くぼたのぞみのレビュー一覧
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たまーに出会う、”泣きながら一気に読みました”の類の小説。上巻は1週間と10時間のフライトでコツコツ読んだが、下巻は10時間のフライトで読み終わった。熱にうなされるように。行ったこともないラゴスの太陽や、アメリカ白人のパーティーの様子が、次々と現れては消えていった。
小説家によって短編と長編の得意...続きを読むPosted by ブクログ -
J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。
1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違い...続きを読むPosted by ブクログ -
戦争はある日突然始まるものではなく、じわじわと気づいたら日常生活に入ってくるのだなと。長いけど読みやすくとても面白い。
カイネネの台詞が印象に残る。
「愛がほかのものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。なにかを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから」Posted by ブクログ -
「わたし自身の、フェミニストの定義は、男性であれ女性であれ、『そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ』という人です」という言葉。「女」というジェンダーに偏らず、どんな人でも、いろんな人が呼吸を楽に生きられるよう考えていきたいよね?という、緩くてポ...続きを読むPosted by ブクログ
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わたし自身の、フェミニストの定義は、男性であれ女性であれ、「そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよ」、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という人です。
女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけないのですから。
ー本文より引用
著者はアフリカ人小説家。彼女の著者で私が読んだこ...続きを読むPosted by ブクログ -
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。
アフリカからアメリカに渡って、自己のアイデンティティを見つめる移民文学。アフリカの苦しみを伝えるストーリー。
僕自身が、そんなステレオタイプで彼女の作品を捉えようとしていないかと、自問する。
この短編集は、そんな簡単に括ることはできない。
これまで無知であった...続きを読むPosted by ブクログ -
腐敗しきった政権のナイジェリアが舞台。
カトリックの正義、歪んだ愛、社会的には成功者の父が家族を抑圧する。カンビリと兄のジャジャが叔母の家で知った自由は父の元で息を詰めて暮らす生活に疑問を抱かせる。16歳のカンビリがいとことの友情や神父への愛に気付き成長していく。瑞々しい風景描写や気持ちの表現などこ...続きを読むPosted by ブクログ -
主人公である15歳の少女カンビリ目線で書かれているからか、とても読みやすかったけれど、内容は容赦なかった。
社会的にはビジネスで成功し、寄付などで社会貢献もするお父さんなのに、凄まじい家庭内暴力者。でもそれもキリスト教の教えに倣っているだけで、罰を与えたあと本人は涙を流して、子供たちに愛してるとい...続きを読むPosted by ブクログ -
ナイジェリアの文学
人物名や風物も未知のものばかり
主人公カンビリ(15歳)は大金持ちのお嬢さんだが一代で成功した父親ユジーンはイギリスのミッションスクールで徹底した教育を受けた 容赦ない神への信仰と懲罰
ユジーンは方々へ多額の寄付献金を惜しまない
が家庭内では家族へ凄まじい暴力を振るう家長である...続きを読むPosted by ブクログ -
やわらかな言葉で、わたしたちの透明人間化してしまうもやもやを明確に言語化してくれる本。
男も女も、盲目になってしまっている前提をきちんと見れば、社会の産物、文化はこれからも変えていけるはず。Posted by ブクログ -
彼女のTED Talksが好きで、〈The danger of a single story. 〉と〈We all should be feminists.〉を過去に何度も聴いていたのだけど、最近、友人がおすすめしていたこの本の筆者が彼女だと知って手に取った。
私もシングルストーリーしか知らずにア...続きを読むPosted by ブクログ -
ブロガーさんが勧めていて興味を持ち購入。
私はフェミニストなのだと思うけど、きちんと調べたこともないし勉強もしてない、世の動きやニュースを見てそうなのかなと思っていたので、知るところからはじめようと手を出しました。
TEDトークを文に起こしたものなので、大変読みやすく、著者の実体験に基づいたエピソ...続きを読むPosted by ブクログ -
ナイジェリア出身のグローバルレベルの超エリート著者が書いた短編小説集。たくさんの「違い」や「断絶」が多層的に展開される。それぞれの主人公は、染まる方が、もしくは染まっているふりをする方が社会的に有利で楽だろうと思われる価値観に馴染むことのできないがんこさを持っている。もしくはその価値観が自分たちのも...続きを読むPosted by ブクログ
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いろんな人に勧めたい本
著者や著者の周りの女性の体験が、自分の体験と重なり悔しい気持ちを思い出した。
本も読みやすい文体でもちろんいいけど、YouTubeに上がっているTEDでの実際のスピーチも素晴らしかった。
決して攻撃的な語り口ではなく、それでいて見事に本質をつく。
著者の小説も読みたい。Posted by ブクログ -
ラブストーリー。
その中にハッとさせられる人種差別のことが盛り込まれている。
「あなたが「肌色」という色調のバンドエイドが自分の肌の色ではないことを知っていますか?」
人種差別がこんなに複雑だなんて知らなかった。
今まで何も知らなかったんだな(恥)Posted by ブクログ -
去年『なにかが首のまわりに』で初めてアディーチェという作家を知り、この『アメリカーナ』で彼女の著作を二作読んだことになります。
そして思うのは、この人の視点とそれを表現する感性はとても瑞々しくて、読めば読むほど自分の中に新しい風を吹き込んでくれるということです。
『なにかが首のまわりに』『アメリ...続きを読むPosted by ブクログ -
ずっと読みたいとは思ってたけど見たことがなくて。実際に見てみたら予想の数倍小さくて読み易くて、よかった!!
冒頭の、周りがフェミニストとは〇〇の意味だ」というマイナスイメージを彼女に突きつけていくたびに、「わたしは『男嫌いでなく、男性のためではなくて自分のためにリップグロスを塗ってハイヒールを履く、...続きを読むPosted by ブクログ -
文章を通して全く異なる文化に触れられたことが切実に嬉しい。
しかし内容はかなり胸が痛い。
女性はこうも運命を選択できないものなのか。
宗教や国などの違いから生じる摩擦がナチュラルに描かれている。
日本にはここまでのすれ違いはないし、ある程度女性も社会的に活躍できている気がするけど、だからと言って日...続きを読むPosted by ブクログ -
かく言う自分ももう20年以上生きているわけで、多少なりとも世界のことも分かったつもりでいました。しかしこの小説を読んで、自分はいかに何も分かっていなかったのか、と思い知らされた気がしました。
この本の著者はチママンダ・ンゴズィアディーチェという、ナイジェリア出身の女性。そんな彼女の感性で描かれ...続きを読むPosted by ブクログ -
多分この作家は遠からずノーベル文学賞受賞するんじゃないかな。英語で書いているなら、ブッカー賞も…
オデニボが崩れてゆく様が痛ましい。どこの国でもいざとなると女は強い。カイネネを失っても、オランナはオランナだろう。リチャードはどうだろう。ナイジェリアに残るのか。結局本を書き上げることはできないだろう。...続きを読むPosted by ブクログ