安壇美緒のレビュー一覧

  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

    音楽×スパイの異色な物語。
    職場と自宅の往復を繰り返す、変わり映えのない橘の生活が、チェロによって彩られていく様が読んでいて心地よかった。
    スパイ活動の中で心を取り戻していく橘の中にある「スパイ活動は仕事、だが音楽をしている時の自分や周りの人間のことは好んでいる」というなんとも言えない葛藤にリアリティを感じた。
    スパイではもちろんないが、私自身も職場ではある程度「職場に適した自分」を創り出している。その中で「これは本当の自分なのか」と思う時もある。素で接したら職場の人たちはどういう接し方をするのだろうと。
    物語終盤で橘の素性がバレても、囲む会/ヴィヴァーチェのみんなは橘を遠ざける事はしなかった

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    2025年12月21日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ


    音楽著作権侵害の証拠をつかむため、音楽教室に潜入するスパイものの作品
    題名の弓で連想したのは弓矢。しかし、なんと楽器のチェロ。表紙のイラスト見ればそうなんですが、、、
    私の周りでは見かけたことがない楽器です。実物を間近で見たこと無いかも。

    精神的な病気を抱えている主人公 橘は普段から他人との接触をさけていたが、講師の浅葉や教室の仲間との関わりで少しずつ社会生活に馴染んでいく。その中でもちょっと暗い雰囲気が伝わってきて、チェロや音楽教室の風景なども思い浮かべられる良い作品だった。
    音楽は子供の頃にピアノ教室に少し通っていたが、私も何かやってみようかな、と 普段仕事に追われて時間的に余裕はない

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    2025年12月20日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    『手を伸ばすべき現実はいつも、恐れの向こう側にある』

    「やる前から上手くいかないんじゃないか?」
    と勝手に頭の中で”不安”になって、
    目の前の現実が見えなくなることがあるので、
    臆病な私にも刺さる言葉でした

    “逃げ腰だった主人公”の成長も感じ取れるので、
    好きな一文です!

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    2025年12月03日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    誰もが小さな「嘘」はついたことがあると思う。

    自分もその嘘がどんどん大きくなっていくという経験があり、胸が苦しくなるシーンもあった。
    しかし、作品でも描かれていたように良い影響が出るような「嘘」もあったり、たとえ「嘘」をついていても、誠意を尽くせば、またやり直せるのだ。

    そんな救いを与えてくれる作品であった。

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    2025年11月30日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    展開とか、主人公の心のゆらぎとか、まるでジェットコースターのようで、この先どうなっていくのだろう?と、夢中で読んでしまった。
    また、目に見えない音楽を、視覚、それも文字だけでイメージさせるのって、相当難しいはずだが、チェロの音色とか、曲の感じとかが頭の中に浮かんできて、描写の妙を感じた。
    今年読んだ中でも間違いなく上位にランクインする作品。

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    2025年11月27日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

    読み終わっちゃうのが寂しかった。
    チェロを習いたくなる。ミカサ音楽教室の人たちがいい人達でスパイ行為辞めたくなっていくのが読んでて苦しかった。

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    2025年11月26日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    読むメンタルクリニック
    スパイという設定上、もっとスリリングでハラハラドキドキさせられるものかと思ったら、まさに深海を泳ぐようなゆったりとした、重くやさしい物語だった。
    スパイものというより、心の健康をゆっくり取り戻していく物語だったなあ

    チェロに救われながらも、それによってゆっくりと首を絞められていくような感覚になりながら、どうかみんなが良い方に向かいますようにと願わずにいられない。
    私もアナザーコミュニティほしい

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    2025年11月13日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

    とてもおもしろかった。美しい物語だった。ぜひとも映像化してほしい!!!観たい!!!

    この物語を色で表すと真っ暗闇の漆黒ではなく、深海のような黒に近が深い群青色をベースにしたイメージがあった。 
    主人公の橘樹は一言では表すのが難しい。会社とミカサ音楽教室、過去と現在を揺蕩っているような輪郭のない、触れそうで触れられない人間という印象。
    しかし、物語後半の橘は自分のために自分の意思で会社に立ち向かう。ここで初めて橘という人間の輪郭が見えた。
    私は深海で必死に静かにもがきながら、光に向かって手を伸ばす橘樹という主人公が好きだ。
    浅葉先生やヴィヴァーチェの仲間たち、音楽を奏でる瞬間は深海に差す一筋の

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    2025年11月08日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    表紙とタイトルからライトノベルっぽい感じがするけど、とても素敵な面白い中身の濃い音楽小説です。音、音楽を言葉で表現するって難しいと思うけど紙面からチェロの響きが聴こえてきそうな素晴らしい文章。私もバッハ好きなので共感度も高かった。キャラクターも魅力的で会話のテンポも良く、企業スパイ業務を巡る緊張感とチェロの音色の美しさが交錯してイッキ読み。タイトルの意味も読んでいくと納得の物語で、声優さんの書いたあとがきまで読み応えがありずっと手元に置いておきたい本です。「蜜蜂と遠雷」以来の感動でした。

