呉明益のレビュー一覧

  • 眠りの航路

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    内容は視点が頻繁に移動するし、観世音菩薩も出てくるし、夢にでてくるZは謎だし、色々要素が盛ってあり一回の通読だけでは咀嚼できないけど、第二次世界大戦のときの台湾少年工の歴史とか、台湾少年から見た戦前前後の見え方とか興味深く読んだ。三郎の亀・石ころとぼくが見た死んだ亀は何か関係があるのか(草むらにポイはちょっと…苦笑)、ぼくの睡眠を崩した原因の竹の根っこがこの亀同士を繋ぎ夢でも見せていたのか。あとは解説にも書かれてあるけど、時代によって様々なことが断絶された父・三郎がとても不憫に思えてきた。

    『自転車泥棒』を以前読んでいたため、この『眠りの航路』がそれに繋がるきっかけというのは覚えていた。なのでこの作品が気になって購入したはいいものの長い間積読していたらなんと今月に白水Uブックス入りするんですね!。買ったはいいけど気づいたら文庫化しちゃったパターンで今読むしかないと思った(正確に言えば文庫化ではないのだろうけど)。

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    2026年10月02日
  • 海風クラブ

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    海外小説は苦手で挫折してばかりだったけど、これは読破できました!台湾の歴史に詳しくないし、結末?的には悲劇的ではあるのに読後、じんわり豊かな気持ちになる不思議な本。
    人間の営みによって失われていく自然。共存できるはずなのに、浅はかな経済活動によって自然はもとより自身の生活をも脅かす人間の愚かさ。「死により多くの復活や再生が引き起こされる」を、信じたい。台湾の濃い緑の大地はほんとうに美しいから。

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    2026年08月13日
  • 複眼人

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    面白いか面白くないかでいうと「面白い」
    だが少し現実離れした内容は自分には想像できなく
    途中置いていかれることが多かった。
    最後までそれぞれの過去のことなど解決しないまま
    終わってしまったのが心残り

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    2026年02月11日
  • 眠りの航路

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    呉明益さんの本を読むのが、これが最初だったとしたら、きっと次を読もうとは思っていなかったかもしれないです。
    呉さんらしさ、呉さんの良さが、これをきっかけに少しずつひらけてきたのでしょうか。私にはそう思えました。

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    2026年01月11日
  • 複眼人

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ読ませる文章。訳者が違ってもほんとに読みやすい。これはなぜ?

    筆者も述べてるように今回はちょっと毛色が違うなあ。なんだかかなりフィクションが強い。ワヨワヨも現実のものかそうでないのかよくわからないままに進んでいく。実際に存在するらしいと言うことは後にわかるけど。
    今作のテーマはやっぱり人間の負の遺産かな?
    ゴミの島は主題だし、アザラシ狩りや鯨狩りに対する反対運動が描かれるのもなんだか似た側面があるような気がする。サラにとってアムンセンは困った父親ではあるけど結局サラは捕鯨反対の道に進む。それは今作では人間のエゴを戒める立場にある人間として描かれている気がする。トンネル掘りの技術者もそう。かつては掘削と地質に疑いを持たないが、ダフの地元、少数民族の森を訪ねたときに、トンネルを掘られていない山の生きた声はどのようなものだったかと思いを馳せる。
    私は無尽蔵な開発については反対ではあるけれど、基本的に開発することは反対ではない、豊かな生活を享受している以上なかなか開発を否定できない。それは自分を否定することになるからだろうか。自分自身、自然が好きだと言うことを考えるとこれまでの自身の生活を否定してでも、開発に意を唱えるべきなのだろうか。考えを一変させるまで強い思いではないが、疑念を抱くきっかけにはなった。

    ストーリーは自転車泥棒、歩道橋の魔術師に比べてそこまで面白いとは思わなかった。勿論面白いんだけど。
    登場人物が多くてあんまり感情移入できない部分もあった。自転車泥棒くらいのボリュームがあればこれくらいの人数が出てきても良かったけれど。
    正直なところサラとデトレフの印象はかなり薄い。
    ワヨワヨの島はアトレがウルシュラを探しに旅に出た朝に津波に襲われる。アトレはワヨワヨの島に帰るのだろうと思っていたから驚いた。全ての島民は死に、鯨となった次男たちは海岸へ打ち上げられる。残酷な結末のように感じた。アトレを探しに出たウルシュラもアトレと再会できずに死んでしまう。アトレとの息子を遺すことができたから完全なバッドエンドではないにせよ悲しさが残る。津波に襲われるのは人間のツケではないからなんだかすっきりとしない。息子の足が癒着して鯨の尾鰭のようになっていたと言うのもよくわからない。長男だし。
    アリスとトムの息子が実は死んでいた?ことが仄めかされるのはびっくりした。お話として面白い。そこは好きだった。

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    2026年01月02日
  • 歩道橋の魔術師

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    歩道橋を商場として育った子どもたちと歩道橋で魔術師として生活をしている男の短編集。1人1人のエピソードにさまざまな分岐点があり、その合間に魔術師がいろんなマジックをした上で言葉を残していく。

