広瀬正のレビュー一覧
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これまた広瀬さんのこだわりの詰まった小説全集・・とは言っても広瀬さんが亡くなられてから、この全集は作られたわけですが・・。そう思って読むと、ますます惜しい方を亡くしたと思うのですが、広瀬さんのどこがそんなに凄いのかと言うと、パラドックスにありがちな、『ちょっとした辻褄』も合わないと気がすまない、という事なんです。
そのために、ある時は読むのが難しい、難解どころもあるのは事実です。今回も、鏡の国のアリスについて、広瀬さんならではの、『突っ込んでみたいところ』というのが書かれてあったのですが、いかんせ、私のような凡人な頭には到底理解できない事でした。
それでも何とか理解しようと、ビデオの実験の -
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広瀬正さんの、初期のSF短編集。【人形の家】と【化石の街】と【鷹の子】はちょっとホラーっぽい要素もあってぞっとしました。【UMAKUITTARAONAGUSAMI】は【マイナス・ゼロ】の最後の方でも登場した『過去にいって親、あるいは祖先を殺したらどうなるか?』のテーマにそって書いてあるのですが、その終結に唸ってしまいました。それから【あるスキャンダル】。これは笑えました。他にも笑える【発作】や【二重人格】など。
あまりに厳格なパラドックスゆえに、私の頭では理解半分、という感じなのですが、広瀬さんがどれだけパラドックスに対して深いこだわりをもっていたか分かる作品集だと思います。最後の”付録『時 -
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ネタバレ2008年に復刊されている広瀬正・小説全集の最終巻。「初期」の短編、ショートショートを収める。
いくつかの初期作品は、確かに福島正実が「アイデアの骸骨が、貧弱な文章の衣をまとった」と評したレベルを出ていないが、しかし、一方では SF が小説として認められず、多くの才能ある作家が、このようなショートショートにしか発表の場を見出だせなかった時代背景は、筒井康隆の解説に詳しい。
気に入った作品は、時間の流れが恐ろしく遅い世界へ迷い込んだ男を描く「化石の街」と、タイムパラドックスによるパラレルワールドの存在を衝撃的に描く「計画」。広瀬正の代表作「マイナス・ゼロ」も未読なので、早く読もっと。 -
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神奈川県のある市で聞こえ出した小さな音。ドイツ音名でツィスの音階だったため、『ツィス音』と名づけられた。音響学の権威である教授が調査するも、原因の特定には至らず、音は徐々に大きくなり、東京でも聞こえるようになる。
その後、原因も、対処法も見つからず、音のレベルはもはや、音を遮断せねばならないほどに達し、都では、一部の留守部隊を残し、全都民の疎開計画を実行する。
突如なり始めた正体不明の音によって、生活をするのが困難になる。この太枠の話に、色々な要素が絡みあって、物語は進んでいきます。精神異常に、公害、聴覚障害者などなど・・いったい、どの方向に進んでいくのか、見等がつきません。
そして、