あらすじ
【第10回開高健ノンフィクション賞受賞作】異境の地で亡くなった人は一体どうなるのか――。国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事が存在する。どんな姿でもいいから一目だけでも最後に会いたいと願う遺族に寄り添い、一刻も早く綺麗な遺体を送り届けたいと奔走する“国際霊柩送還士”。彼らを追い、愛する人を亡くすことの悲しみや、死のあり方を真正面から見つめる異色の感動作。(解説・石井光太)
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本作は国際霊柩送還士エアハースの人々、海外で亡くなった人、または日本で亡くなった外国人とその遺族について書いてある。
まず、エアハースで働く人たちに敬意を払いたい。今までにここまで人に対し、真摯に向き合って考え抜いて仕事をしている人たちの話を聞いたことがなく、自分の仕事への向き合い方に少し恥ずかしい気持ちになった。
私は長く海外に住んでいて、外国のお葬式などにも参加経験があり、それぞれの国や家族によって故人を弔う方法や気持ちは違うんだと言うことを認識してから日本の葬儀などに疑問を持っていた。お葬式って本当にいるの?日本にはお葬式の後に初七日、49日法要、1周忌、3周忌などなど、故人を弔う期間がとても長い。例えば、私は現在イギリスに住んでいて、イギリス人の義実家では、家族の中では亡くなった人のお墓がどこにあるかもよくわからない人もいたりする。故人の遺灰をどうするのか決めている間中ただの荷物としてガレージに保管されていたりする。もちろんお盆やお彼岸などの行事や習慣もないので、故人を偲んだりする機会はない。これはイギリス人が全員というわけではないだろうし、もちろん日本人の中でもそういう風に考える人も稀ではないと思う。それでもいいと私は思う。ただ本作を読んで今まで必要なのか?と疑問に感じていた葬儀やそれにまつわる習慣が自分のためでもあるんだと気づかせてくれた。
私はまだ身近な家族や友人を亡くしたことがない。特に高齢の両親を持っていると遅かれ早かれその日は来ると感じていて、私はそれがとても怖い。本当に怖い。でも本作で出てきたたくさんの言葉を読み、少しだけれど怖さが緩和された気がする。
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前々から存在が気になっていた本。通りすがりの古本屋で売っていたので購入して読んだ。初版発行から15年近く経っている。
国際霊柩送還士という職業は、もっと知られるべきと思った。その点は、まだ見てはいないが、米倉涼子演じるドラマで一定の役割を果たせたのかもしれない。
著者の佐々さんの著書を初めて読んだ。緻密な取材をしながら感じたことを丹念に書き留めている。昨年、まだ50代なのに、病気で亡くなられたそう。残念である。
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数年前の読みたいリストの一冊、やっと読めた!
なんとも素晴らしい作品
最後の解説にあった、ノンフィクションとは『世の中に埋もれた人間にとって大切なことを掘り起こし、読者に提示すること』 まさにこの作品が担っている。
そして数年後にドラマ化され広く知れ渡ったのではないか。素晴らしい。
国際霊柩送還士、エンジェルフライト、と呼ばれる仕事がある。まずはそこから。
東日本大震災や、実母を亡くしたことで死に近かった時期に執筆されたそう。数々の遺体を眼にして精神状態を崩したりしながらも続けた取材。命を削って作り上げたと言っても過言ではない。
そうさせたのはこの社長の利惠さん他、メンバーの方々の振る舞いを見て作者も向き合い方を考えたそうだ
海外で亡くなった方をどう輸送するのか、現地でのエンバーミングがどのように、どの程度行われるのか、受け取った後どのように対応するのか…24時間体制で向き合い、全身全霊で作業するエアハース社を取材してまとめたもの。
アルフォンス・デーケン博士は、『死とどう向き合うか』の中で、家族を亡くした遺族の悲嘆のプロセスを12段階に分けて説明している。
①精神的打撃と麻痺状態 ②否認 ③パニック ④怒りと不当感 ⑤敵意とルサンチマン(恨み)⑥罪意識 ⑦空想形成、幻想 ⑧孤独感と抑うつ ⑨精神的混乱とアパシー (無関心) ⑩あきらめー受容 ⑪新しい希望ーユーモアと笑いの再発見 ⑫立ち直りの段階- 新しいアイデンティティーの誕生
逆さ水、は通常湯をぬるくするには湯に水を足すが、葬儀のときに使うことぬるま湯は、水に油を足して作るのである。
親を失うと過去を失う。
配偶者を失うと現在を失う。
子を失うと未来を失う。
エアハースは永遠に遺体を保存しようとしているわけではない。ただ家族との最後のお別れのひとときのためだけに亡き人を元気な時の姿へと戻してあげようとしている。
