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Posted by ブクログ
一九九二年に解体された台北の中華商場。
そこに住んでいた人たちの不思議な記憶の物語。
かつて中華商場に住んでいた作家が、当時の同級生や友人、関係者へ「歩道橋にいた魔術師」のことを覚えているか尋ねていくという連作短編集。
マジック・リアリズムというのはよく分からないが、過去の出来事を回顧しているようで、どこかで現実離れした状況を垣間見せている。
それがかえって記憶のあいまいさや少年期特有の感情を表現しているようで、話している人の当時から今に至る人生も微かに映ろう。
その結果、ノスタルチックでありながら、人生の重みまで感じることなる。
また、故天野健太郎氏の訳は、当時の台湾と日本を結び付け、まるで自分の同郷の友が脳裏に浮かび上がってくるような錯覚を覚える。
『自転車泥棒』を単行本で読んでから、読みたいと思っていた『歩道橋の魔術師』が、河出文庫から発刊された。こうなると未読の『雨の島』『眠りの航路』も文庫本化が待ち遠しくなる。
Posted by ブクログ
台北に1961年から1992年まで存在した長さ1kmのショッピングモール「中華商場」を舞台にし,そこで暮らす子供たちを主人公とした10の短篇(と1編のオマケ)からなる.多くの話に「歩道橋の魔術師」が狂言回しとして登場し,また,ある話の主人公は別の話にエキストラとして登場する.
日本に売り込む際には「三丁目のマジックリアリズム」というコードネームだったと書かれているが,確かに南米の作家のような不思議な味わいがある.ただ我々と同じ東アジアが舞台であり,不思議な味わいである一方で,描かれる光景が身近に感じられる.
自分より下の世代にはピンとこないかもしれないが,台湾では1987年まで戒厳令が敷かれ,政治活動や言論の自由は厳しく制限され,市民の逮捕・投獄が横行していた(戒厳令が解除された,というニュースはリアルタイムで見た).本書で死が頻繁に登場するのは,そういった時代の空気が描かれているのかもしれない.
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