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今、なにが怖い? 人気作家、TVプロデューサー、映画監督、配信者など、日本のホラー文化最前線のクリエイターたちとともに考える論考集。
目次
1章 今、テレビだからこそ出せる「怖さ」 ――大森時生
2章 『近畿地方のある場所について』が明らかにしたヒットの要件 ――背筋
3章 文字の怪談、声の怪談 ――黒史郎
4章 インターネットで語られる怪談 ――かぁなっき 煙鳥
5章 回帰と拡散のホラーゲーム 2015-2024 ――向江駿佑
6章 汲めども尽きぬ「民俗ホラー」という土壌 ――澤村伊智 飯倉義之
7章 ほんとにあった! 心霊ドキュメンタリーの世界 ――寺内康太郎 心霊ビデオ研究会
8章 透明な私 ファウンド・フッテージの作り方 ――梨
9章 ブームからリバイバルへ ホラー漫画の40年 ――緑の五寸釘
【電子版特典】
テレビ東京60周年記念式典で開催されたイベント『祓除』についての座談会「『祓除』とはなんだったのか」(大森時生氏、寺内康太郎氏、梨氏、背筋氏)を収録。
※電子版のみの特典となります
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
TV番組、文芸、怪談、ゲーム、ネット動画、漫画といったさまざまなジャンルのホラーの現在の状況についての対談および批評。
『近畿地方のある場所について』の著者が自作について語る2章、ジャンルとしての民族ホラーについての6章、心霊ドキュメンタリーについての7章、ファウンド・フッテージについての8章がとりわけ面白かった。
複数の章で2ちゃんねるオカルト板「洒落怖」がベースと語られている。現代日本のホラーの重要なルーツの一つなのだろう。自分も一時期、もう10年とかそれくらい前に洒落怖や未解決事件まとめに熱中して深夜まで読み耽ったものだった。
都会からやってきたよそ者が閉鎖的な村の因習に巻き込まれて恐怖を体験する、といった民俗ホラー的な話が自分は好きなんだが、本書の話者たちの対談を読むとこれってオリエンタリズムだよな、とちょっと反省した。もっともフィクションとして楽しんでいるのであって実際にそんな場所があるとは思っちゃいないが。
答えを明示せず解釈を読者に考察させる作品は読者に負担を強いるから近々揺り戻しが起きるんじゃないか、という梨さんの発言に同意。後味の悪さ、据わりの悪さはホラーの醍醐味だと思うが、もう歳だから考察は面倒くさいし疲れるのでわかりやすく作ってくれ、という気持が自分にはある。イシナガキクエとか、不気味な雰囲気はあったけれど作品としては説明不足すぎて楽しめなかった。背筋さんは近畿地方について明確に解答を用意してあると本書で語っている。
Posted by ブクログ
ホラーというより、現代人がどういう時に不気味さとか違和感を感じるかクリエイター目線で語られてていて、今年読んだ本の中で1番面白かった。
発想の元となったコンテンツとか、どんな狙いがあったかを知れてワクワクした。
大森さん同い年か〜。。同じコンテンツ見ても全然違う視点もってそうで一回話してみたい!なぜテレビでやる意味があったのか語ってるところもめっちゃ解像度高くて納得感あったし、何より業界愛を感じられて良かった。
今朝聴いてたコテンラジオの最新話で、最も楽しいのは自分と違う視点で捉えてる仲間の感想聴いてアハ体験する時って語られてたの思い出した。読書会また参加してみようかな。
こういうニッチ市場の業界人が語る本は何となく避けてたけどこれからは食わず嫌いして読んでみる。
Posted by ブクログ
とても興味深かった。
吉田氏を始め、映像、書籍、ホラーというジャンルの第一線で活躍する豪華面々による徹底議論。
恐怖の中のどこに焦点を置くか。そしてどうアプローチしていくかの三者三様さに驚いた。
例えば、奥様ッソの大森氏は、不気味さや恐怖、そう言った嫌な気持ちを感じる時には余白が必要、つまり恐怖の正体が何であるかを明言してしまうと興醒め、という趣旨の発言をしている一方で、近畿地方~の背筋氏は、きっちりと答えを用意してある。怪異の由縁が分かりません、では話が成立しない。と、自論を述べている。
こういう造り手の意識の相違みたいな部分が作品に滲み出て、それがまた更に面白さのスパイスとして作用していくのだなぁ。と。
とは言え、彼等が作品を手がける上で共通する部分にリアリティがあり、それを生み出す上でこんなにも試行錯誤を繰り返しておられるのか…と、もうここは感謝の気持ちしか生まれなかった。その惜しみない努力のお陰で、私はあらゆるホラー作品を大いに楽しむ事ができているのだ。