アメリカではエンバーマーは、神父や牧師の次に尊敬される職業であると聞く。
「私の顔を見ると悲しかった時のことを思い出しちゃうじゃん。だから忘れてもらったほうがいいんだよ」
エンバーミングの歴史の始まりはアメリカ南北戦争
亡くなった人でも救うことはできる。私たちが悲しみぬいて、きちんと生きぬくことができるから。それを手助けしてくれるのが彼らの仕事
遺体を納められた「ひつぎ」を柩、納められていないものを棺、と表記
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本を読んでからドラマを観た、
この順番、正解だった
ドラマの後から本を読んだら、米倉涼子がチラついて、じっくり本に入り込めなかったかも知れない(ドラマもすごく良かったから)
国際霊柩送還士というテーマの選択もさることながら、こんなヘビーな状況で深い取材ができたことにも感服
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弔うこと。
悲しみ抜けるようにすること。
異国で亡くなった方のご遺体を、家族の待つ国へ帰す、エアハースの仕事について紹介されています。
「死」を考える、貴重な機会となりました。
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筆者は言う「国際霊柩送還の仕事とは、遺族がきちんと亡くなった人に向き合って存分に泣くことができるように、最後にたった一度の 「さよなら」を言うための機会を用意することなのだ。」本書は遺体の搬送会社エアハースとその社員の方々の活動を通して、国際霊柩送還とはどういった仕事なのかを追っている。付け加えると、遺体とともに運んでいる形のないを何かを。感動作という言うにはあまりにも重いテーマのように感じるが、作中の随所で泣いてしまった。こんなノンフィクションは初めてだ。
Posted by ブクログ
国際霊柩送還士という仕事がある事を始めて知りました。異国の地で亡くなったご遺体が母国に届けられる事はわかっていても、誰がどのように送り届けてくれるのかまで考えた事はありませんでした。
海外旅行や海外での仕事が身近になった今、いつ自分や家族に起きてもおかしくない。
まずは「知る」事ができてよかった。
ドラマも見てみたいと思ってます。
Posted by ブクログ
知らない事が多い
プロフェッショナルってすごい
国際霊柩送還士を知る事が出来たのもこの作家のおかげだけど、彼女の母の胃瘻の選択のくだりに個人的に納得するものがあった
人の命
ノンフィクション小説で今月ドラマにもなる作品。
これを読んで涙が出た。
6年程前に私の母が亡くなった時のことを思い出した。
この作品で送還士の方の言うことが本当に胸に落ちた。
何回読んでも泣いてしまう
単行本が発売した時に空港に勤務しており、なおかつ貨物などを取り扱う会社にいた為、勉強の為にもと思い読んでみたら、自然と涙が出てきた。死とはまだ縁遠い年齢だから、そう思っていた。いつも隣にあると教えてくれた。やはり母国に帰りたいのは皆同じなんだと教えてくれた。
何回読んでも、泣いてしまう。繰り返して読みたい作品です。
このような本があってこそ。。。
人知れず、世の中で大事な仕事をプロフェッショナルとして遂行されている人々を、丹念に描かれていること。
素晴らしい作品だと思います。
人々が知らない世界を、経験できない事柄を人々に伝えるお仕事に敬意を表します。今後のご活躍も期待してます。
国際霊柩送還士の方々も、ご苦労は多いと思いますが、どうか縁の下の力持ちの皆様が支えて頂いていることに感謝します。ありがとうございます。。。
Posted by ブクログ
死が豊かに教えてくれたのは、生の限りない尊さと、人間存在の愛しさだった。
映画にもなったそうなので、勝手に小説かと思って手に取ったけどノンフィクションだった。
死について丁寧に向き合おうとした筆者を感じたし、遺族への配慮も感じた。ジャーナリストってきっと遺族にとっては好ましい存在ではないよね。特に海外で紛争に巻き込まれて亡くなった方についての取材とか。今まで報道を仕事にする人に良いイメージを持ってなかったと思う。偏向報道もあるしRADWIMPSのパパラッチのイメージもあるし。でも紛争地帯で命をかけて報道する人たちにはすごいことをしてる人のイメージがある。私の中ではっきりしてない向き合ってない何かがあるんだろうと思う。特に戦争についての報道には「戦争は嫌だし平和であってほしい」と思いながらその悲惨さや理不尽さと向き合いたくなくて目を背ける自分もいると改めて実感した。戦争を目の当たりにした人たちはみんな言う、無関心こそが罪のひとつだと。今こんなに刺さるってことは、向き合うタイミングが来てるってことなのかな。
