安壇美緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私も学生のとき宮田のように勉強面で負けず嫌いなところがあったためその時を懐かしみながら読んだ。
きらきらした青春小説では決してない、薄黒い霧に囲まれた中を懸命に自問自答しながらも進む少女たちの物語です。
しかし、現実のこの時期もきらきら100%じゃないなと思う。純粋な自分の内面とは裏腹に、汚れている世界の気配を感じて疑念を抱き始める。そんな少し不気味な時期じゃないかと思っている。
自分にはない物を持っている人に劣等感を抱き、どうしたら手に入れることができるのか探し必死に掴もうとする。
宮田も奥沢も相手に嫉妬しながらもそのエネルギーを自分に向けているところが誠実で『嫉妬』という感情は割と悪いやつ -
Posted by ブクログ
ラブカは静かに弓を持つ、金木犀とメテオラと新しい作品から読み始め、このデビュー作にたどり着きました。
どの作品も登場人物の描写がすごく良くて、ほぼ全員に感情移入してしまった。そして自分自身何度も仕事で関わってきた派遣社員業界の大変さも身につまされた。
解説にも書かれていたけれども、自分が誰かを信じることで、自分が信じ得ない誰かからの善意を信じることができる。自分がほんとうに辛くて、どうしようもない時に、何の証拠がなくっても、もしかしたらこの世の誰かがどこかでひそかに自分を応援してくれてるかもしれないって呆れた希望を持つことができる。
そういうことを信じられたら、我々は生きるのが少し楽にな -
Posted by ブクログ
チェロ、いいですね。
私は音楽とは無縁と言っていいような人生を送ってきたので、
音楽の楽しみ方、音楽を奏でるときの感じ方、そう言ったことが綺麗に言語化されていて、
新しい世界の扉を開いたようでした。
ただ単純にチェロの話をするだけでなく、そこにスパイという誰もがワクワクしてしまうような設定が出てきます。
話の内容も実際にあった事件の内容が参考にされており、
どんどん読み進めていってしまうようでした。
スパイなんだけど、登場人物の感情に寄り添いながら、ゆったりとまるでチェロの深い音色を味わうように
文章を楽しませてもらいました。
数々の賞を受賞しているだけあり、間違いなしの1作でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現実としてある、現代社会そのものだと感じた。
他人に起きた出来事を娯楽として、ただただ消費する人々。どのような出来事でも、人々に注目されるのであれば、手段を選ばずコンテンツを制作する人々。
他人の投稿や動画を見て時間を消費する。無駄であることは理解していてもやめられない。刺激を求めている。バズっている出来事を知らずにはいられない。一瞬で変化する時代の流れに置いていかれたくない。
芸能ゴシップであっても、事件であっても、自分には無関係のことでも、何もかもが人々のたった少しの時間を消費し、脳に刺激を与えるためだけのコンテンツとなってしまう。きっとそれは事実でもそうでなくてもなんでもいい。拡散され