感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2019年10月23日
別の時間を生きる人間に、著者の生きた時間を追体験させてくれるかのような表現力の凄さはこの作品も例外ではない。この人の作品を読んでいる間は、自分自身もタイムトラベラーになったかのような錯覚を覚える。
Posted by ブクログ 2012年01月19日
大歌手・橘百合子はふとしたきっかけで自分の過去に思いを馳せる。あの時、もしも違う選択をしていたら……。
「現在」、「過去」、ありえたかもしれない「もう一つの過去」の3つの時系列を行きつ戻りつしつつ、昭和初期の風俗を細かいディテールまで綿密に描き込む筆致が素晴らしく、まさにその時代に生きているかのよう...続きを読むな感覚が味わえる。
ありがちなネタのような気もするけど、ラストのドンデン返しには見事に一本くらいましたよw。
Posted by ブクログ 2009年11月07日
広瀬正の作品で、パラレルワールドものの傑作。重要な役どころを占める人に淡谷のり子を彷彿させる東北地方出身の女性が登場しており、そういうイメージで本を読み進めてしまいました。
戦前のテレビジョン開発の動向などはその時代を知りつくすほどよく調べていると思います。
そぷいうなかで最後の最後のどんでん返しは...続きを読むやはりSFだなという設定ですが、その時代に溶け込んでいくようないろいろな小道具の置き方はさすがだなと思います。
もう少し長生きして、もっとたくさんの作品を残してほしかった作家です。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
おもしろかったです!!今まで読んだこの全集の中で一番!!
人は誰でも一度はおもうはず。あのとき違う選択をしていたら・・・。
でもそう考えるとき、選ばなかった道は今の道よりもうんとハッピーだったというのが前提なのです。
でも実際には、選ばなかった道を選んでいたら悲惨な人生になっていた可能性も大いにある...続きを読むわけで・・・。
結局今の人生が自分にとってベストだと信じることがハッピーに生きる秘訣なのかもしれませんね(o^∇^o)
Posted by ブクログ 2023年02月21日
女優の過去を振り返る、昭和のパラレルifストーリー
歌手デビューから37年のベテランシャンソン歌手 橘百合子
雑誌のインタビューをきっかけに、契機となった出来事を思い出す
田舎から上京してきてからの回想と、「もしあの時違う選択をしていたら?」という「もう一つの過去」、そして「現代」が入り乱れて描か...続きを読むれるパラレルストーリー
「マイナス・ゼロ」と同じく、昭和初期の風俗が細部にわたって描写されている
今回はテレビの開発に関する情報が細かいところまで言及されている
まぁ、興味がなければそこの描写は読み飛ばしても良いのではなかろうか
そして、同じ時代の物語という事で、「マイナス・ゼロ」の登場人物達もちょっと登場
こんな作品同士に繋がりを作る作家さん好き
ヌードモデルの事務所に行くか、映画を観に行くかという選択という分岐点
歌手になったきっかけは、映画館を出た後に車に泥をかけられ、音楽プロデューサーとの繋がりができたから
その場合、いい感じになっていた青年は友人との諍いが原因で盲目になってしまう
もしヌードモデルになっていた場合、後に青年が連れ去りにきて、一般的な結婚をする
青年はテレビの技術開発の仕事をする事になるが、戦争が夫婦にも影響を与え……
最後のところで、「そういうことかー」としてやられた感のある事が明らかになる
個人の選択が与える未来の可能性ってとても大きいのですねぇ……
新たな技術の発見や開発には、そのきっかけとなる人の想いがあるわけで
もし、その人の想いがなければ誕生しなかった技術なんですよねー
タイトルの「エロス」は青年の作曲した歌の名前
どちらの選択でも誕生していたであろう曲
ってか、広瀬正作品はタイトルで損してると「マイナス・ゼロ」で書かれてたけど、この作品が一番損してるんじゃなかろうか?
作品の内容はまエロチックなところはないのにね
ヌードモデルになるところはあるけど、それとて官能小説のような表現はされてないですしね
そう言えば、歌手のモデルはヌードモデルをしていた経歴を持つ淡谷のり子らしい
私としては歌マネの審査員で厳しいコメントをする人というイメージしかないですけど、全盛期にはものすごい人気だったのでしょうねぇ
Posted by ブクログ 2020年07月27日
マイナスゼロに続いて2作目。
著者のSFは本当に面白い。
しっかり楽しませてくれる。
パラレルワールドをどう表現するんだろう?