おわりに、で筆者が
(ざっくり引用)死と遠いところに居た自分にとって死とは概念でしかなかったし不安や恐怖といった感情だった。エアハースと関わって死について考えるようになってから、死のショックや悲しみという激しい感情をくぐり抜けたところ、もっと心の奥深くの静かなところにたどり着くこともある。自分の外部をどれだけ捜しても見つからなかった人が、心の奥にちゃんと「生きている」のである。それは悲嘆を通り抜けた先にある死の本当の姿のようにも思えるのだ。彼らは心の中に戻ってくる。悲しみぬいたあとの生きる力となる。もっと親しく、もっと強くそばにいてくれる。だから一度、「さよなら」を言う必要があるのだ。
我々は弔い損ねてはいないか。
ノンフィクションをちゃんと読むことってあんまりなかったけど、読んでよかったと思う。
モラエスの「日本精神」から「日本人にとって崇拝の対象は家族であり、いなくなった先祖たちを祀っている。生者は死者に供え物をし至福を得、死者は生者がこの世を渡る案内をし、苦労を和らげる。 いわば死ぬために彼らは生きるのであり、生きるために死ぬのである」「家庭はこの驚くべき宗教の中心的寺院であり、宗教の教義全体の中でもっともはっきりとしたわかりやすいあらわれである死者の祭壇のかたわらで営まれる主要儀式の実施のために選ばれた場所である」という趣旨の引用がある。
祖父の葬儀を見届けたり、周囲の死を体験して、弔いは生者のためにこそ行われることなんだと実感させられる。私の地域での仏式の葬儀は初七日、四十九日、新盆、初彼岸、一周忌、納骨、三回忌など行事があって、たいていは3親等くらいまではこの行事に参加する。祖父を看取ったあとも実感したけど、喪失を受け入れるために弔いというものは存在していて、決められた行事をこなすことで死を噛み砕いて受け入れていくんだなと。
自分は無宗教だと思って生きてきたけど、この行事の多さには馴染みもあるし救われたところがあったな。カトリックの義母や、夫が亡くなった時に私はどうなるんだろう
梅原猛の「日本人の魂」からも引用がある。「人が死に、魂がその体から去るのを見届けると、しきりに魂を呼び返そうとしたのである。それが魂呼びである。」「必死になって魂を呼び、魂を帰そうとするが、どうしてと魂は帰らず、死者が文字どおり蘇る、すなわち死の国から帰らないことがわかると、そこで初めて、諦めて死者を葬るのである。」
国際霊柩送還が行う処置はこの魂呼びと同義だと筆者は書いていて。死を受け入れるための段階として、丁寧な処置を施しているんだね
日本と海外で遺体への触れ方が違うのも興味深かった。私もそうだけど、遺体には触れたいと思う。手や足をさすって、「頑張ったね、おつかれさま、今までありがとう」と声をかけた記憶もある。アメリカの人やヨーロッパの人はあまり触りたがらないみたい。亡くなった赤ちゃんを抱かせてあげようか、て両親に声をかけても断れることもあるんだそう。神様のところへ戻してあげたいとは思うみたいだけど、遺体に日本人ほどの愛着はない。
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国際霊柩送還士、異国で亡くなった人を故国へ遺体を送り届け、遺体に防腐処理エンバーミングをする人
エアハースという会社を題材にしたノンフィクション
故人を悲しむため、その時間を作るために、悲嘆を受け入れるために、防腐処理をする
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国際霊柩送還士という仕事があると初めて知りました。
事件、事故、震災、人は突然亡くなるので、いつ仕事が入るかわからない。家族のもとに遺体を引き渡すのにはタイムリミットもある。
やりがいなんて遠く通り超して、使命感のようなものを感じました。
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きちんとお別れするために、ご遺体をかつての姿に。
想像もしないところに、仕事があるのを思い知らされました。
そして、人の数だけドラマがあり、死の数だけ悲しみがあることも。
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プライムビデオのドラマ。主演は米倉涼子で、海外で亡くなった人の遺体を国境を越えて遺族に送り届ける、実在するスペシャリストの物語。ドラマでは感動シーンが満載だったけど、これを仕事にするにはちょっと僕は無理かなぁ。
原作の文庫(ノンフィクション)も読んでみたが、ドラマよりもなかなかしんどい。活字だから読めるが、映像では再現できないエンバーミングのシーン(遺体を腐らないように加工を施す)もある。地上波では流せないよなあ。
