【感想・ネタバレ】マイナス・ゼロ(広瀬正小説全集1)のレビュー

あらすじ

1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械――それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは? 失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。

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感情タグBEST3

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ネタバレ

オトラジシリーズ。衣良さんの推薦作品にハズレナシ。
伏線の散りばめ方と回収の仕方が見事すぎる。
謎を引っ張る部分とそうでない部分のバランスが好み。
東京の街で遊ぶ大人な感じも素敵。

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2025年07月08日

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早世の天才広瀬正の名作時間SF。戦前と戦後、昭和の日本を舞台にしてタイムマシンに翻弄される主人公を描いた作品。1965年から連載され、初刊行が1970年。昭和前半年代の日本が描かれたりということでノスタルジックな雰囲気ではあるけれど古臭さはまったくない。そして起こる事態は深刻なはずなのに主人公をはじめとする登場人物たちの軽妙さもあってシリアスになり過ぎずに入り組んだ「時間」の構造をあれこれ考えながら楽しんで読み進めることができる(表紙絵の和田誠のイラストも雰囲気にばっちりあってる)。徐々に全体像の想像がついてくる頃にはもう完全に物語に引き込まれていて終盤は夢中で読み進めていた。とても楽しい読書時間でした。

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2025年02月28日

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広瀬正(1924-1972)のSF小説。石田衣良さんがYouTubeで話題にしている。主人公浜田俊夫がタイムマシンで、戦後から戦前に行き…
令和の読者が、小説を読むことで、古い昭和へタイムスリップできる。それにしても、発想が新しい。

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2024年09月30日

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久しぶりにSFの面白い本に出会えた感がある。時代はこの物語でいう過去も未来も自分が生まれていない時代ではあるのだけれど、なぜだかノスタルジーに駆られてページを捲る手が止まらなかった。
巻末の星新一が昭和52年に書いたという解説があってそれによれば、この著者はその時点では既に亡くなられたようで、つまりはもっと読みたくてもそれが叶わなそうなのが残念だ。
自分が星新一に夢中になったのはこの52年の3,4年後だったから、リアルで知っていたとしても読めなかったのかもなのだけれど、本当にタイムマシンでもあれば、読める時代に遡ってみたかったなと。
もっとも、そんなことよりももっとやりたいことがあるだろうけど…

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2024年02月27日

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 予測できそうでできない少しできる……ような………という、言うなれば真相の気配が輪郭を帯びないまま漂い続ける。それはレイコが"あの日"の前日に孔雀の本に書き走ったメモに具体化されるひっかかりとして私たちの脳内における。
 なーんとなくうまいこと納得しちゃいそうだなぁという予感を捨て(きれ)ないままに読み進めていくと、最終章にて怒涛の──本当に怒涛の真相解明がある。それは私たちの納得の予感を裏切るわけではなく、むしろ過剰、ほとんどイビツというか、「マジで言ってんの?ヤバ!」と語彙がギャル化してしまうような世界の不思議な話。ほとんどメビウスの輪だ。マジで言ってんの?ヤバである。

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2023年12月19日

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最高に面白い作品。

時間旅行モノの王道SFでありながら、穏やかでノスタルジックな読み口。が、油断してると最終盤で一気にこちらの度肝を抜いてくる。
タネが明かされた絶望から希望への転進と、それを後押しする人物が何と…という粋な演出。

