佐々涼子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ気になるところに付箋を貼りつつ読んでいたら付箋だらけになってしまった。
佐々さんの文章がとても染みる。以前読んだ「エンジェルフライト」や「紙つなげ!〜」がとても良かったので本作も早く手に取りたかったけれど出会えたのは亡くなられてからになってしまった。
病を得て余命が僅かであることを知ってから綴られた文とその以前からの文との陰影を感じながら読み進めた。
最初の章のエッセイはまだ余命を知る前に書かれたものなのかなと思った。
でも状況や物事の捉え方がやはり深くてとても命を意識した表現に自然となっていると思った。
p58「弔いの効用」の中の枕経のシーンで、とても悲しい場面なのにどうしてもおかしい状況が出てきてしまい堪えきれずにみんなで大爆笑してしまう場面が出てきた。そこで佐々さんは人は「どんなに大切な人を失っても一緒に死んだりはしないように作られている」大発見について書いている。
自分にも似たような経験がある。どんなに悲しくても辛くても人は笑うことができるという発見は、確実に生きる力になると私も知っている。
当たり前のようなことだけれどとても大切なことだと思うしこれを知っていると知らないでは悲しみや困難の乗り越え方が変わるだろうと思う。
他のどの章も胸が痛くなりながら読んだ。p84「ひろちゃん」は、精神科に入院している母のことを友人に話して傷つけられて以来、自分の友達たちには二度と母のことは話さないと決めた事を思い出した。
第2章からのルポ「ダブルリミテッド」にも考えさせられた。書かれた日にちを見ると10年以上前の話だけれども、今のほうがむしろ事態としてはより深刻になっているのではないかと思う。
日本語と他言語が母語であるのにどちらも話せない状況を「ダブルリミテッド」と呼ぶということを初めて知ったけれど、その状況にいる子どもは郊外に住んでいる自分も今やよく目にする。
特別支援などを受けて対応しているところもあるが学校現場は多忙すぎて手が回らず実質放置されてる子供もいるように感じることもある。教師をしている友人はそのことに一層の危機感を持っていて、早急に対応しないと今もどんどん外国人が生活の場へ入ってきているのでこのままそういう人がさらに増えていくと日本の社会が回らなくなっていくだろうと言っている。
佐々さんが10年も前に言っていたことが今現在良くなるどころかもっと深刻になっていることに憂う。
その後からの章では宗教や死生観に絡む話が続く。火葬場の灰の上に寝るシーンは、佐々さんが死に呼ばれている感じがしてきて怖くなった。読み進めると何だか呼ばれすぎていると感じる箇所が他にもあってざわざわした。その後の作品を手掛けてきたきっかけがこういう体験の数々だったのかなとも思うけれど、形にするまでは本当に心がしんどいことだったろうと想像される。
p245「人は死を目の前にするとスピリチュアルにならざるを得ない」確かに。
先日読んだ「人は死なない」もそれと同じことだろうと思った。何かを信じる信じないは別として、命のことを考えたら宗教的にものに惹かれてしまうのは性や本能のようなものなのかなと思う。
あとがきがまた染みた。2023年現在記となっているが、悪性脳腫瘍の一つグリオーマは10万人に1人の発病率で平均余命は14カ月だという。自分の親は14年前に同じ病で亡くなったがその頃とほぼ発病率も平均余命も変わってないことにショックを受ける。
佐々さんは覚悟している。あとがきから感じられる。でももっと書きたかったし生きたかったろう。自分ももっと佐々さんの書く本が読みたかった。
良い本だと思うにつけ残念だと思う気持ちが増してしまう。切ない。
読後本の装丁の空の写真がまた染みた。
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Posted by ブクログ
初めて読んだ「エンド・オブ・ライフ」が衝撃だった
そして「夜明けを待つ」も深い感動を……
その作家が先月、56歳という若さで逝ってしまわれた!
