篠田英雄のレビュー一覧

  • 日本的霊性

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    日本的霊性
    著:鈴木 大拙
    著:篠田 英雄
    岩波文庫 青323-1

    おもしろかった、日本的霊性へと日本人が達するための旅、鎌倉時代に日本的霊性が覚醒したことを解説している
    「仏教の大意」より本書を先に読めばよかった

    日本的霊性の覚醒をみたのは、1つは、浄土系思想であり、今1つは、禅であった

    ■霊性とは
    精神と物質の世界の後ろにいま1つの世界が開けて、前者と後者が互いに矛盾しながらしかも映発するようにならねばならない
    これは霊性的直覚、または、自覚により可能となる

    精神には、倫理性があるが、霊性はそれを超越している、超越は否定の義ではない、精神は分別意識を基礎としているが、霊性は、無分別

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    2024年10月09日
  • カント 実践理性批判

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    カントは『純粋理性批判』で、人間の理論的認識は感性に与えられた現象にのみ関わるものであり、「物自体」を認識することはできないとした。したがって人間の理論的認識能力には限界があり、「神、自由、魂の不死」といった超越的理念を純粋理論理性が扱うのは理性の越権行為であるとした。
    しかしひるがえって『実践理性批判』で彼は、「神、自由、魂の不死」は人間の純粋実践理性の要請であることを証明していく。
    これは一見すると矛盾しているように見える。しかしよく考えてみるとそうではない。
    人体の構成元素は、炭素原子20パーセント・水素原子10パーセント・酸素原子60パーセントくらいであるらしい。元素という視点で見れば

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    2021年05月22日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    今年は桂離宮に行く!

    高松の達磨寺と洗心亭は訪れました。あのこじんまりとした家屋から見下ろした高松の街を想像しながら、家屋のわきにある石碑に刻まれたich liebe die Japaneche Cultureの言葉の意味を思いました。

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    2019年05月19日
  • 日本的霊性

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    ネタバレ

    日本の仏教、哲学の第一人者の日本的とは何かを分析した名著。
    日本文化、歴史に対する深い知見からの洞察は消化するのに何遍も読む必要がありそう。
    現在の日本人的精神(鈴木大拙はこれを「霊性」と呼ぶが)は仏教が日本の大地に順応した鎌倉期に起源を発するとして、それが、真言であり、禅であるとする。
    仏教に興味が湧き、座禅に行ってみたくなった

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    2015年06月20日
  • 日本的霊性

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    キリスト教のは全くの他力である、自他を対立させておいて、その上に他の力のみを打ち立てんとするのである。仏教では、自他の対立は対立であるが、そこに対立を絶したものが動いていることを直覚し(これを霊性的自覚という)、この直覚から、対立の世界を見直すのである。

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    2013年09月04日
  • 日本的霊性

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    即非の理論について書かれていた解説の部分を何度も読み返した。

    AはAである → AはAでない → それを踏まえた上でAはAである 

    という理屈は厳密に展開すると…

    AはAである → 実は気付かなかったがAにはA´という要素が追加もしくは削除されうる → Aは本当はA+A’or A-A’となっている…´

    とAの改造がいつの間にかされている。
    個々人がもっている概念を自身の手で改造していくことは、内面の深化につながると思う。
    解説の死の捉え方は分かりやすかった。

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    2017年09月14日
  • カント 実践理性批判

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    カントの三批判書のうち、道徳における実践理性の機能を解き明かした著作。純粋理性の批判において、消極的に捉えられた自由、心の不死、神という3つの理念が、今度は客観的道徳法則の条件として捉えられる。特に可想界に属する存在としての人間にとって、自由の理念こそが道徳の基礎にあるとするカントの教説は、中世的な「自由」から離れた独自の自由概念を道徳論に導入したと考えられる。その客観主義、形式主義ゆえに現代でもなお道徳論において重要な位置を占めている。

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    2012年03月02日
  • 日本的霊性

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    やっとここまで来たという到達感。
    濫読の途中で仏教というテーマの中間整理になった。
    この本は読み出すまでは難解で近寄りがたいと思っていた。生涯の友西田幾多郎の『善の研究』を連想して勝手にそう思い込んでいた。
    鈴木大拙は激動の時代にあって日本仏教の霊性の覚醒を洞察しそれを鮮やかに表現した。濃密な内容は読む者の頭に深く沁み、混沌が一つ一つ整理され得心する手応えは格別だ。戦後を生きる日本人の思考の原点となり仏教を世界に知らしめた意義は大きい。

    彼は第四高等学校で西田と交流し、西洋思想に傾倒するが父の早逝で中途退学し、英語教師を経て21歳で東大専科生になる。鎌倉の建長寺で傑僧今北洪川や釈宗演から禅の

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    2025年07月29日
  • 戦争論 上

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    内容ではなく、翻訳に関して。

    読みにくい、とのコメントが幾つかありますが、個人的には、格調、勢い、味わいのある名訳だと思います。同じ訳者によるカントの諸作の訳文と同様です。
    最近出版された「全訳 戦争論(上・下)」(加藤秀治郎訳、日本経済新聞出版)…「画期的な新訳」「平明な日本語」「既存の翻訳に比べて格段に読みやすい訳文」という謳い文句、「日本クラウゼヴィッツ学会理事」という訳者の肩書につられ、最初はこちらを買って読み始めたものの、無味乾燥な文章で読み進めるのが苦痛になり、岩波文庫版に切り替えて、正解でした。
    日本経済新聞社版では、通読性を損なわないように別註は省き、文中カッコで最低限の補足

