白土三平のレビュー一覧
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ネタバレ白土三平作品にはときおり「おそろしいやつ」が登場する。バリエーションはさまざまだが、テンプレートはある。伊賀者を蹴散らすような三人組みたいなのもある。人間梯子の態で肩の上に立ち、連なったまま木の枝に飛び移るなどの体術を見せる。初読の時、ジェットストリームアタックの原型ではないかと思った気がする。
サスケといえば忍術の修行である。
本巻では頭に10mの布を結わえ、これが地面につかないように10km程度を走破できねばならないと述べる。また、忍び足の鍛錬のために、濡れた紙を破かずに歩けなくてはいけないという。いずれも『忍者のひみつ』的な本で知っていたため、新たな驚きはなかった。濡れた紙のほうは試し -
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ネタバレ" さて、ここで、忍術の三活法について簡単に述べておこう。つまり忍者は、自分が日常ぶつかる物やでき事に対して、そくざにその事物の特徴、内容、本質を悟り、これを最高に利用しなければならない。
このための原理と法則を学び、身につけることを活法と呼ぶのである。
1.練活
忍法の基本で、あらゆる状態に即応できる体力と体術を身につけること。
たとえば一日40里(やく150キロ)を走る。自由に手足の関節をはずし、また、もとどおりにできる。跳躍、廻転、指一本でさか立ちができる力とバランスをうる等々……。
とにかく、オリンピックの金メダルをもらえる以上でなければならないわけだ。
2.薬活
薬草 -
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ネタバレ少年時代のサスケ、特に初期のサスケは古い時代の手塚治虫の絵柄を思わせる。ところが本巻p.13の3コマ目、唐突に水木しげる風になる。『BE FREE!』で笹錦洸がやっていたような顔芸ではない。ナチュラルに水木しげる風なサスケの横顔が描かれている。熱読時代にも気づかなかった。
p.283、鉛製の手裏剣登場。バカだった厨房時代でも、鉄製は無理でも鉛製ならワンチャン手製できると企む知性はあった。ハイキング中にいい感じの枝を拾うような知性だ。
海釣り遠投用のオモリを手に入れて、こんなん間違って人に当たったらえらいこっちゃと思える理性をもちあわせていたのは救いであった。 -
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ネタバレ"微塵(みじん)
さて、このへんで糸瓜斬死郎がしばしば使っている「微塵」という武器についてのべておこう。これは、さしわたし5㌢1㍉の鉄の輪に長さ31㌢8㍉の分銅つきの鉄ぐさり三本をとおした特殊な構造で、分銅の一個をにぎれば、全長68㌢7㍉まで伸びるし、腕の長さ、ふみこむ足の幅をくわえれば、天地四方約3㍍の空間に思うままの猛威がふるえる。" p.346
寸法の妙なこだわり。5.1cmは1.6~7寸だそうな。こんな細部にも少年はわけもなく興奮したのだろう。
アニメから原作小説へと踏み出す前は、アニメや特撮から原作漫画へと踏み出していた。サスケや人造人間キカイダーなどである -
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ネタバレ『駿河城御前試合』を小説版『機動戦士ガンダム』とするなら、『シグルイ』はGQuuuuuuXである。ぬふぅとか曖昧とか虎眼流のならわしとかは若先生のもうそうちからでハイパー化したものである。
原作と読み比べた時点で、あれこれ追求することは愚かしいことだと気づいた。実際にあったことを脚色したのが原作である。それをさらにものすごく脚色したのが『シグルイ』である。その理解で充分になった。登場人物にモデルがいるのかとか考えもしなかった。
本題。『シグルイ』の伊良子清玄の人物造形にはおそらく本巻に登場する飛天の酉蔵の影響がある。『シグルイ』でわりとよくあるそれまでの筋とまったく関係ないショッキングな画で告 -
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ネタバレ"忍法の基本を練活・薬活・妙活の三つに分け三活法と呼び、薬活は自然の、土、石、動植物の成分を知り、これを忍法に利用することを言う。毒薬の製造医術が含まれる。" p.160
練活とは体術である。
妙活がどのようなものか具体的に示されていないが、「妙活の言霊」は催眠暗示などを指すようだ。
ここまで読んできてカムイ外伝はこの手のウンチクが少ないと知った。間違いなく豊富に含まれているのはサスケとワタリ。やはり読まねばなるまいか。
山口貴由は白土三平の影響を受けたらしいと感じているが、この巻の成分は特にシグルイに色濃く出ているように思われる。 -
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ネタバレ白土三平の忍者漫画では、手足はおろか、首が飛ぶのは日常である。腸も出るし爆散もする。しかし、足の甲が削がれる表現は珍しい。ちょん切れるのではなく、切られた部位がぶら下がってる。類似の表現は1977年のリドリー・スコットの映画『デュエリスト』が個人的に初見である。実際に見たのは1980年代後半から1990年代前半のいずれか。TVでやっていたのを見た。肩の外側がスライスされていた。今では珍しい表現ではなくなってしまったが、当時はすごい痛そうだと思ったものだ。
七巻は1984年の発表。『サスケ』『ワタリ』『カムイ外伝』を通り過ぎてヤングジャンプやヤングマガジンを読んでいた頃で、劇画にはまだ興味が向 -
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ネタバレカムイ外伝には第一部と第二部があり、本全集一巻は第一部相当、以後は第二部相当と理解した。
本全集二~五巻は絵柄だけでなく物語もカムイ伝の色合いが濃かった印象だが、ウツセの登場で外伝スピリットが取り戻された観がある。こういう感じを求めていた。