と興味からどんどん読んだ。
最後まで読んで、あ、そう来たか!と思わせる
展開さすがです。
また解説にもあった通り、物語のディティールへの
こだわりをとても感じた。
マ...続きを読むイナスゼロの世界観に近いと思ったら
リンクもしてくれたし。
でも「風立ちぬ」の菜穂子がこんなところで
出てくるとは思わなかったなぁ。
風立ちぬの映画観る前にこれ読んでたら
テンション上がったかも!笑
面白かった!
Posted by ブクログ 2017年06月11日
良い。
作者は、理系で、古い自動車やラジオが好きなんだろうな。
パラレルワールドのお話。ストーリーがべっとりしたところが少なく、きれい。
やっぱりこの作者の恋愛小説好きだ。
現在のラストがなかなか。
Posted by ブクログ 2015年07月01日
何となく違和感を感じるもののオチにピンと来ず、ネットで調べました。
…え?ええー!そういうこと!?
知識不足過ぎてごめんなさいという感じです。
とある男女の「もしあの時のああしていたら」を追ったパラレルストーリー。
昭和初期の描写が面白くて読みやすい。(技術関係のとこはよくわからないので斜め読みし...続きを読むたけど)
マイナス・ゼロの内容結構忘れてるけど、同じ登場人物が出てるみたい。そう言えばその点もあのオチの伏線なんだなあ。
再読すればもっと面白くなりそう。
タイトルに躊躇してたけど色んなところでおすすめされていたのでやっと手にとりました。
二の足踏んでいるみなさん、エロい話じゃないから大丈夫ですよ〜
Posted by ブクログ 2014年01月01日
ん?エッ?そういうことだったの!!最後の最後に用意されているオチに仰天させられることうけあい。
東北地方の寒村から上京し、いまや「先生」と呼ばれるほどの大物女性歌手に、ある日ひとりの雑誌記者が「先生が歌手にならなかったら、桶屋式につぎつぎと連鎖反応を起こして、だんだんひろがって、そのあとの日本の姿...続きを読むまで変わっていたかもしれない……」と言ったところから始まる、もうひとつの人生のストーリー。
ふたつの「現実」はそれぞれパラレルに進行してゆくが、この小説の独創的なところは、登場する人々の顔ぶれはほぼ同じにもかかわらず「演じる役割」が異なるだけで〝ほんとうに〟「そのあとの日本の姿」まで変わってしまうという点にある。しかしその結末がどうであれ、これは「みつ子」と「慎一」という男女が紡ぐ大いなる「愛」の物語なのであり、作者があえてこのタイトルにこだわった理由もまたそこにあると思うのだ。
Posted by ブクログ 2013年05月07日
教科書では絶対に知ることのできない昭和初期の人々の暮らしを感じました。古いことだけど、新鮮な経験でした。多くの日本人に読んでほしい、素晴らしい作品です。もちろんSFですよ。ただ、タイトルが最悪。他につけようがあっただろうに・・・。本当に本当に残念でしかたがない。
Posted by ブクログ 2011年06月11日
良かった。こういう話が好き。
選択しなかった選択肢。パラレルワールド。
どちらかが良くてどちらかが悪いとかないんだ、たぶん。
広瀬正の小説全集買っても良いかもと思えて来た。
Posted by ブクログ 2010年01月24日
「エロス」なんて題名ですが、広瀬 正の小説に色っぽさを求めてはいけないのは、もう、学習済み(笑)
現在と、過去、それから、もう1つの過去。
もしあのとき、こちらではなくて、あちらを選択したら……。という、IFものです。
ただし、やっぱり(?)、広瀬 正なので、ものすごく地味です。そして、細かい。...続きを読むでも、それは、今のまでちょっと感じた、無駄な細かさというのではなくて、なかなか、活かされていたと思います。
でも、今まで読んだ「マイナス・ゼロ」、「ツィス」、「エロス」の3冊のなかでは、この本が1番おもしろかったです。
途中で、「もうひつとの過去」の方が、実は……。
というのは、わかってしまったのですが、それでも、最後までしっかりとよませる力があります。
あぁ、こっちの人が、影響していたのか……。
というのは、けっこう、最後、「やられた」という感じでした。
Posted by ブクログ 2011年07月18日