ニュースにショック
これは友人が送ってくれた
中島京子の「やさしい猫」を読んだ後、読みたいと思っていたものだ
〈そして「ウクライナ難民で始まった話ではない。
ミャンマー、スリランカ、イラン、アフガニスタン、そしてアフリカの国々から……。
命からがら、日本にたどり着いた人たちを、
私たちは、どう受け入れてきたのか? 〉
広範囲な取材に胸が熱くなる
私たちってこんなにひどい国民なんですね
知らないでは済まされないですよね
佐々涼子さんの痛切な願いをしっかり受け止めたいと思います
ありがとうございました
≪ 駆け回り ただ伝えたい 真実を ≫ -
Posted by ブクログ
ノンフィクションとは不都合な真実を暴く
告発書です。
2021年3月に発生した名古屋出入国在留管
理局に収容中のウィシュマさんが死亡した
事件を覚えていますでしょうか。
これによりやっと出入国在留管理局の施設
通称「入管」の実態が世に知られるように
なりました。
日本は難民条約に加入して40年経ちます。
しかしその間に難民として認められたのは
わずか900人弱です。
国連から人権条約違反、国連憲章違反との
批判に耳を貸さず、今も難民を長期収容し、
強制送還し続けているニッポン。
その真実に迫るのが本書です。
しかし「技能実習生として多くの外国人を
受け入れているではないか」という意見も
あると思います。
日本は都合の悪い難民を排除している一方
で、都合の良い難民は受け入れています。
これが「技能実習生」です。
「技能実習生」の実態は安い労働力であり、
もはや「技能実習生」の存在なくしては日
本の製造業は成り立たないとまで言われて
います。
母国より賃金の良い国で働けば豊かになり
ます。
そんな動機から日本へと来ますが、期間は
3年間だけです。それでも3年間で十分な
お金を稼げるのであればまだいいです。
いずれ母国も豊かになり、日本へ行く必要
がなくなったり、別のアジアの国の方が賃
金が良いとわかると日本は選ばれなくなり
ます。
そんなもう一つの不都合な真実にも焦点を
当てます。
今、全ての日本人が「自分ごと」として知
っておくべき真実が満載の一冊です。 -
Posted by ブクログ
佐々涼子さん。すごいです。10年書きためてきたエッセイとルポルタージュから厳選された作品集。重い現実に真正面から向き合って、伝えてくれるこの本に出会えてよかったと思いました。
初めの〈「死」がおしえてくれること〉から、一気に自分が体験したことに引き戻されました。いざ親の死と向き合ったときに、オロオロして自分の無力さを感じたこと。「親は死してまで大切なことを教えてくれる」というのは、私もそのときに感じたことでした。
次の〈夜明けのタクシー〉も、親になって、ワンオペで心細かったときに、ふとした言葉に救われたことを思い出しました。
〈体は全部知っている〉では、「人は死に方を知っているし、家族は送り方を知っている」という言葉で、見送ったときのことを思い出しました。「命のことは体に委ね、任せればいいのではないだろうか」という言葉では、佐々さんの強さを感じました。
死、技能実習生のこと、外国人の日本語教育のこと、宗教のことと、私たちが普段見ないように過ごしていることに、きちんと向き合い伝えてくれている本でした。
あとがきでは、本当に驚かされました。重い病になったからこそ見えるものがあり、それを伝えてくださったことに感謝の思いでいっぱいになりました。「遺された人たちには、その限りある幸せを思う存分、かみしめてほしいのだ。」というのは、見送った両親も思っているような気がして、救われました。
読後、佐々涼子さん、ありがとう、という気持ちでいっぱいになりました。
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Posted by ブクログ
毎回、佐々さんの著書には深く考えさせられます。
入管で死んだスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん。確かにこの報道で劣悪な環境の入管施設を知った。
佐々さんは「異様な状態だが、私には既視感があった。長崎の大村入管で餓死をしたナイジェリア人のサニー、そして絶叫しながら死んでいったカメルーンのWもいる。彼らの死についてきちんと原因が究明されていればウィシュマは今も生きていただろう」「誰も口にしないが、痩せた黒人男性より、若くて健気な女性には同情を抱きやすいのだ。そして伝える側は、彼女の物語の方がはるかに共感を得やすいことを、よく心得ている。」