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    2025年08月24日
  • 雨の島

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    ネタバレ

    読み始めてからだいぶ間が空いてしまったので忘れてしまったけれど…
    ゆるく関連した短編集。クラウドの裂け目というウイルスが、人のSNSを分析して、個人のファイルを閲覧する鍵を知人に交付する近未来。でもその鍵を使って今は亡き人の足跡に触れ、何かが解明される、というのが主軸ではなく、それぞれの主人公が自然との関わりの中で、あるいはその他者に思いを馳せたり追憶したりしながら生きていく姿がメインだった気がする。亡き妻が残した小説から、幻の雲豹を探しにいくとか。傷を抱えた個人が自然の中でもがきながら、その傷を見つめて乗り越えていこうとする話、というか。そこまですっきり解決するわけではないんだけど、その葛藤が描かれている感じ。

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    2025年04月13日
  • 自転車泥棒

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    失踪した主人公の父、そしてその父が最後に乗っていた自転車を探す物語。一つの自転車から出会い繋がっていく人、そしてその背景、第二次世界大戦時の話、台湾の動物園へと色んな話が次々へと来る。登場人物や動物の名前が結構出てくるので何回か前のページを行ったり来たりをしながら読み進めた。『歩道橋の魔術師』の延長線と思って読んだけど重めの内容でした。
    古きものへの愛は、時間への敬意という言葉が胸に刺さる。

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    2025年01月03日
  • 自転車泥棒

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    ネタバレ

    父の自転車を追うなかで、時空を超えてさまざまな人々の話が織り込まれていく、不思議な感じの小説。台湾と日本は密接に関わっていたんだな。表紙の絵が素敵、これも著者によるものだそうで、多才。

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    2024年10月23日
  • 自転車泥棒

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    台湾の小説。二十年前に失踪した父親。彼が乗っていた自転車が、息子である「ぼく」のもとに戻ってきた。「ぼく」は、その自転車が戻ってくるまでの物語を集めはじめる。その旅は、ビンテージの自転車の、足りないパーツを集めるようなものだ。いくら修理し続けても、完璧な状態にはならない。この小説は大量の断片によって語られる。自転車のパーツ、父の自転車の所有者たち、彼らの物語。そして主人公の人生。こうした断片によって構成される、台湾の近現代史。読んでいて、ポール・ボウルズの「シェルタリング・スカイ」を読んだときの感覚に似たものを覚えた。北アフリカの砂漠や迷宮をさまよい、人生の意味を探し、そして人生に翻弄される作品だった。本作はさまよって、翻弄されるわけではない。それでも「シェルタリング・スカイ」同様の、「この小説はなんなのだろう」というわからなさがあった。駄作、という意味ではない。むしろ、小説や映画といった作品すべてにわかりやすさを求める時代において、本作のような「わからなさ」は貴重だ。「これはいったいなにを言っているのだろう」と考えることが、人を成長させる。今回、そういう機会にめぐりあえてよかった。小説はこういう出会いがおもしろい。

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    2024年02月17日
  • 歩道橋の魔術師

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    商場が舞台なので賑やかな内容と思いきや、常にシーンと静まり返った雰囲気。どこか夕立前の雲の鬱屈さを彷彿とさせた。読めば読むほど哀愁漂う当時の台湾がありありと浮かび上がってくるようで、なんだか不思議な感覚だった。
    子どもの記憶の曖昧さが相まって、より哀愁漂う雰囲気になっていたと思う。個人的には「九十九階」と「ギター弾きの恋」がお気に入り。

    【台湾】

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    2024年01月20日
  • 自転車泥棒

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    ただの自転車探す話かと思ったら
    だんだん話展開していって
    びっくり!
    最後、元々何の話だったんだっけ?ってなる

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    2022年08月24日
  • 自転車泥棒

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    銀輪部隊とか、マレーシア半島に自転車で侵攻したとか知らなかったなぁ。その訓練を台湾で行っていたことも。日本はもう少しきちんと第二次世界大戦で日本軍が行ったことを教育した方が良いと思うなぁ。知らないというのは恐ろしい事だなぁ。

    という訳で自転車と戦争にまつわる色々なエピソードが絡み合って、最後は可哀想な象まで出てくるので悲しくなって最後は大分駆け足で読みました。蝶の絵もあったか。祖父母のエピソードから戦争をきちんと語るってのは大事だよなぁとしみじみ思いました。風化したり美化しちゃイカンよねぇ。

    とは言えそれぞれのエピソードが絡み合うし長いし、関連性がイマイチわかりにくく、時間のあるときにゆっくり読みたい本だなぁと思いました。贅沢に時間がある時に手に取りたいですねぇ…

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    2021年12月16日
  • 雨の島

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    ネイチャーライティング、という分野があるらしい。初めて知った初めての作家、呉明益。
    科学、自然、森。成長、恋、後悔、別れ。
    美しい景色が眼前に浮かぶような筆致。
    そして美しい物語。
    深い原生林を漂うような感覚で読んだ。
    口絵もすばらしい。

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    2021年11月23日
  • 眠りの航路

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    急にやってくる眠りに誘われる形で、父の歩んできた道をたどることになる主人公。

    日本統治下の台湾から、少年工員として日本へ。そして玉音放送を経ての戦後の台湾引き上げから商場での暮らし、家族とのすれ違い。

    亀や菩薩様等、別の視点からも語られる父の物語。
    これが呉明益の最初の長編かあと感じさせる様々なモチーフ。

    平岡君が「あのひと」らしいことが解説に書いてあってちょっとびっくり。

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    2021年09月17日