宮崎智之のレビュー一覧

  • 虚弱と歩く

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    成功してる人はみな体力があってバイタリティに溢れている
    そんな人たちをみて、自分はどこまでいっても成功できないんだろうなと思っていた
    でも自分より虚弱であるにも関わらず、物書きとしてお金を稼いでいる人たちがいる。
    なんとか工夫して、生きていってる。
    そういう人たちを見ると、自分も何か成し遂げられる気がした

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    2026年09月03日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    文体の間合いが美しく、読むと心が落ち着く薬のような本。最近で最も好きなエッセイ集。アルコール依存症を乗り越えた評論家が、自身の日々の些事や記憶を手がかりに、やさしさと弱さを前提としてものごとを見る眼差しと態度を一貫して提示してくれている。こんな文章が書けたら素晴らしい。タイトルがまたいい。

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    2026年08月29日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    自分のベストエッセイの1つになった。
    言葉の紡ぎ方がとても良い。
    適度な距離感を保ちながら、熱心に考え続けるというタイトル通りの本だった。

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    2026年03月23日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    2024年に読んだ本の中で1番好きだった。
    フィッシュマンズの歌詞から始まるこの本、
    著者は自分と同じタイプの人間なんだろうな思った。
    タイトルが好き。
    私も平熱のまま、この世界に熱狂したい
    そう思える環境に身を置きたいし、そういう場所を大切にしたい。

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    2026年03月21日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    エッセイは普段手に取らないが、普段自分が思っていることの言語化が綺麗にされていて購入。
    自分には足りない語彙力や思考力、知識などの部分を著者がわかりやすく言語化しておりとてもスッキリできた。
    普段自分感じられていない世界、もどかしかった理由に加えクスッと笑えるエピソードもありかなり読みやすかった。

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    2025年11月30日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    非常に良かった。
    半径100m以内にある息苦しさとか、実は自分が気付きさえしていない矛盾とか、理想とのギャップとか。そういったことに向き合い、言語化をしてくれる。誰かの文章を引用しつつ、彼自身が受けとめていくプロセスを提示してくれるので、こちらもまた言語化できていなかった半径100m以内のモヤモヤを受け入れられるような、感じがする。自分もやっぱり文を書いてみたいなと思えた。こういった誰かをそっと支える文章は、あればあるほどいい。その人の視点からしか書けない文章があるし、なんというかあればあるほどいいのだ。

    ーーなるべくなら楽しく生きたい。深く今に没頭し、喜びに浸りたい。しかし、それができない。現実はあまりにもあけすけで、人生はままならない。社会は身も蓋もなく、弱いものにはいつだって冷淡だ。もういっそのこと心をなくしたほうがどれだけラクなことか。考えるのが面倒臭くなって、幾度となくそう思いながら生きてきた。各す言葉でも、煽る言葉でも、奮い立たせようと親打つ言葉でも、はたまた諦めを誘う言葉でもなく、少しでも「この世界も、あながち悪いものではないかも」と思える言葉を、僕は探している。

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    2025年11月29日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    自分の心の中にあった何とも言えない漠然としてた感情を、突き詰め、言語化してくれている本だった。

    著者は、本当の意味の優しさを持っている方であり、
    等身大の自分で"弱さ"に向き合える"強さ"を持っている方なんじゃないかと思った。

    章ごとに「本当に同一人物が書いているのだろうか...?」と思ってしまうほど、雰囲気が変わるのも良い。人間らしさががある。
    同じ人間でも、その時の気分によって
    感じることや見える世界は移り変わっていくのが当然で、そんな"ありのまま"が文章から感じられた気がした。


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    2025年10月10日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    ネタバレ

    今自分が欲しい言葉たちが沢山見つけられた本だった。多分今の私が吸い寄せた。刺さった。共感。

    「寂しさ」に関するお話が心に残った。
    寂しさとは人生への眼差しそのもの。常に視界を覆う薄い霧のような感情。
    これを感じながら生きることは多分弱いもとのとして課された強さであり、そんなふうに平熱のままこの世界に熱狂したい、と思った。

    あとは、誰かがつらかったら、周りも同じくらいつらい思いをしなければならないという考えはおかしい。という所に、言ってくれてよかったと救われた。楽できるならみんなもっと楽していいよね。

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    2025年08月30日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    著者自身が弱さを認めて、生活の中で起こる機微を感じて著者自身と向き合い、搾り出された雫を見事に文章に綴ったエッセイ集。
    著者が人生をかけて丹念に磨いた宝物たちに出会える、そんな一冊です。

