呉明益のレビュー一覧

  • 歩道橋の魔術師

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    80年代の台湾が舞台の短編集で、全体として小説も恋と死が身近だった。恐らく日本人でも70年代生まれの人であれば小波のように押し寄せるノスタルジーに心震わせるんだろうと思う。
    模型作りの友人の話がどんより心に残って面白かった

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    2026年03月23日
  • 自転車泥棒

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    世界文学を味わった。

    村上春樹「羊をめぐる冒険」をより複雑に重層的に歴史的に構築した作品、といった印象だ。

    台湾じゃなければ書けない。この年代の、この作家でしか書けない。きわめて個人的でありながら、普遍的でもあって、これぞ小説だ、物語だ、と感じさせる。スケールも大きい。

    とても充実した読書体験だった。

    後記「哀悼さえ許されぬ時代を」の締めくくりが良かったので、記しておきたい。


    この小説は「なつかしい」という感傷のためではなく、自分が経験していない時代とやり直しのできぬ人生への敬意によって書かれた。自転車を探すうち、意外な時間の流れに巻き込まれてしまう物語を通して、読者のみなさんが

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    2026年03月09日
  • 複眼人

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    現実とファンタジーが入り混じる不思議な世界観は、幻想小説のようで不思議な感覚だった。
    架空の島であるワヨワヨ島、台湾、欧州と様々な場所の人たちの記憶や出来事が重なりながら進んでいく展開は映画的でもある。
    物語は展開も速度も含めて静謐な印象で、解説にもあったようにそこはかとなく死が滲んでいる。映画だけど「アフターサン」が好きな人は刺さりそう。

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    2026年02月16日
  • 海風クラブ

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    台湾の巨人が住むとされる田舎町が開発され抵抗するも時代の波にのまれてしまうようなお話。あまりあらすじはよくわからなかったけど、自然も大事で、でも生きていくためには産業やお金も必要で・・という葛藤が描かれていたのかな。巨人の存在が哀しげだった。

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    2026年01月09日
  • 自転車泥棒

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    オブラートに包まず、直接的で目を覆いたくなる部分も多々ありましたが、悲しく苦しく切ないながらも美しい文章に引き込まれます。
    がしかし、とてつもなく想像力のいる本だと思います。そこから見えてくるものが儚く、そして美しいです。
    それから、こんなにも父のことを考えたことがあったかなと思うほどに父の姿が浮かんできました。
    決して癒されないし、解決もしないけれど、大きな漠然とした余韻に包まれます。
    私にとって大切な本になりました。

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    2025年12月24日
  • 歩道橋の魔術師

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    初めて読んだ台湾の小説!台北の広大なショッピングモール“中華商場”。そこにはマジシャンがいた。決して豊かではなく、その日その日を生きる人々に少し不思議な事が起きる、短編集。マジックリアリズムって言うのかな。人熱、生活臭、空気感が漂ってくるような文体。

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    2025年12月01日
  • 海風クラブ

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    まず、ルドンから着想を得た表紙の絵に惹きつけられました。
    台湾の土着の民族が漢民族や日本人達によって搾取され追いやられていく様子が、山に住むという伝説の巨人の終焉と絡めて壮大な物語になっている。
    最初の2人の子供の出会うシーンはとても良かった。だんだんありきたりの展開になって少し残念。
    過去や現在が入り乱れ沢山の登場人物がそれぞれの人生を語り名前が変わったりするので、ごちゃごちゃして紛らわしかった。訳者さんの後書きで工夫されたところだと思うけど、読みづらかった。

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    2025年10月29日
  • 歩道橋の魔術師

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    今はない、台湾の市場を舞台にした連作短編集。
    行ったことも見たことも、それこそ生まれた時くらいに無くなった場所なのに、強烈なノスタルジーがある。
    架空のノスタルジーを楽しめる本。

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    2025年09月21日
  • 海風クラブ

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    プリミティブな美しさが時の流れとともに侵されていく。それでもなお人は生きつづける。金儲けに踊らされる(その結果を唯々諾々と受け入れる)人間の営為は巨人の体を削り、その体内に異物を放り込むようなものだというメッセージはあまりに直截的で、読むべきはむしろ強く逞しく生きていく人たちのその姿なのだろう。物語は円環を描くように閉じていく。父(母)祖の闘いを引き継いだ次の世代に強い生き方を託しながら。

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    2025年09月10日
  • 歩道橋の魔術師

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    ノスタルジーは懐かしさとともに、常に少しの喪失感と痛みを伴ってやってくる。
    商場はそういったものの代名詞になっているのだと思った。そこで描かれるマジシャンは、曖昧な記憶を夢と不可分にする怪しさを象徴しているように思う。

