私は新しい命を前にして、なぜか濃厚に死を意識した。… ムンクはこう記している。
「我々は誕生の時に、すでに死を体験している。これから我々を待ち受けているのは、人生で最も奇妙な体験、すなわち死と呼ばれる、真の誕生である。- 一体、何に生まれるというのか?」 p. 33
ある寓話に、落とした針は落としてしまった場所で探すべきなのに、人は探しやすい場所ですばかり探していると言う話がある。人は幸福を見当違いの場所で探しがちだ。 p. 54
美容師など、家族でもなく、友人でもない、仕事相手でもない、利害関係の発声しない距離感。そう言うところにいるひとは年々大事になってくるような気がする。…通り過ぎる他人なら、言葉を託しても気が楽だ多分彼らは私を通して、なにか別のもっと大きなものと対話をしているのではないか。 p. 69
本当になくすまでは、そばにいる人がいなくなるなんて思いもしない。ありふれた言葉ですが、何気ない日々の暮らしが一番貴重です。どうか、目の前にいる人を大切にしてほしい p. 90
死についての未経験者だ。他の人の死を見て、あれこれ想像している。でもどれだけの賢者でもやはり生きている限り死などわからないと思ったら生きるのが楽になった。いくら自分の外側を探しても答えは見つからない。自分の内側に戻って自分なりの生き方を見つけよう。「今を生きなさい。自分の内側に戻りなさい」
p. 93