広瀬正のレビュー一覧
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ジャズ評論家として夙にその名を知られるK大学教授浜野先生は,かつての教え子の一人が,やっと発明しましたといってタイムマシンを持って訪ねてきた時,ひと通り説明を聞き終わると,
「ちょっと僕に使わせてくれないか」
といった。
先生は,タイムマシンを使えば,今は亡きチャーリー・パーカーの演奏をなまで聞くことが出来る,と考えたのだった。
先生は学術会議の出席などで,戦後何回も渡米したが,そのたびに,ひまを見ては,各地で著名ジャズプレイヤーの演奏を聞いて来た。だが最初に渡米したのがバードの死の直後であり,とうとう彼のなまの演奏に接する機会がなかったことを,先生はかねがね残念に思っていたのである。 -
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が,その彼を徹底的に打ちのめしたのは,やがて見えてきた商店街の看板だった。まず酒屋の看板が目に入った。つづいてスーパー・マーケットの切り文字,黒枠のついた葬儀社の看板。ぜんぶ鏡文字だった。酒屋の前に積んであるビールのケースの字もマークも,中にならんでいる日本酒のびんの字も,何もかも,左右反対だった。
スーパーの前に,トラックが停まっていた。車の右側を店に寄せて荷降ろしをしているのだが,その左側をライトバンがすれ違って行った。右側通行なのである。
つまり,いま自分が見ている光景は,左右がぜんぶ入れ違ってしまっている。朝比奈家だけでなく,この世界全体が,左ききの世界なのだ。それでなければ,自分 -
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この方の小説を読むのは2作目です。前読んだ本の後書きに(星新一さんだったと思うのですが)この方は本のタイトルの付け方が悪い、とありました。…確かに。もっと良いタイトルあると思うんですけどね…
もし、過去のあの時違う行動を取っていたならば。今の自分は無いかも知れない。自分を取り巻く環境は変わっていたかもしれない。自分がすぐに思いつくのは大学以降からですね。もし違う大学に行っていたら。違う学部を選んでいたら。違う会社に就職したら。自分を取り巻く環境も変わっていたんだろうなあ。この本の主人公たちほどではないと思いますけれども。
最後のオチがすごく良かった!…でも自分はミッドウェー海戦の勝敗を -
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う〜〜ん、やっぱりピンと来ません。
ストーリはすっかり忘れていて、ほぼ初読と言っても良い状態。最後のドンデン返しもすっかり忘れていました。
不満なのは視点の狭さなのでしょうね。
多くの優れた海外SFは様々な視点から描かれる事が多い。それに対し、この本では視点が集団の狭い人間に限られている。ツィス音の原因追求もおざなりにしか触れて無いし(現実に首都圏一斉疎開なんて事態になるのなら、物凄い体制で原因追及が図られるはず)、それが最後のドンデン返しに繋がって行く。
どうも、そうした無理な設定にばかり目が行ってしまいます。
音に冒された世界の描写なんてなかなかのものなのですが。