くぼたのぞみのレビュー一覧

  • なにかが首のまわりに

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    あまり詳しく知らない遠い国で、時代も文化も違うけれど、抱える苦しみというのは日本にいる私たちも感じることがあるものだと思った。
    本人は無自覚に、善意のなかに混じる傲慢さ。

    特に、最後の"がんこな歴史家"のお話が好きだった。

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    2026年03月30日
  • マイケル・K

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    マイケルは即身仏か

    宗教は、このようにして生まれるのかもしれない、と思いながら読んだ。
    Kは即身仏になりかけた。小説の舞台である南アフリカに「仏」という概念がないのなら、神に近づいたと言っていいような宗教性を帯びた生き方をする。俗世を離れ、自然に還ることをひたすら望み、食べずに骨と皮ばかりになり、死の間際まで生きた。
    Kが火葬される母を想像する場面はこう描かれている。「まず髪が光輪を描く炎に包まれ、しばらくすると全身に炎が回って最後のひとかけらに至るまで燃え尽きて崩れ落ちる」。光輪は「神」を思わせる。母は言っては悪いが俗物だが、マリアと重なる。
    第2章では、医師がKを崇拝するようになる。Kは

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    2026年03月27日
  • 鉄の時代

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    ネタバレ

    クッツェーは読みやすいのに深くて、文章を書くのがものすごく上手いなといつも思います。

    同じ都市にいきながら、若くして未来を奪われる黒人の若者たちと、病気に蝕まれているとはいえ長い生涯を終えようしている主人公の2つの世界が一つに交差し、自分の国の現実は知っていたものの、身近なところでショッキングな形で傷つけられる黒人少年を目の当たりにして衝撃を受けた女性が、手紙という形で自らの体験とその無力さを言葉にして残すというのが、小説全体を手紙形式にしていることも含めてすごく緻密に作られているなと思いました。

    この作品、後の時代から振り返って書かれたものではなくて、アパルトヘイト後期の時期に書かれたと

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    2026年03月16日
  • 鉄の時代

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    ネタバレ

    はじめて読んだ クッツェーの文章は、
    解説にくぼたのぞみさんが、「アリュージョン(暗示)とことばの連載」と書いているように とてつもなく知的で美しく、詩的にも感じられるところもあり、読むのはすてきなことでした。

    南アフリカ、ケープタウンに住む白人の元大学教授の女性(ミセス・カレン)が アメリカに住む一人娘に宛てて書く手紙、書簡体で描かれています。

    手紙は、家の通路で浮浪者が眠っているのを見つけてしまったことから始まる。その日は医師から末期の癌であることを知らされた日だった。
    この浮浪者の男ファーカイルと彼の犬は ミセス・カレンと深く関わってゆくことになる。

    カレンの家には黒人の家政婦フロ

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    2026年03月10日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    フェミニストって何?という疑問で、この本を手に取った。あっ、これも自分の中にある偏見だったのかの連続。もっと足元を見直さなければと思う。

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    2026年01月24日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    くぼたのぞみと斎藤真理子の雑誌でのやりとりを書籍にしたものであるからとても読みやすい。雑誌「すばる」は大学生はほとんど読まない雑誌であるので、こうした書籍が出ることえ、韓国文化について触れている内容を読むことには意義があると思われる。

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    2025年11月08日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    ハードカバー・二段組みで500ページ弱の長編…、なかなか読む時間がなかったけど、、。
    四月。突然の入院の事態に、この本を病院のベッドの上で読み続けた。

    この物語は1960年代のナイジェリアが舞台。
    1960年にイギリスから独立したナイジェリアだったが、国家権力をめぐる争いに国は不安定な状況にあった。
    1967年には東部のイボ人を中心とした人々が「ビアフラ」国を宣言。ナイジェリアはビアフラの分離独立をめぐる内戦に突入した。

    すぐに終わると思われた戦争は3年にも及び、ビアフラでは戦闘や飢餓で亡くなった人々の数は正確に知られていないものの、作中でも百万人以上にのぼるとされている。
    本書で節目ごと

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    2025年09月13日
  • 鉄の時代

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    アパルトヘイト末期の南ア。末期ガンの70歳女性が娘に綴る手紙。恥や真実のない鉄の時代で幻の絆の為に死ぬ子どもたちを救えぬ絶望、娘に会えない孤独感。刺さることばに漂う内に迎える最後の場面。鉄の時代の足音が聞こえる現代に読むべき傑作

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    2025年09月05日
  • なにかが首のまわりに

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    それぞれの短編の読後は、スッキリしない。でも、実際、スッキリ物事が完結することなんてないなと気付く。

    主人公である女性たちの、繊細な心の動き・機微がジワジワと侵食するように、スッと染み入るように入ってくる。

    様々な人間関係、人が入り組む社会、身の回りの近い社会を、価値観の違い、アフリカに対するステレオタイプ、白人、男性、長男、男性、学歴、宗教、部族、教育。
    対立させるわけではないけれど、女性の立場、母の立場、妻の立場が弱い。
    ナイジェリアの文化、アメリカとナイジェリアを行き来する女性たちの心情を思う。

    今のナイジェリアをもっと知ってみたい。
    アディーチェの本をもっと読んでみたい。

    すご

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    2025年08月09日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    この作品を読むまで、ナイジェリアのことも、ビアフラ戦争のことも知らなかった。