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    2025年07月20日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    「凪」という言葉が印象的に使われていて、まさに凪のような状態でいるからこその文体だった。これは諦観とか寛容とかとは違っていて、自分の弱さや寂しさを認めることで自分以外の人間の弱さや寂しさをも認められるようになった筆者の経緯に由来するものだと思う(良い表現が見つからないけど…)。

    35歳問題はこれからその年齢を控える僕にとって特に印象的なテーマなんだけど、過ぎた時間や残された時間に対してシビアになってしまいがちな目線を少し和らげてくれるような言葉が綴られていて、どこかほっとする読後感が得られた。

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    2025年07月12日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    平熱のまま、熱狂
    その感覚がすーっと落ちる素敵な本
    この作者の温度感や世界の感じ方がとても好きだと感じると同時に、随所に散りばめられる文学からの引用に、少し圧倒される
    沢山読み込み、自分の中に言葉を取り込んだからこその気づきが綴られていて、読んでいてとても楽しかった
    人生を味わうこと、人間であることを楽しむことに繋がるような、でもとても身近に感じる、心地よい距離感の本でした。

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    2025年06月21日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    そろそろ自分が何者になるかを考えろと先輩に言われて、本書の目次からぴったりなタイトルを見つけて、購入しました。

    本書を読み終わりましたが、何者になるかの答えは、まだ私の中で漠然としている。
    それでも、「平熱のまま、この世界を熱狂したい」という生き方はどこか自分に合っているのではと思い、好きな表現の1つとなりました。

    医者から飲酒をストップされるほど、著者がアルコール依存症であることなど、自分の弱さを表現できるところに共感を集めるのだと思いました。
    泥臭い中に、奥に秘めた力強さが感じられました。

    悩んでいる人、何かにもがいている人におすすめしたい一冊です!

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    2025年05月01日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    ユーモアがあり個人的なエピソードがおもしろおかしく描かれている。W解説で、どちらの方も「距離感の取り方が上手い」と評しており、語る対象との距離感、また自己愛との距離感が絶妙であり、それが著者独特の作風を生み出している。
    また、文芸批評家の方なため多様な文学作品が引用されており、知らない世界が知れる。個人的には「イワンイリッチの死」のくだりが心に残った。
    また著者自身が自分の弱さと向き合い、著者と同じく「弱いままで生きていくことを決めた人」が「この世界も、あながち悪いものではないのかも」と思ってくれることを願うとあとがきが締められているなど、読者のことを思って書かれた本だと感じた。

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    2025年03月03日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    印象的なタイトルに惹かれて購入し宮崎さんの文章も初めて読んだのですが本当に読んで良かった。アルコール依存による入院と人生の変化という大きな出来事がどうしても目立つけど、1人の人間の前にあるのはあくまでも過ぎていく時間と続いていく生活なのだ。喪失や破綻、人生のままならなさと他の人はどう向き合っているのだろうかと、「弱さ」に向き合うことに触れる本を読むときには特に関心があるのですが、その関心のさらに奥にあった自分の言語化できていなかった感覚を言葉にしてもらえた気がする。たくさん引用される文学や音楽も良かった。
    ひさしぶりに中也の詩を読みたくなったし、未読だった作品も多くいくつか読んでみたくなった。

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    2024年11月30日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    文芸評論家・エッセイストの宮崎 智之さんのエッセイ本。全員に読んでみてほしいと思える一冊だった。

    2024年現在、文學界で「新人小説月評」という歴史ある書評コーナーを担当されている宮崎さん。本文で用いられる引用のドンピシャ度が半端なく、万葉集から音楽まで多ジャンルに及ぶのが圧巻だった。
    誰がどこに何をどんなニュアンスで書いていたのか、それが自分の伝えたいことをどう裏付けするのか、宮崎さんの尋常ではない読書量の一部をお裾分けいただいたようで、全てのエッセイをワクワクしながら読んだ。

    アルコール中毒と離婚を体験し、それが宮崎さんの人生を語るに切り離せない切実なものとなっていること。自分の弱さを心から認めることで、見えてきた本当の自分。これほどまできちんと、誤魔化すことなく自分と向き合っている人を知らない。全てに一生懸命取り組むしかないという覚悟が伝わってきた。

    ———紹介(公式より)———
    アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。

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    2024年09月04日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版

