広瀬正のレビュー一覧
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広瀬正のタイムマシンのつくり方を読み直しました。タイムマシンをテーマとした短編やショートショートが掲載された広瀬正の初期作品集でした。主にタイムマシンで過去を改変したら現在はどうなるのだろうか、というパラドックスをテーマとした短編が多かったようです。これで、広瀬正小説全集の文庫6冊を再度読み直したわけですが、やはり一番面白かったのはマイナス・ゼロでしょうか。最初にこの物語を読んだのは多分20年くらい前でしたが、この物語の中に登場する、ある女性の印象が強く記憶に残っていました。その女性はタイムマシンで過去に戻って過去の時代で出産するのですが、その娘は実はその女性本人で、成長して現在のタイムマシン
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「エロス」なんて題名ですが、広瀬 正の小説に色っぽさを求めてはいけないのは、もう、学習済み(笑)
現在と、過去、それから、もう1つの過去。
もしあのとき、こちらではなくて、あちらを選択したら……。という、IFものです。
ただし、やっぱり(?)、広瀬 正なので、ものすごく地味です。そして、細かい。でも、それは、今のまでちょっと感じた、無駄な細かさというのではなくて、なかなか、活かされていたと思います。
でも、今まで読んだ「マイナス・ゼロ」、「ツィス」、「エロス」の3冊のなかでは、この本が1番おもしろかったです。
途中で、「もうひつとの過去」の方が、実は……。
というのは、わかってしまっ -
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広瀬正のエロスを読みなおしました。もし、あのとき、二つの選択肢のうち別の選択肢を選んでいたら、運命はどうなっていたんだろう、という題材のSFでした。現在、過去、そしてもう一つの過去の3つの時間軸で昭和初期から戦争に至る暗い時代に出会った二人の物語が語られていきます。最後にちょっとしたどんでん返しがありますが、二人の生活していた二つの世界がいきいきと描かれていています。題名のエロスというのは、主人公の男性が作曲する曲の名前なのですが、片方の世界では曲が発表される前に主人公は徴兵されて帰らぬ人になってしまうのでした。いろいろあっても、いま私たちが生きている時代はいい時代なんだなあ、と考えてしまいま
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広瀬正のツィスを読みなおしました。この本は昔読んで面白いと思った本だったので、文庫が再販されたこともあり、読み直しました。ある女性から奇妙な音が聞こえるという申告があり、それがだんだんエスカレートして首都圏に大打撃を与えてしまうという物語でした。物語としては、読みやすく面白く読みました。SFなので、ちょっと無理な設定があっても仕方がないのですが、読み直してみると現実的にこの設定でこの状況は発生しないだろう、と考えてしまいます。しかし、インターネットで常時情報過多になりつつある現在では、別の意味でこのような事態が起きる可能性もあるなあ、と振り返って考えてしまいました。
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第64回直木賞候補作
SFは直木賞を取れないを形作った中の1つでしょう
選評が大変、面白い
源氏鶏太
席上あまり高く評価されなかったようだが、私にはひどく面白かった。しかし、直木賞作品となると別のことと思われた
司馬遼太郎
読者として一番面白かった。どうも分が悪く、分の悪い理由もよくわかるから途中で推し続ける根気を失った
おわかりだろうか(ニチャァ
でもまあ、気持ちはよくわかる
あ、こういうのに歴史ある賞あげるんだ、ふーん
選考委員は、へえ(笑)
とか思われたくないのだ
今でこそ文化が変わり意味合いが一昔前と違うなと感じるがSFはマニア、オタク向だったのだ
面白いけれど、違うよね -
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ネタバレタイムリープもののアイデアとしては新規性はないので星3つ。
本作品は戦前の銀座の描写が秀逸と星新一が解説しているし、当時のスピーカーアンプ技術の描写も細かいが、個人的にはあまり興味がわかない。しかし1970年にここまで仕上げていたのには驚き。タイムループの矛盾をあるがままに捉えているとは。
ここからネタばれ
自分が過去で自分を産むというタイムループ(循環)は理屈ではありえないはずだが、母であり姉である人から生まれた娘があっけらかんとして謹慎相関でも身体に異常はないから心配いらないという落ちはありえるかも。今が良ければ過去なんて無視!時間を循環しているライターは生産されていなくても存在することを -
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物語の中心であるところのタイムトラベルにまつわるエピソードが、え?人の反応ってこんな?って腑に落ちなくて、ちょっとスムーズに入ってこなかったんだけど、戦前の東京と昭和38年の東京がノスタルジックで、面白かった。みんな、のんびりしてみえる。こんなにすぐ人を信じちゃって、大丈夫?って感じ。
なんだけど、物語が終わりに近づくほどに、無限ループの流れにはまり込んだ感じになって、軽く混乱する。のんびりした世界が、実は伏線だらけの複雑な世界だったことがわかる、捩れっぷり。
08年の本屋大賞で「この文庫を復刊せよ!」のリクエストNo.1となった作品。全集復刻の担当編集さんが墓前に報告に行こうとしたが、ど