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    2025年11月01日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    今期最高。嘘がバレないかのヒヤヒヤさもあるが音楽教室を通じて人間関係を築き青春も感じられて素敵であった、

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    2025年10月28日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    じーんと癒されていく話だった。平凡過ぎる毎日で自分の人生なんてと思ってしまった時にはこの本を読みたい。話の最後の橘くんとチェロ講師の浅葉先生のやりとりは涙腺崩壊だった。

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    2025年10月25日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

    とてもいい作品だった!チェロの曲ってあんまり聴いたことなかったけど聴いてみたくなった。「戦慄きのラブカ」架空の曲なのか…残念…

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    2025年10月22日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ハードボイルド作品に与えられることの多い大藪春彦賞を受賞したスパイ小説と聞き、007ばりに国家間の諜報戦が繰り広げられるのかと思ったら全然違ってた。馳星周が審査員だったら絶対賞は獲れなかっただろうなあと想像するけど、それはそれとして非常に現代的なスパイ小説といえる良作だと思う。
    なぜ現代の日本でスパイなのかという点に関しては、なかなか面白いアイデアだなと感心したし、言語化するのが難しいといわれる音楽の描写も素晴らしかった。
    主人公とチェロ講師2人の青年の深層心理の描きこみは中盤まで薄味だけど、人間関係が表層的になってきている現代においては逆にリアリティを感じられる。
    マイナスポイントはスパイ活

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    2025年10月18日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

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    《心に灯ったことば》
    210ページ
    その代わり、あの日から俺を貫いているのは、この世はまったく信用ならない場所なんだってことなんですよ。ちょっとでも気を抜いたら、暗いところに引摺り込まれる。
    307ページ
    「たとえ、経歴とかが嘘だったとしても」
    人の本質ってもんは繕えないもんだろう、と囁かれて、橘は身を竦ませた。
    318ページ
    人の心を無条件に振るわせる力が、音楽にはある。


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    2025年10月17日
  • ラブカは静かに弓を持つ

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    ネタバレ

    美しい...とにかく美しい。

    橘の中に眠る深海というイメージを一貫させて、シックな雰囲気を崩さずに終わらせやがった!

    展開もベタじゃない。大団円で終わらせずに1つ2つねじれを作って、複雑なドラマを構築させている。

    キャラクターに対する造形も並大抵じゃない、最後に浅葉の焦点で終わる時にガラッと雰囲気が変わるあたり、相当登場人物に対して情報を加えて整理したんじゃないかな。

    ひとつ違和感があったとしたら、全著連が必要であるという橘の考え方はどのぐらい強くて、どのようにして身についたかが分からない。
    じゃないと浅葉に対して講釈を垂れる意味が分からない。

    それでもこの小説は面白かったとしか言い

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    2025年10月09日
  • 金木犀とメテオラ

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    学生時代って…側から見るとめちゃくちゃキラキラしてるんですよね、楽しそうで楽しそうで。
    だけど、笑顔の裏に色んな気持ち隠してたり、人間関係苦しんだり、ほんと、波瀾万丈。
    私あんまり一気読みしないんですが、これは後半止まりませんでした!

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    2025年09月13日
  • 天龍院亜希子の日記

    購入済み

    ラフかは静かに

    からの流れで拝読
    何だか清々しく文章が流れていきました。

    少し新鮮
    電車書籍だと90%位の文面が1番素敵

    誰かに応援してもらいたいとは思いませんが
    気付かれなくても応援したい人を応援は
    し続けてもいいんだな。

    #スカッとする

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    2025年07月18日
  • 金木犀とメテオラ

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    思春期の不安、孤独、人と比較してしまうこと自分らしさの狭間で苦しむ。
    親に精神的に捨てられた主人公のプライドと不安。
    劣等感や嫉妬、人を信じたい気持ち等細やかに描かれている。
    残念なことがひとつ。
    亡くなった母親との関係がもっと書かれていたらよかった。
    無関心な父親に対して、亡くなってもまだなお佳乃を支配する母とはどんな人間だったのだろう。そこをもう少し知りたかった。

    それと、変わりかけた佳乃と叶、もう少し先まで読んでみたかった。

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    2025年05月11日
  • 金木犀とメテオラ

    購入済み

    本屋さん大賞ノミネートの

    ラブカは静かにから流れて拝読

    途中読むのがツラクなる描写もありましたが中々の良作
    作中の時の流れが早過ぎて、終わりも登場人物の進路の
    描写もなく物足りなさもありそれでいいのかも?

    スーパースターのみなみの家族が一番普通
    きっとこの作品に必要な書き下ろしでした

    個人的には馨が1番好き。

    #萌え #エモい

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    2025年03月17日
  • 天龍院亜希子の日記

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    第30回小説すばる新人賞受賞作。人はふいに分かり合えたと感じたり、裏切られたり、思いもよらないものに救われたりする。そんなささやかな、しかし深く刻まれる経験を、ごく自然に書き出した作品。タイトルからは想像できない内容にもかかわらず、読み終わってみるとこのタイトルしかないと思わされる不思議。賞レースのことやどんな作品と競ったのかは知らないが、本作が受賞するような新人賞はすてきだ。

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    2025年03月03日