井上亮のレビュー一覧

  • 宮内庁長官 象徴天皇の盾として

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    天皇と政治の間に立ち、調整を行う宮内庁長官に焦点を当て、歴代10人の宮内庁長官が象徴天皇制80年の中の様々な課題にどう対処してきたかを俯瞰し、象徴天皇制の形成過程とあるべき姿を展望。
    宮内庁長官という切り口で戦後の象徴天皇制の歩みを振り返るというような内容で、天皇・皇室をライフテーマの一つとする自分にとって、とても読み応えがあった。
    昭和天皇が戦前の君主意識をどうしても引きずっていたのに対し、平成の上皇・上皇后夫妻が現在の象徴天皇制をつくりあげてきたのだということを改めて認識した。昭和天皇と弟の親王たちとの関係、徳仁皇太子(当時)の結婚やその後の人格否定発言、生前退位などのトピックについての裏

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    2025年11月09日
  • 宮内庁長官 象徴天皇の盾として

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    “かつて戦争責任追及や政治利用の圧力から盾となって天皇、皇室を守ってきた宮内庁長官だが、いま対峙しているのは理性が通じない闇のようなネット言論と、それに触発されて天皇制への意識がどのように変化するかわからない国民そのものなのかもしれない。「守護者」としての宮内庁と長官のこれからの役割は、伝統を重視しながらも時世に合わせた皇室の人間空間の創出と演出であろう”

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    2025年08月04日
  • 平成と天皇

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    平成天皇は「象徴天皇を具現化した」=歴史的快挙
    平成の30年、国家戦略を為したのは平成天皇だけ
    安倍政権の10年は徒に国民の資産を食い潰しただけ
    昭和天皇の戦争責任の自覚とか本書には貴重な新発見がある
    さすが歴史探訪の名手
    歴史を学ぶことは何よりも大事と思う

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    2022年11月19日
  • 象徴天皇の旅

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    象徴天皇のあり方を30年模索し続け、常に国民のそばに寄り添うような存在であり続けた記録。宮内庁担当記者の記録はなかなか珍しいと思うのですが、ただ皇室に張り付いていたわけじゃなくて、両陛下の訪問を逆に政治利用しようとする知事に厳しい質問を投げ掛けたり、王族を敬うことに厳しいタイで王族に粗相をした記者を諌めたり…と結構色々されてるんだなあと理解が深まった一冊でした。ほかの担当記者の取材記録も読んでみたいですね。

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    2021年10月01日
  • 心理療法とシャーマニズム

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    アフリカのシャーマニズムにフィールドワークを行なってその文化に深く入り込み、若くして亡くなられた臨床家の文章をまとめた本。

    三部に分かれており、一部がアジアやパリなどの旅行エッセイ、二部が臨床についての論文、三部が自身のアフリカのシャーマニズムへの参与を分析したの論文となってます。


    若くなくなられたのがなんとも残念。
    ユングの盟友、東洋学者のヴィルヘルムがやはり道教のなかに深く分け入っていき、スイスに戻ってすぐに亡くなったことを連想します。

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    2015年07月30日
  • 天皇と葬儀―日本人の死生観―

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    文字通り歴代天皇の葬儀の成り方を記述した力作。

    「天皇の敗戦」は2度あった。承久の乱と太平洋戦争。
    断絶の可能性もあった。

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    2014年06月10日
  • 新左翼と天皇 ――炎と爆弾の時代

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    皇室について何冊も書いている人が新左翼セクトによる反天皇制闘争を題材にした本を書くのは変わっているな、と思ったら公安担当記者だった時期があって、その時の経験や取材などを元にした本だった。
     新左翼を題材にした本は諸セクトが刊行しているものを除けば限られていると思うが、立花隆の「中核vs革マル」を「名著」として言及しながら「同著では立花氏が警察などを取材した形跡が見られないので」と評している。どうやら「中核vs革マル」の上巻の冒頭で警察を取材した事を記した個所を忘れているのか、引用しているのが下巻なので見落としたのだろうか?もっとも半分ぐらいは昭和26年の京大事件から始まり内ゲバ戦争などを前史の

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    2025年10月10日
  • 宮内庁長官 象徴天皇の盾として

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    平成から令和への代替わりは映画を観ているかのような臨場感。
    令和の皇室の課題は皇位継承よりも配偶者。

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    2025年07月12日
  • 天皇の戦争宝庫 ──知られざる皇居の靖国「御府」

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     皇居南東部に建設された5つの「御府」をめぐる近代史。著者は日経新聞で皇室・近現代史を担当した編集委員(刊行当時)。
     日本軍が数々の鹵獲兵器を所有していたことは知っていたが、それが皇居内にあったとは知らなかった。著者によれば、御府には振天府(日清戦争)、懐遠府(北清事変)、建安府(日露戦争)、惇明府(第一次大戦、シベリア出兵)、顕忠府(済南・満洲・上海事変、日中戦争)の5つがあり、靖国神社と対になる形で天皇が前面に出るかたちで戦死者の顕彰を行っていた。各戦争による戦利品と戦死者の名簿も収蔵されており、中には渤海国に関する石碑もあった。修身の教科書等でその存在は紹介されていたが、皇居内の施設だ

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    2023年10月01日
  • 新左翼と天皇 ――炎と爆弾の時代

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    新左翼の歴史について書かれた一冊。元公安担当記者の著者の取材メモを元にした記述には、当時の空気を感じさせる独特の臨場感があった。

    本書からは、「独善的行動は破綻に終わる」という一種の教訓を学ぶことが出来る。
    新左翼の面々は、強い正義感に突き動かされ、日本社会の変革を目指した。しかし、それは自分達の考えを疑わない独善性や、他者の犠牲を肯定する身勝手な論理に基づいていた。その為、大衆の共感を最後まで得られないまま、運動は退潮していった。

