実な説教をされた気分。編集者だったときに、ここまで真剣に言葉に向き合ってなかったなあと反省した。

    いわゆる「文章読本」としては珍しく、例文がほとんど出てこない。how to本を期待した読者の多くは、そこで肩すかしを食らったような気になるかもしれない。では、例文なしでどの...続きを読む
  • 歴史とは何か
    ビジネス本の読書会にて

    「 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。」

    深い言葉だ。歴史的事実一つをとっても「現在の歴史家」というフィルタを通してみるしかなく、歴史家の数だけ事実が存在し得る。

    実はこの本、昭和30年台に父...続きを読む
  • 歴史とは何か
    「事実は神聖であり、意見は勝手である」
    →これはガーディアン紙の編集長だったチャールズ・プレストウィッチ・スコットの言葉。事実を正確に把握することは難しいけど、そのたったひとつしかない事実へと辿り着くことが歴史の使命。たったひとつしかないがゆえに、事実は神聖なんだ。意見はひとそれぞれ自由に持てばいい...続きを読む
  • 論文の書き方
    論文の書き方を知りたくて手に入れた書籍。一般的な文書の書き方を教えるという内容ではなく、日本語の文書とはから著者の経験から解説した書籍だった。文書を書きたい人に、書きたいけど悩んでいる人に、何かヒントを与えてくれる。
  • 歴史とは何か
    英国の歴史家E.H.カーが、1961年にケンブリッジ大学で行った講演「歴史とは何か」を全訳したもので、今や「歴史哲学」を論じた古典の一つとも言える一冊である。
    本書の中で繰り返される「歴史とは現在と過去との対話である」というフレーズは、その後本邦で発表された歴史学を始めとする数々の書籍でも引用されて...続きを読む
  • 論文の書き方
    論文を書こうと思った時に読んだ本。
    清水幾太郎の著書であり、非常に示唆に富んでいるし、表現もわかりやすい。
    文章を書くという行為、読むという行為に比べると高度な、大変な行為だと書いてあったのが印象的だった。

    それを表すように「文章とは認識である。行為である」(56頁)と書かれている。文章はただそこ...続きを読む
  • 歴史とは何か
    「歴史ってなんだろう」
    そんな当たり前のような問いかけに、はっきりと答えることができるでしょうか。日本に住む我々も随分と歴史認識の問題という形で対立があることを耳にします。
    本書で紹介されているある著名な歴史家がその師について語った一文
    「彼はいつも不完全な資料では歴史を書かなかったし、彼にとってい...続きを読む
  • 本はどう読むか
    『本を読む本』を意識した題名なのかは知らないが、趣旨は全く違う。20分程度で読むために、取捨選択して読んだ中で印象に残ったのは次の3つ。1つ目は、書評は読んだことをアウトプットするためだけでなく、自らにひきつけて「主体的な」ものにするために有益であるということ。2つ目は、本を読む第一の目的は著者がそ...続きを読む