あらすじ
運転免許証を取得したつかさが家に帰ると、小学生の妹が父を殺していた。テレビからは東京湾に怪獣が出現したという前代未聞のニュースが流れている。つかさは妹を守るため、東京へ父の死体を棄てに行くことを思いつく。短編として史上初めて日本SF大賞の候補となり、第55回星雲賞日本短編部門を受賞した表題作ほか、伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現し館内に籠城した観客たちの運命「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」など全四編。日常のなかに立ちあらわれる非日常の世界の恐怖と希望を描く傑作短編集。/【目次】「わたしたちの怪獣」妹が父を殺した。姉は怪獣が出現し壊滅状態となった東京に、父の死体を棄てに行く。第55回星雲賞日本短編部門受賞作。/「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」時を遡って犯罪や災害を防ぐことができるようになった未来。動画投稿サイトにアップされた、起きるはずのない事件の映像の正体とは。/「夜の安らぎ」家にも学校にも居場所を見つけられない孤独な少女と、ある日街に現れた美貌の吸血鬼の邂逅。/「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現。映画館に籠城した観客たちの運命は。/著者あとがき
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Posted by ブクログ
『わたしたちの怪獣』『ぴぴぴ・ぴっぴぴ』『夜の安らぎ』『アタック・オブ・ザ・キラートマトを観ながら』の4本の短編が収録されたSF短編集。
この作者には初めて触れたが、どの作品も読み心地が良くて他の作品も読んでみたくなった。
良い意味で既視感があるというか、具体的にこの作品とは言えないんだけど、昔観たような読んだようなそういう既視感を感じた。勿論、読んでいて「ああ、このシーンはあの映画っぽいな」って要素も多いのだが、それに合わせて記憶の中のノスタルジーというか、ありそうでない、なさそうであるみたいな作品を作るのが上手いのかもしれない。
他の人のレビューにはSFじゃなくてファンタジーなんて意見も多いが、確かにこの作者は幻想小説とか書いたら面白いかもしれない。
文章の美しさからも親和性高そうな気が。そういった作品が出てくるのを期待したくなった。
あと最後のあとがきがとても良い。
Posted by ブクログ
キングも村上春樹も好きだったので読んでみたけど、まったくもって当たり前のようにキングとも村上春樹とも違う小説だということに気がつかずに読みはじめてしまい少し反省しました。映画とかドラマとかだったら面白かったかも。
Posted by ブクログ
困った、これは面白かった。
表題作はスケザネさん紹介をきき
「B級映画みたいで笑えそう」と(失礼ながら)
興味本位で買って読み始めた。
けれど、ぴぴぴ・ぴっぴぴを読み
(これも失礼ながら)キャッチーなSFだけでなく、繊細な五感を振るわせるような
SF小説を書かれる人だと惹き込まれました。
4作品の中で特に
ぴぴぴ・ぴっぴぴが好きで、
これはまた読み直したい。
ドラキュラもよかった、し
ゾンビは普段あまり惹かれないが
星乃さんの映画連想ラリーのキレが良すぎて
楽しくて一気に読みました。
「わかるでしょう?わたしはこういう連想でしか、ものごとを考えられないの」最高。
『アタックオブザキラートマト』って言葉の響きがまたいい。Z級らしい絶妙な名前の冗長さ。そしてリズム、言いたくなる。
短編と思えないくらい、どっぷり浸かって
一気に泳ぎきって楽しかった。
Posted by ブクログ
怪獣、タイムリープ、吸血鬼、ゾンビというSF的にありふれたお題でありながら、しっかりした世界観と魅力的なキャラクターたちによってどの話も引き込まれた。次に作者は既存のテーマをどう料理するのか、また新しいテーマをどう提示してくるのかとても楽しみだ。
Posted by ブクログ
噂に違わぬ傑作短編集でした。いやー面白かった!
特に良かったのは表題作「わたしたちの怪獣」とラスト「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」。前者はおそらくシン・ゴジラにインスピレーションを得た作品だと思いますが、元の作品より破滅的な現実と向き合う市井の人に焦点を当てた構成が実に見事。救いのありそうなラストに思わせてからの現実は甘くないというオチも非常に良かったですね。そして後者は映画のオマージュを散りばめた作品となっており、映画好きならニヤリとするシーンばかり。と言っても表題作の元ネタを見たことがなかったので全力で楽しめたかというと怪しんですが、それでも虚構と現実を対比しながら、荒廃に向かう世界と人々を襲う絶望を、短編という構成の中でしっかり描ききったのが素晴らしいです。
上記2作品が特に素晴らしいんですが、個人的に好きなのは3作目の「夜の安らぎ」だったり。SFではなく、ライトなファンタジーという感じなんですが、オチも含めてかなり綺麗なお話だったので、作者の後書きに期待して次作を楽しみに待ちたいと思います。
Posted by ブクログ
星雲賞の表題作を含めクオリティーの高いSF幻想ホラー短編集。怪獣、歴史改変、吸血鬼、ゾンビ…ゾクゾクするテーマ、魅力的な登場人物、シュールな展開、どれも好み。非現実的世界に救いを求める主人公たちの行動は胸を打ち、ラストが印象的な4編。中でもゾンビ映画へのオマージュ「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」はツボだった。
Posted by ブクログ
書店であらすじを読んだ時点からワクワクが止まらなかった本。4話からなる短編集で、それぞれ怪獣、タイムマシン、吸血鬼、ゾンビ(キラートマト?)を描いています。どこかコミカルでシリアスで、かつユーモアに富んだお話になっています。あとがきも面白い。
Posted by ブクログ
今年初めに東京創元社からのメルマガに新刊として紹介されていて「読みたい」に入れていた。4つのお話からなる本。
・怪獣が出現し壊滅状態となった東京に、妹が殺した父の死体を棄てに行く。(わたしたちの怪獣)
・時を遡って犯罪や災害を防ぐことができるようになった未来の〈時間局の職員〉が過去に戻ってやったこと。(ぴぴぴ・ぴっぴぴ)
・家にも学校にも居場所を見つけられない孤独な少女と美貌の吸血鬼の出会い。(夜の安らぎ)
・突如ゾンビが出現した街で映画館に籠城した観客たちの運命は?(『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら)
どれもが惹かれる設定の面白そうな話なのだが、まったりしていてテンポが合わず読んでいてイマイチ乗り切れず。
好みの問題で自分には合わなかったという感じなのだが、作者さんのあとがきを読んで、この世界観の中で書かれているのなら、と改めて納得したのでした。