くぼたのぞみのレビュー一覧

  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    くぼたのぞみと斎藤真理子の雑誌でのやりとりを書籍にしたものであるからとても読みやすい。雑誌「すばる」は大学生はほとんど読まない雑誌であるので、こうした書籍が出ることえ、韓国文化について触れている内容を読むことには意義があると思われる。

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    2025年11月08日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    ハードカバー・二段組みで500ページ弱の長編…、なかなか読む時間がなかったけど、、。
    四月。突然の入院の事態に、この本を病院のベッドの上で読み続けた。

    この物語は1960年代のナイジェリアが舞台。
    1960年にイギリスから独立したナイジェリアだったが、国家権力をめぐる争いに国は不安定な状況にあった。
    1967年には東部のイボ人を中心とした人々が「ビアフラ」国を宣言。ナイジェリアはビアフラの分離独立をめぐる内戦に突入した。

    すぐに終わると思われた戦争は3年にも及び、ビアフラでは戦闘や飢餓で亡くなった人々の数は正確に知られていないものの、作中でも百万人以上にのぼるとされている。
    本書で節目ごと

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    2025年09月13日
  • 鉄の時代

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    アパルトヘイト末期の南ア。末期ガンの70歳女性が娘に綴る手紙。恥や真実のない鉄の時代で幻の絆の為に死ぬ子どもたちを救えぬ絶望、娘に会えない孤独感。刺さることばに漂う内に迎える最後の場面。鉄の時代の足音が聞こえる現代に読むべき傑作

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    2025年09月05日
  • なにかが首のまわりに

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    それぞれの短編の読後は、スッキリしない。でも、実際、スッキリ物事が完結することなんてないなと気付く。

    主人公である女性たちの、繊細な心の動き・機微がジワジワと侵食するように、スッと染み入るように入ってくる。

    様々な人間関係、人が入り組む社会、身の回りの近い社会を、価値観の違い、アフリカに対するステレオタイプ、白人、男性、長男、男性、学歴、宗教、部族、教育。
    対立させるわけではないけれど、女性の立場、母の立場、妻の立場が弱い。
    ナイジェリアの文化、アメリカとナイジェリアを行き来する女性たちの心情を思う。

    今のナイジェリアをもっと知ってみたい。
    アディーチェの本をもっと読んでみたい。

    すご

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    2025年08月09日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    この作品を読むまで、ナイジェリアのことも、ビアフラ戦争のことも知らなかった。

    幸せも不幸せもすべて、戦争、暴力は破壊して去ってしまう。あとには憎しみ、悲しみが残るだけだ。つくづく、戦争をしてはいけない、暴力はあってはならないと思った。

    人間の本来の美しさ、賢さ、その対極にあるのが、戦争、暴力である、とつくづく感じた。

    しかし、現在も、戦争が世界の各地で起こされている。どれだけ多くの人々が憎しみと悲しみにまみれていることか。

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    2024年08月04日
  • なにかが首のまわりに

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    久々の翻訳小説。
    ナイジェリアの内情、大学時代に授業で聞いたことあったかもなあと思いながら、そのくらい薄ぼんやりした知識しか無いのに、何故か身近に感じる筆致で、この作者の方、天才だなあと思った。

    あとがきを読んでみても、天才的にかっこいい方だなという印象。訳者の方も、同じ大学出身なのにこうも違う人生、キャリア、、、と思ってしまう、尊敬。
    他の作品も読んでみたい。

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    2024年06月20日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。


    1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違いの二人は、元々藤本和子の本を復刊させたいという熱意を持つ女性翻訳者と編集者たちの集まり、〈塩を食う女の会〉での飲み友だちだという。
    そんなわけで、本書は翻訳者としてのスタートから藤本さんに師事していたくぼたさんと、ブローティガンの訳書より先に『塩を食う女たち』に出会っていたリアルタイム読者の斎藤さん

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    2024年03月14日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    戦争はある日突然始まるものではなく、じわじわと気づいたら日常生活に入ってくるのだなと。長いけど読みやすくとても面白い。
    カイネネの台詞が印象に残る。
    「愛がほかのものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。なにかを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから」

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    2023年11月19日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    「わたし自身の、フェミニストの定義は、男性であれ女性であれ、『そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ』という人です」という言葉。「女」というジェンダーに偏らず、どんな人でも、いろんな人が呼吸を楽に生きられるよう考えていきたいよね?という、緩くてポジティブなバイブレーションを感じる。しみじみ、よいスピーチ。読めてよかった。

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    2023年11月05日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    わたし自身の、フェミニストの定義は、男性であれ女性であれ、「そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよ」、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という人です。
    女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけないのですから。
    ー本文より引用

    著者はアフリカ人小説家。彼女の著者で私が読んだことがあるのはパープルハイビスカスだけだが、その本が良かったので、また著書を事前に読んで受け取ったメッセージから、本書の本題「フェミニスト」を彼女がどのように取り上げて語るのか。興味があったので読んだのです。
    とても読みやすい!明朗快活に自身のフェミニストとしてのあり方を語っている。
    「男嫌いではなく

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    2023年06月19日
  • なにかが首のまわりに

