林昌宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フランスで要職を歴任し、思想家としても有名なジャック•アタリ氏による歴史解釈と未来予測を綴った本です。
年末は今年起きたことを整理し、未来はどうなるか考える良い機会なので、その一助になればと本書を手に取りました。2050年の世界の状況に関する予測とその基となる考え(「心臓」と「形態」)について説明しています。著者は、今から30年前でも現在起こっている多くのことを予測できたため、今から25年後の世界を予測することも十分に可能としていますが、この点は個人的には疑問です。例をあげると、人口動態から中国が発展し、アメリカとある程度摩擦が生じることは予測できたかもしれませんが、自身が覚えている範囲では、二十年ほど前まで、多くの専門家の間では資本主義と一党独裁は相いれず、中国は西側寄りの国になると予測されており、米中の衝突が先鋭化することについては、意見が割れていたと思います。そのため「当たるも八卦」の予測部分より、その予測の根拠となる考え方に注目しながら、本書を読みました。
著者は、各時代の商業秩序を「形態」、その中心となる都市を「心臓」として捉え、それらの歴史的な変遷や将来の展望について論じています。「心臓」については、13世紀のブルッヘから現在のカリフォルニアまで9つの都市があげられていますが、次の「心臓」は分からない(若しくは、ないかもしれない)と書かれています。著者が定義する「心臓」は必ずしも、物理的な都市に限らなくても良いと思うので、ネット上の一部の空間が「心臓」になる可能性も論じて良かったのではと思いました。
結局、次の「心臓」も「形態」もわからないということなので、この考え方は過去の歴史を整理するには興味深い視点を与えてくれるものの、未来を予測する際に著者自身が十分に活用できていないように感じました。ただ、著者が警鐘を鳴らす3つの脅威(気候、紛争、人工化)が高い確率で顕在化するのは、その通りだと思うので、これに対して学び、予見し、行動するべきと言う著者の意見には同意します。 -
Posted by ブクログ
情報を伝える媒体であるメディアの歴史を紐解いていき、現在のSNSの台頭による消費者の媒体に対する時間の変化、さらには未来までの考察を500ページ強で書いている本。
第10章までは過去の歴史を紹介しており、特にヨーロッパを中心とした、メディア変遷の歴史背景、王族や貴族などのヒエラルキー上位の情報統制の様子などを様々な参考文献から引用したと思われる事実ベースの内容を記載している。
11章から13章は現在のSNSに関する内容や、今後のメディアのあり方などをまと目てくれており、過去の歴史を紐解いても、現在メディアで起きている内容は技術進歩によって大衆が個のコミュニケーションをできるようになった時間軸の変化以外、大枠が変化していないことがよく理解できる。一読の価値はあると思います。 -
Posted by ブクログ
欧州最高峰の知性、ジャック・アタリさんのコロナ論。
ジャックさんは怒っている。多くの国が国民の健康維持を国にとっての財産なのだと理解してこなかったこと、一時停止している世の中、政府が思考停止状態に陥っていること、戦時経済体制を敷こうとしないこと、無為に自由を侵害する政策が施行されていること、無為な指導者の怠慢のツケを貧者とその子供達が払わなくてはならないこと、以前の世界に戻ることを夢見る人々、きれいごとだけを並べててる人々の多さ、世論の幻想をただそうともしない指導者たち、或いは指導者気取りの人々に対して。
パンデミック以前の世界に戻ることはありえないとして、来るべき未来に備えるためなすべきことを語っている。
多くの人は、今回の危機によりアメリカの覇権は幕を下ろし、代わって中国が覇権国になると考える。しかし、ジャックさんは今回の危機で両国は衰退し、覇権なき世界へ向かう変化が加速すると考える。
覇権なき世界の中で、自由、力、豊かさを実現するために「命の経済」を説く。
我々の生活様式と生態系への影響が、今回のパンデミックを大きく悪化させた。だから、我々は、組織構造、消費、生産の形態を抜本的に見直す必要がある。
生産がこれまで著しく不足していたが、生活に必要不可欠だと判明した部門、「命の経済」へと社会を誘導する必要がある。
それは、
①パンデミックとの戦いに勝利するために必要な部門。
②パンデミックによって必要性が明らかになった部門。
例えば、
①治療薬とワクチン、ヘルスケア、マスク、検査用キット
医療機器、公衆衛生。
②小肉多菜、小糖多果、地産地消
レストランのテーブルの配置、テイクアウトサービス。
③一極集中の是正。
隔離施設としても利用可能な構造のバカンス村。
④永続的、実践的、具体的な教育。
デジタル化に向き合える人材の育成、遠隔指導。
生涯学習の拡充。
そして、今後、新たなパンデミックの出現があれば、恐怖に曝された人々が自由より安全を優先し、他者への警戒から他者そして自身が監視されることを容認するようになる。
つまり、独裁社会が出現するだろう。
それに打ち勝つには代議制で、国民の命を守り、謙虚で公平で将来世代の利益を民主的に考慮する「闘う民主主義』への移行が求められる。
ふうっ。
以下、メモ。
・死に意味を付与することに成功すると、その文明は繁栄する。逆に、意味を見出すことができないと、その文明は消滅する。
・感染症が蔓延すると、自由は疑問視されるようになり、民主的であろうとする社会体制は崩壊する恐れがある。
・自由になるには、各自が自己をできるだけ正確に知ろうと関心を持つことが重要だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ541年 腺ペスト 中国から
1817年 コレラ インド
1957年 アジア風邪
1981年 AIDS
2002年 SARS 中国
2005年 鳥インフルエンザ
予見可能な死と、誰もがいつ死ぬかもしれない死
感染爆発の原因
医療制度が国の負荷/世界の相互依存/自信過剰/利己主義/見捨てられた層
政治不信
公的債務が制御可能なのは名目成長率が金利より安いうちだけ
中国 「国進民退」
世界の工業製品の付加価値の25%
アフリカ債権の20%
国連FAO、ITU、UNIDO、ICAO幹部は中国人
世界のほとんどの一党独裁は中間層の反乱で瓦解した
アメリカ 世界45か国に軍事基地、中国はジブチとミャンマーのみ
アメリカと中国が衰退する?
人工物 巨大企業が政治を動かす
孤独という伝染病
アメリカの四人に一人、イギリスの三人に一人、スウェーデンは50%
高齢者施設、刑務所、精神科病院
混雑の中でもヘッドホンの若者
死者のバーチャル化
生命は画一的なところには宿らない
企業は居心地のいいホテルに
生命の保護と自己監視
人の感染症の60%は動物を食べたり接触が原因
命の経済
健康/衛生/スポーツ/文化/都市インフラ/住宅/食糧/農業/国土保全
安全/防衛/リサイクル/水道/エネルギー/エコロジー/
教育/イノベーション/通信/商取引/物流/配送/公共機関保険/金融
女性が担っている
戦う民主主義
1.代議制 2.命を守る 3.謙虚 4.公平 5.将来世代の利益