安壇美緒のレビュー一覧
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なんだかわからないけれど、すごく泣きそう。
北海道の中高一貫の女子校一期生で、ツートップの成績を誇る宮田と奥沢。
豊かな環境で育ちながらも無愛想でトラウマを抱える宮田と、愛想が良く美少女かつ優等生ながら家庭環境に秘密を抱える奥沢。
成績がよく、類稀な才能を持つ2人だが、その中身はとても不安定で歪。
一方で2人と一緒に過ごすみなみや馨といった女の子たちは、2人と比較すると一般的で秀でたところがない自覚しているものの、人格が安定していて思いやり深い。
彼女たちもすごく魅力的で、特に宮田のまわりに2人がいてくれてよかったなと思った。
正直最後まで人に心をずっと開いていないのは奥沢の方で、彼女の -
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ネタバレ年明けに素敵な小説を読むことが出来た。
宮田と奥沢、学年のツートップの目線で話が続いていく。青春小説ではあるのだけど、この2人が最後まで仲良くはならないし、この先も仲良くなることはないのだろう。主人公が2人いて、お互いほぼ会話もない。少し異様な状況だが、ずっと存在は意識していて、でも深い関わりは無い人というのは結構いる。そして、そんな人の言葉ほどきっかけを与えてくれるし、忘れられない。
相手の弱さを見て、自分の状況を受け入れていけるようになるのは見方によっては薄暗い感情が湧きそうだけども、互いにとても前向きで気持ちが良い。
みなみがなぜ宮田とつるんでいるのかがさっぱり分からなかったが、スピンオ -
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ドラマチックな展開があるわけでもないのに、読んでいて楽しく、ページをめくる手がとまらない、そんな小説だった。
人はそれぞれ違うことを考え悩み生きている。周りの人がどんなことを思いながら生きているかなんて、結局のところわからない。自分以外の人が自分のことをどんな風に思って生きているのか。知った気でいるだけで、まわりがどう思ってるかなんて自分の想像の範疇でしかない。
自分の気持ち次第な所もあるように思う。だけど、その自分の気持ちをつくるのにも、周りの人達との出会いやかかわりが大切なのだとも思う。
生きるヒントを伝えてくれるようなそんな本だった。読んでよかった。 -
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ギリシャにある宙に浮くようなメテオラ修道院群。その名の由来である「メテオラ」には、本来「宙に浮くもの」という意味があるとのこと。
本作の舞台は北海道の中高一貫女子校。寄宿生活を送る少女たちは、夜中に無断で流星群を見に行く。実際に流星を見ることができたのは、成績トップを争うふたりだけ。
「メテオラ」という言葉は、ここでは単なる天文用語ではなく、少女たちの状況そのものを指しているように思う。
家庭も将来も確かな足場を持たず、着地できないまま宙吊りになっている少女たち。
櫛木理宇さんが「少女葬」で現実としてのギリギリを描くならば、
安壇さんは 現実の只中で苦しむ少女たちを描きますね。
しかも北 -
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ネタバレネットニュースの編集者、岩永を中心としてネットでの炎上(話題)やワンオペ育児など近年よくニュースになるキーワードがたくさん出てくる話だった。
ある日、岩永はイオラという特徴的な名前の妻が夫の上司を刺したというネットニュースを書く。それによりネットはいろいろな憶測や共感をうみ、その記事はバズった。そして、その共感に背中を押してもらったとして第二のイオラ事件(模倣事件)が発生する。
岩永がネットニュースの編集者ということもあって、どこよりも先に記事にしなければ、という焦りや自分のニュースをバズらせたいという気持ちが伝わってきて痛々しかった。岩永に関わる上司や部下、アルバイトそして妻。いやー、岩永と -
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SNSに依存し無邪気な悪意をばら撒く男たちを描く連作短編集。
『ラブカは静かに弓を持つ』がとても良くて、安壇さんの他の作品も読みたいと思って今作を手に取りました。
『ラブカ〜』とはガラリと違う内容でしたが、とても面白かったです。登場人物たちの心情がリアルで、「今」っぽいお話でした。SNSで対立構造を煽ることでPVを稼ぐアテンションエコノミーに支配される社会と、そのどうしようもない嫌さが描かれています。
安壇さんはとてもタイトルの付け方が上手いなぁと思います。今作も、イオラって綺麗な響きだな…星の名前かな?と思ったら全然違いました。
萩尾威愛羅(はぎおいおら)という女性が赤ちゃんを抱っこ紐で背 -
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ネタバレ音楽とスパイという一見相容れない要素を組み合わせた、少し変わったスパイ小説でした。
物語の冒頭でまず感じたのは、主人公があまりにもスパイに向いていないという違和感だった。
過去に楽器を弾いたことがある、ただそれだけの理由で音楽教室に潜入し、録音によって情報を集める任務を負わされる。
本来であれば適性を考慮して人選するはずのスパイ活動に、この主人公が選ばれたことには無理があり、物語の最初はどこか腑に落ちない感覚が残った。
しかし物語が進むにつれ、その違和感こそが、この小説の核なのだと感じるようになった。
主人公は当初、感情を排し、スパイとして任務に徹する存在だった。
ところが音楽教室で浅葉先