【感想・ネタバレ】日本美の再発見 増補改訳版のレビュー

あらすじ

桂離宮をはじめ、伊勢神宮、飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は、ドイツの建築家タウトによって「再発見」された。彼は、ナチスを逃れて滞在した日本で、はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった。日本建築に接して驚嘆し、それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録。

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Posted by ブクログ

今年は桂離宮に行く!

高松の達磨寺と洗心亭は訪れました。あのこじんまりとした家屋から見下ろした高松の街を想像しながら、家屋のわきにある石碑に刻まれたich liebe die Japaneche Cultureの言葉の意味を思いました。

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2019年05月19日

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坂口安吾が『堕落論』だか『日本文化私観』だかで、「ブルーノ・タウトが私の出身地である新潟を世界で最も醜い街だとディスってきたんだけど‪」(意訳)と書いていたので、気になって呼んでみた1冊。
確かに、しっかりと新潟がこき下ろされておりました。
ただ、自分が良いと思ったものには言葉を尽くし賛辞を惜しまず、良くないと思ったものは徹底的に貶し倒すタウトの筆致は、ある意味読んでいて痛快だった。
その土地の気候風土に適合しており、その土地の文化に根ざし生まれた建築こそが永遠の美たりえるのだというタウトの美術観は、氏自身が機能性を追求するモダニズム建築家であったゆえなのだろうかと考えると興味深かった。

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2024年10月13日

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感想
刹那と永遠。消えゆく美を固定し体現する建築。一見矛盾する要素を呑み込む。本で知識を得た後は実際に足を運んでみたい。まずは近所の神社から。

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2022年11月01日

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やはり岩波新書はいい仕事する。
明治時代、ネットはもちろん、交通の便は今よりもはるかに劣り、カメラも手軽に使えない時代、ヨーロッパからはるか離れた日本を訪れ、日本の美しさを素晴らしい文書で残してくれている。
ただ感謝しての言葉ってしか浮かばない。、

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2020年09月20日

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新潟市は日本中で最悪な都会。
何ひとつ興味をそそるものがない、街を貫く運河は悪臭粉々、
しかも全市を通じて住居の出入り口に便所があり恐るべき臭気が漂う。
こんな家造りではいけいないと、新潟市に「建築家」という職業が「発明」されねばならないと嘆いたブルーノ・タウト。
あまりの評価にガックリ。
21世紀に住まう地元人でも街づくり、景観づくりに魅力を感じていないので、
当時の容赦ない辛辣な評価は図星だったと笑うに笑えない。


 

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2017年01月26日

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桂離宮がすばらしいものだということがわかった。日光東照宮はいろいろな技術を取り入れているものの、日本本来のものではなく、桂離宮は簡素ではあるが、日本独特の様式を備えている。

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2013年08月06日

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建築物が大地と直接決どうしている仕方は、日本建築の美を構成する最も重要な要素の一つであると思う。

日本人は畳の上に坐るので、その結果、瞑想的な境地を体得し、それが芸術的にきわめて洗練された形で、地面の上に表現されたものに違いない。
畳の上に坐る文化は欧米と比べても日本の特徴だと思う!

現代建築の発展はその最も重要な基礎を、機能に求めねばならないと主張してきた。

伊勢神宮(傑作)→白川村→禅哲学•茶道→日本文化に精神的美学を与える→桂離宮

金色堂→仏教建築の堕落→秀吉の建築→日光東照宮

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2013年03月09日

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いかもの 確かにそういったものがあふれる世の中になってしまったように感じる。自然とともに生きていくことがやはり大切。
秋田に対する評価が高いところは嬉しい。

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2012年06月11日

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訳者あとがきに拠ると、筆者の論文二篇と日記抄二篇、合計四篇を和訳したものを纏めて1939年に刊行し、その時につけられた邦題が『日本美の再発見』らしい。日記は「飛騨から裏日本へ」と「冬の秋田」、論文は「日本建築の基礎」と「永遠なるもの---桂離宮」。
そののち、紙型が劣化したため改版するにあたり、あらたに「日本建築の世界的奇蹟」と「伊勢神宮」を加えたのが増補改訳版の中身。

「日本建築の基礎」は論文といいながら実際は講演のまとめであり、内容そのものが可也主観的かつ情感的で、お世辞にも学術的とは言い難い。講演なので細かい話や詳しい図表も一切なし。桂離宮を褒めちぎるのはよいが、どこがどう凄いのかとなると、とんと要領を得ない。ただ一言、直接参詣してつぶさに観察すべし、と。茶室についての考察は興味深いが、少し極論の嫌いもある。

