芥見下々のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「呪術廻戦 全30巻」という土台を舞台にしてるだけに 実質これを短編と呼べるのかどうかは微妙なところだけど、移民や難民の問題に 付随する宗教的な対立までもを絡めながら、相互理解の重要性を説いて 地球規模の壮大な問題をたったの3巻で綺麗に整えて畳んでしまう、この頭抜けた構成の迫力にはかなり面食らった。
デリケートな問題を扱ってるだけに 若干過剰にも思えるぐらい角が立たないよう念入りに配慮された、原作者としての芥見先生の力量にも驚嘆しっぱなしだった。
特に2巻、3巻は原作キャラクターの顔出しが絶妙な塩梅してて文句なしだった。メインストーリーから逸脱してるような立ち位置だったのに、スムーズに物語のオチへと直結してくる虎杖の介入なんかも原作ファンを取りこぼさない作りになってて見事だった。
敵役然とした印象のあったダブラが実は控えめで律儀なキャラだったっていう意表を突くギャップ、そんなダブラとドゥーラの関係性、信仰心としてのカリアンって設定を呪霊と結びつけてくる作りとか、岩崎さんの作画含めて摂取できる面白味が多かった。
ただ気になる点としては、現代社会に向けて投げかけられてる作品なだけに、これだけ内容が高度になってくると 連載誌的に最も重要なはずの少年読者に対してだけは かなり避けられそうな読みにくさになってたのは惜しいところだなと思った。
芥見先生の社会に対する解像度の高さからは、少年誌的なワクワクではなく 現実的な厳しさが押し寄せてくる印象なので、改めて少年誌に載ってる作品って感じではないな…とは思った。これは呪術廻戦に限らず近年の人気作たちにも言えることなんだけど、キャラクターの語り口がハンターハンターみたいになってる作品が多くなってる気がする。
少年誌、青年誌の棲み分けはもっと重要視されて欲しいところ。(脱線終了!)
呪術廻戦以上に少年誌としては飲み込みづらい作品ではあったものの、社会問題をあまりにも達者に取り入れながら 魅力的なキャラを交錯させて、エンタメとしても楽しめるバランスに保ちながら畳んでて本当に圧巻な作品ではあった。
ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
『呪術廻戦』24巻を読んでまず感じたのは、この巻は「宿儺復活の巻」ではなく、「伏黒恵がすべてを失う巻」だということだった。
23巻では九十九由基と羂索の戦いが描かれたが、24巻は物語の空気が一気に変わる。読んでいて衝撃だったのは、これまで伏黒が死滅回游に参加し、命を懸けて助けようとしてきた津美紀が、実は万に受肉されていたことだ。伏黒にとっての行動原理はずっと津美紀だった。その前提が崩れた瞬間、物語そのものがひっくり返ったように感じた。
そして何より大きいのが宿儺の動きだ。
これまで宿儺は虎杖の中に閉じ込められていた。しかし24巻では、長い間仕込まれていた「契闊」がついに発動する。正直、この展開はかなり驚いた。序盤から存在していた縛りが、ここまで重要な形で回収されるとは思わなかった。しかも宿儺は力で突破するのではなく、ルールの隙を突いてくる。虎杖との約束を利用しながら伏黒の身体を奪う展開は、宿儺の狡猾さと恐ろしさを改めて感じさせた。
読んでいて一番辛かったのは、伏黒が何も悪くないことだ。
津美紀を助けようとした。仲間を守ろうとした。自分なりに最善を尽くした。それなのに結果として姉は万に乗っ取られ、自分の身体は宿儺に奪われてしまう。呪術廻戦は昔から理不尽な作品だったが、この巻は特にその色が濃い。努力したから報われるわけではないし、正しい選択をしたから救われるわけでもない。
また、宿儺と万の関係も印象的だった。万は宿儺に異常な執着を見せるが、宿儺は最後までまったく興味を示さない。この温度差が不気味だった。万にとっては愛の物語なのに、宿儺にとってはただの作業でしかない。その圧倒的な価値観の違いが、宿儺という存在の異質さを際立たせていた。
24巻は派手なバトルが見どころというより、「ここから先は本当に地獄が始まる」と読者に宣言する巻だったと思う。宿儺が伏黒の身体を手に入れ、伏黒の心は深く沈み込む。さらに津美紀の件まで重なることで、物語の希望が一気に削られていく。
読み終えたあとに残ったのは興奮よりも不安だった。
虎杖はどうするのか。伏黒は戻ってこられるのか。そして宿儺をどうやって止めるのか。24巻は何かが解決する巻ではない。むしろ、それまで積み上げてきたものが崩れ落ちる巻だ。
だからこそ印象に残る。
『呪術廻戦』24巻は、死滅回游編の大きな転換点であり、宿儺という存在が本当の意味で物語の中心に立った巻だった。ここから先の展開を読むための準備ではなく、「もう後戻りできない」と読者に突きつける一冊だった。 -