    幸せも不幸せもすべて、戦争、暴力は破壊して去ってしまう。あとには憎しみ、悲しみが残るだけだ。つくづく、戦争をしてはいけない、暴力はあってはならないと思った。

    人間の本来の美しさ、賢さ、その対極にあるのが、戦争、暴力である、とつくづく感じた。

    しかし、現在も、戦争が世界の各地で起こされている。どれだけ多くの人々が憎しみと悲しみにまみれていることか。

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    2024年08月04日
  • なにかが首のまわりに

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    久々の翻訳小説。
    ナイジェリアの内情、大学時代に授業で聞いたことあったかもなあと思いながら、そのくらい薄ぼんやりした知識しか無いのに、何故か身近に感じる筆致で、この作者の方、天才だなあと思った。

    あとがきを読んでみても、天才的にかっこいい方だなという印象。訳者の方も、同じ大学出身なのにこうも違う人生、キャリア、、、と思ってしまう、尊敬。
    他の作品も読んでみたい。

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    2024年06月20日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。


    1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違いの二人は、元々藤本和子の本を復刊させたいという熱意を持つ女性翻訳者と編集者たちの集まり、〈塩を食う女の会〉での飲み友だちだという。
    そんなわけで、本書は翻訳者としてのスタートから藤本さんに師事していたくぼたさんと、ブローティガンの訳書より先に『塩を食う女たち』に出会っていたリアルタイム読者の斎藤さん

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    2024年03月14日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    戦争はある日突然始まるものではなく、じわじわと気づいたら日常生活に入ってくるのだなと。長いけど読みやすくとても面白い。
    カイネネの台詞が印象に残る。
    「愛がほかのものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。なにかを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから」

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    2023年11月19日
  • なにかが首のまわりに

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    チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。
    アフリカからアメリカに渡って、自己のアイデンティティを見つめる移民文学。アフリカの苦しみを伝えるストーリー。
    僕自身が、そんなステレオタイプで彼女の作品を捉えようとしていないかと、自問する。
    この短編集は、そんな簡単に括ることはできない。

    これまで無知であったナイジェリアに関する出来事を知るきっかけになったが、それ以上に何よりも物語の力に持って行かれた。苦悩を抱えて生きる人の心の震えを描く繊細さと、ナイジェリアの同世代と世界の両方に意識の変容を迫る揺るぎない力強さが、十二の短編に満ちている。
    心が苦しくなる幕切れも多いが、一冊読み終わった後にはポジティブ

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    2023年04月09日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    腐敗しきった政権のナイジェリアが舞台。
    カトリックの正義、歪んだ愛、社会的には成功者の父が家族を抑圧する。カンビリと兄のジャジャが叔母の家で知った自由は父の元で息を詰めて暮らす生活に疑問を抱かせる。16歳のカンビリがいとことの友情や神父への愛に気付き成長していく。瑞々しい風景描写や気持ちの表現などこちらにぐいぐいとせまってきた。訳もわかりやすく原語そのままカタカナにしてあるところなど雰囲気が伝わってきて素晴らしい。

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    2022年08月14日
  • パープル・ハイビスカス

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    ネタバレ

    主人公である15歳の少女カンビリ目線で書かれているからか、とても読みやすかったけれど、内容は容赦なかった。

    社会的にはビジネスで成功し、寄付などで社会貢献もするお父さんなのに、凄まじい家庭内暴力者。でもそれもキリスト教の教えに倣っているだけで、罰を与えたあと本人は涙を流して、子供たちに愛してるという。とても複雑だ。

    主人公が人間味を取り戻し、様々な感情を体験する姿は、こちらも心が晴れやかになった。お兄ちゃんはあの後どんな大人になるのだろう。少し心配になった。

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    2022年06月30日
  • なにかが首のまわりに

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    ネタバレ

    彼女のTED Talksが好きで、〈The danger of a single story. 〉と〈We all should be feminists.〉を過去に何度も聴いていたのだけど、最近、友人がおすすめしていたこの本の筆者が彼女だと知って手に取った。

    私もシングルストーリーしか知らずにアフリカを思い描いていたことを思い知らされる。

    ナイジェリアの人の名前は「ン」から始まるものが多いのかな。そもそも日本語で「ン」から始まる単語はないし、その音を正しく捉えてはいないんだろうな。一体どんな響きなんだろう。

    色んな短編があったけど、言葉にならない違和感の奥で、本当の私が死んでいくような

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    2021年07月28日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリア出身のグローバルレベルの超エリート著者が書いた短編小説集。たくさんの「違い」や「断絶」が多層的に展開される。それぞれの主人公は、染まる方が、もしくは染まっているふりをする方が社会的に有利で楽だろうと思われる価値観に馴染むことのできないがんこさを持っている。もしくはその価値観が自分たちのものと、どれだけどのように違うかを感じる繊細さを持っている。そこに共感するし、魅力を感じる。二項対立とかじゃなくて多様性(ダイバーシティ)の世界の文学。今はみな多様性の中に生きてるので、誰でも何かに引っかかりそう。ナイジェリアとアメリカ、男女とかだけじゃなく、「違い」は多層的。ナイジェリア国内の貧富、

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    2021年03月16日
  • マイケル・K

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    学生の時に購入して最初の方だけ読んで放置していました。大人になってから久しぶりに開いたところ、一気に読んでしまいました。難しいところもありましたが、引き込まれる本です。当時の南アについてきちんと調べた上で、もう一度読みたいです。

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    2021年02月18日
  • アメリカーナ 下

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    ラブストーリー。
    その中にハッとさせられる人種差別のことが盛り込まれている。
    「あなたが「肌色」という色調のバンドエイドが自分の肌の色ではないことを知っていますか?」

    人種差別がこんなに複雑だなんて知らなかった。
    今まで何も知らなかったんだな(恥)

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    2020年07月18日