久永実木彦のレビュー一覧
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『わたしたちの怪獣』『ぴぴぴ・ぴっぴぴ』『夜の安らぎ』『アタック・オブ・ザ・キラートマトを観ながら』の4本の短編が収録されたSF短編集。
この作者には初めて触れたが、どの作品も読み心地が良くて他の作品も読んでみたくなった。
良い意味で既視感があるというか、具体的にこの作品とは言えないんだけど、昔観たような読んだようなそういう既視感を感じた。勿論、読んでいて「ああ、このシーンはあの映画っぽいな」って要素も多いのだが、それに合わせて記憶の中のノスタルジーというか、ありそうでない、なさそうであるみたいな作品を作るのが上手いのかもしれない。
他の人のレビューにはSFじゃなくてファンタジーなんて意見 -
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ネタバレ困った、これは面白かった。
表題作はスケザネさん紹介をきき
「B級映画みたいで笑えそう」と(失礼ながら)
興味本位で買って読み始めた。
けれど、ぴぴぴ・ぴっぴぴを読み
(これも失礼ながら)キャッチーなSFだけでなく、繊細な五感を振るわせるような
SF小説を書かれる人だと惹き込まれました。
4作品の中で特に
ぴぴぴ・ぴっぴぴが好きで、
これはまた読み直したい。
ドラキュラもよかった、し
ゾンビは普段あまり惹かれないが
星乃さんの映画連想ラリーのキレが良すぎて
楽しくて一気に読みました。
「わかるでしょう?わたしはこういう連想でしか、ものごとを考えられないの」最高。
『アタックオブザキラー -
Posted by ブクログ
噂に違わぬ傑作短編集でした。いやー面白かった!
特に良かったのは表題作「わたしたちの怪獣」とラスト「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」。前者はおそらくシン・ゴジラにインスピレーションを得た作品だと思いますが、元の作品より破滅的な現実と向き合う市井の人に焦点を当てた構成が実に見事。救いのありそうなラストに思わせてからの現実は甘くないというオチも非常に良かったですね。そして後者は映画のオマージュを散りばめた作品となっており、映画好きならニヤリとするシーンばかり。と言っても表題作の元ネタを見たことがなかったので全力で楽しめたかというと怪しんですが、それでも虚構と現実を対比しながら、荒 -
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行き先は特異点(藤井太洋)
バベル・タワー(円城塔)
人形の国(弐瓶勉)
スモーク・オン・ザ・ウォーター(宮内悠介)
幻影の攻勢(眉村卓)
性なる侵入(石黒正数)
太陽の側の島(高山羽根子)
玩具(小林泰三)
悪夢はまだ終わらない(山本弘)
海の住人(山田胡瓜)
洋服(飛浩隆)
古本屋の少女(秋永真琴)
二本の足で(倉田タカシ)
点点点丸転転丸(諏訪哲史)
鰻(北野勇作)
電波の武者(牧野修)
スティクニー備蓄基地(谷甲州)
プテロス(上田早夕里)
ブロッコリー神殿(酉島伝法)
七十四秒の旋律と孤独(久永実木彦)
読みやすい作品が揃った感じ。 -
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東京創元社が、社名の「創元=GENESIS」を冠して二〇一八年に刊行したSF書き下ろしアンソロジー第一集。各作品の前に編者による洒脱な紹介コメントも寄せられていて、「日本の現代SF小説界、作家も出版社も一丸となってこんなメンツで盛り立てていきますぜ」という顔見世興行的な気合いの入りようが感じられる。今のところ二〇二一年の第四集まで毎年刊行が続いているようだ。
SFに限らず同時代の作家の好きと思える小説に出会えることには、古典名作を楽しむのとはまた違う喜びがある。創元さんの四年前のお薦め、彩り豊かで「ぜんぶ好き」とはいかないが、これだけいろいろ並べて出してくれたことにありがとうという気持ち。
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Posted by ブクログ
2018年末に刊行された新しめの日本SFアンソロジー。短編8編+エッセイ2編が収録されています。
アンソロジーを読むこと自体、ちょっと良い(と見込んだ)食事処にぷらっと入って「おまかせコース」を頼むようなもので、満足したい気持ちと、意外なものを味わいたい気持ちが同居していると思います。
個人的には両ポイントともにちょうど良い感じの1冊でした。編集者の匙加減の素晴らしさもあるんでしょうが、SFというジャンルの中での振れ幅もなかなか心地良かったと感じました。
(正統派SFもありつつ、一見ファンタジーでは?日記では?となる作品や、突き抜けたシュールさの作品があって、色彩豊かでした)
1編挙げると -
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SF。短編集。エッセイもあり。
これは良い企画。5年、10年と続いてほしい。
久永実木彦「一万年の午後」
人類絶滅後のロボットたち。綺麗な文章が印象的。
高山羽根子「ビースト・ストランディング」
怪獣を持ち上げるスポーツ。相変わらず奇妙な設定が持ち味。好き。
宮内悠介「ホテル・アースポート」
SF設定でのミステリ。ミステリとしては小粒だと思うが、上手くまとまってる。舞台設定が良い。
秋永真琴「ブラッド・ナイト・ノワール」
吸血鬼&マフィアもの。ラノベやマンガぽさが強い。成田良悟『バッカーノ!』風な印象。好き。
松崎有理「イヴの末裔たちの明日」
近未来の技術的失業。リアルなテー