くぼたのぞみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレクッツェーの第2作目で、若い時の作品とのこと。
現実と妄想が混じり合って、何が現実に起こったことなのかわからないまま進んでいく。父親の死以降はストーリーがはっきりする気もするけど、それも本当なのかどうかわからない。奴隷にレイプされながら、愛されるために必死になる主人公が痛々しい。
訳者の解説もピンとこなかった。アフリカの農場の風景が具体的に想像できないせいか、「自然を描く筆遣いに…荒削りな詩情が感じられる」が私にはよくわからないのと、作品の背景にある言語の多様性みたいなものが、全部日本語なので感じとりにくいのが残念。
次はもっと後期の作品を読んでみたいかな。
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Posted by ブクログ
アディーチェのデビュー作。カトリック教徒の父親の厳しいしつけと懲罰。宗教的不寛容さは自身の父親にまで徹底している。家庭内の暴力には目を覆いたくなるほどだが、社会的貢献や寄付は成功者に相応しく義務を果たし、政治には改革的だ。ナイジェリアと西欧の宗教・文化が入り混じった複雑な社会が見えてくる。作者の故郷のエヌグにも一度行ってみたいが難しいだろうな。タイトルのパープルハイビスカスは新種で、自由な思想の象徴になっている。
訳者あとがきを読み、アディーチェのTEDでのジェンダー・フェミニストについての講演をYouTubeでみた。誰もが居心地のいい話題ではないかもしれないテーマを、軽快に、わかりやすく話 -
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Posted by ブクログ
凝り固まったステレオタイプな印象と、差別と意識していない差別こそが、多様性の時代に潜む本質的な問題なのではないかと考えさせられる短編集。
ナイジェリア出身の主人公たちが外国(主にアメリカ)との文化の差や、経済的な格差、ナイジェリア出身であるというアイデンティティに直面する物語を数話読んだだけで、豊かな国に生まれた人々の多くが自身でも知らないうちに、自分の中に「無意識の差別」を育んでいるのだと感じてしまいました。
差別というのは肌の色や宗教の違いを理由に人を迫害するような行為だけを指すのでなく、自分の中の常識に無い、相手にとっての常識に敬意を払わないことで生じる現象を指すのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
どなたかの本棚にあったので読み始めたのだと思います。最初はほんとに何気なくのつもりで。
ナイジェリアの作家さんなんてもちろん初めてです。
短編が12,3ほど収められているのですが、どれをとってもナイジェリアで生まれた女性たちがどういう一生を送るのかというのがテーマだと思います。ちなみにナイジェリアという国家は多民族で、よくでてくるスッカという大学街はアブジャ州内にあり日本政府の危険情報でもレベル3;渡航は止めてくださいレベルでした。私達が簡単に行ける国ではなさそうです。
ナイジェリアをでてアメリカへ渡る、キラキラした上位国アメリカに媚びるように生活するナイジェリア男性の3歩うしろで夫を敬い -
Posted by ブクログ
フェミニストをテロリストと同じようなニュアンスで扱う男性を何人か知っている。そしてその話題には触れまいとする女性が多くいるのも知っているし、私自身今でもそのように振る舞ってしまう場面がある。
自分のことはフェミニストだと思ってはいるし、未来の女性のために声を上げ行動したいという意思はあるのに、どうしても目の前の人によく思われたい、波風を立てたく無いという気持ちを優先してしまう。
男性へ無意識に押し付けている役割(男の子がなぜ親の財布からお金を盗むか、という問題には頭を向けたことすらなかった)も解消していくべきだと思う反面、
妊娠出産を担う女性が、男性と平等に扱われることは根本的に不可能では無 -
Posted by ブクログ
アフリカ(ナイジェリア)に生まれること、黒人であること、女性であること、アメリカに暮らすこと。向けられる眼差しや、違和感。
物語を読んでほんの一時わかったような気になって、実際、一生本当の意味ではわからないままなのだろうなぁ…。
ひりひりとした当事者感情がそこにはあった。
寝る前に『アメリカ大使館』を読んでしまったばっかりに、瞼の裏に鮮烈な赤いヤシ油の色が浮かんで、なかなか寝つけなかった。
表題作での、
「夜になるといつも、なにかが首のまわりに巻きついてきた。ほとんど窒息しそうになって眠りに落ちた。」
というところが印象的だった。初めて海外で暮らし始めた時、似たような気持ちを覚えて -
Posted by ブクログ
★3.5
フェミニストのとっかかりにはわかりやすく15分程で読める本。
ナイジェリア人でフェミニストである著者のTEDスピーチを翻訳したもの。
いかに歴史が(特に祖国ナイジェリア)我々に刷り込みをしてきたか、痛感する。
女性のほうが遺伝子的に料理をするのが得意なのかも?に対しては、ではどうして今トップにいる名だたるシェフは男性が多いの?
と返すし、
女性にまつわる問題提起ではなくむしろジェンダーや人権問題だと言うべきでは?に対しては、
それはその議論をしたくない人の逃げ道。ジェンダーの問題とした瞬間にぼんやりとしてしまう。女性ならではで起きてるおかしなことがたくさんあるのに!
と返す。
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