【感想・ネタバレ】非常時とジャーナリズムのレビュー

あらすじ

ジャーナリズムは感情よりも道理の味方でなければならない――「富田メモ」報道で新聞協会賞受賞の現役記者が5人の昭和の言論人の非常時(戦時)の足跡を辿り、メディアの役割を改めて問い直す!

東洋経済新報で小日本主義を唱えた石橋湛山、信濃毎日新聞を追われたのちも孤高の論陣を張った桐生悠々、戦意高揚によりA級戦犯容疑者となった近代日本を代表する言論人・徳富蘇峰などを紹介する。

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Posted by ブクログ

明らかに東日本大震災への便乗本なのだが、私が「言論四天王」と勝手に
名付けて敬愛しているふたりの言論人が取り上げられているので新刊で
購入した。

戦前及び戦中に日本が道を踏み誤ったことに警鐘を鳴らし、大衆に迎合せず、
軍部に屈しなかった4人の言論人と軍部礼賛から戦後の軍部及び天皇批判に
転じた徳富蘇峰を取り上げている。

「小日本主義」を掲げ、愛児を戦争で失いながらも戦後は「靖国神社廃止の
議」を記した石橋湛山。

「関東防空大演習を嗤う」で在郷軍人会から不買運動を起こされ、信濃毎日
新聞を退社に追い込まれ、それでも国家と闘い続けた桐生悠々。

大手新聞社が軍部の御用新聞に変貌するなか、「新聞だけはリベラリズム
でなくてはならぬ」と言い、軍部への憤りを記した「暗黒日記」を書いた
清沢洌。

五・一五事件をテロであると断じ、社を挙げて軍部の脅迫に屈しなかった
福岡日日新聞の菊竹六皷。

戦争礼賛の蘇峰を取り上げるのなら、この4人の代表的な論説・批評の
全文を掲載した方がよかったのではないか。

ジャーナリズムの在り方を問いたいのか、各人の評伝としたかったのか。
少々中途半端な仕上がりではなるが、時代の流れに臆することなく
発言をした言論人がいたことを知る入門書としてはいいかも。

でも、六皷はなぁ。満州建国を肯定しているんだよなぁ。私としては他の
3人と並べるには違和感があるんだよな。

さて、肝心のジャーナリズム。先の大戦で提灯記事を書きまくった頃と、
大して進歩していないんじゃないか。今回の福島原発事故が起きるまで、
原発批判なんてやってなかったろうに。大手メディアに変革は望めない。

散々持ち上げて、一旦事が起これば手のひらを返すんだもの。変わって
ないよねぇ。はぁ…。

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2017年08月16日

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