解説は星新一氏。なんという贅沢。


新版5刷
2021.4.4

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2021年04月04日

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タイムスリップ物。もう、タイムパラドックスしまくり。けど、細かなことはどうでもいいです。とても劇的に、情緒たっぷりに、ロマンチックに物語は展開します。
この小説のメインは昭和7年の、戦前の平和な風景です。とても詳細にリアルに描かれており、まさにタイムスリップした気分で没入するように読みました。当時の状況を知る貴重な史料とも言えるのではと考えます。
マイナスゼロ地点である昭和37年の状況ですら読み手の現代から見たら過去になるわけで、色々な年代の錯覚にめまいを起こしそうです。
未来から来たタイムマシンの設定が10進数ではない故、それを使う登場人物達を誤った年代に飛ばすアイディアも秀逸。意外だったのは伝蔵さんが徴兵に取られてそのまま終戦まで生きるところです。先が見通せなくなり不安になります。ひねりがきいています。
しかし、啓子さんが実は美子さんで自分が自分を産んでその子供にとってはお母さんとおばあちゃんが同一人物なんてなんてやり過ぎですね。タイムマシンの存在が否定される最たる例えの1つになりそうです。それにしても俊夫さん、手が早すぎ。
更にこの先戻ってくるタイムマシンでその娘が考える過去と未来がパラドックスを深めそうです。
昭和7年から37年に来た警官はどうなるのでしょうね。
未来から来た伊沢先生は?ヨーヨーの特許ネタはほったらかしですね。結局ほぼ働かずに浪費するだけの俊夫さん。
音響機器の事情にやたら詳しいところは作者の造詣の深さではなくお話の都合ですね。
いつかまた読み返したい傑作です。

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2020年08月30日

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いわゆるタイムマシンもので、時間旅行のパラドックスを上手に扱ったもの。SFの要素はもちろんあるのだが、それよりも戦前、戦後の東京の様子や市民の描写が素直に楽しめる。SFとして読むのにはやや無理があって、矛盾というか、置き去りになるエピソードもあるが、読み終わると繋がりが理解できることもあり、読後も楽しめる。

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2020年08月29日

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ネタバレ

多くの読友さんからの推薦本、その理由が分かります、壮絶な内容でした!最後に真相が明らかになる、どんでん返し。まさかの真相にそんなことあるんだ!と驚嘆。読み終えた瞬間は「まじかっ!こりゃ大変だ」、少し時間を置いたら「本当に、良かった!」となる。そもそもの間違いは、俊夫さん、なぜに啓子を連れて行かなかったんだ!ということに尽きる。昭和レトロの雰囲気が鮮明で、浅田次郎「メトロに乗って」、宮部みゆき「蒲生邸事件」とともに、昭和の香りが伝わった。只、警察官はどうなったのかな?彼の幸せを願わずにはいられない。

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2020年08月12日

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ネタバレ

鮮やかだ。ジグソーパズルのピースが一枚一枚あわさっていって、そして最後の一枚がパチリと音を立ててはまる瞬間の、あの鮮かさだ。ラストが近付くにつれて震えが止まらなくなり、読み終わったときにはしばし茫然とした。

タイム・マシンに憑りつかれ、夭折した広瀬正の代表作。全体を貫くテーマは、「存在の環のパラドクス」だが、アイデア一発ではなく、的確な肉付けによって血が通い、活き活きと躍動する一遍の小説に仕上がっている。とくに戦後間もない銀座の描写は、解説の星新一ならずとも、感銘を受けるところだろう。そして、ずっと暗示されていた大きな環(ネタバレするので、詳細略)の存在が示されたとき、すべてのピースがおさまるべき場所におさまり、一枚の、しかし無限に続く絵が浮かび上がる。小さな環(ライター)が好対照を成しているのも素晴しい。

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2021年06月26日

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長編タイムトラベルものの楽しさは、タイムパラドックスをいかにしてうまく丸め込んで最後にパズルのピースをぴったりあわせるか、だと思う。「マイナス・ゼロ」も順調にパズルのピースが埋まっていくのがまさに快感。だがしかし先の見え透いた予定調和ではなく、予想外の事柄も起こりつつきっちり落ち着くところにまとまるのには参ったというしかない。特に終盤の展開は、まさかの連続。矛盾がないといえば嘘になるが、そんな重箱の隅をほじくるのが野暮に思えるほど全体構成の完成度が高い。


