くぼたのぞみのレビュー一覧

  • なにかが首のまわりに

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    アメリカーナが面白かったので、こちらも読んでみた。
    一つ一つがとても短い話なのに、一話終わるたびに感じる余韻がすごい。本書で描かれている、ナイジェリアとアメリカの空気、それぞれの女性たちの感受性や生きる力などに触れ、視界が開けるように感じた。世界は広い。

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    2023年04月02日
  • パープル・ハイビスカス

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    ナイジェリア南部の町エヌグの大きな屋敷に住む、15歳の少女・カンビリ視点で描かれる物語。
    物語、と読んでいいのか悩むほどに生々しい部分もある。
    身一つで会社を起こし、世間では敬われているカンビリの父は、敬虔すぎるまでのカトリック教徒であり、腐敗したナイジェリア政権を批判し立て直すべく、政権批判の新聞社にも多大な協力をする人だ。
    しかし尊敬される反面、過度に偏った思想と信仰心を持つ父親は、カンビリやカンビリの兄ジャジャには常に学校で一番でいることや、敬虔なカトリック教徒であることを強要し、家族が罪を犯したと認識した時には母親や子どもたちに酷い暴力と暴言を何度も何度も振るった。
    異教徒である実の父親、パパ・ンクゥと子どもたちが同じ家の中で過ごすだけでも激怒した。
    カンビリより下の兄弟がいないのは、おそらく度重なる身体的・精神的DVのせいだろう…
    カンビリの母は何度も流産している。
    強固な家父長制の一家には、お金はあっても自由はなかった。
    カンビリが学校で一番の成績を取り続けるのも、取り続けたいからではなく、取らなければ恐ろしいことが起こるからであった。
    自発的なものでも、自分の成長のためのものでもなかった。
    抑圧された環境の中で、カンビリは誰にも自分の家の決まり事や事情、己の感情を何も語ることができず、学校ではお高くとまっていると誤解されていた。

    そんな最中、父の妹…カンビリのおばさんといとこたちの住む家に一時的に滞在することになったカンビリとジャジャ。
    この家ではお祈りも楽しそうにやっている。
    議論も盛んに行われ、カンビリのように父親に決められたスケジュール通りにしか動けないようなことはなく、貧しくとも、そう、いい意味で自由な家であった。
    自由な家の中で、カンビリ兄弟より年下のいとこたちは既に大人びており、自立していた。
    そしておばさん宅に訪問してくるアマディ神父との出会い。
    次第に変わっていくジャジャ。
    遅れて自由というものを実感していくカンビリ。
    同い年のいとこのアマカやおばさんに指摘され、自分の考えていることを怖がらず口に出すことができるようになっていくカンビリ。
    ゆっくり生まれ気づき育まれる恋愛感情。
    自由というものを知ってなお、自分のいた環境のおかしさに気づいてなお、父親に認めてもらいたい、愛してもらいたいと思ってしまうカンビリ。
    物語は予想だにしない展開になっていく。

    カンビリたち一家の変化や、その他の様々なことが多彩に描かれている作品だ。
    ナイジェリアの文化(例えば現地語であるイボ語がカタカナ表記で読むことができ、パパ・ンクゥがカンビリやいとこたちにナイジェリアの口承伝承を語る場面を読める)や執筆当時の情勢を知ることができ、いろいろと新鮮であった。
    本作は遅れて邦訳された、作者の処女作であるとのこと。
    より洗練されているであろう作者の他の作品も読んでいきたい。

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    2022年10月02日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    遥か遠いナイジェリア
    少女が語る物語に悲壮感はない
    家長であるパパ、敬虔な信者で、今の自分を確立した礎になっている大事な信仰が故、愛するが故の過ちへの断罪は容赦なく、言葉にならない
    心を明らかにできず、苛立ちにうまく対処できない彼も悲しいけれど、それを差し引いても、どれだけ愛があったとしても
    はやく大人になって
    何も知らない子供たちには憐憫の念しかない

    「パープルハイビスカス」
    タイトルの意味は重い

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    2022年08月04日
  • なにかが首のまわりに

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    読書の醍醐味、
    知らない世界を知る、
    そんな作品でした。