広瀬正のエロスを読みなおしました。もし、あのとき、二つの選択肢のうち別の選択肢を選んでいたら、運命はどうなっていたんだろう、という題材のSFでした。現在、過去、そしてもう一つの過去の3つの時間軸で昭和初期から戦争に至る暗い時代に出会った二人の物語が語られていきます。最後にちょっとしたどんでん返しがあ...続きを読むりますが、二人の生活していた二つの世界がいきいきと描かれていています。題名のエロスというのは、主人公の男性が作曲する曲の名前なのですが、片方の世界では曲が発表される前に主人公は徴兵されて帰らぬ人になってしまうのでした。いろいろあっても、いま私たちが生きている時代はいい時代なんだなあ、と考えてしまいます。
Posted by ブクログ 2014年10月05日
もしもアノ時ああしていたら/していなかったら
周りのヒトとの関係、周りの人生も変えてしまう
という空想と現実を平行でなぞる物語
パラレルワールド
かと思いきやラスト数ページはネタバレ禁止
マイナス・ゼロとの微妙なクロスを
軽く読み流しそうになった。
Posted by ブクログ 2017年09月08日
タイトルはなんだかなぁだけど、中身は安心して読める恋愛小説(?)
知らない昭和の時代が勉強できる。
著者自身もちょっと顔を出す。
あ、「マイナスゼロ」のカシラにも再開できた。なんか、うれしい。
Posted by ブクログ 2017年04月20日
設定はよくあるパラレルワールドというか。今となっては目新しさも無いのだが、その嚆矢ということなのだろうか。
ただその語り口というか、いかにも全昭和的な、空気すら感じさせる出来はとても良い。
本当に、二つの生き方の、いや、読みきった後でも、どっちが幸せだったのか、一言で言うことはできない気がするし。
Posted by ブクログ 2012年02月13日
SF的な要素やラストのインパクトが、個人的には少なめ。
その分、昭和初期の時代や人々、生活の様子がいつも以上に
鮮やかに感じられて面白かった。
その時代の人々が、何を見、何を聞き、何をし、何を感じていたか。
「時代のディティールを大切に見つめてもいいのではないか…」
という解説の言葉に納得。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
<忘れもしない昭和九年九月二十日,私は映画を見に行きました。もしその日,映画を見に行かなかったら,私は歌手にならなかったでしょう。というのは,その映画が歌手の成功物語だったから,などというのではなく,映画を見終わって出たとき,ちょっとした事件が起こり,そのおかげで,私をレコード界に入れてくださった,...続きを読む恩人の柚木先生にめぐり会うことができたからなのです>
(本文p.14-15)
Posted by ブクログ 2009年10月04日
パラレルワールド・テーマの長編。
最後の1行が効いている。ただし、数ページ前に伏線あり。このパターンには見覚えがある。
乾くるみ『イニシエーションラブ』だ。
ただ、こちらの効果はSF的な眩暈であるところが異なる。
ただ、この仕掛けでは長編を支えるのには弱い。
広瀬正らしい戦前―東京の街、ラジオやテ...続きを読むレビ、自動車…―の描写がこの作品を読むに値するものにしている。
「広瀬正君」や「カシラ」一家の登場にはニヤリ。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
この方の小説を読むのは2作目です。前読んだ本の後書きに(星新一さんだったと思うのですが)この方は本のタイトルの付け方が悪い、とありました。…確かに。もっと良いタイトルあると思うんですけどね…
もし、過去のあの時違う行動を取っていたならば。今の自分は無いかも知れない。自分を取り巻く環境は変わってい...続きを読むたかもしれない。自分がすぐに思いつくのは大学以降からですね。もし違う大学に行っていたら。違う学部を選んでいたら。違う会社に就職したら。自分を取り巻く環境も変わっていたんだろうなあ。この本の主人公たちほどではないと思いますけれども。
最後のオチがすごく良かった!…でも自分はミッドウェー海戦の勝敗をきちんと知らなかったので軽く読み過ごし、『ん?』と思いネットで事後確認をいたしました…。恥ずかしい…。
前読んだ作品より面白かった。自分はこちらの方が好きだなあ、と思います。