磯部涼のレビュー一覧
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川崎市川崎区で起こった中一殺害事件、簡易宿泊宿火災、幸区で起こった老人ホーム殺人事件。川崎で不穏なニュースが続いた2015年。どんな土地なのだろうかと、取材をしている。
前半は川崎のディープな事情が分かる。今の時代にこんなところがあるのか?と驚いてしまう内容。負の連鎖。
中盤からは川崎から出たラップグループBAD HOPのメンバーや、それに関係する所謂不良たちへの取材から見えた川崎を書いている。
中盤以降は取材した人は違うが、だいたい内容は同じ。
家庭環境が悪く、不良しか道がなく、中学卒業したらトビかヤクザか、な生活から、音楽で将来の道筋を開いたBAD HOPメンバー。ラップ、ヒップホップ、ス -
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2000年に入社して、駅前の川崎事業所でけっこう研修を受けて、飲みにも行ったのに、このように色んな闇を抱えた街だとは知らなかった。
たしかに川崎に住んでた友達が「夜、ホームレス通しが殴り合いの喧嘩してる」とか言ってたなぁ。
ちょっとカルチャー寄りの書き方だよね。もっと多様な切り口があるんじゃ?と思っていたのだけど、巻末に書いてあったように筆者のとバックグラウンドからフォーカス絞って書いたのだと読んで納得。確かに切り口広すぎるね。貧困、母子家庭、薬物、DV、格差、少年犯罪、人種差別、ヘイト、等々
近寄らない、見ない、は何の解決もならないが、何をしたら良いかも分からない。まずは、こう言った現実や生 -
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実際の川崎はどんな"とんでもない"場所なんだろうか?
そんなことを考えながら、読み進める。
自分の生活習慣では想像も出来ない世界が、
川崎の人たちにはそんなに身近なものになるのか?
ちょっと盛りすぎてるんじゃない?とか、
それは言い過ぎでしょ、と思う表現があるけれど、
それもこれも、どれも実際に私は知らない世界なので、
ただ圧倒されながら読み進めるしか出来なかった。
川崎、行ってみたい。
ルポタージュなんてほとんど読まないけども、
たまたま表紙がかっこよくて手に取りました。
薬物、ヤクザ、不良、ヒップホップ、なんとなく
繋がりがあるんだろうなと思っていたキーワードが
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過剰な歪さで負の連鎖がぐるぐる渦巻いている街。でもその連鎖の中にはすがるための藁もあって、それがヒップホップだったりストリートダンスだったり格闘技だったりスケボーだったり、つまりあらゆるカルチャーが受け皿となってかろうじて希望を維持できている。もちろんその希望を捨てて泥沼の中に這い戻っていく子たちもいるが、ふたたび戻ってくる子たちもいて、そういう意味でこの川崎という街は、希望も絶望も全て等価のものとして日常にありふれているのだろうと思う。最後に川崎に行ったのは、たぶん10年ぐらい前。クラブチッタのイベントで、川崎に着いた夜はなんだか酔っ払いが喧嘩しているし、その近くで何事もなかったようにホーム
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川崎のディープエリアをそこで生まれ育った人たちへのインタビューを中心に川崎の過去、現在そして未来への希望を記した本。
現在でこそ、川崎は高層マンション、大きなショッピングセンターやコンサートホールができ普通のにぎやかな街の様相を醸し出しているが、かつては工業地帯とそれに伴う公害、風俗店(これは今でもあるが)等、一定年齢以上の人たちにはあまり良いイメージの街ではなかった。
本書はそのようなバッドイメージにつながるような、川崎のダークサイドを浮き彫りにしているが、単にその部分を強調するわけではなく、その中で川崎を愛し、必死に生きている若者たちの模様を明確にすることで将来への希望を描いていて、単なる -
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「ここは、地獄か?」という帯のコピーと黒煙を上げる工場の無機質な写真。音楽ライターでもある著者による本作は、近年、凄惨な殺人事件・放火で話題になった川崎の実態を描いた傑作ルポルタージュである。
アメリカのデトロイトを彷彿とさせる劣悪な環境下で生まれた近年のヒップホップや、歴史的なヤクザとの関係性、売春、ドラッグ、人種問題など、極めて生々しい実態が克明に描かれる。そんな中である若者はヒップホップに、またある若者はダンスに、スケートボードに、と自身が進むべき道を見つけられた者たちはまだ幸福なのだと思う。彼らの背後には、そうした道を見つけられずに、地元の不良からアウトローへの進まざるを得なかった仲 -