    自分もアフリカやアメリカの地に居合わせたような
    そんな感覚を抱かせるシーンが山ほど。

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    2022年08月02日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    それがですね、しんどいんですよ。国の情勢も、父親の支配も、読んでいてつらい。従順に暮らしてきた15歳のカンビリが、イフェオマおばさんの家に行って初めて知る、賑やかな食事の時間やおしゃべり。圧倒されながらも、そりゃ引きつけられるだろうなあ。

    しんどいながらも、最後のほうには力強さも感じる。それが何なのかを少し考えてみたいと思う。

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    2022年06月06日
  • なにかが首のまわりに

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    セル・ワン
    イミテーション
    ひそかな経験
    ゴースト
    先週の月曜日に
    ジャンピング・モンキー・ヒル
    なにかが首のまわりに
    アメリカ大使館
    震え
    結婚の世話人
    明日は遠すぎて
    がんこな歴史家

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    2022年05月24日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカ/ナイジェリアのさまざまステレオタイプにまつわる短編集。
    人種、ジェンダー、植民地支配の歴史、内戦、宗教/文化、移民などさまざまな観点でストーリーが描かれていてこまめに読みやすい作品。
    とても豊かな表現で海外著独特の表現があり、海外図書不慣れな私にとってはやや理解に時間がかかる部分もあったが、地域や時代、文化が異なるなかでも共感できる点があり、面白かった。

    個人的には訳者あとがきで著者の背景や活動を知ることでさらに内容を深められた

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    2022年03月03日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカ世界だけど(ナイジェリア)、フェミニズムな内容も含まれている。遠い世界だけど、この屈辱わかる、と共感を覚えることが多い。

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    2021年12月26日
  • アメリカーナ 下

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    ネタバレ

    愛の物語であるとともに、
    主人公の成長、
    すなわちアイデンティティの確立が語られる物語。

    なぜ二人は外国に行かなければならなかったのか。
    純粋に愛し合い、魂も美しいというのに。
    それは、国内にいたままでは
    自分で立つことができるほどの力はなく、
    やがてナイジェリアに飲み込まれてしまうことになっただろうから。
    それぞれが異文化の中で生きることで、
    外国の醜さを感じつつも、
    アメリカやイギリスという「個人」で生きることに触れて、彼らの魂も「自分自身」を形作っていくのだ。
    やがて彼らは母国へと帰ることになるのだが、
    それは敗北や逃避、あるいはただの郷愁ではない。
    なぜなら帰国しても違和感を覚え続けたから。
    それはアイデンティティが確立したからこそ、
    もうナイジェリアという母性に飲み込まれることなく、
    ひとりの人格として生きることになったからだろう。

    美しい愛に、深みまで持たせた見事な物語。

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    2021年11月10日
  • 鉄の時代

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    アパルトヘイト時代の南アフリカを舞台にしているから、アパルトヘイトの実態を告発し批判する意図ももちろんあるのだろうが、それだけにとどまらず、受け入れられない状況の中でいかに生きるのか、いかに引き裂かれるのか、について問うているのだと思う。なぜ、ガンを告げられ余命いくばくもない主人公が祖国を捨てた娘に残した手紙は、主人公の家に住み着いたホームレスであるファーカイルに託されるのだろうか。新しい世代から拒絶される旧世代の過ち、恥をファーカイルに託しているようにも思う。

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    2021年10月17日
  • なにかが首のまわりに

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    まだ数本しか読んでいないけれどこれまでに読んだことのない感覚の本。
    文体も独特だしそこはかとない不安を漂わせたまま終わる物語も。
    この一冊だけでなく何冊か読んでみたい著者。

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    2020年11月23日
  • アメリカーナ 上

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    この本は今読むべき本だと思い、手にとった。

    ナイジェリア出身の主人公イフェメルがアメリカに渡り、アメリカでの黒人の階級が低い事を痛烈に体感する。

    人種差別について深く考えたことがない私は驚きやら悲しみやら初めての感覚を味わった。

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    2020年07月03日
  • アメリカーナ 上

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    上手く口には出せない思い。表に出ることのない感情。そうしたものを可視化して、たくさんの人に伝えることが出来るのが、小説や文学の強みかな、と思います。

    そして、その強みを存分に発揮している作家の一人が、このチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。彼女の描く”ナイジェリア人”から見たアメリカの姿は、社会や文化、そして生活に埋め込めまれ、意識されることすらなくなっているかもしれない、偏見や差別、アメリカに住むアフリカ系の人々の苦悩を映し出します。

