安壇美緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ラブカは静かに弓を持つ、金木犀とメテオラと新しい作品から読み始め、このデビュー作にたどり着きました。
どの作品も登場人物の描写がすごく良くて、ほぼ全員に感情移入してしまった。そして自分自身何度も仕事で関わってきた派遣社員業界の大変さも身につまされた。
解説にも書かれていたけれども、自分が誰かを信じることで、自分が信じ得ない誰かからの善意を信じることができる。自分がほんとうに辛くて、どうしようもない時に、何の証拠がなくっても、もしかしたらこの世の誰かがどこかでひそかに自分を応援してくれてるかもしれないって呆れた希望を持つことができる。
そういうことを信じられたら、我々は生きるのが少し楽にな -
Posted by ブクログ
読み進めていくうちにどんどん引き込まれていく。それこそラブカのような主人公橘に深海の底へ誘われているようだった。序盤の率直な印象としては、何か抱えた暗い橘と掴みどころのない塩坪の、陰気なやり取りにページが進まなかったが、浅葉が出てきてから印象がぐっと変わった。橘と対照的な陽気さ人懐っこさのお陰で、橘だけでなく読み手も明るく導いてくれるようなキャラクターでとても好ましい。
浅葉や他の生徒との交流と、塩坪との描写の切り替えが、作中に緩急を作っていてとても良かった。
スパイ×音楽の割にスパイ描写が少なく感じていたが、社内で証拠隠滅することになった時の緊張感たるや。
潜入していくうちに段々と居場所がで -
Posted by ブクログ
人に明かせない過去を背負った、孤独なチェロ弾きのイケメンが主人公、そして彼は潜入調査に入るスパイ…それだけでもう、魅力的!読みたくなる!
サラリーマンの悲哀、大人になってからの習い事、趣味の集まりでの飲み会、なにかと絡んでくる美人な同僚、可憐な女子大生……こう書くとなんだか大衆的だけど、実際はとても繊細で脆くて、抒情的な小説。しかも、楽器のチョイスが絶妙……彼の孤独、トラウマ、深海の悪夢、裏切り、そして決断、復活を代弁できる楽器はもはやチェロしか考えられなくなってくる。存在感があって、でも主役ではなく、深い響きがあって、落ち着きとある種の暗さもある楽器。
個人的には、橘が最後まで恋心に鈍感なの -
Posted by ブクログ
ナツイチフェアで表紙のチェロの画に惹かれて購入。
音楽教室の著作権使用料をめぐり大手音楽教室に音楽著作権協会の職員が身を隠して潜入捜査をする話。
読みながら、何年か前に実際YAMAHA音楽教室を巡ってこんな裁判があったことを思い出し、結果はどうだったっけと思わず調べた。
潜入捜査をする樹の心の動きが手に取るようにわかる。
対して、結果的に騙されていた講師の浅場の心情も想像するだけで辛い。
何気ない日常の連なりが人生になっていく。
人は生きていくうえで、どれだけの嘘をつき、どれだけの過ちを犯してしまうのだろう。
どれだけの嘘や過ちを赦し、受け止めることができるのだろう。
謝ること、赦すこ -
Posted by ブクログ
いつだったかの新聞の書評を読んで購入。
実社会を投影するようなSNS時代のネットメディアと炎上による波及、それによる社会への影響、自己肯定感とは?など、色々な要素を複数の人物を通じて訴えてくるような内容でした。
読み進めていくと、自分自身の中にも確実に根付いてしまっている、親世代から受けてきた、男らしさのめんどくささ、性差を区別ではなく差別的に捉えてしまう部分が自身の中に浮き彫りになり、更に自分が苦手なタイプの登場人物が何人も出てきて、不快感が押し寄せてきました。
ただ、不快感がこれだけ出ても、違和感ではないあたり、自分自身の中にもこの登場人物達と共通する部分があるからこそなのかもしれないと思