あらすじ
【第10回開高健ノンフィクション賞受賞作】異境の地で亡くなった人は一体どうなるのか――。国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事が存在する。どんな姿でもいいから一目だけでも最後に会いたいと願う遺族に寄り添い、一刻も早く綺麗な遺体を送り届けたいと奔走する“国際霊柩送還士”。彼らを追い、愛する人を亡くすことの悲しみや、死のあり方を真正面から見つめる異色の感動作。(解説・石井光太)
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前々から存在が気になっていた本。通りすがりの古本屋で売っていたので購入して読んだ。初版発行から15年近く経っている。
国際霊柩送還士という職業は、もっと知られるべきと思った。その点は、まだ見てはいないが、米倉涼子演じるドラマで一定の役割を果たせたのかもしれない。
著者の佐々さんの著書を初めて読んだ。緻密な取材をしながら感じたことを丹念に書き留めている。昨年、まだ50代なのに、病気で亡くなられたそう。残念である。
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数年前の読みたいリストの一冊、やっと読めた!
なんとも素晴らしい作品
最後の解説にあった、ノンフィクションとは『世の中に埋もれた人間にとって大切なことを掘り起こし、読者に提示すること』 まさにこの作品が担っている。
そして数年後にドラマ化され広く知れ渡ったのではないか。素晴らしい。
国際霊柩送還士、エンジェルフライト、と呼ばれる仕事がある。まずはそこから。
東日本大震災や、実母を亡くしたことで死に近かった時期に執筆されたそう。数々の遺体を眼にして精神状態を崩したりしながらも続けた取材。命を削って作り上げたと言っても過言ではない。
そうさせたのはこの社長の利惠さん他、メンバーの方々の振る舞いを見て作者も向き合い方を考えたそうだ
海外で亡くなった方をどう輸送するのか、現地でのエンバーミングがどのように、どの程度行われるのか、受け取った後どのように対応するのか…24時間体制で向き合い、全身全霊で作業するエアハース社を取材してまとめたもの。
アルフォンス・デーケン博士は、『死とどう向き合うか』の中で、家族を亡くした遺族の悲嘆のプロセスを12段階に分けて説明している。
①精神的打撃と麻痺状態 ②否認 ③パニック ④怒りと不当感 ⑤敵意とルサンチマン(恨み)⑥罪意識 ⑦空想形成、幻想 ⑧孤独感と抑うつ ⑨精神的混乱とアパシー (無関心) ⑩あきらめー受容 ⑪新しい希望ーユーモアと笑いの再発見 ⑫立ち直りの段階- 新しいアイデンティティーの誕生
逆さ水、は通常湯をぬるくするには湯に水を足すが、葬儀のときに使うことぬるま湯は、水に油を足して作るのである。
親を失うと過去を失う。
配偶者を失うと現在を失う。
子を失うと未来を失う。
エアハースは永遠に遺体を保存しようとしているわけではない。ただ家族との最後のお別れのひとときのためだけに亡き人を元気な時の姿へと戻してあげようとしている。
アメリカではエンバーマーは、神父や牧師の次に尊敬される職業であると聞く。
「私の顔を見ると悲しかった時のことを思い出しちゃうじゃん。だから忘れてもらったほうがいいんだよ」
エンバーミングの歴史の始まりはアメリカ南北戦争
亡くなった人でも救うことはできる。私たちが悲しみぬいて、きちんと生きぬくことができるから。それを手助けしてくれるのが彼らの仕事
遺体を納められた「ひつぎ」を柩、納められていないものを棺、と表記
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本を読んでからドラマを観た、
この順番、正解だった
ドラマの後から本を読んだら、米倉涼子がチラついて、じっくり本に入り込めなかったかも知れない(ドラマもすごく良かったから)
国際霊柩送還士というテーマの選択もさることながら、こんなヘビーな状況で深い取材ができたことにも感服
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弔うこと。
悲しみ抜けるようにすること。
異国で亡くなった方のご遺体を、家族の待つ国へ帰す、エアハースの仕事について紹介されています。
「死」を考える、貴重な機会となりました。
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筆者は言う「国際霊柩送還の仕事とは、遺族がきちんと亡くなった人に向き合って存分に泣くことができるように、最後にたった一度の 「さよなら」を言うための機会を用意することなのだ。」本書は遺体の搬送会社エアハースとその社員の方々の活動を通して、国際霊柩送還とはどういった仕事なのかを追っている。付け加えると、遺体とともに運んでいる形のないを何かを。感動作という言うにはあまりにも重いテーマのように感じるが、作中の随所で泣いてしまった。こんなノンフィクションは初めてだ。