タイムマシンが跳んだ昭和初期を舞台に戦前日本の人々の暮らしが蘇って、昭和をあまり知らない私にとっては、二重の意味でタイムトラベルしたみたいだった。日本人として、読んでおきたいSFと言われている(?)のも素直に肯ける。

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2023年03月08日

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ネタバレ

戦前、戦後の日本を舞台としたタイムトラベル小説で、主人公浜田俊夫は1945年の空襲の中、隣人の先生からあることを頼まれる。それを受けて、1963年に彼は先生に指定されたある場所に向かった。そこで彼は先生が開発したタイムマシンを発見し、それで戦前の日本にタイムスリップした。本作は、シンプルに時空を超えて、あることを求めていくという話だが、戦前における日本の街の風景描写を細かく書いている。同じ昭和とはいえ、日本は敗戦以降、社会的価値観や雰囲気が一変した。その一方で長年習慣として根付いている要素もあることが確認される。このように、本作は戦前と戦後の日本を知る著者ならではの、日本独自のSF小説が確立した作品である。

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2025年07月05日

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石田衣良さんがおすすめしていたので読んでみました。
いわゆるタイムリープものですが
SFが得意ではない私でもすんなり物語に入り込めて
最後まで夢中で読みました。

昭和の時代にタイムリープした主人公と
魅力的な登場人物たちとの交流がとても温かくて心地よく読んでいてとても楽しかったです。
SFというよりもノスタルジックで人間味あふれるドラマとして楽しめる一冊。

読後もやさしい余韻が残る、素敵な作品でした。

星新一さんの解説も最高!

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2025年06月18日

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40年くらい前に読んだ本の再読。
以前ほどの感動はないが、今読んでも50年以上前の作品だが古い感じがせず面白かった。

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2024年10月15日

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おー、これはマルチバースのはしりか。
パラレルワールド、マルチバース、
今のような概念は
この本のようなタイムパラドクスが
積み上がったんだろうなぁ。

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2024年03月18日

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最後のオチが気になったが、それ以外はとにかく早く続きが知りたくなって、つい頁を繰ってしまう。たいへんな書き手だと思う。

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2024年02月23日

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ちょっと複雑なのと
タイムマシンものの 複雑さとか昭和初期の描写がわかりづらいところがあったけれど それもまた よかった
評判通り面白かった

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2024年02月13日

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これは面白い。
ある少年が空襲下で隣人の先生に頼まれ事をする。18年後の今日、ここに来てほしい、と。そして約束の日、彼が目にしたのはタイムマシンだった……。
このタイムマシンでもって過去に飛ぶ物語が面白い。失われた風景が眼前、鮮やかに描かれるのは興味深いし、タイムスリップによって巻き起こるパラドクスも読み応えがあった。

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2024年01月21日

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戦中、戦後、戦前に渡るタイムトラベルSF

初出が1965年、単行本が1970年に発売されたという物語
60年前に書かれたとは思えないくらいにタイムトラベルもののストーリー構成が完成されている
作中でも言及されている通り、1895年に出版されたH・G・ウェルズの小説「タイム・マシン」がタイムマシンものの原点として
未来や過去に行って歴史を改変するという構造ではなく、過去の改変自体が歴史に含まれているパターンは当時としては珍しかったでしょうね
1957年に出版されたロバート・A・ハインラインの「夏への扉」の日本版の物語という印象でしょうか