と記す。
入管施設雑居房は男女別、子供でさえ男の子は母親と一緒は許されない。
運動場はない。窓はあるけど開けることもできない。曇りガラスで外も見られない。シャワーは週2回15分だけ。部屋の片隅のトイレは壁がない。
2019年以降、「円安は止まらない。日本は外国人労働者にとっていよいよ魅力のない国になってしまった。さして高い賃金が得られなくなってしまった今、外国人が日本に働きに来るメリットは少ない。」
「働きたいのに働けない難民がいるのに、働いてほしいのに日本から逃げていく外国人労働者がいる。どこまで探っても日本の政策は、人に対する敬意がなく、ただちぐはくなたけだった。」
刑務所まがいの入管施設の実態と、難民に関わってきた弁護士や支援者、国へ強制送還されたら死ぬしかないと申告し続ける難民申請者、日本の難民認定法と政治。一冊にギッシリと詰め込まれている。
「日本が難民条約に、加入して40年間で、難民として認められたのは、わずか900人弱。国連から人権条約違反、国連憲章違反との批判に耳を貸さず、今も難民を長期収容し、強制送還し続けているニッポン。国際社会から日本人の人権感覚が問われている。20年以上も難民認定を待ち続けている人々がいる。迫害から逃れて希望をもって来日した難民を友人として受け入れる用意は、市民社会はできている。次は、政治が変わる時だ」ドキュメンタリー映画『牛久』トーマス・アッシュ監督 有川憲治さんの紹介文
表紙も秀悦、多くの人に読んでほしい本でした。 -
Posted by ブクログ
海外で亡くなった日本人や、日本で亡くなった外国人のご遺体を搬送し家族の元へ送り届ける仕事を担う人々と、実際のケース、業界の状況を描くノンフィクションである。
海外で亡くなる日本人が増加するにつれ、葬祭業の海外分野の業務の増加により独立し専業化した会社、エアハース・インターナショナル。その会社で働く人々を国際霊柩送還士と称している。いわゆる士業ではないのだが、多様な専門知識と経験を必要とする極めて特殊な仕事であり専門家である。
海外で身内を亡くした方々がご遺体に向き合う場に立ち会うという難しい仕事で、表に出てこない、裏方というよりは黒子という印象だ。これが正解という簡単な答えがない仕事に、エアハースのそれぞれの方が向き合い仕事をしている。一般人である私は身内を亡くされた方へどのように声をかけるのかさえ戸惑わずにはいられないのに、それどころではない別次元の、ざっくり言うと人間性を問われる仕事である。
米倉涼子主演で繰り返し宣伝されているドラマの原作ということで手に取ってみた。ドラマ自体は見ていないし、どういう評価なのかも知らないが、原作の社長の利惠さんの声が時々米倉涼子の声で聞こえてくるぐらい、私にはイメージが合っていたようだ。 -
あなたが日本人ならば
この本を読む義務がある
テレビでもてはやされる
アニメや漫画、伝統芸能、日本文化
きれいで便利、平和でいい国
日本に好んでやってきて
大金を消費する観光客
ばかりを優遇する日本ではなく
身近に暮らして
日本人がやりたがらない労働をしている外国人を隣人として
差別せず尊重して大事にしてほしい
その輪が広がって
理解のない国をも動かす一助となりますように
まずは読んで知って欲しい
教科書にも載せるべき
そんな一冊です
されど現実は国の政策よりも
先に進んでいる
(というか国の政策が的外れで遅すぎる)
日本はもはや技能実習生には
選ばれない国となりつつある
少子化で労働力が減り
円安に物価高で給料は上がらず
日本人の若者はすでに
日本を見限って海外に働きに行く
悪循環から抜けられない未来は
すぐそこ
現実を何も知らないのは政治家ばかり
中島京子さんの「やさしい猫」を
読んで興味を持って選んだ本だか
「エンジェルフライト国際霊柩送還士」も
「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生 日本製紙石巻工場」も読んでた
佐々涼子さんのノンフィクションの幅広さと
取材の行動力に驚く
今後も注目したい -
購入済み
何回読んでも泣いてしまう
単行本が発売した時に空港に勤務しており、なおかつ貨物などを取り扱う会社にいた為、勉強の為にもと思い読んでみたら、自然と涙が出てきた。死とはまだ縁遠い年齢だから、そう思っていた。いつも隣にあると教えてくれた。やはり母国に帰りたいのは皆同じなんだと教えてくれた。
何回読んでも、泣いてしまう。繰り返して読みたい作品です。