佐々涼子のレビュー一覧
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母国では命の危険等に晒されるから、やっとの思いで自分が住みなれている国を離れて、家族と離れ離れになっても、形上は難民条約に批准しているから、きっと助けてくれると思い日本を頼って庇護を求めてくる難民の人々。その人達を大人も子供も構わず、警察のような司法手続きを取ることもなく行政手続きだけで収容する法務省。在留資格がない状態でオーバーステイが発生している現状も、理不尽に高い難民認定のハードルを設けているからこそ発生しているもので、自らが問題の発生要因を作っておきながら、それを弱いもののせいにする。
これとは区別した実質的な出稼ぎ移民政策の技能実習制度。表向きは移民がいないことにしておきながら、我 -
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ネタバレ在宅看護の森山さんの最期まで話
死の淵をどう迎えたいか
誰もが通るのに、知らなかった話
読んでよかった
作者の佐々さんも癌を患い、
どのような気持ちで描いていたか
以下覚え書き
院長渡辺
患者が主人公の劇でなく
一緒に舞台に上がって賑やかで楽しいお芝居をしたい
癌に対して根治を願うでもなく闘うのでなく、普段は癌を忘れ自分の人生を生きる
深刻にならずに、明るく楽しく笑っていてほしい。
母は寝たきり。胃ろうを選択したのは父。
母も介護で育ったので、迷惑かけたくなかったが、父はどんな姿でもいいから生きてほしい。互いにとって半身であり共依存
家は患者が一番良かった日々を知っている
癌と闘うと -
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ネタバレ「エンド・オブ・ライフ」を書かれた佐々さんの最後の本。ずっと終末医療について書かれていたと思っていたが、その前におこなっていた仕事のルポルタージュ(現地報告。 社会問題などを綿密に取材して事実を客観的に叙述する)だった。
佐々さんは、日本語教師をされていた。幼いころは母がたくさん絵本を読んでくれた。そういう過去から、「エンド・オブ・ライフ」にもつながったのだなと思う。
やはり流石の文章力で、宗教を学ぶための世界放浪では、宗教の意味について深い考察と表現があった。
「いくら自分の外側を探しても答えは見つからない。自分の内側に戻って自分なりの生き方を見つけよう。そう思えた時、世界を旅して、僧侶 -
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数年前の読みたいリストの一冊、やっと読めた!
なんとも素晴らしい作品
最後の解説にあった、ノンフィクションとは『世の中に埋もれた人間にとって大切なことを掘り起こし、読者に提示すること』 まさにこの作品が担っている。
そして数年後にドラマ化され広く知れ渡ったのではないか。素晴らしい。
国際霊柩送還士、エンジェルフライト、と呼ばれる仕事がある。まずはそこから。
東日本大震災や、実母を亡くしたことで死に近かった時期に執筆されたそう。数々の遺体を眼にして精神状態を崩したりしながらも続けた取材。命を削って作り上げたと言っても過言ではない。
そうさせたのはこの社長の利惠さん他、メンバーの方々の振る舞い -
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昨年亡くなられた佐々涼子さんの渾身の一冊。
大学の同窓生だった児玉晃一弁護士から入管収容の実態を聴いた佐々さんは、自らも難民への取材を始めた。その記録が前半に載せてある。
「入管はなぜ難民を追い返そうとするのか」
迫害の危険性や紛争、暴力など、状況が悪化し移動せざるを得なかった人々だ。難民認定もされず入管にとどめ置かれ、強制送還されないかと恐れ慄く。
映画「ヒューマン・フロー(大地漂流)」で、ゴムボートに乗る大勢の人々を写した場面が思い出された。
難民となる人々の数は毎年増加の一途を辿っている。受け入れ国の中で、日本の難民認定率の低さを知り唖然とした。
(2021年 日本は74人で0.7%) -
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人を魅了するノンフィクション作品の難しさ(話を盛ったりすることは、既にノンフィクションではない)について、考えさせられました。
また、一つ一つが短いエッセイであるため、隙間時間に少しずつ読んでいくことができました。
著者は、仏教にも関心があり、実践や体験を通じて、僧侶との交流もあったようですが、いわゆる高名な僧侶についても、ありのままの視点で、痛烈な皮肉と感じる表現をされている部分があります。とても親近感が湧きました。
また、日本語学校の教師というキャリアからも、その体験や思いをつらつらと著されていますが、その現実や今後の展望についても解りやすく示されていました。
ご興味が少しでもある方は、是 -
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ネタバレP202
『働きたいのに働けない難民がいるのに、働いて欲しい日本から逃げていく外国人労働者がいる。どこまで探っても日本の政策は、他人に対する敬意がなく、ただちぐはぐなだけだった。』
なんてつらい話だろう。日本に働きに行き稼いで故郷で錦を…なんて過去の話。もう日本に行きたい人なんていない。そして過去、外国人労働者に頼っていた業種は人手不足。
入管の環境、人権無視の扱いなど、読んでる限りはひどすぎる。けど、何事も両方の言い分をきかないことには判断できない、と思ったり。
移民、難民、技能実習制度、全てが繋がっている。
この先、佐々涼子さんの著書は読めないことが悲しい。ご冥福をお祈りします。
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あとがきから、「ひとつだけわかったことがある。それは、誰も「死」について本当にはわからないということだ。これだけ問い続けてもわからないのだ。もしかしたら、「生きている」「死んでいる」などは、ただの概念で、人によって、場合によって、それは異なっているのかもしれない。ただひとつ確かなことは、一瞬一瞬、私たちはここに存在しているということだけだ。もし、それを言いかえるなら、一瞬一瞬、小さく死んでいることになるだろう。
気を抜いている場合ではない。貪欲にしたいことをしなければ。迷いながらでも、自分の足の向く方へと一歩を踏み出さねば。大切な人を大切に扱い、他の人の大きな声で自分の内なる声がかき消されそ -
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前半がエッセイ、後半がルポルタージュで構成された作品集。
死生観にまつわる数々のノンフィクションを手掛けられた著者の作品集だけに、自分の知らなかった世界を垣間見ることができたし、取材先での出来事を通じて、大変な苦労や葛藤されたことが窺い知れた。
著者の死生観に寄り添うことで、掴みどころのない死に対する答えが見えてくるのか、と前のめりになって読んでみた。結局のところ、生きている限りそれは誰にも分からなくて、いくら自分の外側を探しても答えは見つからないという。自分の内側に戻ること、自分なりの生き方を見つけることが大事だと。なんだか宗教的な感覚だけど、少し腑に落ちる感じもした。
いつか迎えるであろ -
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『エンドオブライフ』つながりで読んでみた。
氏の作品は、『エンジェルフライト』『紙つなげ』『エンドオブライフ』に次いで4冊目。これを書いた佐々さんはもういらっしゃらないんだなと、そんな思いを反芻しながら読み終えた。
以前、お仕事をご一緒したさる版元の編集者が、初期の頃に佐々さんとお仕事をされたそうで、『エンジェルフライト』が開高健賞を受賞したときに喜びの投稿をしていたのを読んだ。ふだんSNSをやらない彼だったが、そのうれしさがつたわってきて、編集者としてうれしい気持ちになった。
p16
「人は死に方を知っているし、家族も送り方を知っている」と在宅で看取りをする医師が言っていた。
*在宅の看