Posted by ブクログ
国際霊柩送還士という仕事がある事を始めて知りました。異国の地で亡くなったご遺体が母国に届けられる事はわかっていても、誰がどのように送り届けてくれるのかまで考えた事はありませんでした。
海外旅行や海外での仕事が身近になった今、いつ自分や家族に起きてもおかしくない。
まずは「知る」事ができてよかった。
ドラマも見てみたいと思ってます。
Posted by ブクログ
知らない事が多い
プロフェッショナルってすごい
国際霊柩送還士を知る事が出来たのもこの作家のおかげだけど、彼女の母の胃瘻の選択のくだりに個人的に納得するものがあった
Posted by ブクログ
友人に薦められて手に取ってみた本。
ありきたりだが、残された人達にとっての「死」について考えさせられる。「弔い損なわないように」という表現が心に残った。
これを読むと、海外ニュースの捉え方が間違いなく変わるはず。一度は読んでおくべき。
人の命
ノンフィクション小説で今月ドラマにもなる作品。
これを読んで涙が出た。
6年程前に私の母が亡くなった時のことを思い出した。
この作品で送還士の方の言うことが本当に胸に落ちた。
何回読んでも泣いてしまう
単行本が発売した時に空港に勤務しており、なおかつ貨物などを取り扱う会社にいた為、勉強の為にもと思い読んでみたら、自然と涙が出てきた。死とはまだ縁遠い年齢だから、そう思っていた。いつも隣にあると教えてくれた。やはり母国に帰りたいのは皆同じなんだと教えてくれた。
何回読んでも、泣いてしまう。繰り返して読みたい作品です。
このような本があってこそ。。。
人知れず、世の中で大事な仕事をプロフェッショナルとして遂行されている人々を、丹念に描かれていること。
素晴らしい作品だと思います。
人々が知らない世界を、経験できない事柄を人々に伝えるお仕事に敬意を表します。今後のご活躍も期待してます。
国際霊柩送還士の方々も、ご苦労は多いと思いますが、どうか縁の下の力持ちの皆様が支えて頂いていることに感謝します。ありがとうございます。。。
Posted by ブクログ
国際霊柩送還士という仕事があると初めて知りました。
事件、事故、震災、人は突然亡くなるので、いつ仕事が入るかわからない。家族のもとに遺体を引き渡すのにはタイムリミットもある。
やりがいなんて遠く通り超して、使命感のようなものを感じました。
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きちんとお別れするために、ご遺体をかつての姿に。
想像もしないところに、仕事があるのを思い知らされました。
そして、人の数だけドラマがあり、死の数だけ悲しみがあることも。
Posted by ブクログ
プライムビデオのドラマ。主演は米倉涼子で、海外で亡くなった人の遺体を国境を越えて遺族に送り届ける、実在するスペシャリストの物語。ドラマでは感動シーンが満載だったけど、これを仕事にするにはちょっと僕は無理かなぁ。
原作の文庫(ノンフィクション)も読んでみたが、ドラマよりもなかなかしんどい。活字だから読めるが、映像では再現できないエンバーミングのシーン(遺体を腐らないように加工を施す)もある。地上波では流せないよなあ。
そしてこのドラマのモデルとなった企業(エアハースインターナショナル)も注目されてるようだ。
『海外では死にたくない…』これが率直な感想。実は僕は海外に行ったことはないが、やっぱり一生日本から出なくていいやと決意を新たにしました。
Posted by ブクログ
アマプラでドラマを見かけて気になっていた作品。
死はすぐ隣にあるもの。
中々普段実感することはないけれども、誰しも明日生きている保証なんてどこにもないのは確か。
もし自分や大切な人が亡くなった時、遺体をひとりの人間として接してくれる人に最後をお願いしたいと改めて思った。
Posted by ブクログ
亡くなったのだからもうどこにもいない、と簡単に割り切れるほど、人は人をあきらめきれないのだ。(本文より)
遺族にとって、最も辛い瞬間にそばに寄り添ってくれる頼れる存在であり、だからこそ、忘れ去られることが喜ばれる職業。
そんな仕事があるとは想像すらしなかった。「おくりびと」という映画とは比べものにならないほどの壮絶なご遺体の状態と日々向き合う姿には頭が下がります。
Posted by ブクログ
普段読まないタイプの小説(ノンフィクションドキュメンタリー)でしたが興味深く読めました。
個人的には知り合の遺体は怖いと感じるのですが、他人ならば仕事ならばどうだろうか?