    著者の指摘通り、誰もが現代的不幸(生き辛さ)を抱えて生きている。その心の空漠を埋めることは、確かに容易ではない。終戦以後の社会の矛盾は、人々の心に深い影を落と

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    2025年11月14日
  • 宮内庁長官 象徴天皇の盾として

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    なんかやな感じを受けた本だった。

    この著者、元日経新聞の記者で、昭和天皇が靖国参拝をしなくなったのは、いわゆるA級戦犯を合祀したことを天皇が快く思わなかったからだという議論の元になった、冨田メモをすっぱ抜いた人やったんか。

    宮内庁長官の奮闘記と言いながら、本の中でお、長官自身はあまり取り上げられてない感じ。出番、薄い。全般に、皇室、特に昭和天皇への批判が目立つ。

    曰く、昭和天皇が象徴天皇という意味を理解していない。
    曰く、戦争責任を転嫁しようとしている。
    やたら、政治的発言とかなんとかも主張する。

    政教分離とおんなじで「厳格に運用することが目的」になっててどうなんだと思うが、右も左も外

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    2025年10月22日
  • 比翼の象徴 明仁・美智子伝 下 平成の革命

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    平成の明仁天皇(現在上皇)と美智子皇后(現在上皇后)の物語の下巻。即位から退位までの日々が綴られてる。それにしても、象徴という曖昧な形の、いわば荷を背負わされ、長い旅を二人で助け合い続けてきたお二人には感動した。特に、戦禍で傷ついた人々を忘れずに、とにかく平和を祈り続けた姿、災害に見舞われ苦しんでいる人に寄り添う姿は、他を圧倒する迫力があった。政治に関わってはいけない、難しい立場なのに、何かと政治利用しようとする政府や当時の石原都知事の行いは、本当に不快なものだ。保守派と言われる勢力も、天皇の味方かと思いきや、自分勝手な意見で天皇を苦しめる存在でしかないように映った。

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    2025年07月10日
  • 比翼の象徴 明仁・美智子伝 中 大衆の天皇制

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    現在上皇、上皇后の伝記(であってる?),
    全部が事実なのかはわからないけれど、誠実な書き方だと思って読んだ。特別な人たちだけれど、かなり特殊な人生だけど、辛抱強い方々だなぁと、尊敬の念さえ覚えた。常に弱い立場の人々に心寄せ、平和を祈念し続けた方々だと認識していたが、その認識は正しかったと思えた。つねに衆目の目に晒されて、大変な生活だったと思うが、今は穏やかに過ごされてるといいなと思う。

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    2025年07月06日
  • 比翼の象徴 明仁・美智子伝 上 戦争と新生日本

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    なかなかハードな本だった。誕生前からの物語だから、父親である昭和天皇、第二次世界大戦に至る社会情勢は当然綴られる。天皇の戦争責任の議論も、、天皇といえども、自分で決められることって、そんなになかったのかな?家族と暮らせない、望んでないのに戦争が始まる。なんだか、気の毒な面ばかり知らされることになった。とは言え、天皇陛下万歳!と叫んで死んだとか、天皇のためにお国のために命を捧げたと言われる多くの人を思うと、天皇の不幸など何ほどか?という気持ちにもなってくる。事実かどうかは定かではないけど、興味深い本だった。

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    2025年06月10日
  • 天皇の戦争宝庫 ──知られざる皇居の靖国「御府」

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    日清戦争以来の戦利品を収納する建物「御府」が皇居内に存在していた(建物自体は今も存在している)とは、全く知らなかった。
    天皇は、太古から国と一体となって戦争をしていたと言えるのだろう。
    天皇を護るため、平和主義者の仮面を被らせた、或いは自ら被った、という事なのであろう。

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    2024年08月07日
  • 天皇と葬儀―日本人の死生観―

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    よく調べたなぁ~!!という驚き。

    かなり細かく調べ上げているので、満足です!!
    ありがとうございます!

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    2015年01月30日
  • 焦土からの再生―戦災復興はいかに成し得たか―

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     日経新聞の編集委員の井上さんが、わかりやすく、各都市の戦災復興の経緯、実績を説明。

     後藤新平とか関東大震災のあとの震災復興の本はよくでているが、戦災復興をわかりやすく説明した本がでたことがうれしい。

     また、名古屋とか仙台とか、むしろ政令指定都市レベルで土地区画整理事業が先行していたため、東京のように大規模な中断にならずに、現在の広幅員の街路が整備できたことも丁寧に説明している。

     その際の先人の都市計画専門家の努力にも頭がさがる。

     その上で、東日本大震災、あるいは首都直下の復興にあたって土地区画整理事業がうまく機能するのかどうか、悩む。

    (1)東北の都市などや東京などで、街路

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    2012年06月02日
  • 非常時とジャーナリズム

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    明らかに東日本大震災への便乗本なのだが、私が「言論四天王」と勝手に
    名付けて敬愛しているふたりの言論人が取り上げられているので新刊で
    購入した。

    戦前及び戦中に日本が道を踏み誤ったことに警鐘を鳴らし、大衆に迎合せず、
    軍部に屈しなかった4人の言論人と軍部礼賛から戦後の軍部及び天皇批判に
    転じた徳富蘇峰を取り上げている。

    「小日本主義」を掲げ、愛児を戦争で失いながらも戦後は「靖国神社廃止の
    議」を記した石橋湛山。

    「関東防空大演習を嗤う」で在郷軍人会から不買運動を起こされ、信濃毎日
    新聞を退社に追い込まれ、それでも国家と闘い続けた桐生悠々。

    大手新聞社が軍部の御用新聞に変貌するなか、「新

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    2017年08月16日