    上巻で主に描かれるのは、イフェメルというナイジェリア出身の女性。主に彼女が留学するまで、そして留学後のアメリカでの生活が描かれます。

    希望を抱いてアメリカへ渡ったものの、待っていたのは厳しい現実。アルバイトをしようにも、職が見つからず家賃の支払いにおびえる日々、アメリカとナイジェリアの文化のギャップに苦しみ、アメリカの本や雑誌を読み、なんとかアメリカという国を知り、同化しようとするものの……

    この上巻で印象的だったのは、母からもらったメンソレータムを鼻の下に塗って、その匂いをかいで涙ぐみそうになるイファメルの姿。

    新天地へ期待に胸を膨らませながらも、現実とのギャップに苦しみ、故郷を思い出す姿は、進学や就職なんかで親元を離れた経験のある人は、多かれ少なかれ感じるものがあるんじゃないかなあ。アディーチェの作品は、日本人の自分からするとなじみの薄い設定が多いです。それでも心つかまれるのは、こうした共通して抱けるような感情を、しっかりと描いているからだと思います。

    さらに、アディーチェ作品ですごいと思うのは、可視化されない思いや真実を描く視点を、アメリカの社会に向けるだけでなく、自分たちにも向けること。

    アメリカ内では”黒人”というカテゴリに組み込まれるアフリカ系の人々。その人々の中にも嫉妬であったり、ヒエラルキーであったり、またアメリカに対する過剰な憧れであったり、そしてアメリカに住む中で、徐々に自身を黒人として受け入れアイデンティティを失っていく姿であったり。
    自分で自分たちの常識や考え方に疑いを持ち、メスを入れるのは難しいと思うのですが、アディーチェはそれもやってのけてしまいます。

    そしてそうしたものを、直接的に文章で書くのでなく、人々の言葉のやりとりや感情、実際の行動を通して描くのもまたすごい。文庫の著者紹介で『抜群の知性としなやかな感性で繊細な物語を紡ぎ出す』とあるけど、本当にその通りだと思います。

    ジェンダーをめぐる視点も相変わらず鋭い。イファメル自身も性を売り物にせざるを得ない状況に直面するのですが、イファメルのおばであるウジュの描き方も印象的。ある意味で男性に振り回される彼女の半生も、結婚や恋愛のあり方、そして女性がどうあるべきなのか、男性はどうあるべきなのか、考えてしまいます。

    ちなみにこの話は、イファメルと彼女のパートナーであった、オビンゼの話でもあります。序盤に登場した後、上巻の最後まで彼の視点は描かれないのですが、その最後の場面が、また波乱を予感させる出だし……

    祖国では普通の人だと思っていた自分が、アメリカやイギリスに渡った途端に、ヒエラルキーの最下層に置かれるという、あまりにも酷で理不尽な現実。その社会の先で二人が何を見るのか。自分にはまったく想像がつかない展開が待っていそうで、楽しみでもあり、不安でもあり……。

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    2020年01月30日
  • アメリカーナ 下

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    ナイジェリア、イギリス、アメリカを往き来する現代の移民の性差や階級、差別に恋愛。

    圧巻800ページの旅でした。

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    2020年01月12日
  • マイケル・K

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     これがクッツェー初読みで、南アフリカの作家ってチュツオーラみたいな感じかね、と思ったら全く違った。正統派の端正な文学。
     主人公のマイケルは、いろんなものから支配を受ける。耐えられなくなると、何もかも放り出して原野に逃げていく。第三者視点で見ると、もっと上手くやれるだろう・他に逃げ方があるだろうと思う。しかし、彼に愚行を犯す権利はないのか。一方的に冷静な正しさを押し付けることは、まるで西洋国家が植民地に対して押し付けた様々な政治制度を想起させる。支配する側は自分にとって都合の良い秩序を押し付けているだけなのかも。そんなことを思った。

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    2018年05月02日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    さっぱりとした語り口で非常に読みやすい。短時間で読めてしまう。人びとが文化をつくるというような言葉が印象的だった。私はフェミニストは女性と男性の平等を目指すためにはお互いの力が必要であり、男性が我慢すればよいというものでもないという気持ちだったのでスッと納得することができる作品だった。

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    2026年09月22日
  • 鉄の時代

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    ネタバレ

    比喩、悲観的な詩、自己憐憫、独白
    まさにファーカイルや家政婦が感じたように、死にゆく老人が「手紙を読む娘」という視線を意識しながら書く文章は重くて湿っていて偽善らしいように感じた