Posted by ブクログ
『呪術廻戦』23巻を読んでまず感じたのは、この巻は九十九由基と羂索の戦いに尽きるということだった。
これまで九十九由基は作中でも特級術師として名前は何度も登場していたが、本格的な戦闘シーンはほとんど描かれてこなかった。そのため、「特級術師としてどれほど強いのか」を楽しみにしていた読者も多かったと思う。実際に戦いが始まると、その期待に応えるだけのスケール感があった。
九十九の術式は非常に独特で、質量を操るというシンプルながら強力な能力だ。ガルダとの連携も含めて迫力があり、「特級術師同士の戦い」をしっかり見せてくれた。特にブラックホールを生み出す場面は、これまでの呪術廻戦のバトルの中でもトップクラスのインパクトだった。
一方で、この巻を読んで改めて感じたのは羂索の恐ろしさだ。単純な戦闘能力だけではなく、知識、経験、準備のすべてが規格外であることがよく分かる。九十九ほどの実力者が全力を尽くしても届かない。その事実によって、羂索という存在が単なる黒幕ではなく、本当に攻略不可能な敵として描かれていた。
また、脹相の存在も印象的だった。渋谷事変の頃と比べると、人間らしさが大きく増している。兄弟への思いや仲間への責任感が強く描かれ、戦力としてだけでなくキャラクターとしても魅力が増したように感じた。九十九との共闘も熱く、この組み合わせをもっと見ていたかったと思わせる内容だった。
正直なところ、九十九の退場はかなり衝撃だった。これまで長く引っ張られてきたキャラクターだっただけに、もっと活躍を見たかったという気持ちはある。ただ、その容赦のなさも呪術廻戦らしい。重要人物だから生き残るという作品ではなく、実力者同士が本気でぶつかれば敗者が出る。その緊張感が作品全体の魅力になっている。
23巻は死滅回游編の中でも特にバトル色の強い巻だが、それ以上に「羂索というラスボス級の存在をどう攻略するのか」という絶望感を読者に植え付ける巻だった。九十九由基という切り札が敗れたことで、むしろ今後への不安が大きくなった。特級術師同士の戦いを堪能できる一方で、物語の先行きの厳しさも強く感じさせる一冊だった。 -
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難民なのかどうか
本編の孫世代の話ですが、異星人が出てくるあたり、だいぶ違うっぽいです。
サメ?の出てくるエピソードあたりまでなので、ここだけ試し読みだけだとまだなんとも言えないです。
他者との関係性はテーマになりそうです。 -
Posted by ブクログ
この巻は、流れとしては前の続きだが、読んでいる感覚はかなり違う。戦いの派手さというより、「真希がどこまで行くのか」をひたすら見せる巻だった。
舞台は桜島の結界で、真希と加茂が動くところから始まる。そこに現れるのが、呪霊になった直哉。もともと人間だった相手が、より歪んだ形で戻ってきて、しかも前より厄介になっている。ここでまず、「死んでも終わらない」というこの世界の嫌な部分が強く出てくる。 
戦いは最初からかなり厳しくて、真希ですらまともに対応できないスピードと力で押される。加茂も必死に支えるけど、正面から勝てる感じではない。この時点で、「強くなったはずなのにまだ足りない」という壁がはっきり見える。
ただ、この巻はここからが変わる。途中で乱入してくるプレイヤーたちがいて、戦いの流れが少し崩れる。特に相撲のシーンはかなり異質で、急に戦いの中に“別の時間”が入ってくる。この部分は一見ふざけているようにも見えるけど、実際は真希が「何を見えていなかったのか」に気づくきっかけになっている。 
そこからの真希は明らかに変わる。強くなったというより、完全に別の次元に入った感じ。直哉の動きが見えるようになって、これまで一方的にやられていた相手に対して、逆に余裕を持って対応し始める。
最終的に直哉の領域の中でも普通に動けるという展開になるが、ここがこの巻の一番分かりやすいポイントで、「呪力に頼らない強さ」がどこまで通用するかをはっきり見せてくる。そして決着も、きれいな勝利というより、「完全に上の存在になって終わる」形に近い。 
読んでいて感じるのは、スカッとする強さというより、少し怖い強さだった。真希はもう以前の立ち位置には戻らないし、戦い方も価値観も変わってしまっている。
この22巻は、話が大きく進む巻ではないけど、キャラの到達点を一気に引き上げた巻だと思う。特に真希はここで完全に別格の存在になるし、死滅回游の中でもトップ層に入る力を持ったことがはっきりする。
戦いの決着よりも、「ここまで行くのか」という変化のインパクトが強く残る巻だった。