幡野広志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幡野さんのことは、糸井重里さんのTwitterを見るようになって知った。
コロナの影響があちこち出始めた時期のこと。
他にはない存在感の人生相談の記事や日々のツイートの中に、
物事を見る目の、自分なりの通り道がすっと通っているところに毎回唸る。
幡野さんから見えるところ、拾うところ、繋げるところ、には、
他の人が形にできずにいるモヤモヤがたくさんある。
がんと診断されて、激しい痛みに苦しんだのち、放射線治療で人心地着いた中で、
生活の変化や周りの人の対応や、いろいろと経験したことから生まれた思いから、
息子さんへに父親が残せる生きていく上の指針を書いた1冊。
というか愛情いっぱいのラブレターですね。
最初の方の、
「子供に付けようと思う名前を、親が2,3カ月試しに使ってみよう」という文章は
目からウロコでした。ほんとにそうだ!
この本の中には、自分で経験することの大事さが何度も書かれる。
人から受ける気持ちの悪い優しい虐待の怖さも。
「息子が18になったら100万円を上げようと思っている」の言葉も、一瞬「え?」と思うが、
若い時の1日を、つまらないバイトでお金を稼ぐために使うより、その手間を省いてあげて
より多くの経験をさせる、という発想が、ものすごく理にかなってるなと思った。
大人になったら時間もなくなるし、自由も利かなくなる。
人との関係で感受性もすり減っていく。
若くてなんでも濃密に吸収できて、失敗してもどうにかできる時間のあるうちに、
やりたいと思ったことをどんどんやらせる。
コスパの悪い、お金を作るという時間を、まず省いてあげる。なるほど。
こういう発想をする親を見ていれば、子どもの側だって
与えられたお金をつまらないことで無駄に減らすようなことはしないだろう。
自分のためにならない足を引っ張るような人間関係や、苦労のための苦労は、
それに耐えたから強くなるようなものではなく、自分自身を歪めていくものだ。
たとえ良い資質を備えていても、嫌な奴になったらそれを活かすことはできない。
小さな成功体験でも、出来たこと、褒められたという経験値を積み重ね、
自分の中に自信を作っていけたら、迷ってもなんとか進んでいける。
こういう言葉をつづる幡野さん自身、
自己肯定感が低いとか、家庭環境もそれほど良くはなかった、
と話すのが意外に思える。
息子という存在を前に、真摯に向き合って語る言葉は、
見栄も体裁もなく、まっすぐに優しく届く。
嘘なんてつくわけもなく、ただ相手を思う、そのままに伝える。
特定の誰かに向かって言う言葉が、他の、無関係の不特定多数にとっても響いていく。
世の中にある、ありきたりな不平不満、どこかで見たような悩みも、
定型にしばられず、自分の目で見れば、どこに解決するポイントがあり、
どこにこだわっていてもしょうがない部分があるかも見えてくる。
幡野さんの言葉を読み、言われてみればそうだよ、と思うが、
そう思うにいたる思考のみちすじは、誰もが持っているものではないところに唸る。 -
Posted by ブクログ
2年前、デザインプレックス研究所で学んでいた頃に2階の書店で購入。
1年前、はじめての一人暮らしを実家ではじめた頃に読み始めた。
序盤で止まってた。限られた本棚で手放さずにいた。
大分経ったけど、確か冒頭にあった子供につける名前を代わりに自分がなのって体験してみるエピソードは印象的でずっと覚えていた。
5月3日の寝起きに一気読み。
後半では狩猟のシーンが印象的だった。持ち帰れない鹿を撃って、血をすくって飲んで、体力を取り戻して下山した話、うさぎを打って、リュックに入れて持ち帰ったらリュックの形でカチコチになってた話、動物は打っても一瞬で死なないこと。肉を食べるのに「かわいそう」という人々。
友人で猟師のSさんを思い出した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書のタイトルにはサブタイトルに「#なんで僕に聞くんだろう。」と書かれています。
相談内容はほんとうに多岐に渡っています。
・今年結婚式は8回出席したけれど、自分は彼氏もいなくて、素直に喜べません
・高校生から29歳まで祖母から暴力を受けていました
・障がいをもつ子どもの親になったことを受け入れられません
・大学受験に失敗したことを引きずています
・自分の知らないところで妹に手を出そうとした彼氏との関係に悩んでいます
家族のこと、恋愛のこと、将来のこと、病気のこと。
#なんで僕に聞くんだろうと、幡野さんが思わず発したくなる相談が寄せられているのですが、それらを疑問に思いつつも、幡野さんは相談に対して自分の言葉で丁寧に答えていきます。
その「自分の言葉」は、時々エッジが効きすぎていますが、よくそんな視点を想像し、答えられるなと感心する点が多々あります。
物事を多様な視点から見ることについて考えさせられる本で、きっと2021年のオススメ本にランクインするだろう一冊です。 -
Posted by ブクログ
前の本に引き続いて。
今回も、たくさんの悩み事が寄せられる。
中には辛くなるような内容や、ちょっと身勝手なんじゃないかと思える内容もちらほら。
幡野さんの回答はどれも的確でとても安心する。
言って欲しいことをちゃんと言ってくれる感じです。
そして言葉一つ一つが飾り気なく、理性的です。
相談したときにありがちな、相談相手が自分の哲学や生き方を押し付けてくる、そういったこともありません。
それでいて、明日から頑張れそうって思える回答が多いです。
どれもそっけないような文章だけど、相談者の文章をよーくみているんですよね。
キツい言葉もけっこう書いているのですが、相手を見捨てない回答には情を感じます。
そしてときには、ハッとさせられるような言葉にも出会えます。
他人事ではあるけれど、考え方を改められるような感覚になります。 -
Posted by ブクログ
なんで僕に聞くんだろう。に続き、購入。
帯に【ことばに撃たれて、生き返る。】という糸井重里さんのコメントがあるが、なんて上手い表現なんだ、と思った。本当にそんな感じだ。
こういう、悩み相談のコラムや本は、どうしても自分と似た悩みに目を通し、全く関係ない悩みは読み飛ばす。と言う読み方を昔はしていたのだけど、この方の回答はすごいな、と思う人のものは、関係ない悩みまで読んでしまう。
幡野さんはその一つで、本書にも少し出てくる、鴻上尚史さんや故.小池一夫さんもそうだ。
なぜ読んでしまうのかと言うと、悩み相談には、相談者の悩み以外のことも滲み出ていて、社会の縮図だったり、人生そのものだと思うことが現れているからだ。だから、自分とは全く無関係な悩みだと思いながら読み始めた相談に、うっかり、自分が幡野さんの言葉に撃たれて動揺していたりするのだ。
悩み相談で、本人が書いてきている悩みは、なんならおまけみたいなもので(本気で悩んでいる本人には申し訳ないのだが)、文章の中に、もっと重要で深い問題が潜んでいたり、キレイに取り繕って相談しているけど、その人のずるさや弱さやウソが潜んでいたりする。そんな時、ある回答者は、あえてそこには触れず、本人が言っている悩みにだけ忠実に答える、ある意味大人な、ある意味ビジネスライクな対応をする。だけど、幡野さんは違う。ずけずけ指摘する。それ違うんじゃない?ごまかしてない?キレイに取り繕ってない?と。それを読んでいると、自分が指摘されている気持ちになって、うぐぐぐっっとなるのだ。そのかわり、幡野さんは、そこまで指摘するからには、幡野さんなりの全部で答えてくれていると感じる。
だから、厳しいことばに撃たれ、愛のあることばに撃たれ、生き返るのだ。