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    2025年07月26日
  • 歩道橋の魔術師

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    台湾で育ったわけでもないのに不思議と懐かしい気分になる。子供の頃の不思議な記憶を独特な雰囲気で、そして様々な人物の目線で描かれている。世界が住んでいる場所近辺までだったり、不思議なことを信じて疑わず、それを体験していたり。初めての台湾文学作品だったが、台湾好きにとてもオススメ。

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    2025年05月11日
  • 歩道橋の魔術師

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    魔術師に出会った人々は現実と もう一つ別の世界をみる

    ゴシキドリ シマキンパラなど見たことのない鳥に出会えて 不思議な気持ちになった

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    2025年05月02日
  • 複眼人

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    今まで感じたことのない不思議な物語でした

    夢の中にいるような錯覚を感じる 呉明益さんの作品です

    死生観も独特です

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    2025年04月28日
  • 眠りの航路

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    太平洋戦争中に日本にいた父とジャーナリストの息子、父と平岡(三島のアレゴリー)の交流、戦後台湾の混乱と発展などなど。自転車泥棒や歩道橋の魔術師の前駆みたいな小説。翻訳者の天野健太郎が若くして亡くなってしまったのは惜しかった。
    「歩道橋の魔術師」が一番良かったかな。

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    2025年03月11日
  • 自転車泥棒

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    商場、蝶、象、戦争、家族

    父とともに消えた自転車を巡る数奇な物語

    読むのに時間がかかったけど、長文とか読みづらいとかではなく、一文一文噛み締めるように読みたい、そんな本

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    2025年02月13日
  • 眠りの航路

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    人が眠るってことは、限りなく死に近いってことをさ。夢の状態に近づくことは、死の状態にも近づくことでもあるんだ。

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    2025年01月08日
  • 歩道橋の魔術師

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    今はなくなった台北「中華商場」という場所を舞台にした短編小説。子供時代体験したであろう色々な出来事の不思議さ、昂揚感、心がしめつけられる悲しみみたいなものを小説で見事に表しているなあと感じた。そんな色んな子どもたちの共通の記憶として「歩道橋の魔術師」がいて、各物語に影響を与えている。
    面白かったので「自転車泥棒」「複眼人」なども読んでみたいなと思った。

    村上春樹っぽい言い回しもところどころ見られる。ちょっと気になり調べてみると、とあるインタビュー記事に「ねじまき鳥クロニクル」を読んだことがあると話しておられた(作中にも村上春樹の名前が一度出てきた)。
    p.246 彼女の完璧な耳たぶに注意を引

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    2024年06月12日
  • 雨の島

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    明晰で硬質な言葉によって書き留められた自然描写のなんと素晴らしいことだろう。
    自然は、うちに秘めた合理性と、完璧な精緻さによって僕等をいつだって驚嘆させる。

    顕微鏡が捉えたかのような完璧さを、柔らかく滲ませて、水彩絵の具を何層も重ねていったかのように透かして見える奥行きを与えるのは、ひっそりと降る雨だけではない。
    細密画には書き込めない、網膜に映らないものが自然の中には確かにあるのだ。

    季節や天候の移ろいに、動植物の営みに、人は意味や徴しを見いだし、記憶や自己を重ねてゆく。つまりそれは、世界に物語りを付与するということ。
    そうやって人は、目に映るあるがままの自然から、己のためだけに差し出さ

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    2024年05月18日
  • 雨の島

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    草や木、海や山、鳥や獣や昆虫に混じって、人が物語を奏でる。
    背景ではなく物語のkeyとして……
    六つの中短編と挿し絵が一冊の物語としてまとまる。
    これは、「ネイチャーライディング(自然書写)とフィクションの融合」だそうです。

    でてくる自然は台湾由来のものを示すが、登場人物の名前は一様に漢字表記ではない。これも台湾という土地の歴史が物語ること。

    少し現実に引き戻される事柄として「クラウドの裂け目」「鍵」がどの物語にも登場する。
    主人公をもう一つ不思議な事へ誘うkeyとなる。
    ……正直、なんだか安易で、よくわからないかな〜

    お気に入りの作者だけに、やや不満。

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    2024年02月07日
  • 自転車泥棒

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    失踪した父と共に消えた自転車はどこへいったのか?そんな棘のように消えない記憶を抱え、古い自転車コレクターとなった作者。そこから始まる台湾自転車史から家族と台湾の歴史の壮大な物語。
    父の自転車が作者の手に戻るまでに経てきた持ち主たち、その過程で知り合う台湾先住民族の青年カメラマンのもう一台の自転車、さらにそのカメラマンの父の自転車と第二次世界大戦における銀輪部隊…と自転車を軸として展開される物語りが素晴らしい。
    「古いものを愛するのは時間を愛すること」、たった一台の自転車からでも人は過去を見出すことができる。

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    2024年01月24日