安壇美緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なんだかわからないけれど、すごく泣きそう。
北海道の中高一貫の女子校一期生で、ツートップの成績を誇る宮田と奥沢。
豊かな環境で育ちながらも無愛想でトラウマを抱える宮田と、愛想が良く美少女かつ優等生ながら家庭環境に秘密を抱える奥沢。
成績がよく、類稀な才能を持つ2人だが、その中身はとても不安定で歪。
一方で2人と一緒に過ごすみなみや馨といった女の子たちは、2人と比較すると一般的で秀でたところがない自覚しているものの、人格が安定していて思いやり深い。
彼女たちもすごく魅力的で、特に宮田のまわりに2人がいてくれてよかったなと思った。
正直最後まで人に心をずっと開いていないのは奥沢の方で、彼女の家庭環境に気が付きながら相手に気遣うまわりの子たちが成熟しすぎていてこうなりたいなと思ったりした。
そうなんだよなあ、、頭いい子とかって歪んでたりするんだよな、、。でも厳しい環境に置かれたことも2人の優秀さの原因ではあって、とはいえ頭がいいから歪むのかもしれないし、これどっちが先なんだろなと。
宮田と奥沢がどんな未来を進んだのか描かれてない点も余韻があってよかった。宮田が東大ピアノ学科に進めるといいな!笑
御三家がまだ変わってないみたいで安心しました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ年明けに素敵な小説を読むことが出来た。
宮田と奥沢、学年のツートップの目線で話が続いていく。青春小説ではあるのだけど、この2人が最後まで仲良くはならないし、この先も仲良くなることはないのだろう。主人公が2人いて、お互いほぼ会話もない。少し異様な状況だが、ずっと存在は意識していて、でも深い関わりは無い人というのは結構いる。そして、そんな人の言葉ほどきっかけを与えてくれるし、忘れられない。
相手の弱さを見て、自分の状況を受け入れていけるようになるのは見方によっては薄暗い感情が湧きそうだけども、互いにとても前向きで気持ちが良い。
みなみがなぜ宮田とつるんでいるのかがさっぱり分からなかったが、スピンオフまで読んで腑に落ちた。 -
Posted by ブクログ
ドラマチックな展開があるわけでもないのに、読んでいて楽しく、ページをめくる手がとまらない、そんな小説だった。
人はそれぞれ違うことを考え悩み生きている。周りの人がどんなことを思いながら生きているかなんて、結局のところわからない。自分以外の人が自分のことをどんな風に思って生きているのか。知った気でいるだけで、まわりがどう思ってるかなんて自分の想像の範疇でしかない。
自分の気持ち次第な所もあるように思う。だけど、その自分の気持ちをつくるのにも、周りの人達との出会いやかかわりが大切なのだとも思う。
生きるヒントを伝えてくれるようなそんな本だった。読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
スパイ×音楽というポップだけを見て、ヨーロッパが舞台で国家機密をめぐる諜報員の話かと思い込んで敬遠していた。
しかし実際には、日本が舞台で、著作権を管理している会社で働く主人公が上司から音楽教室への潜入捜査を命じられるというもの。
講師の浅葉を始め、音楽教室の仲間たちが温かい人で、心に傷を持つ主人公がチェロを始めることでその傷を癒していく。周りの交流を通して良い方向に転がっていくのに、スパイであるが故にいつか終わりが来ること、周りを裏切っていることに苦しみ始めるところで主人公を応援せずにいられなかった。
読み終わって、戦慄きのラブカという映画も曲も小野瀬晃も雨の日の迷路も存在しないことに衝撃を受けた。そして検索したらラブカはめちゃくちゃ怖い顔をしていて更に衝撃を受けた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ安壇美緒さんの『ラブカは静かに弓を持つ』が好きだったので、なんとなく雰囲気似てるタイトルかなと思って読み始めるが、
全然違った…!
ワンオペ育児で追い詰められた母親(イオラ)が赤ん坊を抱っこ紐で帯同したまま、夫の上司を刺しに職場に乗り込んでいった
というセンセーショナルな事件
この事件そのもの、というよりもこの事件に関わるメディアやSNSでの広がりについて焦点を当てた話
章ごとに主人公は変わるが中心にいるのは夫の上司を刺した【イオラ】ではなく、それをネットニュースで取り上げ、バズらせた岩永
誰かの人生を、みんなの興味をひくように扇動し、炎上させていく
一見、親切そうであり、頼りになりそうであり、仕事が出来そうな岩永の行動はサイコパスのようにも感じるし
今の世の中、中身のない空っぽな情報で溢れているのかもしれないとも思う
誰かの言葉に踊らされ、飲み込まれ、渦が大きくなっていく
事件が、流れが、空気が、作られていく様子が恐い
怖いと言えば岩永の妻と思われる女性が育児ノイローゼ気味になっていて、生成AIと会話している章
「疲れた」という女性にひたすら寄り添い、なだめ、解決方法や息抜きを提案するAI
女性は聞きたくない話は遮り、遮ったのに謝ることもなく詳細を聞き直す
女性とAIの関係は岩永と女性の関係にも似て
相手が気持ちよくなるようにひたすら尽くすことを求められているもの
人とAIの関係が進んだら
人は人と上手く関われるのだろうか?
人はそれぞれ意思を持ち、思うようにならないことも多々ある
AIのようにすべてを受け入れ尽くしてくれることはない
これらの関係を【面倒くさい】と思ってしまうことはないのだろうか?
そんなことを考えた小説だった
色々考えさせられたという点では面白かったが、ストーリーは散らばり過ぎていて、心をざわざわと揺らしただけで通り過ぎていってしまった感じ
もう一歩、作者なりの踏み込んだ意見がラストにあったなら良かったと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSNSやAIなどの影響もあるけど、
社会の仕組みが男女平等になるのに、人間の意識の方が追いついていないのだなと思った。
全編から滲み出る、男性たちの女の下に見る目がとても不快。
主人公は炎上や他の人の不幸見ていないと自尊心が保てないような男で、外面だけはよい。
このまま物語が続けば、主人公がザマァ…… という展開になるかもしれなくて、期待しながら読んだけど、そうはならずちょっと残念で、
他人の不幸を喜ぶ自分もこの男と一緒かもなぁ…… と。
後半はまずまずドキドキしたので、レビューほど悪い本ではない。不快なだけで。
この作者さんの文章はとても好きです。