「飛騨から裏日本へ」と「冬の秋田」は、全体に文句たらたらで、ややもすると電車や自動車などの近代文明に悪態をついている。訳者がどうしてこの内容を上梓しようと思ったのか、意図が知れない。褒めちぎる建築物はどれも農業や牧畜に適った構造をもつものばかりのようで、簡素を求めているらしい。その一方で旅館の一番綺麗な部屋をイカモノ、イカモノと扱き下ろす癖があるらしく、総じてみると、簡素で屎尿の臭いのしない納屋が筆者の意に最も適う建造物ということになろうか。その時の気分で見方もころころかわるし、何が言いたいのかわからない。章末に「私は夕方散歩しながら秋田の建築に教えられるところが多大であった。」と一言あるが、何がよかったのかは一切説明なしなので、本当に駄文でしかない。書かれていることは「何月何日、この旅館は臭い。何月何日、すばらしい接待を受けて嬉しかった。何月何日、ゴリラをみるみたいな目でみられた。ここの人はろくでもない。」みたいなのの繰り返し。駄文。

「永遠なるもの」もただの感想文。上野君は、上野君は、と繰り返し上野(伊三郎)氏の考えをもちあげるなら一層のこと上野氏の考えを新書にしてほしい。「私達が見、考えまた語ったすべてを剰すところなくここに述べる……には別に一巻の著書を必要とするだろう。」それならむしろそれを本にしてほしかった。

増補された小二篇は数頁だけの内容であまり記憶にのこっていない。

邦題をみて期待したのは、日本の美しい風景や景観を書き留めて、そのほかの西欧人の旅行指南にでもしたような内容だが、実際の内容は上記の通り。『日本の家と人々』とでもしてくれていればもう少し客観的に読めたのに。残念。筆者自体を詰るわけではなく、あくまでもこの書籍が残念。気づきを与える箇所は勿論あるし、一欧州人の考えや、その目に映った日本の当時の姿を知れるという意味では価値ある本。この四章+二章を一つに括ったのがそもそもの間違いとしか思えない。

建築について興味があるのなら、今和次郎の『日本の民家』(岩波文庫) を読んだ方が得るものは多い。

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2023年10月13日

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日光東照宮、ギャル的にはデコ盛り盛りで結構アガると思う キッチュなものが大好きなので

何も知らないまま坂口安吾の「日本文化私観」を読んでいたので、なぜ安吾が「法隆寺が駐車場になっても構わん」と述べていた理由がわかった

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2022年02月08日

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著者は、ナチス政権下のドイツから、日本に亡命した建築家で合理性と美の一致を提唱した人。モダニズムの影響の下、伊勢神宮などシンプルな日本建築を称賛し、日光東照宮などは華美として批判。時代を超えた精神性や美意識をあますところなく述べ、日本の知識人の価値基準に大きな影響を与えた。本書の中ほどでは、著者が旅した日本の風景が日記として綴られ、当時はまだ珍しかった外国人が、日本をどのように旅していったのか、時にユーモラスや苦労話を交えながら、日本人のたたずまいのすばらしさを語る。古き良き日本は、日本人にとっても、既に遠い過去のもになってしまったようだけど、本書はまるでタイムカプセルのように、当時の光景が綴られているので、現在の私たちもこの本を通して、当にタイトル通り、あらためて日本の美を再発見できるのではないか、と思う。

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2015年04月19日

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入口の門、家屋、部屋、庭苑およびそのた一切のものが、軍隊のように整列し、上官の指揮下に前後左右に隊伍を「編成」するというのではなくて、個々の部分がそれぞれに自分の目的、本分およひ意味に従いつつ、渾然とした全体をなしてあたかも一個の生物の如くであることこそ、きわめて単純明白でしかもそれ故に美しいのではあるまいか。

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2013年09月04日

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ドイツの建築家、ブルーノ・タウトの目に映った日本の建築を、感じるままにまとめた評論。その確固たる価値観に裏付けられた賛否の言葉は痛快でもあり時に滑稽でもある。
けれど、当時の近代化に喘ぐ日本において、その毒された目ではない透き通った目で見られた日本の建築は新鮮で刺激に富んでいる。
日光東照宮をケチョンケチョンに否定して、伊勢神宮(しかも特に外宮)と桂離宮を讃える彼の目は本来、日本人自身が持っていなければいけないはずのもの。
日本の建築ーそれは漁村の貧しい民家であってもーには、日本人しか持っていない知恵と工夫と必要に裏付けされた「美」が間違いなくあるのだと教えてもらった。

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2012年10月31日

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[ 内容 ]
桂離宮をはじめ、伊勢神宮、飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は、ドイツの建築家タウトによって「再発見」された。
彼は、ナチスを逃れて滞在した日本で、はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった。
日本建築に接して驚嘆し、それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録。

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2011年05月18日

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