ロバートキャンベルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
編著はロバート・キャンベル。
本書編集のきっかけは、2020年4月、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で、国文学研究資料館の館長である編著者が配信した動画である。職員が在宅勤務となり、がらんとした書庫の中から、古和書について、また、古和書に描かれた感染症について語るもので、2022年1月現在でも視聴可能である。
この動画を見たKADOKAWA編集者の発案で、コンセプトを発展させ、各分野の研究者から書き下ろし論文を寄せてもらうこととなった。14人の研究者が、日本古典と感染症に関わるトピックスについて紹介している。
「万葉集」、「源氏物語」、「方丈記」、「徒然草」から、明治近代文学までと時代も -
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Posted by ブクログ
ネタバレ読みながら記入。
ずっと気になっていた本で、おすすめされとうとう開いてみた。前書きに書かれた、原書?との向き合い方から誠実さが伝わってきて、いいなと思った。
自分の目で見たものの力はやっぱり大きくて、どんな知識人であっても想像を遥かに超えてくるはず。今日ちょうどそんな話をしていたこともあって、興味深く読んだ。
正確な意味が取れない文章もあり、でもそれは自分が戦争を経験していない、恵まれた環境だからだなと思ったりもした。
バスタブの話を読んで。
戦時下にあると聞くと、どうしても映画などで見る避難中の状況が浮かぶ。でも戦争が日常に侵食してくるということ。他の本を読んだ際にも感じていて、もう何 -
Posted by ブクログ
コロナ禍をテーマにした、識者たちの短いインタビュー記事が集められたものだが、人間の生死について、人間どうしの関係性について、また経済について(これに関しては私自身の基礎知識がなく、よくわからなかったが…)など、コロナ禍に限らず、人間社会が抱える普遍的で本質的な事柄が多岐にわたって言及されていた。
色々なるほどと思う言葉に出会ったが、特に、世界的な傾向にある「分断」が抱える問題について、アメリカ人経済学者の言葉が腑に落ちた。彼は、それは誰か一人の責任ではなく「差異を超えて互いに話し合うことを妨げている深い分断そのもの」が問題であると語った。特定の人物に責任を転嫁させるような報道に違和感があったが -
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Posted by ブクログ
・またコロナ関連である。かういふ時である、出版界も際物狙ひでいろいろと出す。そんな1冊(だと思ふ)、ロバート キャンベル編著「日本古典と感染症」(角川文庫)である。しかし、本書は単なる際物では終はらない。編者は国文学研究資料館の館長であつた人である。その、言はば配下に書かせてなつたのが本書である。総論を含めて古代から近代、つまり万葉集から鴎外、漱石までを網羅する15編を収め る。感染症は感染症である。コロナだけではない。それゆゑに、こちらのイメージといささか外れる論文もある。まとめ方もそれぞれである。それでも、「生をむしばむ影に一条の光を見出す読者が一人でも多くページをめくって下されば幸いです