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    2024年11月03日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    坂口安吾が『堕落論』だか『日本文化私観』だかで、「ブルーノ・タウトが私の出身地である新潟を世界で最も醜い街だとディスってきたんだけど‪」(意訳)と書いていたので、気になって呼んでみた1冊。
    確かに、しっかりと新潟がこき下ろされておりました。
    ただ、自分が良いと思ったものには言葉を尽くし賛辞を惜しまず、良くないと思ったものは徹底的に貶し倒すタウトの筆致は、ある意味読んでいて痛快だった。
    その土地の気候風土に適合しており、その土地の文化に根ざし生まれた建築こそが永遠の美たりえるのだというタウトの美術観は、氏自身が機能性を追求するモダニズム建築家であったゆえなのだろうかと考えると興味深かった。

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    2024年10月13日
  • 日本的霊性

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    (01)
    霊性という語には仏教味が少なく,著者が近代の知を浴びながら捻出した造語とも言える.しかし,精神でもなく心でもなく,ましてや無意識でもないし,もちろん物でもない霊性とは何か.
    浄土真宗(*02)こそが,著者の信条を捉え,身体性に染み付いた実践でもあったと考えられる.真宗の創始にあたった法然と親鸞,そして真宗の近代的な実践者である道宗や才市の例をあげ,それが他の宗派や宗教ではなし得なかった霊性に着地した思考(*03)と実践であったと説いている.

    (02)
    浄土真宗の念仏は,常に問題となる.日蓮宗の「南妙法蓮華経」よりもさらにコンパクトになった名号「南無阿弥陀仏」が膾炙し,膾炙するだけの

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    2024年02月02日
  • 日本的霊性

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    日本的霊性は大地から始まる。
    自覚されるのは、鎌倉時代。
    華やかな平安は「天」、実質的な鎌倉は「大地」。
    親鸞は京から田舎の地に移ったから、大地から学ぶことが出来た。

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    2022年12月25日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    感想
    刹那と永遠。消えゆく美を固定し体現する建築。一見矛盾する要素を呑み込む。本で知識を得た後は実際に足を運んでみたい。まずは近所の神社から。

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    2022年11月01日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    やはり岩波新書はいい仕事する。
    明治時代、ネットはもちろん、交通の便は今よりもはるかに劣り、カメラも手軽に使えない時代、ヨーロッパからはるか離れた日本を訪れ、日本の美しさを素晴らしい文書で残してくれている。
    ただ感謝しての言葉ってしか浮かばない。、

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    2020年09月20日
  • 日本的霊性

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    引用メモ。

    自分の主張は、まず日本的霊性のあるものを主体に置いて、その上に仏教を考えたいのである。仏教が外から来て、日本に植え付けられて、何百年も千年以上も経って、日本的風土化して、もはや外国渡来のものでなくなったと言うのではない。初めに日本民族の中に日本的霊性が存在していて、その霊性がたまたま仏教的なものに逢着して、自分のうちから、その本来具有底を顕現したということに考えたいのである。ここに日本的霊性の主体性を認識しておく必要が大いにあると思う。(p.65)

    今までの日本的霊性は、伝教大師や弘法大師やそのほかの宗教的天才によりて幾分か動き始めていたことは確かであるが、まだ十分に大地との関

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    2020年05月05日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    新潟市は日本中で最悪な都会。
    何ひとつ興味をそそるものがない、街を貫く運河は悪臭粉々、
    しかも全市を通じて住居の出入り口に便所があり恐るべき臭気が漂う。
    こんな家造りではいけいないと、新潟市に「建築家」という職業が「発明」されねばならないと嘆いたブルーノ・タウト。
    あまりの評価にガックリ。
    21世紀に住まう地元人でも街づくり、景観づくりに魅力を感じていないので、
    当時の容赦ない辛辣な評価は図星だったと笑うに笑えない。


     

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    2017年01月26日
  • 戦争論 下

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    防御の後半、攻撃、戦争計画、及び索引を配した巻。『戦争論』全般にいえることだが、少なくとも、フリードリヒ大王の戦争、ナポレオン戦争に関する知識が無ければ訳がわからない部分が多くなると思われるし、当時のプロイセンの置かれた状況や、軍事思想の変遷などを知っていなければ読みこなすことは困難だろう。有名な本だが、最初に手を出すレベルの本ではなく、戦争に関する様々な書物を読んでから取り組むべき本であると思う。

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    2014年10月15日
  • 戦争論 中

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    戦闘、戦闘力、防御に関する巻。レクラム版ではカットされている内容も訳出されている。少々翻訳が古いので、現代では使われないような漢字が多用されている点は改良の余地がある。実戦例は七年戦争とナポレオン戦争から採っていることが多く、少なくとも、この二つの戦役に対する予備知識がないと理解が深まらない、または面白くないかもしれない。

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    2014年10月14日
  • 戦争論 上

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    読みにくさから、長年放置していたのだが、訳者あとがきを読んで、原文が元々難解であり、そのため逐語訳では表現できない部分が多くに渡るため、訳に苦労した旨の記述があった。少々古い翻訳で当用漢字に無いような漢字も使用されているが、読めないほどの頻度ではない。苦労するようならレクラム版を先に読んだ方が良いだろう。

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    2014年10月09日
  • 日本美の再発見 増補改訳版

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    桂離宮がすばらしいものだということがわかった。日光東照宮はいろいろな技術を取り入れているものの、日本本来のものではなく、桂離宮は簡素ではあるが、日本独特の様式を備えている。

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    2013年08月06日