フェイクドキュメンタリーであれば、最も効果的に恐怖へ説得力を持たせられる媒体はテレビであるとか。確かに、何気なく流し見をしていたテレビからどこか様子のおかしげなバラエティ番組が流れてきたら、それはとんでもなく不気味な出来事だ。思わず「これ…何?」とSNS等で拡散したくなるに違いない、そして興味を持った誰かが配信サイトで、見逃し配信を視聴する。…いや、正に私が同じような順でフェイクドキュメンタリーにハマったのだけど。こういう視聴者の心理を本当によく掴んでおられるのだなぁ…。(私がホラー好きでなければ文中で大森氏が危惧されていたように、フェイクだとは思わずこれらの番組を信じてしまうような事態が起きそうだが)
実話怪談に至っては、声で語る怪談、そして文章で語る怪談。ここにも様々な工夫が成されている事に感動。ある程度アドリブを効かせることで説得力を生み出す話す怪談、そして事実と異なる事を記すのは許されない文章の怪談。どちらにも難しさはあるのだと思うが、毎度しっかりヒヤリとさせられるから脱帽だ。
因習村に関する記述の中に、現虚の境目が分からなくなる読者や視聴者が出て来ている、とあった。私も少なからず(言い方が悪いが)寂れた集落や村、反対にその土地一帯に代表する大地主の家なんだろうなぁ…という大きな日本家屋を見つけたりするとつい、もしかして…?と邪推してしまう時がある。
フィクションはフィクション。何かと世知辛い現実社会を生きながら、その息抜きとして虚構の楽しさを存分に味わっていこうと、改めて。
長々とした感想になってしまったが、各クリエイターの皆様、本当に楽しいコンテンツを沢山世に送り出してくださって、そしてその作品を…
見つけさせていただいて、ありがとうございます───。
Posted by ブクログ
ホラーってなんか観ちゃうけどめちゃくちゃ面白いと思った事がない
と言いつつやはり観てしまう
本著を通して自分がホラーのどこに惹かれているのか何となくわかったような気がする
個人的には支離滅裂で断片だけリンクしてるっぽい話が好き
論理が通って全てに理由づけがされると萎える
嘘か本当かって議論はタブーだと思ったけど普通に嘘って言っちゃうのね
嘘って言わないと都合が悪いから言ってるだけみたいな解釈して持ち込んでくるやつがいるって話あったけどこれも面白い
何言っても打ち返せるじゃん
デジタルデータとして呪いを無限増殖させるって概念めっちゃ面白かった
Posted by ブクログ
動画や漫画や小説の一大ジャンルであるホラーにて、今何が怖いものとされているのか、それぞれのカテゴリでその怖いものがどういう変遷をだどってきたのかを作家やオカルト研究家として活躍している吉田悠軌氏がTVプロデューサー、映画監督、配信者などのクリエイター側の人たちと考えていく論考集
いずれの章もおもしろく読んだけれど、おもしろかったのは民俗ホラーの箇所だった。私は地方出身ということもあり、恐怖の対象=田舎と短絡的につなげられることを遺憾に思っていたのだけれど、なぜそういうつながりができるのかの理由の一端が示されていた
今は都会にいる人はすでに数代に渡って都会で暮らしている人が多く、田舎全体を怖いもの、やばいものとしがちで、その内実なんかはあまり想像されない。だから容易にその地域ごと恐怖の対象となってしまう、というのがなるほどなあと納得したんであった
ほかにもホラーはネットと相性がよく、だからこそ2ちゃんねる発祥のネット怪談などが隆盛を極めたみたいなこととかも書いてる。映画でも配信でもホラーものが好きな人は読んでみるといいかも
Posted by ブクログ
確固たる日常、正気や常識がおびやかされる不安や恐怖を楽しむのがホラーというエンタメなのだとしたら、現在の日本では、その日常の正気や常識を何がどういう方法でおびやかしているのかが一覧できる。怖い話は(後悔することになっても)「聞きたくなる」ものであり、「話したくなる」ものなのは、危機意識などによる本能的なものなのだろうが、それゆえに聞き手が次の話者になって拡散していく、つまり参加型であり共同制作されるジャンルという一面を持っている。そして日常をおびやかすものである以上、その怖い話の中で日常のリアルをどう保証するのかが、話者の腕の見せ所であり、それによってより聞く人をどれだけ怖がらせるかにかかってくる。ネットにより多くの人の参加が可能になり多くのホラーが発信され、より怖がらせる技術が磨きに磨かれているのが現在なのだろう。もともと特定の宗教観に支配されない無神論者なのが日本人なので、安直に黒魔術とかサタンとかに着地しない発想の自由さがある上に、基本的にどんなジャンルにおいても精巧な技術を極めるのがどうも得意な民族なので、「より本物らしく(したがって)怖い」を今はここまでひねって創っているのだなぁと感心する一方で、特に本書で言及されているわけではないのだが、たとえば怨念や情念のストレートな禍々しさなどは韓国もののほうがエグく感じる。他国のホラーの現在地で比較文化論なども読んでみたいと思った。
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