林昌宏のレビュー一覧
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昔ながらの政治をニュートン政治学、今の政治を量子政治学とし、SNSの存在が量子政治学を可能にしたという。
量子政治学とは要するに分子(個人)1つ1つの挙動の傾向をコントロールするということだ。生活が苦しい人には「あなたはがんばっているのに税金を無駄遣いする政治家や、働きもせずに生活保護を受けている怠け者のせいですよ」、言葉が通じない外国人が街中に増えて不安を覚えてる人には「奴らはスパイで日本を食い物にしている」といったデマを吹き込む。
昔はそのような個別のダイレクトメールのような活動はできなかったが、今はビッグデータやSNSの情報を握り、AIを活用することで可能になった。
もはや真実は人 -
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ロシアのウクライナ侵攻の1年前に書かれたという本書は、皇帝(ツァーリ) プーチンが何をしようとしているのかを彼の側近であったクレムリンの魔術師スルコフ(作中ではヴァディム•バラノフ)に語らせる。エリツィン政権時代に築いた巨万の富をもとに政治的影響力を強めるオリガルヒや独立政治家が逮捕され、会社を奪われ悲惨な状態に堕とされる様や、全体主義の恐怖支配へ突き進む様が事実に重ねて描かれる。
オリガルヒの一人でイギリスに亡命し自殺?したボリス・ベレゾフスキーはプーチンについてこう語る。「彼は決してやめないだろう。彼のような人間はやめることができない。これが一つめの掟だ。執念深く続け、すでにうまくいってい -
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ずっとGAFAは、自分たちはプラットフォームであってメディアではない、と言い続けてきました。一方、フェイスブックの社名変更に見られるようにメタバースを目指し、WEB3時代の情報生成に乗り遅れないようにしているように思います。じゃメディアってなんだ?ということで本著です。さすがの碩学、ジャック・アタリ、人類とメディアの関係史を三万年前から紐解きます。いきなり書名の「メディアの未来」を知りたい人はイライラするかも知れません。昨日を知ることで明日を知る、というアプローチですから。(そもそも原著は「メディアの歴史」みたいなので、イライラの責任は著者にはない?)
備忘として目次をメモります。
第1章 君 -
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「これまでに述べてきたことから判断すると、これらの問いに対する答は否定的だ。最悪の事態が起きる可能性はきわめて高い。二〇三〇年までに大きな危機や壊滅的な戦争が起きる。そして世界的な危機や戦争は、人類に不可逆的な被害をもたらす。
否定的な理由は、地球規模の複合的な課題を自覚している人々の数が極めて少ないからだ。また、それらの課題を理解したところで、今日、全世界に作用する巨大な力をねじ曲げられるとは思えないからだ。…」
「… そして、民主主義が機能するのは国内だけであるため、民主主義はまもなく幻想になると覚悟しておく必要がある。。そして民主主義と市場は近視眼的な要求によって逸脱するかもしれない -
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本書と並行してスティーブンビンカーの『暴力の人類史』を読んでいて、この二冊からインスピレーションを受け「とんでもレビュー」を書いてみる(いつもそうだという話もあるが)。少し、気持ち悪いことを書くので注意。
その〝気持ち悪さ“だが、一体気持ち悪さとは何か。私は男性の性的な変態性について、これは集団に一定数存在すべき種の保存のための装置であると考えている。生殖行為は男性のエレクトがスタートなので、これが機能しないと種は滅びてしまう。絶滅に瀕した状況で、お相手が多少汚物に塗れていようが年齢差があろうが、対応できる必要がある。通常この能力は不要なため正規分布範囲の大多数は発現しないが、2SD範囲外で -
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テクノロジーの進化に対し、教育がアップデートされておらず、既に乖離が生じているというのはよく言われる。脳をハックして、メタバースなどを用いる事で教育効率を高める事もできるし、グラスを通してペーパーテストの解を視認する事も可能。同時通訳もできれば、AIが創作活動までしてくれる。このような時代に、「暗記重視」の教育がどこまで有用なのか。教育の歴史を振り返る。
読んでいて思うのは、アップデートされていないとはいえ、流石に教育はこの数百年で大きく変化しているという事。そもそも、子供の扱いなんかも全然違う。児童労働が当たり前の1800年代には、子供に教育を受けさせるべきかが議論されていたのだ。「子供が -
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これからの教育
500ページ近い本書の内容は歴史的背景も含め世界の「教育」に関する盛り沢山の情報書だ。また、後半では近未来の教育の姿、予測など「第3のシナリオ」など実に興味深いものがある。その中で興味を持ったのはデジタル化・電子化による急変する教育環境だ。特にネット社会が生み出す「学校」が様変わりする予測(仮想現実の在宅教育)、それも思考能力、創造力等を育む反転反復授業など年齢問わず受講し、伝達(生徒であり教師なる)できる仕組みなど教育の世界は変貌するのは間違いない。現実「プロゲーマー」は既に職業として位置を確立しており、そこに博士号などの学位が必要だろうか。現在この競技人口は世界に1億3千万 -
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2024/09/19「教育の超・人類史」Jacques Attali ☆☆
「人類の教育史」500頁の超大作。日本では生まれない壮大な試み。
教育の全てが世界レベルで語られるスケールの大きさに圧倒されるとともに、人類にとって「教育」は権力者の支配を支える道具であり、「いつも未完の制度」という深刻な状況にある指摘に驚かされた。
1.教育=知識は権力・権威の基盤
①軍事・宗教・政治
②専門プロフェッショナル 医療・法律
③職人 組合ギルドで結束
④女性は家事 出産・育児も
動物にも教育はある 狩り・防衛 +本能 文字はない
2.「知の体系化
(1)かって権力者は知を独占・統制「教育の暗黒時代-15