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    ネタバレ

    エッセイはこれまでも好きだったが、それはエッセイの中に表れる筆者の棘、毒っ気の痛快さや新鮮さへの感動という意味合いが強かった。
    この本には棘や毒っ気を全く感じなかった。それでも不思議とこの本はすごくささった。解説で述べられているように筆者の飄然さ、自己愛との付き合い方の上手さが文章をとても魅力的なものにし、読者を惹きつけるのだろう。

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    2024年08月22日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 「弱さ」を受け入れる日常革命

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    ネタバレ

    著者が自身の経験を通して得た「弱さ」についての学びや気づきを、さまざまな角度から認めているエッセイ的な本。

    印象に残っているポイントがいくつかあって、

    一つは、自分が誰かに必要とされている実感がないと人間は生きていけない、そういう弱さがあるんじゃないかというところ。
    人間って複雑だよなぁと思うのは、誰かにとってかけがえのない存在でありたい、自分がいないと困るくらい誰かに必要とされる存在でありたいという思いがある一方で、自分がやらねば、自分がいないと、という責任感とか義務感みたいなもので自分自身を苦しめてしまうこともあるということ。
    何かしらの「役割」が必要だから結婚とかするのかな、と思ったり。自分が誰かにとってのかけがえのない存在であるということを一番感じやすいのかもしれない。

    二つめは、自身の弱さが持つ役割について。著者が禁酒中、お酒に手が伸びそうになったとき、それを止めてくれるのは再び敗北するのを恐れる臆病な弱さだと語っています。
    私自身「失敗したくない」という気持ちがだいぶ強くて、新しいことや苦手なことになかなか挑戦できないという意味で弱みだなと思っていました。それからかなり怠惰なんですが、実際は「ちゃんとしている」と思われることが多くてギャップを感じていました。あるときその話を人にしたら、締め切りギリギリでもやることはやるとか、なんだかんだテスト勉強するとか、その失敗したくないという気持ちが怠惰さを埋め合わせてくれているのかもしれないよねということを言われて、弱みだと思っていたことにも役割があったのかもしれないと思ったことを思い出しました。

    三つめは、想像力について。


    “どんなに想像を膨らませたところで、それは想像の域を出ず、意味などないのではないかと無力感を覚えることもある。一方で、それが独りよがりの想像だったとしても、その想像が父に伝わっていたならばどんなに嬉しいか、と祈りに近い思いを抱いている。ぼくは父に立派な姿を見せたかった。父も見たいと思っていると想像した。そんな気持ちが少しでも伝わっていたならば、どれだけ救われるか。”


    相手の気持ちを想像したところで本当に相手を理解できるわけじゃないから無意味なんじゃないか、と私も思ったことがあります。勝手にわかった気にならないでほしいと思う人だっているだろうし、都合よく、勝手に自分を重ね合わせているだけかもしれない。だけどその想像力が相手を思いやる気持ちから湧き出たものなら、そんな姿勢が伝わってくれていたらそれは嬉しいよなと思う。

    書いていて思ったのは、共感って「相手のことを思って寄り添う」的な文脈で使われることが多いけど、有名人の発言に対する共感とか、こういった本を読んでの共感とかってどちらかというと自分のためな気がするということ。いやもはや日常生活でも自分のための共感をしているかも。本当は自分のための共感なのにそれに無自覚で、わかってますよ感を出されると違和感があるのかもしれない。

    四つめは、ここが最も刺さったポイントなのでそのまま引用しますが、

    “正義を標榜することはたやすい。しかし、正義を貫きとおすのには胆力がいる。信念を掲げても、言葉が、体が瞬間的にはそう反応しない人間の「弱さ」。観念的な信念は、生活の利害関係と衝突すると脆く崩れ去る。”


    これ。
    本当にその通りだなと思って、ぐさっときたところです。信念があったとしてもやっぱり目の前の生活のほうが大事で、それを犠牲にしてまで信念を貫き通そうとするのにはかなりの精神性が必要な気がします。
    さまざまな社会課題が山積する昨今、こういうことって起こりがちなんじゃないかなと思います。〜な社会を目指しましょうとビジョンを掲げつつ、実際の生活の中ではそれに反した行動もとってしまうとか。どのようにしたらそのビジョンと日常生活が対立しないのか、日々の生活を自然に過ごしているうちに理想の社会に向かっていけるのか、意志の力だけではなく、人間の「弱さ」も組み込んだ仕組みを考えていく必要がある。



    著者は自身のことを「弱い」と言っていますが、人間全般的にそうなんだろうと思います。人間ってこんなもん。だけど、「理性は少しずつだが、確実に勝利している」という言葉に、少し希望をもらえた気がします。