Posted by ブクログ
ドラマが良かったので読んでみたところ、まさかのノンフィクションでした。エアハースは実在する会社で、登場人物も実在するよう。
エンバーミングは知っていたが、まさかここまでご遺体を大切に扱い遺族に返してくれていたとは。彼らの活動に頭が下がります。読んで良かった本。
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日頃、海外で亡くなられた方が搬送されることが報道されているが、エンジェルフライトこ方々のきめ細かいご対応がいることを初めて知った。
日本人の死者に対する気持ちに寄り添う対応は、素晴らしいと思った。
Posted by ブクログ
異境の地で亡くなった人を、国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事を描いたノンフィクション作品です。
このような仕事があること自体も初耳でしたし、人の死と向き合う、その過酷な仕事内容が分かるにつれ、仕事に従事される方に畏怖の念を抱かざるをえませんでした。
死者に対して、最後までその人の尊厳が保たれるよう、最善の努力を惜しまない姿勢には、何か圧倒されるものを感じました。
なお、著者の佐々涼子さんは、令和6年9月1日に悪性脳腫瘍のため、56歳の若さでお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
Posted by ブクログ
最初はへぇ〜こんな職業があるんだ程度にしか読み始めてなかったが、ページをめくるにつれ、死について弔いについて、葬式…儀式の大切さを考えさせられる気がして、読んで良かったと思いました。
Posted by ブクログ
ドラマが気になっていたのだけど、アマプラ見れず…と思っていたら、原作があるということを知り手に取った1冊。
海外で亡くなった日本人や日本で亡くなった外国人を家族のもとに帰す仕事をする"国際霊柩送還士"を追ったノンフィクション作品。
彼らがどういった仕事をしているかも丁寧に描かれていたが、"人と死"ということについて、著者の状況(実母の延命治療について)も踏まえた上での考えが記されていて、興味深かった。
遺族が大切な人との別れに向き合うことができるように、情熱を持って働く国際霊柩送還士たちの姿に尊敬の念を抱いた。
Posted by ブクログ
良いノンフィクションが読みたい。と思い、開高健ノンフィクション賞受賞作から選んで読んだ。良い本と出会えた。人にも勧めたい。
「○○さんが無言の帰国を・・・」というような表現で、他国から遺体となって帰ってくる邦人のニュースは見たことがあったが、その裏で、”死後長時間が経過し、長距離移動の影響もあって大変な状態の遺体をきれいに遺族に届ける。”という、尊くて孤高な仕事があることに気づかせてくれた。
亡くなってしまった娘をフランスの家族に会わせに行くエピソードは、涙が止まらなかったし、この仕事の意義や必要性をとても感じた。
家族の死と正面から向かい合う、死を隠さないのであるならば、エンバーミングはいらないかもしれない。亡くなったそのままの姿を見るべきなのかもしれない。
しかし、遺族は帰ってきた遺体の手を取り足をさすり、声をかける。家族がキスできるような遺体であることで、最後の別れができて、前に進めるのではないだろうか。死生観についても考えさせられた。
エアハースの皆さんが、”忘れ去られる存在”を目指し、遺体と遺族の間に立つのではなく、最後の別れの環境を整える役に徹していることに胸を打たれる。その中でも、遺体に声をかけ遺族にも心を配る様子は、まさに”悼む”ということを純粋に表していると思った。
心無い海外の業者のエンバーミングでずさんな取り扱いを受けるかもしれない。海外旅行に行く際は、必ず保険に入ろう。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ期待して読んだけれど、エンド オブ ライフの方が良かった。少し文章が固い感じがしてよみにくかった。
読んだ順番のせいかもしれない。
内容はよい。映画も楽しみにしている。
Posted by ブクログ
2025.5.4 NHK土曜ドラマ エンジェルフライト 米倉涼子主演
国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事に迫り、死とは何か、愛する人を亡くすとはどういうことかを描く。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。(解説/石井光太)
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こういう仕事があることを知らなかった。尊い仕事ではあるが過酷。
海外に行くことがあっても自分が異国で死んでしまうなんて想像したことがなかった。絶対保険に加入すべきだと思った。
Posted by ブクログ
死体ではなくご遺体
遺族は異境の地で家族が死亡したことを受け入れられない。だから身内の死を受け入れるための儀式が必要。
生前の姿に戻してあげて「人間」として家族のもとに帰してあげる。
その姿で返事が無いことでやっと死を受け入れられる。
エアハースの方々のご遺体や家族への向き合い方、とても素敵だった。
親を失うと過去を失う
配偶者を失うと現在を失う
子を失うと未来を失う
Posted by ブクログ
作者は最初、人の命を救う医者の話ならドラマがありそうだけど、国際霊柩送還士のノンフィクションってどうなの?と編集者に言われたらしい。自分も正直どう話を広げるのかな?と読み始めたけど、普段まったくスポットライトは当たらないのにもの凄い職業だなあと思った。
海外から戻ってきた状態の悪い遺体を、翌日には火葬するのにも関わらずなぜ拘りをもってエンバーミングするのか。国際霊柩送還士の仕事に対する姿勢が伝わってくるのと同時に、身近な人の死とどう向き合うか、そもそも死とは?というところまで考えさせられる本。
壮絶な場面を沢山経験しているのに、どことなく静かな印象の職業だと思った。そしてこの本もそんな印象のノンフィクションだった。