【感想・ネタバレ】令和元年のテロリズム(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

20人を殺傷して何も言葉を残さず自殺した川崎無差別殺人犯。引きこもりとされる長男を殺害した元農水事務次官。戦後で最も多くの死者を出した京アニ放火殺人犯。自動車を暴走させて母子の命を奪い、「上級国民」という言葉を生んだ元高級技官――。令和の幕開けに起こった新時代の多難を予感させる事件から浮かび上がってくる現代日本の風景とは。安倍元首相殺害事件を追加取材した完全版。

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Posted by ブクログ

背後の祭りの喧騒はまるで彼岸から聞こえてくるかのようだ 行政が路上生活者対策として簡易宿所を斡旋してきた事がある その燃殻は今でも様々なところで確認する事が出来る 尚更揶揄われる事になってしまう 合祀墓に納められている その鬱憤を昇華させる回路を持っていなかった 永山則夫が文学を通して自身の犯罪を顧み そこでは平成後半を通して社会で醸成されていった他罰性が露わになった 安倍元総理銃殺事件に際して「これはテロか、テロではないか」と議論が交わされた事は レイシズム(人種主義)やミソジニー(女性蔑視)を感じさせる所謂ネトウヨの属性が強かった 無謬性や正当性 そのショボい、卑近な悪こそが令和時代のテロリズムの本質だ 藤本タツキの漫画『ルックバック』

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

既に令和元年、つまり2019年というのは5年も前のことであり、かつその後に巻き起こったコロナ禍もあり、2019年がどんな年だったかというのを思い出すのは個人的にやや難しい。

本書は改元の年、令和元年に日本を震撼させた4つの凶悪な暴力事件を辿るノンフィクションである。
京都アニメーション放火殺傷事件が5年が経過した今でも多くの人の記憶に残っている事件もあれば、川崎でスクールバスを待つ児童らを殺傷した殺傷事件や、その後に元農水事務次官が「このまま長男を放置すれば、川崎のような事件を引き起こすかもしれない。そうなる前に長男を殺すしかない」との思いから長男を殺害した事件など、そう言われればそんなニュースがあったな、と思い出すような事件もある。

その全てをテロリズムという概念で括るのはさすがに概念上の違和感が強いのだが、4つの凶悪事件からその背景に何かしらの共通項を見出そうとする本書のテーマ設定自体には共感する。

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2024年05月05日

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