    オランダ系入植者、白人目線からの「人はこうあるべき」という理想論を長ったらしく垂れたり
    冷酷な黒人に嫌悪感や畏怖を感じながらも擁護者の役割を演じ続けたり
    それでいながら安全圏に戻りたいと願ったり
    アメリカに逃がした娘を気遣っているフリをしながら、死により責任を逃れたあとは自分の苦しみを理解してほしがったり

    何度も安心と保護を与えてくれる母親的なものを求め、庇護者、少女になりたがっていた自分の本心と、白人であり富裕層であり擁護者、大人である社会的役割と葛藤していた

    ファーカイルだけは老人に何も期待をせずに、尊敬もせず、政治的な思想ももたずに老婆のヒステリックや高慢をからかったり、素直に侵害されたと感じたり、遠くとも直球に関係を築いていた
    それでも激動の時代、加害者側である白人の老婆に愛情が与えられることはなく、打ち解けた憐憫をもったファーカイルに抱きしめられるも鉄のように感じるだけだった

    老婆がやっと社会的役割の上下関係を、優しく寛容で老婆を矮小な子供として扱ってくる警察の介入により、理想の庇護者に位置することができたシーンが印象的
    拗ねた子供のように、荒らされた家、無視された理想論的姿勢、婦警に諦められながら荒れた地域に歩を進める老婆
    そこから、ファーカイルの子供のような素直さと打ち解けることに成功した

    分かりやすく善悪の構造で分けず
    反乱側も、政府側も、白人側も、どこと対比するかで善悪の構造が変わってくる
    簡単に読めない本だった
    独白がしめっぽすぎることによって、楽しくも、気持ちよくも読めず、それでも激動の時代を背景にした老婆の葛藤はページを進めてきて、重々しく退屈でも徒労とは感じないという不思議な読後感だった

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    2026年07月20日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    フェミニズムは社会運動としての連帯を示す言葉だったが、昨今ではある種の嘲笑を含んだレッテルと化し、女性の自立運動を阻む一因となっている。同じようなことが、他の様々な「発言しづらさ」引いては「生きづらさ」に繋がっている。違いを認め合うことと支え合うことは互いに相容れないものではない。平明な言葉で書かれているが、現代とこれからを生きる人々への力強いメッセージ。

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    2026年02月15日
  • その国の奥で

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    ネタバレ

    クッツェーの第2作目で、若い時の作品とのこと。
    現実と妄想が混じり合って、何が現実に起こったことなのかわからないまま進んでいく。父親の死以降はストーリーがはっきりする気もするけど、それも本当なのかどうかわからない。奴隷にレイプされながら、愛されるために必死になる主人公が痛々しい。

    訳者の解説もピンとこなかった。アフリカの農場の風景が具体的に想像できないせいか、「自然を描く筆遣いに…荒削りな詩情が感じられる」が私にはよくわからないのと、作品の背景にある言語の多様性みたいなものが、全部日本語なので感じとりにくいのが残念。

    次はもっと後期の作品を読んでみたいかな。

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    2025年05月12日
  • パープル・ハイビスカス

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    アディーチェのデビュー作。カトリック教徒の父親の厳しいしつけと懲罰。宗教的不寛容さは自身の父親にまで徹底している。家庭内の暴力には目を覆いたくなるほどだが、社会的貢献や寄付は成功者に相応しく義務を果たし、政治には改革的だ。ナイジェリアと西欧の宗教・文化が入り混じった複雑な社会が見えてくる。作者の故郷のエヌグにも一度行ってみたいが難しいだろうな。タイトルのパープルハイビスカスは新種で、自由な思想の象徴になっている。

    訳者あとがきを読み、アディーチェのTEDでのジェンダー・フェミニストについての講演をYouTubeでみた。誰もが居心地のいい話題ではないかもしれないテーマを、軽快に、わかりやすく話していく。文化のくだりはさすが。ナイジェリアで女性を無視して男性にだけ挨拶するウエイターや、女性らしい服を着たくても真剣に受け止めてほしくて女性らしさをおさえてしまうことなど、わかる。ジェンダーと階級とは抑圧が形を変えたもの、と。妥協、そんなもの、となる自分を省みた。

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    2025年04月06日