安壇美緒のレビュー一覧
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ネタバレもし映像化するならば橘くんを作間龍斗くんにするな!と思いながら読み進めていました。
今までチェロにも、クラシックにも興味は無く自ら調べて聴くことをしなかったけれどこの本に出てくる曲名を調べて聴きながら本を読み進めていました。
仕事の任務としてスパイする事になって、嘘を重ねて2年間過ごした橘くん。でも全部が嘘だった訳じゃなくて、チェロが好きという気持ちとかみんなで過ごす時間が宝物だったのは本当であって。彼の葛藤がすごく伝わった。私も同じように葛藤したと思う。私だったら、チェロから離れるためにコンサートにも行かないしアンサンブルにも行かなかっただろうなー。怖いから。橘くんは怖いと思いながらもアンサ -
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ネタバレ主人公田町譲の描写が生々しくてリアリティある。
著者の安壇さんって男性なの?ってネットで調べてしまった。女性でした。なんでこんなに生々しく書けるんだ。凄い。
解説の方も言っていたけど、天龍院亜希子とマサオカが直接物語に絡まないこの構成がいい。終盤とか絡んできたら個人的にはだいぶしらけたと思う。
マサオカのモデルは清原さんなのかな?清原さんの事は応援しているから、マサオカを応援している田町により感情移入できました。
佐藤陽平の話も好き。彼の自分の中に波があるっていう所は物凄くよく分かる。私もそうです。
くたびれた服の所も良かった。こういう風に思える田町くんは優しくて魅力的です。
解説もい -
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人材会社勤務27歳男性の何気ない日常を覗き見したような小説。誰しもが日々生きていくなかで、湧きでる小さな希望や絶望の繰り返しが丁寧に描かれていて、自身にとっては共感性の高い作品だった。
とくに印象的なのは佐藤陽平との出来事だ。実際自分の身に起きたらかなり精神的にきそうな一件である。リアルで虚しく痛々しいエピソードだが、これが物語に絶妙なスパイスを加えてくれている。
キーパーソンとなる早夕里の父だが、主人公が慕う理由が読者にも違和感なく伝わってくる。2人の会話だけ特別に温度を持って響いてくる気がした。その筆力の高さが流石だと思った。
また個人的には筆者が女性ということもあり、登場人物の女性たちの -
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すごく好きなかんじ!
自然豊かなど田舎にできた新興の中高一貫の女子校の一期生たちのお話。
はたから見たら凡人離れしている突出して優秀な少女、宮田と奥沢。
それぞれ意識して、互いに相手を羨んで反発しているけど、その実どちらも劣等感や大きな悩みを抱えて苦しんでいる。
二人が相手も色々あるんだって気付くのに、変に距離が縮まったりしない感じが良い。
まわりの凡人?な少女たちも、キャラが立っていて魅力的。
ちょっとうざい子はいても、すごい嫌な奴っていうのいなくて、結局ずっと同じメンバーでつるんでいるの微笑ましい。
誤解されやすい宮田が「こいつはそういう奴」って、排除されることなく受け入れられてい -
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中学の時の塾の先生に勧められてから数年が経ち、最近友達が貸してくれて「そういえばタイトル聞いたことあるな〜」と思いながら読み始めた。
自分自身、可愛い制服や美しい校舎に惹かれて北海道の端にある女子校に憧れを抱いていた時期があったので、この本の舞台設定にはとてもときめいた。
宮田や奥沢が、自分には持ちえないものを持っているという点で特別な関係として描かれるのでは無く、同じクラスの程よい距離感の間柄として描かれるのがリアルで良かった。
進学校だと半強制的に自分の将来を考えて大人に伝えなくてはならない時が来るし、そういう時にこれまで育ってきた環境や容姿など、自らが選択出来ない自己を形成する要素に -
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どんなに仕事がつらくても毎日会社に行かなきゃいけない。平凡な生活のなかに見つける一つの希望。
それは、かつて少しいじめた天龍院亜希子が毎日幸せそうに生きていること。
じゃなくてふみかだろ。
同期で毎日顔を合わせて同じ苦労を味わい、話も合うし巨乳、仕事終わりは居酒屋で愚痴りエッッッなことまで...。
もうタイトル『俺とふみかのオフィスラブ』だろこれ。希望に満ち溢れてるだろ。
どこで何してるか分からない人の日記とかどうでもいいだろ。
天龍院亜希子はブログを消した。
この世のどこかで誰かが応援してくれる「呆れた希望」なんて求めていなかった。
マサオカは社会復帰すら怪しい。
天龍院亜希子とマサオ -
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なんだかわからないけれど、すごく泣きそう。
北海道の中高一貫の女子校一期生で、ツートップの成績を誇る宮田と奥沢。
豊かな環境で育ちながらも無愛想でトラウマを抱える宮田と、愛想が良く美少女かつ優等生ながら家庭環境に秘密を抱える奥沢。
成績がよく、類稀な才能を持つ2人だが、その中身はとても不安定で歪。
一方で2人と一緒に過ごすみなみや馨といった女の子たちは、2人と比較すると一般的で秀でたところがない自覚しているものの、人格が安定していて思いやり深い。
彼女たちもすごく魅力的で、特に宮田のまわりに2人がいてくれてよかったなと思った。
正直最後まで人に心をずっと開いていないのは奥沢の方で、彼女の -
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ネタバレ年明けに素敵な小説を読むことが出来た。
宮田と奥沢、学年のツートップの目線で話が続いていく。青春小説ではあるのだけど、この2人が最後まで仲良くはならないし、この先も仲良くなることはないのだろう。主人公が2人いて、お互いほぼ会話もない。少し異様な状況だが、ずっと存在は意識していて、でも深い関わりは無い人というのは結構いる。そして、そんな人の言葉ほどきっかけを与えてくれるし、忘れられない。
相手の弱さを見て、自分の状況を受け入れていけるようになるのは見方によっては薄暗い感情が湧きそうだけども、互いにとても前向きで気持ちが良い。
みなみがなぜ宮田とつるんでいるのかがさっぱり分からなかったが、スピンオ -
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宮田と奥沢、10代を生きる2人の少女の葛藤と成長を描いた作品。
家と学校が世界の全てだった中学、高校時代、自分も親のことや成績のこと、友達付き合いのことなんかですごく悩んだり、ムカついたり、焦ったりしたことがあったなぁと、読みながら自分が10代だった頃の気持ちを少しだけ思い出しました。
多感な時期ならではの、危うさを孕んだ切実な感情のゆらめき。
もちろん本人たちは必死で大変な思いをしながら毎日を生きているわけですが、情景として想像すると、この脆くて危ういからこその期間限定の煌めきってすごく美しいなと思います。
もしこの作品を映像化して主題歌をつけるなら、アンジェラ・アキさんの『手紙〜拝啓