複眼人

複眼人

小説・文芸
1,430円 (税込)

7pt

太平洋に浮かぶ神話的な島と、近未来の台湾。二つの島に巨大な「ゴミの島」が押し寄せる時、謎の「複眼人」が姿を現す――。世界14か国で翻訳。台湾現代文学の担い手による代表的長編、待望の本邦初訳!

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    複眼人
  • タイトルID
    :
    20114406
  • 電子版発売日
    :
    2025年01月24日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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複眼人 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    単行本で読んだので、そちらの方に書いた感想を転載しておく。

    呉明益の小説は、『歩道橋の魔術師』『自転車泥棒』を読み、これで3冊目。今まで読んだ2冊が、中華商場や、第二次大戦といった、台湾の歴史的な記憶を拠り所にした物語だったのに対して、『複眼人』は、ファンタジー要素が強く、印象がかなり違う作品だった。

    世界中の人間が捨てたゴミが太平洋沖に集まってできた「ゴミの島」が、台湾に衝突するという事件を中心に、そこにいた様々な人たちが描かれる。一番印象的だったのは、自殺寸前の大学教師の女性「アリス」の話だった。
    「アリス」は、登山に出かけた夫と息子を失ったことで、自殺を考えるようになる。しかし、ちょうどその時、野良猫が家に舞い込み、「オハヨ」と名づけ、育て出したことで、自殺を思いとどまる。「アリス」にとって、この物語は、いかにして夫の「トム」と、息子の「トト」の死を受け入れるかという物語だった。彼女は、「複眼人」という小説を書き、「トト」は、自分の書いた文字の中で生きていたのだとすることで、二人の死を受け入れる。

    「複眼人」というのは、彼女が書いた小説だと思われる物語の中で、これまた「トム」と「トト」だと思われる「男」と「少年」が、死の直前に出会う超自然的な存在だ。複眼人は、人間の男の姿をし、その名の通り、目が複眼になっている。彼の複眼には、一つひとつの個眼に、全く別の様々な情景が映し出されている。

    面白いのは、この「複眼人」が、実在するのか、しないのか、「トム」と「トト」の身に起こったことが、現実に起きた出来事なのかどうかが、分からないことだ。この物語には、「アリス」の他に、台湾の先住民族や海外からやってきた技術者、神話の島から追放された少年などが登場する。それぞれの人物が、それぞれの人生における身近な人の死との関わりの中で、神話のような超自然的な経験をする。「アリス」の物語は、そうした登場人物たちの経験が語られる中に置かれることで、夢なのか、現実なのか、判別がつかなくなる。
    「トム」の遺体は、山の中で見つかったものの、息子の「トト」は、遺体どころか、結局、その痕跡すら発見することができない。そうした現実を、「複眼人」という物語にし、猫の「オハヨ」と生きていくことを決意することで、彼女は受け入れられるようになる。

    0
    2026年03月04日

    Posted by ブクログ


    「台湾」
    この小さな島に、複雑な経緯を持つ色々な人々がいる。
    そこに突然“ゴミの島”がたどり着く。

    台湾という島の近未来を通じて、自然の脅威と環境破壊を表の顔、つながっているようでつながっていない微妙な多様性と全てに共通する“命”にもがく人たちの模様を裏に、物語は進む。

    わかり合えるということは、わかり合うことを諦めることでもあるようだ。
    「今日の海の天気はどうだ」
    「よく晴れている」
    どんなに違っていても、かならずそう応えあう……それで互いの気持ちが歩み寄る。

    冒頭からしばらくは、どのように読んでいけばいいのかうまく掴めなかったが、やがて登場人物たちの想いが同期してくると、静かな旋律が心地良く聞こえる。
    そして次第に交わり、大きく響く。

    「傍観するだけで介入できない、私は何者か?」

    0
    2026年01月27日

    Posted by ブクログ

    大切な人を失った悲しみは永遠に癒えることはなく、抱きしめて生きていくしかない。
    いつしか、ただ記憶に文字に思い出を留めておくだけでなく、その人の成長した姿までをも想像してしまう。
    複眼人は、そんな生と死をとても静かに見つめているような本でした。
    最後にわかる真実はハッキリそれとわかるように書かれているわけではなく、途中途中の心情から汲み取って、じわじわと気付かされていくような展開でした。
    呉明益さんの作品は、静かだけど激しく想像力を刺激するものだと思います。すごくいい。

    0
    2026年01月02日

    Posted by ブクログ

    単行本が出た時に読みたいと思い、そのまま忘れてた本。文庫化を機に思い出した。

    現実と虚構が融合した神話のような小説。自然の壮大さや、人間の営み、生と死について濃密に描かれている。ファンタジーに分類されるのだろうけど凄くリアリティがあり読後の満足感がある。

