木元哉多のレビュー一覧
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ネタバレ今回は変化球。いつもと違って沙羅ちゃんが動き回って活躍する姿は頼もしい。絶対にうまくやってくれるだろうとの安心感。それにしてもこのシリーズ、殺された人のダメさ加減には目も当てられないことが多い。その分、周りに徳の高い人がいたりするので救われている。沙羅ちゃんの口から出てくる、人間のダメなところ、どうあるべきか、といったことが多めだった印象。最もなことばかりであり、彼女の口から言われることで、納得しかない。説教臭さは感じられず、素直に受け入れられる。表紙の望月けいさんによる沙羅ちゃんのイラストは毎度のことながら、キリッとした中にも可愛さや色気をも秘めており、毎度楽しみ。
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ネタバレ初登場の沙羅ママに対する沙羅の言動が新鮮で、そんな感じの今風の子なんだなあと理解が深まったし、一見そう見えなそうだが、実は仲が良い関係を微笑ましく思う。「あざーす」とか、女の子が使うべきでない言葉とか。このシリーズの最近の作は特にそう感じるのだけれど、被害者がたどる推理と沙羅の説明が被っているところが多く(それが正解なのだから仕方がないのだろうけれど)ちょっとくどいように思う。それと美久の気持ちを沙羅が律子に伝えるのはルール的にありなのだっけ? ラストは別な結末を一瞬期待したけれど、犯罪が消えてなくなるのではなく、しっかり罪を償ってこれまでのことをきっちり清算するのが、彼女たちにとってベストな
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ネタバレ前作を読み終えた後、このシリーズの長編も読んでみたいと書いた。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズ第6作は、初の長編である。元々、十分に長編にできるネタばかりのこのシリーズ。一ファンとしては読むしかない。
色々複雑な境遇にある人物が登場したが、今回は主人公の実の母が殺人犯である。父は知らず、幼い頃から虐待されて育ってきた。殺人犯の娘という風評にずっと苦しみながら、努力を重ね、デザイナーとして現在の地位を築いた。
今なお幼少時のトラウマに苦しむ彼女の前に、出所してきた母が現れる。さらに、筋の悪い借金取りが職場や別れた夫の周りまでうろつき、彼女は再び過去に苦しめられる。ただでさえ、思春期の一 -
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ネタバレ早いもので、『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズも第5作。裏表紙のあらすじをぱっと見て、ちょっとしんどそうだなあと思ったが、このシリーズの一ファンとしては、引き返すわけにはいかない。きっとうまく処理してくれるのだろう…。
1人目、23歳の元バドミントン選手・夏帆。天賦の才能に恵まれ、国内では敵なしだったが、実は大の練習嫌い。ロンドン五輪ではメダルに届かず。リオ五輪前の怪我で現役を引退し、現在は所属会社に勤務しつつ、小学生相手にコーチをしていた。
同じく選手だった父の葬儀で、才能だけで生きてきた夏帆に投げつけられる言葉。苦い気持ちになってくるが、その後の展開は…犯人があまりにも浅はかとしか -
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ネタバレシリーズ第4作。今回は、沙羅と推理勝負を挑むのは2人と少ないが、各編100p程度とやや長め。このうち第1話は、問題編がWEB上で先行公開されていた。
その推理企画のことは承知していたが、面倒臭がりの自分は参加しなかった。問題文がもっと短いと思っていたので、こんなに長かったとは。作中の女子中学生と同じく、見事に2問とも的中させた読者は、21人いたそうである。
1人目、女子中学生13歳。父は自称画家、母は出て行った。かつかつの生活だが、悪に染まることなく、慎ましく生きていた。そんな彼女が、なぜ撲殺されなければならない…。悪知恵が働く友人と、学校内の人間関係。すべては繋がっていた。そして、 -
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ネタバレミステリの形式を取りながらもいろいろな問題に触れている。第一話。外見で不利な女の子の話。ひょんなことから自分の思っていたのとは違う人生になってしまうというのは案外あるのかも。第二話。時事問題も絡めつつ社会派? 二人で教え合うのは、ルール的にありなのかと疑問に思ったけれど、沙羅が教えているわけではないので、自分で推理していくのと同じ範疇なのかと納得した。第三話。心の闇の問題。沙羅というキャラがちょっとワンパターン化している気がしなくもないけど、これはこれで「お決まりの流れ」という意味ではアリなのかもしれない。「キレ顔」も出てきたし、ってそんな姿は見たくなかったけど、ってみたわけじゃないけど。
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ネタバレ早くも登場、シリーズ第3作。歴代のメフィスト賞受賞者の中でも、デビュー以降これほどハイペースで刊行している作家はいなのでは。続編を出しやすい一話完結のフォーマットとはいえ、多様な人間模様を描き出すのは簡単ではない。
今回の面々は、それぞれ背景も生い立ちもバラバラ。共通しているのは、恵まれた境遇とは言えないことくらいか。「普通」ということのありがたみを感じさせる事例だろうか。特に第1話は、とてもコメントにしくい。
1人目、30歳の契約社員、女性。彼女の望みは、普通の人生。しかし、なかなか正社員には登用されない。原因はわかっている。そのために母をなじったりもした…。真相が薄々予想できるの -
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ネタバレ『閻魔堂沙羅の推理奇譚』の続編である。前作に登場した4人は、概ね善人であり、こんな死は気の毒だと感じるだろう。「負け犬たちの密室」というサブタイトルがついた本作は、3人とも人間的に問題ありというのが対照的だ。
世の中に完璧な人間などいなければ、誰からも恨まれない人間もいないだろう。3人とも頭は切れて、仕事はできる。人を見る目はそれなりにあると、自身は考えていた点でも共通している。ところが…。
1人目、43歳の叩き上げ刑事。彼曰く、刑事には「毒」が必要。手荒な捜査法も厭わず、家族には逃げられた。当然、多くの逆恨みも買うだろうが…。彼を殺した犯人そのものは、薄々予想できるが、事件の構図に