【感想・ネタバレ】焦土からの再生―戦災復興はいかに成し得たか―のレビュー

あらすじ

二百以上の都市が潰滅し、九百八十万人の被災者、三十三万人の死者を出した、米軍による本土空襲。昭和二十年、瓦礫の平野に佇んだ日本人は、そこから「国のかたち」をどのように作り直したのか――。残された貴重な文献を繙き、東京、仙台、名古屋、広島、大阪などの具体例を検証。今、先人の知恵と教訓を学び取る。

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Posted by ブクログ

 日経新聞の編集委員の井上さんが、わかりやすく、各都市の戦災復興の経緯、実績を説明。

 後藤新平とか関東大震災のあとの震災復興の本はよくでているが、戦災復興をわかりやすく説明した本がでたことがうれしい。

 また、名古屋とか仙台とか、むしろ政令指定都市レベルで土地区画整理事業が先行していたため、東京のように大規模な中断にならずに、現在の広幅員の街路が整備できたことも丁寧に説明している。

 その際の先人の都市計画専門家の努力にも頭がさがる。

 その上で、東日本大震災、あるいは首都直下の復興にあたって土地区画整理事業がうまく機能するのかどうか、悩む。

(1)東北の都市などや東京などで、街路の幅員を広げても、増進はないし、時間もかかるだけといわれないか。

(2)震災、戦災のときと違って、厳しい経済の国際競争に曝されているときに、時間がかかる手法よりも早く、産業復興をとげる必要性がでてくるのではないか。

(3)人口減少、都市の縮小という観点からは、都市が将来コンパクトになることを前提にして、核となる部分を買収方式ではやく整備し、その周囲は、グリーンベルトにするなど、都市縮小にあった仕組みが必要ではないか。

 もちろん、この本自体には、そんな問題意識はないのだが、ひごろ、悩んでいることが思わず頭に湧いてきた。

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2012年06月02日

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