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背後の祭りの喧騒はまるで彼岸から聞こえてくるかのようだ 行政が路上生活者対策として簡易宿所を斡旋してきた事がある その燃殻は今でも様々なところで確認する事が出来る 尚更揶揄われる事になってしまう 合祀墓に納められている その鬱憤を昇華させる回路を持っていなかった 永山則夫が文学を通して自身の犯罪を顧み そこでは平成後半を通して社会で醸成されていった他罰性が露わになった 安倍元総理銃殺事件に際して「これはテロか、テロではないか」と議論が交わされた事は レイシズム(人種主義)やミソジニー(女性蔑視)を感じさせる所謂ネトウヨの属性が強かった 無謬性や正当性 そのショボい、卑近な悪こそが令和時代のテロ
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磯部涼『令和元年のテロリズム』新潮文庫。
タイトルとは裏腹にテロリズム事件など一つも扱われていない。また、取り上げている5つの事件は、週刊誌が取り上げるような内容ばかりが描かれ、読者に何かを訴えるような内容にはなってない。
最初に20人もの被害者を出した『川崎殺傷事件』を取り上げているが、著者の作品である『ルポ 川崎』を焼き直したような、自著を宣伝するかのような内容であった。犯人が現場で自死しているため、その動機は謎のままである。
『元農水事務次官長男殺害事件』は『川崎殺傷事件』を受けて、元農水省の事務次官が息子も同じような事件を起こすのではという危惧から息子を殺害した事件である。著者は -
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既に令和元年、つまり2019年というのは5年も前のことであり、かつその後に巻き起こったコロナ禍もあり、2019年がどんな年だったかというのを思い出すのは個人的にやや難しい。
本書は改元の年、令和元年に日本を震撼させた4つの凶悪な暴力事件を辿るノンフィクションである。
京都アニメーション放火殺傷事件が5年が経過した今でも多くの人の記憶に残っている事件もあれば、川崎でスクールバスを待つ児童らを殺傷した殺傷事件や、その後に元農水事務次官が「このまま長男を放置すれば、川崎のような事件を引き起こすかもしれない。そうなる前に長男を殺すしかない」との思いから長男を殺害した事件など、そう言われればそんなニュ -
モーニング編集部 / 福本伸行 / 萩原天晴 / 三好智樹 / 瀬戸義明 / 森高夕次 / 足立金太郎 / ハナツカシオリ / 中村光 / トウテムポール / 山田金鉄 / 岩渕竜子 / 西村マリコ / 弘兼憲史 / 藤本正二 / Juan Albarran / なきぼくろ / 子鹿ゆずる / 大槻閑人 / とりのなん子 / 磯部涼 / 青井ぬゐ / 常喜寝太郎 / てらおか現象 / 榎本あかまる / 藤田和日郎 / 山田風太郎 / 東直輝 / 後藤一信 / 糸川一成 / 石川雅之 / 須賀達郎 / 田村結衣 / 池田邦彦 / 萩原玲二 / 松本ひで吉 / エドモンド田中 / 灰田高鴻 / 山村東3.0 (1)
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帯の「ここは地獄か!?」に少し笑って購入・読んだ本。
自分はこういう街に全く明るくないから、まっさらな状況で読むことが出来たと思うんだけど、それにしたってみんなラップやってるな?笑 ラップかスケボー、時々薬。後書きかどこかで著者自身が情報が偏ってることを示唆していたからいくらかは偏ってるんだろうけど、どれぐらい事実なんだろう、と気になりながら読んだ。
中盤、在日コリアンラッパーのFUNIが言っていた、「欲望が剥き出しになっている街で育ったから周囲はみんな早熟で、北部(フラットで清潔なニュータウン側、として描かれている)の学校に通ったとき周囲の幼さに驚いた(意訳)」というのは面白かったな。そこ -
購入済み
どろどろした世界
「ママ…もう動画配信はイヤなの……」は本当に子供がかわいそうでたまりませんでした。親が悪いと思いました。身近な話題のどろどろした世界が読めます。
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読んだ。大好きな番組クレイジージャーニーにBAD HOPというヒップホップグループが出ていて、生まれ育った川崎という都市のことをたくさん喋っていたので興味を持った。
川崎には、川崎区や鶴見区などサウスサイドと呼ばれるエリアがあるらしい。光化学スモッグが常に排出されている工業地帯。治安が悪い、という認識はあったけれど、こんなスラム街のようなところとまでは思っていなかったのでだいぶ衝撃を受けた。
本書はそんな川崎で活躍するかつての不良少年少女を追ったドキュメンタリーだ。川崎でだからこそ育った音楽、ダンス、文化。負の連鎖を断ち切って、これから川崎で大人になっていく子どもたちの希望となれるような存在に