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    2024年06月03日
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 「弱さ」を受け入れる日常革命

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    個人的な弱さを受け入れる、あるいは向き合うという「覚悟/決意」を「平熱/日常」の中でしていくこと、その豊かさを情緒豊かに書いたエッセイだった。

    読んでいてここで書かれている「弱くある贅沢」はどこか立川談志師匠が言われていた「業の肯定」のようだなと感じた。とてもやさしい視線と人情味がある。

    強いか弱いかで分けてしまいがちの世界。そして社会がグローバル化していって、「強い」ことが以前よりもさらに正しいことになっていくとどうしても息苦しさが出てきて、「弱い」ことがダメだったり悪だということになってしまう。
    そういう世界では一度負ければ終わりだし、正しさを証明するためには勝ち続けなければならない(尾崎豊の歌詞みたいだ)ので、一度でも勝ったり成功してしまうと、弱さを人前では出せなくなって失敗ができなくなる。プラスSNSによって一度の失敗で人生全てが終わる錯覚を植え付けられてしまう。これは現在の呪いのひとつだと思う。

    エッセイでも取り上げられている遠藤周作の『沈黙』のキチジローはいろんな示唆を与えてくれる存在だ。はっきり言って僕らの先祖はキチジローみたいな人が多かっただろう。戦場で勇しく戦って殺しまくって、殺されている人間ばかりならば後世に血は繋がっていかない。僕が自分の目的や使命もなく無理やり参加させられたら逃げると思う。
    談志師匠は「業の肯定」で、赤穂浪士の四十七士ではなく、その他大勢の逃げたやつや参加しなかったやつが主人公なのが落語だって言われていた気がする。これって「何者」にもなれなかった人たちのことだ。そう、すごい親近感。35歳問題にも通じる。

    「強さ」ってベクトルがわりと進むべき方向がちょっとしかないから実は不自由だと思う。逆に「弱さ」は個々人やコミュニティで全然違うから多様性があって、ある種自由なんじゃないかなって思う。もちろん問題も多様だからぞれぞれの難しさもあるんだけど。

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    2020年12月15日
  • モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ

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    モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ。宮崎智之先生の著書。生きていると常識と非常識のあいだでモヤモヤすることは誰しも感じると思います。非常識人を見てモヤモヤしたりイライラしたり、でもそれは自分の常識と非常識がその人の常識と非常識とは違うだけ。そうだとすると、自分が非常識人ではなくて常識人だなんて思うのは単なる傲慢な思い込みなのかもしれません。

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    2019年06月16日
  • 虚弱と歩く

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    この悩ましい、実に愉快な、あるがまま。
    弱いまま強く生きる人びとのエッセイアンソロジー。

    ご自身の虚弱をありのまま書くことで、そのひとそれぞれの健康観というものも、浮き上がる。
    虚弱を知ることで健康が身に沁みる。

    アンソロジーを読みながらわたし自身もふりかえって、わたしの生活や持病を再考する機会を得られている。
    言いよどむような、明瞭に説明し難い虚弱は今の時代、より身近な話題となりつつある。

    虚弱はコントロール不能な、横暴で、特定の原因がはっきりしない、肉体と魂からの時をこえた叫びだとわたしは思う。
    上手く聞き取りたくても、叫び声が耳を障る。
    この叫びは声だ。
    声は、社会の中で生き抜くための摩擦の結果なのかもしれないし、自分自身の身体の仕組みの不具合さを健気にあらわしているのかもしれない。
    誰もが大なり小なり健康に容易にはたどりつけないリアルを書いているし、ご自身の虚弱さにいかに向き合うかを押しつけがましくなく書かれている。

    アンソロジーなので、虚弱の色彩もその向き合い方も、それについてわたしたちになにを訴えかけるのかも、人それぞれに豊かに文章として書かれていて、わたしは好感をもてた本。

    『虚弱人生の振り返り、ならびに新たな幕開け』
    渡辺 優

    『脳みそグニャグニャ人生の半生』
    トミヤマユキコ

    『異常なし』
    ヒオカ

    これらのエッセイが特に共感した。

    個人的には小中高の学校の先生におすすめの本。
    虚弱もいろいろ、子どももいろいろ、成長もいろいろ。
    道もいろいろ、だと思う。
    社会もいろいろには現実まだなっていないからこそ、学校の中の多様性を視ることから虚弱について考え始められることがあるのではないか、とわたしはこっそり思う。






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    2026年10月12日