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    チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。
    アフリカからアメリカに渡って、自己のアイデンティティを見つめる移民文学。アフリカの苦しみを伝えるストーリー。
    僕自身が、そんなステレオタイプで彼女の作品を捉えようとしていないかと、自問する。
    この短編集は、そんな簡単に括ることはできない。

    これまで無知であったナイジェリアに関する出来事を知るきっかけになったが、それ以上に何よりも物語の力に持って行かれた。苦悩を抱えて生きる人の心の震えを描く繊細さと、ナイジェリアの同世代と世界の両方に意識の変容を迫る揺るぎない力強さが、十二の短編に満ちている。
    心が苦しくなる幕切れも多いが、一冊読み終わった後にはポジティブ

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    2023年04月09日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    腐敗しきった政権のナイジェリアが舞台。
    カトリックの正義、歪んだ愛、社会的には成功者の父が家族を抑圧する。カンビリと兄のジャジャが叔母の家で知った自由は父の元で息を詰めて暮らす生活に疑問を抱かせる。16歳のカンビリがいとことの友情や神父への愛に気付き成長していく。瑞々しい風景描写や気持ちの表現などこちらにぐいぐいとせまってきた。訳もわかりやすく原語そのままカタカナにしてあるところなど雰囲気が伝わってきて素晴らしい。

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    2022年08月14日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    主人公である15歳の少女カンビリ目線で書かれているからか、とても読みやすかったけれど、内容は容赦なかった。

    社会的にはビジネスで成功し、寄付などで社会貢献もするお父さんなのに、凄まじい家庭内暴力者。でもそれもキリスト教の教えに倣っているだけで、罰を与えたあと本人は涙を流して、子供たちに愛してるという。とても複雑だ。

    主人公が人間味を取り戻し、様々な感情を体験する姿は、こちらも心が晴れやかになった。お兄ちゃんはあの後どんな大人になるのだろう。少し心配になった。

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    2022年06月30日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    やわらかな言葉で、わたしたちの透明人間化してしまうもやもやを明確に言語化してくれる本。
    男も女も、盲目になってしまっている前提をきちんと見れば、社会の産物、文化はこれからも変えていけるはず。

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    2022年02月13日
  • なにかが首のまわりに

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    ネタバレ

    彼女のTED Talksが好きで、〈The danger of a single story. 〉と〈We all should be feminists.〉を過去に何度も聴いていたのだけど、最近、友人がおすすめしていたこの本の筆者が彼女だと知って手に取った。

    私もシングルストーリーしか知らずにアフリカを思い描いていたことを思い知らされる。

    ナイジェリアの人の名前は「ン」から始まるものが多いのかな。そもそも日本語で「ン」から始まる単語はないし、その音を正しく捉えてはいないんだろうな。一体どんな響きなんだろう。

    色んな短編があったけど、言葉にならない違和感の奥で、本当の私が死んでいくような

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    2021年07月28日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    ブロガーさんが勧めていて興味を持ち購入。
    私はフェミニストなのだと思うけど、きちんと調べたこともないし勉強もしてない、世の動きやニュースを見てそうなのかなと思っていたので、知るところからはじめようと手を出しました。

    TEDトークを文に起こしたものなので、大変読みやすく、著者の実体験に基づいたエピソードも多く理解しやすかった気がします。
    気がするのは、すんなり読んだだけなので、自分から同じようにアウトプットできるかというとそこまではまだ到達出来ません。

    日本のSNSのフェミニズムムーブを見ると、
    フェミニストを侮辱する人、フェミニズムを誤解してフェミニズムを推そうとする自称フェミニスト、フェ

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    2021年03月22日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリア出身のグローバルレベルの超エリート著者が書いた短編小説集。たくさんの「違い」や「断絶」が多層的に展開される。それぞれの主人公は、染まる方が、もしくは染まっているふりをする方が社会的に有利で楽だろうと思われる価値観に馴染むことのできないがんこさを持っている。もしくはその価値観が自分たちのものと、どれだけどのように違うかを感じる繊細さを持っている。そこに共感するし、魅力を感じる。二項対立とかじゃなくて多様性(ダイバーシティ)の世界の文学。今はみな多様性の中に生きてるので、誰でも何かに引っかかりそう。ナイジェリアとアメリカ、男女とかだけじゃなく、「違い」は多層的。ナイジェリア国内の貧富、

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    2021年03月16日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    いろんな人に勧めたい本
    著者や著者の周りの女性の体験が、自分の体験と重なり悔しい気持ちを思い出した。
    本も読みやすい文体でもちろんいいけど、YouTubeに上がっているTEDでの実際のスピーチも素晴らしかった。
    決して攻撃的な語り口ではなく、それでいて見事に本質をつく。
    著者の小説も読みたい。

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    2021年02月25日
  • マイケル・K

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    学生の時に購入して最初の方だけ読んで放置していました。大人になってから久しぶりに開いたところ、一気に読んでしまいました。難しいところもありましたが、引き込まれる本です。当時の南アについてきちんと調べた上で、もう一度読みたいです。

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    2021年02月18日
  • アメリカーナ 下

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    ラブストーリー。
    その中にハッとさせられる人種差別のことが盛り込まれている。
    「あなたが「肌色」という色調のバンドエイドが自分の肌の色ではないことを知っていますか?」

    人種差別がこんなに複雑だなんて知らなかった。
    今まで何も知らなかったんだな(恥)

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    2020年07月18日