木元哉多のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレネタばれあり。感想が遅くなってしまった・・
メフィスト賞受賞作。本書は、何ともなくネットを見ていて、たまたま見つけたもの。正直に言って、表紙がかわいかったので購入。
閻魔大王の娘である沙羅が、死んだ人間に謎解きのゲームをもちかける。これで負けるということは、自分を殺した犯人や真相が分からないままにさらに地獄に行くということだから、辛いものがある。しかし推理することができれば、何と、死の寸前にさかのぼってよみがえることができる。確かに、(ほかに同様の話があるのかはわからないが)ありそうでなかった設定である。おなじみの天国と地獄のイメージに沿った世界観なので、舞台設定の説明にも理解にも時間がかからないと思った。
本書には4篇の短編が収められている。それぞれ、さまざまな年齢・性別・境遇の人物がさまざまな死因で亡くなる。「凍死」「老衰」など、いぶかしげなものもあるが、どれもストーリーは読みやすく、一読ですっと頭に入ってくる。
閻魔の娘たる沙羅は、勧善懲悪・因果応報の理などは本来、人間の世界にはない、無関係のものであると言っているし、確かに彼女自身は推理ゲームをしたそれぞれの人間に特段の思い入れもないのだろうが、しかしその言葉とは裏腹に、各短編において、それぞれの人間たちは彼らなりにひたむきに生きてきたことが報いられるかのような結末を迎える。
この点、個人的には、推理小説の読後に少しでもいやな気分になるのはあまり好むところではないから、とてもよかった。2話目などは、がんばってもどうしても仕事ができない会社員の話だったが、身につまされる箇所が多く、あやうく泣きそうになった。沙羅も、一見冷徹で人間ごときの運命に全く興味がないように描かれているにも関わらず、なぜか、どこか人間味もあり、温情的にも受け取れる。
ただ、死後、もし本書のように、あらゆる人間の行動が何者かによってすべて記録されていて、評価・判断されるというのなら、そんなに楽なことはない。正しいことをしていても、努力をしていても、うまくいかないし悲惨な目にあう可能性もある。その意味で、やや、ご都合主義的なストーリーのように感じられてしまう向きもあるだろう。また、伏線がわかりやすく、展開が読みやすいと感じることもあった。
それでも、本作のストーリーは人を惹きつけるものがあるし、このアイデア1つで、まだ色んなバリエーションの話を創出できるのではないかと思う。また、お気に入りのシリーズが1つ増えたので、嬉しかった。 -
購入済み
サクサクと読める
短時間で読める短編ミステリーが4つ。
推理も難しくないので、サクサクと読みやすいです。
電車の中とか少し時間が空いた時に読むのにちょうどよい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ黒髪のショートカットに虹彩の強い瞳。
不似合いに大きな赤いマントを羽織った沙羅が口を開く。
「敗者復活・謎解き推理ゲーム。正解できたら生還、できなかったら地獄行き。」
父親と喧嘩して行くあてもなく、学校の部室にいた智子。後ろから首を絞めたのは誰?
仕事で失敗続きの浜本。焦って冷凍庫から出荷荷物を取ろうとした途端、棚が崩れ落ちてきて。誰の罠?
天寿をまっとうした聡子の最後の願いは。
子供のころからの乱暴者、でも曲がった事の嫌いな世志輝。兄の電話で向かった先でチンピラ達に囲まれて。誰の差金?
それぞれが人生の岐路に立ち、沙羅の挑戦を受けて立つ。
彼、彼女たちの、その強い意志に沙羅がちょびっとサービスしてくれてる気がする。
何事も本人次第なのよって。
犯人はあっさりわかってしまうけど、読後が爽やか。 -
Posted by ブクログ
殆どのレビュアーがメフィスト賞=キワモノоrイロモノだと思ってるのに笑った。
その意味でのメフィスト賞らしさは希薄。ぶっちゃけメディアファクトリー文庫から出ても違和感ない内容。表紙は若い子に人気のイラストレーター望月けいさん。沙羅のファッションが毎回いちいち違ってる上にやけに細かかったり、イマドキっぽいポップさを感じる。
不審死を遂げた人間が沙羅に「自分を殺した犯人をあてたら生き返らせてあげる」賭けをもちかけられ、必死で推理するのだが、皆そこまで深刻じゃなく全体的にライトなノリ。コミカルな要素も多く、娯楽作として肩の力を抜いて読める。
収録作の中で白眉は三番目のおばあちゃんの話。コレには不覚にも泣いてしまった……彼女の場合は老衰から来る自然死なのでやや変則的なパターンだが、殺人と関係ない推理モノとして読ませるし、なんといっても聡子の人柄がステキすぎる。例の震災が絡んでいることもあるが、親子愛、家族愛に弱い人はぐっとくる。
……にしてもこの話、「闇は集う」思い出す。