佐々涼子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ノンフィクションとは不都合な真実を暴く
告発書です。
2021年3月に発生した名古屋出入国在留管
理局に収容中のウィシュマさんが死亡した
事件を覚えていますでしょうか。
これによりやっと出入国在留管理局の施設
通称「入管」の実態が世に知られるように
なりました。
日本は難民条約に加入して40年経ちます。
しかしその間に難民として認められたのは
わずか900人弱です。
国連から人権条約違反、国連憲章違反との
批判に耳を貸さず、今も難民を長期収容し、
強制送還し続けているニッポン。
その真実に迫るのが本書です。
しかし「技能実習生として多くの外国人を
受け入れているではないか」という -
Posted by ブクログ
佐々涼子さん。すごいです。10年書きためてきたエッセイとルポルタージュから厳選された作品集。重い現実に真正面から向き合って、伝えてくれるこの本に出会えてよかったと思いました。
初めの〈「死」がおしえてくれること〉から、一気に自分が体験したことに引き戻されました。いざ親の死と向き合ったときに、オロオロして自分の無力さを感じたこと。「親は死してまで大切なことを教えてくれる」というのは、私もそのときに感じたことでした。
次の〈夜明けのタクシー〉も、親になって、ワンオペで心細かったときに、ふとした言葉に救われたことを思い出しました。
〈体は全部知っている〉では、「人は死に方を知っているし、家族は -
Posted by ブクログ
すごく参考になりました(笑)
父が在宅で、かなり似たような状況で亡くなりましたので、すごくよくわかりました。
わたし自身、現在は余生で、ご褒美の時間だと思っているので、次は自分の番だと自覚しています。
母を看取り、父を看取り、大きな愛犬も膝の上で看取りましたので、変な言い方だけど、死に方がわかる…というか。
でも、この本の中で、実際に自分がこの立場になるとわからない…とあったので、その点がちょっと心配。
わたしの理想は、
「なんでもっと早く受診しなかった?
もう、治療のしようがない…」
という状況で、癌が見つかって、何も治療せずにギリギリまで普通に過ごして、
食べられなくなるか、自分でトイレ -
Posted by ブクログ
死ほどパーソナルなものはないのに、自分の死に際して思いを分かち合える相手がいる人は少ないだろう。
読み始めてすぐに、自分の身内を看取った経験を思い出した。がんと闘おうとせず、淡々と死を受け入れている身内が家族として歯がゆくて、「もっと頑張ろうよ、絶対治るから」と励まし続けたが、それは果たして正しかったのか。
本書に登場する看護師の森山さんは、何人もの最期に立ち会ってきたプロである。でも自分ががんに直面したとき、決して聖人みたいに達観しているわけではなく、気持ちがブレたり揺れたり、もがき苦しんだりする。
著者の佐々さんは、彼の友人でもあった。病と向き合った友人の最期を書く。普通ならできるだ -
Posted by ブクログ
読みながら参考になる箇所にふせんを貼っていたら30程にもなってしまいました。いつか自分が死に至る病になった時に参考にしたいと思います。
在宅医療での“命の閉じ方”を、著者の笹さんが7年の歳月取材してまとめたものです。
プロローグは、訪問看護師の森山文則さん(40代)の身体の異変に気付くところから始まります。彼は京都の西賀茂診療所で在宅医療に携わっていて、真夜中でも早朝でも電話したらいつでも患者さんのお宅にすぐに来てくれる頼もしい看護師でした。しかしCT診断の結果、すい臓がんステージⅣであることがわかります。
この 森山さんのことを主軸に、数人の方々の在宅医療での看取りまでを追いかけていき -
Posted by ブクログ
毎回、佐々さんの著書には深く考えさせられます。
入管で死んだスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん。確かにこの報道で劣悪な環境の入管施設を知った。
佐々さんは「異様な状態だが、私には既視感があった。長崎の大村入管で餓死をしたナイジェリア人のサニー、そして絶叫しながら死んでいったカメルーンのWもいる。彼らの死についてきちんと原因が究明されていればウィシュマは今も生きていただろう」「誰も口にしないが、痩せた黒人男性より、若くて健気な女性には同情を抱きやすいのだ。そして伝える側は、彼女の物語の方がはるかに共感を得やすいことを、よく心得ている。」
と記す。
入管施設雑居房は男女別、子供でさえ -
Posted by ブクログ
難民の受け入れ、入管の改善のために四半世紀に渡り闘い続ける「難民弁護士」の奮闘の日々を、現在入管に収監されている在留外国人の取材と共に綴られています。
先日、中島京子著「やさしい猫」で日本の信じがたい人権侵害・悪法について知り、かなり衝撃を受けたところ。
ウクライナ難民で始まった話ではない。日本でも受け入れられていますが、日本の難民認定率は1%にも満たない低さ!!
果たして受け入れたその後は…?
ウクライナ以外の国からの難民希望者の対応は…?
本書は、日本であまり知られていないその現実について綴られています。
無知・無関心は大きな罪を作り出す。
入管では、もし家庭や介護施設であれば犯罪にな -
Posted by ブクログ
心が痛い。
読んでいてこんなに心が痛むノンフィクションは、他にない。
罪悪感といたたまれなさに、何度も読むのを止めようと思った。
日本には「入国管理局」の名の下に、平然と人権を蹂躙して「正義」を標榜する機関がある。どんなに証拠を積み上げても、難民として認定することを拒んでいるという事実がある。難民認定にも人種・国籍の差別がある。そしてそのことを、日本人のほとんどが知らない。知ろうとしていない。ウクライナ避難民受け入れの美談に酔って、「日本は良い国だ」という偏向報道の歪みのままに、日本礼賛に旗振りをしている。
吐き気がする。
自分自身の無知と無関心の罪深さに狼狽えるばかりだ。
本書の終わり近 -
Posted by ブクログ
日本への移民と難民について、徹底した取材に基づいて詳細に描かれている作品…。移民と言えば、技能実習生…技能実習生がどんな経緯を辿って日本に来ているのか、今まで深く考えることはなかったなぁ…私の職場にも技能実習生はいるけれど、彼らがいなくなったら…今の仕事成り立たないだろうなって思うとこの作品を読んで大反省しました!!
そして、ウィシュマさん死亡事件で日本の入管・難民問題をほんの少しだけ知っていた程度だったんだと愕然としました。ウィシュマさん死亡事件は明らかになった事件であって、こういった悲しいことは過去にも起きていたんだと…本当に怖くなりました。
「国籍や在留資格に関係なく、すべての人が家 -
あなたが日本人ならば
この本を読む義務がある
テレビでもてはやされる
アニメや漫画、伝統芸能、日本文化
きれいで便利、平和でいい国
日本に好んでやってきて
大金を消費する観光客
ばかりを優遇する日本ではなく
身近に暮らして
日本人がやりたがらない労働をしている外国人を隣人として
差別せず尊重して大事にしてほしい
その輪が広がって
理解のない国をも動かす一助となりますように
まずは読んで知って欲しい
教科書にも載せるべき
そんな一冊です
されど現実は国の政策よりも
先に進んでいる
(というか国の政策が的外れで遅すぎる)
日本はもはや技能実習生