白土伝と題された巻末エッセイによると、『カムイ伝』『ワタリ』『カムイ外伝』は一時期同時に制作されていたという。それぞれ制作班があったとのことで、作品の印象が少し変わった。
同じく白土伝には著者インタビューで「その場かぎりの泥縄式で描いてきただけ」と述べていたとあり、そうだろうなとは『ワタリ』を繰り返し読んでいた小学生当時も思っていた。そういうのがよい場合 -
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ネタバレカムイ伝は青年向け、カムイ外伝は子供向けというおおざっぱな理解を持っていたがそうでもないようで、本全集2巻くらいからカムイ伝の絵柄の物語が続いている。
本全集に収録されている「カムイ伝の絵柄のカムイ外伝」は読んだことがないものばかりなのでそれはそれでよいが、今求めているのはカムイ外伝の絵柄と物語。シリアスではない忍者アクションが読みたいのである。
『ワタリ』なら間違いない。『ワタリ』を読むか。
「人狩り」
イマドキはちょっとみない悪党。権力争いに敗れた前藩主で暇つぶしに犬追物したり人狩りをしたりする。100ページ以上、この人物の悪趣味が描かれる。振り返ってみれば、この話が描かれた1983年 -
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ネタバレ「十文字霞くずし」
霞斬りが通用しなくなったため考案した新技だが、霞斬りのようなエモさはない。というか初めて知った。
「小さな石もなけりゃ大きな石も」
カムイは顔も知らぬ誰かを探している。まだ見ぬもう一人の自分がいるはず、と。初めて知った。
「尾州柳生」
ウツセ。いかにも白土忍者というたたずまい。
「百日童」
カムイとウツセの初対峙。すれ違いざま、カムイの顔を知るウツセは殺る気、ウツセの顔を知らぬカムイは殺気に反応して躱す。
交錯する時に向かって緊張を高める描写。ここで想起させられたのは山口貴由だが、よく考えれば手塚治虫もやっていた。
白土三平といえばまた唐突に始まる脇役のコメディ。時に -
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ネタバレ" つげ義春本人が書いた年譜によれば、昭和12年生まれのつげが漫画家としてデビューしたのは昭和30年で、白土の『こがらし剣士』より一年後のことだ。小学校卒業後にメッキ工場に見習工として勤めた。十七歳の時に漫画家を志すが、「対人恐怖症のため、部屋に閉じこもったまま収入が得られる」という理由だった。(『つげ義春 自分史』『つげ義春「旅」作品集 リアリズムの宿』双葉社 1983年による)" 「白土伝」と題された巻末エッセイ
漫画家今昔。白土三平全集の巻末になぜ他の作家について書かれるのかと言えば、大多喜の商人宿が交差点になっているかららしい。
霞斬りは白刃砕きによって破られ、 -
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ネタバレ本巻に収録されている『七ツ桶の岩』『はんざき』は『ベルセルク』や『シグルイ』もびっくりのゴア表現。『どろろ』があの絵柄で薄めていた表現をカムイ伝の絵柄で描写している。
『七ツ桶の岩』はカムイ伝に属する物語ではない。主人公は竜之進という侍である。
『はんざき』は名を知っている。カムイ外伝は一通り、カムイ伝はそれなりに読んでいるはずだが、読んだ覚えがない。
その他の発見はコマ割り。
白土三平は一コマ中に同じキャラを何体も描いてアクションを示すことがある。同じ大きさの小さいコマで、コマ撮りのごとくカムイのアクションを描いている手法には、今回初めて気づいた。
キング時代の『超人ロック』はやたらと小 -
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ネタバレかつて小中学生だった男子ならばひとつやふたつ、ことによるとみっつやよっつは黒歴史を持っているものである。
当方はよっつ。社会への迷惑度が高かった順に『あしたのジョー』『キャプテン翼』『北斗の拳』『サスケ』だ。
『あしたのジョー』は2がきっかけで中学校の猿どもの間で爆発的に流行した。部の垣根を超えて、体育系が休み時間に連れ立って「ロードワーク」をしていた。昼休みにスパーリングをやっていた。あてはしない。殴るシーンをスローモーションにした出崎演出を真似たごっこ遊びである。当方はまったくその気はなかったのに、拒絶さえしていたのに、なぜかその中に引きずり込まれていた。
『キャプテン翼』はスカイラ -
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ここに庄助との再会が!
庄助が黒鍬衆となってカムイと再会する。第二部は一部以上に無意味に動物を登場させるので飽きていた。が、この巻は黒鍬衆となった庄助が調子の開発に関わりここの江戸の無宿だまりの浪人衆が参加してくる。この全体の流れをみるに網野史観の影響を感じるのはそれ程検討はずれではないだろう。第一部の硬直した進歩史観的な成り行きにくらべ力強さは無くなっているが、動物話以外は筋は繊細になっている。この巻では特に柳生の有りようが興味深い。
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漫画界の代表的古典名作
漫画界の代表的古典名作の一つ。改めて読んでみても過酷な時代をどうにかして生き抜いてゆこうとする人々の生き方に心を打たれる。すべて手書きの絵柄は独特で粗くはあるが過酷なストーリー展開と実によくマッチしている。
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小学生の頃読んだ印象に変化
忍者が好きで、白土三平を知ってからサスケやワタリ、忍者武芸帳など読み漁った小学生の頃。
当然カムイも避けては通らず、まずカムイ外伝一部。
そしてカムイ伝へ
同じ頃に社会の授業で士農工商の捕捉説明で、教科書には無かったが穢多非人が紹介され「 あ、カムイ達のことか 」と記憶している。
あれから約30年。
リアルに格差社会を垣間見てきた間に、自然界の動物の弱肉強食の描写や封建社会での身分制度に対する反発など、30年前に興味本位で読んだ時とは比べものにならないくらい情報量の多い作品だと改めて感じた。