「人から愛される人になりなさい」の前書きから始まる松下氏の講義のまとめ。
書いてある内容はとても深い、なので時間をおいて何度か読めば違う感じ方が出来ると感じた本。要約及び自分なりに今回感じたことを書く。
・人間には必ず欲がある。著者はその欲を否定する立場にはない。
むしろ欲とは生物の持つ”生きる力
...続きを読む”であり、欲に対する情熱を非常に大事に扱うことが人から愛される術なのである。しかし著者は自分に対しては全ての欲を大事にするべきだとは言っていない。この場合において著者は欲を二つに分けている。
一つ目は物欲で、二つ目は物欲以外の欲である。犬を始め多くの動物は物(エサやおもちゃなど)で動く、または動かすことができる。しかし人間はとても強い物欲を持っているが、必ずしも物欲がすべてであるわけではない。だから成功したければ物欲に支配されるのではなく、自分が物欲を支配する立場にならなければならない。なぜなら物欲で動くと個人的な争いに巻き込まれるなど、自分にとっても社会にとっても悪影響であるからだ。従って物欲以外の欲を大切にして生きるべきである。しかし、物欲を支配するのは一筋縄ではいかない。この点に関して著者は「どうせ死んだら自分の物は全て国家、または他人の物になる。従って長い目で見れば自分のものではないのだ。ならそこまでこだわらなくてもよい」という考えを展開している。
・個人個人に欲がある限り、必ず対立が生まれる。なぜなら欲には個人差があるからである。ではなぜ対立がありながらも世の中はうまく回っているのか。
それは対立の後、調和するからである。このステップを大切にするべきである。なぜなら対立の段階で新しいものが生まれるし、対立があるからこそ納得の行く形で調和に向かうからだ。人の欲は無限大である。故にお互いに言うべきことは言って調和のステップに向かうべきである。そうすれば新しい道がひらける。
私は対立と調和を結ぶ具体的な行動こそが“協力”なのだと感じた。
協力に関して重要な点が4点ある。
①情けを知ること・・・慈愛の精神を持ち、感謝深くあれ。何があっても頭は低くあれ。
②慎みを知ること・・・感謝だけでなく恐怖に敏感であれ。ここにおける恐怖のニュアンスは地震が怖いといったような類のものではなく、”誰かに対して申し訳ない”といった類のものである。この点において大切なのは、誰かの為という精神で日々を生活することにあると思う。
③憤慨しない・・・腹が立つことはあろうが、怒ったところで百害あって一利なしである。怒るくらいならもっと深くにある本質を考える方がお互いの為である。
④報告を完璧に行う・・・相手から、信頼を得て、スムーズに調和へ向かうためにはマメに報告をし、信頼を積み重ねられるかが大切である。どんなに些細なことでもいちいち報告をするべきである。
・自分の欲は自分で満たすべきである。具体的には自己評価を一日の終わりにするべきである。なぜなら他人に言われるのとは別の良さがあるし、次の日をもっと大切にできるからである。前述した部分に関連付けると自分の欲を満たすことで他人に対する対立を減らし、よりよい調和へ向かえるからだ。その為にもその日その日を大切に大切に生きるべきである。壮大な夢を描くのもよいが、そのために足元の現実を見落とすことはあってはならない。
・人間たるもの賢くあってはならない。なぜなら賢くなければ熱意を行動に移さず、理屈ばかり言うため成功できないばかりか、貴重な失敗すらもできないからだ。失敗は貴重な学びの機会を与えてくれるだけでなく、自分から率先して話し、心情を訴えることのできるまたとない機会と出逢いを提供してくれる。だから理屈だけでなく行動を伴う人間であるべきである。その為には少なくとも自分視点では賢くあってはならないのだ。