吉田悠軌のレビュー一覧
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怪談サークル『とうもろこしの会』の吉田悠軌会長が、『とうもろこしの会』から2012年と2016年に同人誌として販売したものを、2017年PHP研究所から一般流通したもの。
タイトルは『一行怪談』ですが、読んでみると「一行」ではなくて「一文」でしたね。
1ページ毎の中央に、一文が置かれていて、まるで自己啓発的な名言集のような体裁です。
内容は、怪談らしい怪談もあり、読む人が怪談だと思えば怪談なのもあり、怪談じゃなくてポエムじゃないかというものもあり、という感じ。
ポエムではないものは、長い怪談の始まりの一文のようでもあるし、長い怪談の一番盛り上がる直前の一文のようでもあり、という感じがしました。それって、読む人が想像出来る一番いいところ、ですよね。
一ページに一文は、余白が多いこともあり、自分の場合、正確に時間を計ってはいないですけど、一文毎に1分くらいの間、想像を膨らませて楽しみました。 -
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怪談サークル「とうもろこしの会」会長、吉田悠軌さんの怪談本。
巷にあふれる怪談本の中でも、吉田悠軌さんの本には一目置いている。
不思議で奇妙な体験談だけでなく、実在する地名や場所、そこにまつわる逸話なども詳しく語ってくれる話が多いからだ。
山梨県にある呪いの御神木なんて、彼の怪談を聞いたあとに、実際に見に行ったりもした。
今回の収録作には、実在する地名が出てくる話こそなかったものの、一族の男性に祟る怨霊や、あるイケメン俳優の残留思念の話など、人名や神社名が具体的に記されている怪談もあり、想像が捗った。
今回の相談者から聞いた話と、過去に吉田さんが集めていた怪談話。それぞれに奇妙な共通点が見つかり、そこからさらに謎が深まっていく……。
そんなとき、著者はタイトルどおり「怖い話を聞かされた」と感じるのだという。
まるで怪談そのものが、自分に話を聞かせるために寄ってくるかのように。
そう考えると、なんとも怖い。
個人的には、終わらない火曜日を過ごしている娘を心配する父の話が印象に残っています。
実は私にも、探しても見つからない、声をかけても返事がない。なのに、ずっと同じ家の中にいたという経験があるのです。
何度も探したキッチンで、本人はずっと料理をしていたと言っていました。 -
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2026.09.08
恐怖をあおるような劇画的な表現がウソくさい気がして、これまで実話怪談を避けてきた。
大島てるさんの文章が、実話とはいえ正統派ミステリーのようでどれも引き込まれた。日比谷公園の話も京都の母親の話も、怖いけどつらくなる。村田らむさん大阪の話も怖いけど悲しい。実在の地名や事件名が出てくるので臨場感がある。これが実話だと思うと、怖くもあり、胸がしめつけられるように苦しくもなる。ある程度土地勘があるだけに、事件事故にまつわる心霊ものは本気でゾクっとした。
意外にも淡々とした文章が多くてとても引き込まれた。一話が短いのもいいね -
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怪談などの番組でよく見かける方々が書いた実話怪談集。国道1号線を舞台にしているという事で、読んでみました。
読んでいると地域によって怪談の質が違う気がした。地域性があるっていうのかな?上手く説明が出来ないんだけど…。東京から始まり西へ移動して行き、大阪が最終地点。それで余計に思ったのかな?
私は、黒木あるじさんの話が好きです。"敬う"という気持ちを大切にしたいと思いました。
1番怖いと思ったのは夜馬裕さんの『逝きて還りし天下の険』です。オチがとにかくゾッとしました。
ホラーは好きで、小説も読みます。今回読んだのは、怪談師をしている方々の実話怪談集。だから読むのではなく怪談師たちの語りを聞く方が良かったかな、と思いました。より怖さを増したかも。 -
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「山」をテーマにした実話怪談集です。
人物は仮名ですが、場所については
市町村レベルで明かされていて
そのリアルさにドキドキします。
「山」の神秘的な部分や古くからの歴史、
そして、人以外の動物たちも生息する場所で
あるという点が
「山」で起きる不思議なことに繋がってるのかな。
ある話の終盤の文章で
「我々は自分たちの場所を得るため、山を切り開き、
丘を崩し、そこにいたものたちを
追い出していった。
そうして生活を営んでいても、常に心のどこかで
恐れているのだ。いつか先住民たちがここに
帰ってくるかもしれない、と」
この文章がとても頭に残りました。
人が住みやすいように開発していますが
それが古くから山に住むモノたちにとっては
強い憎しみや怒りに変わり
ナニかを起こしてしまうのかなと。
この本の中では個人的に怖かった話は
自分の知っている人間のようになって
話しかけてくる別の得体の知れないナニカの話。
すごくゾワっとしました。
もし、その声に惑わされて応じてしまったら…
果たして何が起きるんだろう。 -
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TVをほとんど見なくなり、TwitterがXに変わった頃からSNSからも距離を置くようになった。
その影響もあって、私は最近のジャパンホラーにはすっかり疎くなっていた。
とはいえ、今さらランキングや星の数を頼る気にもなれない。ああいうものは、信頼できるようでいて驚くほど当てにならない。
結局のところ、数少ない「まだ信用できる人間」の言葉だけを頼りにするのが一番早い。
この本を手に取ったのも、そういう理由だ。信頼できる書き手である吉田会長の一冊。
本書は、「最近のジャパンホラーから取り残された人間」の感覚をアップデートするにはちょうどいい内容だった。
テレ東がいまだにフェイクドキュメンタリー路線を攻め続けていることを本書で知り、「Aロッソのがんばれ奥様ッソ」や「祓除」など気になった作品をいくつか調べてみたが、どれも惹かれるものがある。さすがテレ東。
あとホラー漫画で紹介されていたひよどり祥子氏の「死人の声をきくがよい」も好みだった。
一方で、個人的に一番面白かったのは作品そのものよりも梨氏との対談だった。
これまで何作か読んで「梨氏の作品は自分には合わないかもしれない」と感じていたが、彼の背景を知って、その理由が妙に腑に落ちた。
彼がSCP財団日本支部の立ち上げメンバーであると知れば、あの無味乾燥な文体も腑に落ちる。
梨氏の作品は起承転結のある物語ではなく、最初から“記録文書の延長”として読むべきものだと理解すると、むしろ楽しみ方が見えてくる。
そう思うと、読めなかったものが急に「読めるもの」に変わるのだから、人間の解釈なんていい加減なものだ。
ホラーというジャンルは時代に寄り添うジャンルだとよく言われる。
時代とともに形を変えていく。
だからこそ、こうした動向を定期的に追うことは、自分の感覚を鈍らせないためにも必要だと感じた。
この本は、そんな「感覚の更新」をさせてくれる一冊だった。