    0
    2025年05月11日

    Posted by ブクログ

    呉明益の本を読むのは「自転車泥棒」,「歩道橋の魔術師」についで3冊目だろうか.それら2冊よりも,さらに幻想色が強い.
    舞台は台湾東岸であり,太平洋を漂ってきたゴミの島の激突や海面上昇,温暖化による多雨化の影響を受けて,色々なことが崩壊に向かっている.また登場人物たちは皆,身近な人の「死」を経験している.そのような中で,夫と息子を亡くして自殺を決意した主人公のアリスが,ゴミの島と共にやってきたワヨワヨ島民のアトレとの出会いを通じて,再生に踏み出すことがテーマとなっている.
    上のストーリーだけ読むと荒唐無稽だが,これらは背景であって,哀しみと暖かさが幻想的に描かれています.

    0
    2025年04月26日

    Posted by ブクログ

    再読は文庫本。

    複眼的、と調べると多面的な見方とする意味が。
    人間だけの世界でもの見ちゃいけないんだな。。

    しかし相変わらずすごい世界観だ。

    0
    2026年08月27日

    Posted by ブクログ

    現実とファンタジーが入り混じる不思議な世界観は、幻想小説のようで不思議な感覚だった。
    架空の島であるワヨワヨ島、台湾、欧州と様々な場所の人たちの記憶や出来事が重なりながら進んでいく展開は映画的でもある。
    物語は展開も速度も含めて静謐な印象で、解説にもあったようにそこはかとなく死が滲んでいる。映画だけど「アフターサン」が好きな人は刺さりそう。

    0
    2026年02月16日

    Posted by ブクログ

    今まで感じたことのない不思議な物語でした

    夢の中にいるような錯覚を感じる 呉明益さんの作品です

    死生観も独特です

    0
    2025年04月28日

    Posted by ブクログ

    面白いか面白くないかでいうと「面白い」
    だが少し現実離れした内容は自分には想像できなく
    途中置いていかれることが多かった。
    最後までそれぞれの過去のことなど解決しないまま
    終わってしまったのが心残り

    0
    2026年02月11日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    めちゃくちゃ読ませる文章。訳者が違ってもほんとに読みやすい。これはなぜ?

    筆者も述べてるように今回はちょっと毛色が違うなあ。なんだかかなりフィクションが強い。ワヨワヨも現実のものかそうでないのかよくわからないままに進んでいく。実際に存在するらしいと言うことは後にわかるけど。
    今作のテーマはやっぱり人間の負の遺産かな?
    ゴミの島は主題だし、アザラシ狩りや鯨狩りに対する反対運動が描かれるのもなんだか似た側面があるような気がする。サラにとってアムンセンは困った父親ではあるけど結局サラは捕鯨反対の道に進む。それは今作では人間のエゴを戒める立場にある人間として描かれている気がする。トンネル掘りの技術者もそう。かつては掘削と地質に疑いを持たないが、ダフの地元、少数民族の森を訪ねたときに、トンネルを掘られていない山の生きた声はどのようなものだったかと思いを馳せる。
    私は無尽蔵な開発については反対ではあるけれど、基本的に開発することは反対ではない、豊かな生活を享受している以上なかなか開発を否定できない。それは自分を否定することになるからだろうか。自分自身、自然が好きだと言うことを考えるとこれまでの自身の生活を否定してでも、開発に意を唱えるべきなのだろうか。考えを一変させるまで強い思いではないが、疑念を抱くきっかけにはなった。

    ストーリーは自転車泥棒、歩道橋の魔術師に比べてそこまで面白いとは思わなかった。勿論面白いんだけど。
    登場人物が多くてあんまり感情移入できない部分もあった。自転車泥棒くらいのボリュームがあればこれくらいの人数が出てきても良かったけれど。
    正直なところサラとデトレフの印象はかなり薄い。
    ワヨワヨの島はアトレがウルシュラを探しに旅に出た朝に津波に襲われる。アトレはワヨワヨの島に帰るのだろうと思っていたから驚いた。全ての島民は死に、鯨となった次男たちは海岸へ打ち上げられる。残酷な結末のように感じた。アトレを探しに出たウルシュラもアトレと再会できずに死んでしまう。アトレとの息子を遺すことができたから完全なバッドエンドではないにせよ悲しさが残る。津波に襲われるのは人間のツケではないからなんだかすっきりとしない。息子の足が癒着して鯨の尾鰭のようになっていたと言うのもよくわからない。長男だし。
    アリスとトムの息子が実は死んでいた?ことが仄めかされるのはびっくりした。お話として面白い。そこは好きだった。

    0
    2026年01月02日

複眼人 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    複眼人
  • タイトルID
    :
    20114406
  • 電子版発売日
    :
    2025年01月24日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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