久永実木彦のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレなんて素晴らしい作品なんだろう。
SFヒューマンドラマ、と言えば良いのか。
とにかく、SFなのに現実的。
非現実の中に巻き込まれているのに、自分に関わる狭い範囲の事に悩んで苦しんで、乗り越えようとする。
怪獣が現れようと、ゾンビや吸血鬼が現れようと、目の前にある生命の危機、世界危機よりも、自分の中の悩みを見続けている。
まさに、現実から逃げるのではなく受け止めようとしている。世界の異変なんて些細なことでかのように。
世の中でどんな未曾有の事態が訪れようと、実際に自分が体験をしないと分からない。目の前で死に直面する時まで、実感することはできない。
世界が壊れ始めても、まず自分自身の悩み苦しみ、 -
Posted by ブクログ
ネタバラシにはならないよう気を付けますが、私の文章を読んでいる暇があるなら、ぜひ作品を読みましょう。傑作です。
人口三万人程度の閑静な住宅街にある奥石大学で発生した銃乱射事件。教員、学生合わせて31名の命を奪った無差別大量射殺事件によって、映画同好会〈幻燈〉の部員だったスミヒコの人生も一変する。映画同好会の仲間たちを事件で失い、その場にいて生き延びた友人も重傷を負ったこの事件を記録に残しておきたい、と迷いはありつつもスミヒコはドキュメンタリー映画の制作を考えるようになる。そんな折、大学で行われた追悼式で、深紅の女優帽を被った女性の姿がスミヒコの目に留まる。不適切な美しさを持った彼女がその -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作『わたしたちの怪獣』がとても素晴らしかったので、新刊をすぐに読んだ一冊。
とても重く、考えさせられる内容なのに、どこか愛おしさを感じるストーリーだった。
親の不条理によって心を壊し、銃乱射事件を起こしてしまった兄・アオと、その妹・ベニの物語。ベニは事件の遺族や様々な人々と関わりながら、少しずつ人間らしさを取り戻していく。
先の読めない展開に引き込まれ、特にベニがだんだんと年相応の女の子らしくなっていく過程に強い愛おしさを感じた。
架空の設定でありながら、作者が伝えたい想いがしっかりと心に届くのが久永さんの強みだと思う。
重いテーマを丁寧に、しかし優しく描く力量に改めて感動した。
今後もこの -
Posted by ブクログ
読み終えて表紙を見返してはため息。
ベニちゃん…
1Qさんの本棚からどーしても読みたくてリクエストで取り寄せた一冊です。
言わせられてる感がしますが、紛うことなき真実です。
久永さんは1Qさんに教えて頂いて『わたしちの怪獣』がツボにハマった作家さんで、新作を楽しみに待っておりました(その割に出てるの知らなかったけど)
なんかね、今回は優しさが滲み出てる文体なんですよ。
作中にも例として出てますが、マイケル・ムーア監督の『ボーリングフォーコロンバイン』のようなドキュメンタリー映画を作ろうとする話です。この映画をご存知の方は、どんな事件のドキュメンタリーかは察しがつくと思いますが、これがオー -
Posted by ブクログ
ネタバレものすごく切なく余韻が残る作品
終始、重い雰囲気が漂うのに読みやすい
ただ、銃乱射事件の詳細が思ってる以上に生々しくって、ちょっと目を逸らしたくなった
途中、ほのぼのするシーンもあったけれどそれが結末の悲しさを際立たせていていてなんだか引きずりそう
色々と悲しいところはあるけど、一番辛かったのは親友のフジオが自死してしまったところ
あれは誰も悪くない気もするし、やっぱりスミヒコとキミドリの配慮が足りなかったからなのか
原因は分からないけれど、フジオはベニを見ておそらく銃撃犯と何かしら関係あるのかもと気づいてしまったのか?
それに気づけない親友(スミヒコ)がやってほしくもない気遣いをしてくる -
Posted by ブクログ
『わたしたちの怪獣』『ぴぴぴ・ぴっぴぴ』『夜の安らぎ』『アタック・オブ・ザ・キラートマトを観ながら』の4本の短編が収録されたSF短編集。
この作者には初めて触れたが、どの作品も読み心地が良くて他の作品も読んでみたくなった。
良い意味で既視感があるというか、具体的にこの作品とは言えないんだけど、昔観たような読んだようなそういう既視感を感じた。勿論、読んでいて「ああ、このシーンはあの映画っぽいな」って要素も多いのだが、それに合わせて記憶の中のノスタルジーというか、ありそうでない、なさそうであるみたいな作品を作るのが上手いのかもしれない。
他の人のレビューにはSFじゃなくてファンタジーなんて意見 -
Posted by ブクログ
ネタバレ困った、これは面白かった。
表題作はスケザネさん紹介をきき
「B級映画みたいで笑えそう」と(失礼ながら)
興味本位で買って読み始めた。
けれど、ぴぴぴ・ぴっぴぴを読み
(これも失礼ながら)キャッチーなSFだけでなく、繊細な五感を振るわせるような
SF小説を書かれる人だと惹き込まれました。
4作品の中で特に
ぴぴぴ・ぴっぴぴが好きで、
これはまた読み直したい。
ドラキュラもよかった、し
ゾンビは普段あまり惹かれないが
星乃さんの映画連想ラリーのキレが良すぎて
楽しくて一気に読みました。
「わかるでしょう?わたしはこういう連想でしか、ものごとを考えられないの」最高。
『アタックオブザキラー -
Posted by ブクログ
噂に違わぬ傑作短編集でした。いやー面白かった!
特に良かったのは表題作「わたしたちの怪獣」とラスト「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」。前者はおそらくシン・ゴジラにインスピレーションを得た作品だと思いますが、元の作品より破滅的な現実と向き合う市井の人に焦点を当てた構成が実に見事。救いのありそうなラストに思わせてからの現実は甘くないというオチも非常に良かったですね。そして後者は映画のオマージュを散りばめた作品となっており、映画好きならニヤリとするシーンばかり。と言っても表題作の元ネタを見たことがなかったので全力で楽しめたかというと怪しんですが、それでも虚構と現実を対比しながら、荒