そしてこのドラマのモデルとなった企業(エアハースインターナショナル)も注目されてるようだ。
『海外では死にたくない…』これが率直な感想。実は僕は海外に行ったことはないが、やっぱり一生日本から出なくていいやと決意を新たにしました。
Posted by ブクログ
アマプラでドラマを見かけて気になっていた作品。
死はすぐ隣にあるもの。
中々普段実感することはないけれども、誰しも明日生きている保証なんてどこにもないのは確か。
もし自分や大切な人が亡くなった時、遺体をひとりの人間として接してくれる人に最後をお願いしたいと改めて思った。
Posted by ブクログ
亡くなったのだからもうどこにもいない、と簡単に割り切れるほど、人は人をあきらめきれないのだ。(本文より)
遺族にとって、最も辛い瞬間にそばに寄り添ってくれる頼れる存在であり、だからこそ、忘れ去られることが喜ばれる職業。
そんな仕事があるとは想像すらしなかった。「おくりびと」という映画とは比べものにならないほどの壮絶なご遺体の状態と日々向き合う姿には頭が下がります。
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普段読まないタイプの小説(ノンフィクションドキュメンタリー)でしたが興味深く読めました。
個人的には知り合の遺体は怖いと感じるのですが、他人ならば仕事ならばどうだろうか?
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ドラマが良かったので読んでみたところ、まさかのノンフィクションでした。エアハースは実在する会社で、登場人物も実在するよう。
エンバーミングは知っていたが、まさかここまでご遺体を大切に扱い遺族に返してくれていたとは。彼らの活動に頭が下がります。読んで良かった本。
Posted by ブクログ
日頃、海外で亡くなられた方が搬送されることが報道されているが、エンジェルフライトこ方々のきめ細かいご対応がいることを初めて知った。
日本人の死者に対する気持ちに寄り添う対応は、素晴らしいと思った。
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最初はへぇ〜こんな職業があるんだ程度にしか読み始めてなかったが、ページをめくるにつれ、死について弔いについて、葬式…儀式の大切さを考えさせられる気がして、読んで良かったと思いました。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ期待して読んだけれど、エンド オブ ライフの方が良かった。少し文章が固い感じがしてよみにくかった。
読んだ順番のせいかもしれない。
内容はよい。映画も楽しみにしている。
Posted by ブクログ
2025.5.4 NHK土曜ドラマ エンジェルフライト 米倉涼子主演
国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事に迫り、死とは何か、愛する人を亡くすとはどういうことかを描く。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。(解説/石井光太)
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こういう仕事があることを知らなかった。尊い仕事ではあるが過酷。
海外に行くことがあっても自分が異国で死んでしまうなんて想像したことがなかった。絶対保険に加入すべきだと思った。
Posted by ブクログ
死体ではなくご遺体
遺族は異境の地で家族が死亡したことを受け入れられない。だから身内の死を受け入れるための儀式が必要。
生前の姿に戻してあげて「人間」として家族のもとに帰してあげる。
その姿で返事が無いことでやっと死を受け入れられる。
エアハースの方々のご遺体や家族への向き合い方、とても素敵だった。
親を失うと過去を失う
配偶者を失うと現在を失う
子を失うと未来を失う
Posted by ブクログ
作者は最初、人の命を救う医者の話ならドラマがありそうだけど、国際霊柩送還士のノンフィクションってどうなの?と編集者に言われたらしい。自分も正直どう話を広げるのかな?と読み始めたけど、普段まったくスポットライトは当たらないのにもの凄い職業だなあと思った。
海外から戻ってきた状態の悪い遺体を、翌日には火葬するのにも関わらずなぜ拘りをもってエンバーミングするのか。国際霊柩送還士の仕事に対する姿勢が伝わってくるのと同時に、身近な人の死とどう向き合うか、そもそも死とは?というところまで考えさせられる本。
壮絶な場面を沢山経験しているのに、どことなく静かな印象の職業だと思った。そしてこの本もそんな印象のノンフィクションだった。