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内戦下の南アフリカ.手押し車に病気の母親を乗せて,騒乱のケープタウンから内陸の農場をめざすマイケル.内戦の火の粉が飛びかう荒野をひたすら歩きつづける彼は,大地との交感に日々を過ごし,キャンプに収容されても逃走する.……国家の運命に巻き込まれながら,精神の自由を求めて放浪する一個の人間のすがたを描く,ノーベル賞作家の代表作.
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Posted by ブクログ
学生の時に購入して最初の方だけ読んで放置していました。大人になってから久しぶりに開いたところ、一気に読んでしまいました。難しいところもありましたが、引き込まれる本です。当時の南アについてきちんと調べた上で、もう一度読みたいです。
道に 迷ったり 雑念で 自分を見失いそうになったとき きっと 自分を洗い出してくれる 一冊 極限ハングリーに自由に生きてみること 農場での溢れるような行動力 よわっちい現代人の私は見習う点 多々でした
これほど読むのが苦しい本は久しぶりだった。それでもこの苦しさはいったい何なんだ。という思いが高まり続けて、高まったまま読み終わった。 しかし最後まで読んでも全然、釈然としなくてまだ悶々としてしまう。 ひとつだけはっきりしているのは、私は、小説を読むということを、あるいは生きるということそのものについ...続きを読むて、狭く捉えすぎていたのではないか、前提を取り違えていたのではないか、と思い始めさせられたということ。
身体的にも、家庭的にも、生きている地域としても恵まれてはいない主人公が、ごくあたりまえに自由な生活を目指す。難民キャンプでは毎日労働に出ていくのが当たり前とされているが、自分は働きたい時だけ働く、と。脱走。主人公の頭の中は特段変人とは思えず共感できるのだが、自由に暮らすために孤独を極めていく。
クッツェーの作品は、いつも読後に何かが残る。 長いわけでも、読みにくいわけでもないのに、読むのに時間がかかった。意味の理解できない一文で立ち止まったり、見たことのない南アフリカの砂漠の風景を思い浮かべたりしながら少しずつ進んだ。 一人で野菜を育てながら、時間の感覚を失って段々と夢と現実が混ざり合って...続きを読むいくシーンが印象的だった。
これがクッツェー初読みで、南アフリカの作家ってチュツオーラみたいな感じかね、と思ったら全く違った。正統派の端正な文学。 主人公のマイケルは、いろんなものから支配を受ける。耐えられなくなると、何もかも放り出して原野に逃げていく。第三者視点で見ると、もっと上手くやれるだろう・他に逃げ方があるだろうと...続きを読む思う。しかし、彼に愚行を犯す権利はないのか。一方的に冷静な正しさを押し付けることは、まるで西洋国家が植民地に対して押し付けた様々な政治制度を想起させる。支配する側は自分にとって都合の良い秩序を押し付けているだけなのかも。そんなことを思った。
アフリカ出身の作家による小説を読む機会は少ないかもしれません。遠い国の話で背景が良く分からず、感情移入がしづらいこともあるでしょう。 だからこの本を読む前に、作家が南アフリカ出身で、1983年に発表されたこと。その頃は、まだアパルトヘイト制度が確固としたものであった、というような背景を把握してから...続きを読む臨んだ方が良い、という考え方もあるでしょう。 しかし、遠い国の文学作品が読まれるのは、主題に普遍性があるからだと思います。この作品を手にとって感じるいくつかの突起のようなものには、自由の希求、母親、生まれた土地への思い、といったものが含まれています。 自由については、こんなセリフが印象に残りました。 「きみがたったいま目指している畑(ガーデン)はどこにもない場所・・・・君が属するたったひとつの場所の別名なんだろ・・・・そこへ至る道は君だけが知っているんだ」 あとがきで知りましたが、クッツエーも自宅で段々畑を作っていたようです。
本書が書かれた80年代の南アといえば、アパルトヘイト政策に対する非難による国際的な孤立と内戦という、国民にとっては大変厳しい時代だったのだろうと想像する。本書にも随所に戦争が色濃く表現されているけれども、主人公が直接戦争に関わっているという訳ではない。主人公は兵士でなく通常の市民だが、そこに描かれて...続きを読むいるのは主人公の闘いであり、主人公が求めているのはごく普通の自由なのだ。しかしどうしても自由を得ることができない主人公は衰弱していく。それでも、死ぬ自由さえ得ることができないのだ。このような主人公の姿が気高く、美しく感じられるのは何故なのだろうか。
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