序盤のあらすじ
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昭和20年 中学2年生の浜田少年
隣家が空襲に巻き込まれ、家主の伊沢先生から亡くなる前に「18年後にまた同じ場所に来て欲しい」と伝えられる
娘さんの啓子さんはコンクリート製の研究室にはおらず、行方不明扱いとなる
そして18年後、32歳になった俊夫は旧伊沢邸を訪ねると、住んでいた及川老人は快く研究室への鍵を渡してくれる
そこで待っていると、18年前行方不明だった啓子が当時の姿のまま不思議な箱から現れる
啓子の話や箱の中の様子から、その箱がタイムマシンだと判明する
二人は伊沢先生を助けるために、先生が未来からやってきた昭和9年に向かおうとするが、俊夫は一人で意図ぜずに昭和7年に行ってしまう
俊夫はすぐに戻ろうとしたが、トラブルによりタイムマシンだけが戻ってしまい、この時代に取り残される
俊夫はタイムマシンの中にあったお金と現代知識で、伊沢先生が現れる昭和9年まで上手く立ち回ろうとするが……
--------------

タイムトラベルものあるある
謎の人物からの奨学金の支援
やけに協力的な人
年齢の合わない似ている人
自分が経験した通りになるような辻褄合わせのための行動
などなど

メインの舞台は昭和7年なので、SFものとしてではなく昭和初期の物語としても読める
当時の東京が子細まで描写されてあって、生活の様子を思い浮かべることができる
歴史的な出来事ならともかく、物価や当時の商品、庶民として得られる情報については調べるのは大変だったろうなぁと思う

その分、ラジオや電気機器の説明や車の種類や歴史に関しての蘊蓄がところどころで煩わしく感じる部分もある


レイ子さんのタイムトラベルでの過去干渉の解釈は面白い
改変者の知識によって出来事が確定する
詳細な日付を覚えていないのであれば、今日自分が起こしたらそれが確定するし、未然に防げば来るべき来るべき日にその事件が起こる

あと、レイ子さんの推測のあたりで、物語の枠組みに「やはり」という確信が持てる
それにしても、まさかレイ子さんがああなるとはね……
医者に診せていたので、結核でも疑っていたのかと思った
ただ、そうでであれば、色々と行動が軽率な気がする
結核の特効薬であるストレプトマイシンも戦後にんらないと出回らないので、そっちの方向に進んでいても悲しい結末を迎えた気がするけど


タイムトラベルものには付き物のタイムパラドックスへの言及
親殺しのパラドックスをどう考えるかは、その作品の立ち位置を決めるよねー

今作の場合は親殺しではなく、生誕のパラドックスだけど
生物学的にありえない

遺伝的にありえないし、現代の倫理的にもやべぇ
当時の倫理観でもどうかと思うんだけど?

それにしても、タイムマシンの影響が正式な歴史としてループする構図は最初のきっかけという点で色々と疑問が湧く

作中でも時間軸をループするライターの例で語られている

伊沢先生が異なる時間軸から来たのが最初のきっかけであれば、その時点では存在しない人がいるわけで
このループはどうやっても発生しないんですけどねぇ
まぁ、その辺の不思議を楽しむのがSFですか

その辺の物語構造を成立させるための設定が都合良すぎ
記憶喪失とか、潜在意識で無意識での行動という解釈も無理やり感がある
あと、巡査は結局どうなったんでしょうね?
一番の被害者は彼なのかもしれないなぁ


解説が星新一というのも見どころ
そして、タイトルの付け方への言及はもっとも
この後に読む予定の「エロス」なんてその最たる例でしょうねぇ




それにしても、終戦からもう78年なんだな
自分が生まれる数十年前には戦争してたという事があまり実感としてない
多分、高度経済成長によって日本の豊かさが爆上がりしたせいなんだろうなぁ
逆の意味で、今の若い人たちにとって30~40年前でバブル景気の様子なんかは同じように遠い昔のように感じられるんでしょうね

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2023年02月17日

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20年って、ムーバが5Gになって、テレビが薄っぺらくなるくらいの長さでしょ。だけど、戦後復興期の激動の20年でも、改悪とか何もしてこなかったとかそう思うフシがあったんだなと思うと、今の20年も、感じるよりも実は大きく変わっているのかもしれないなと思えた。ストーリーは秀逸。

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2021年07月25日

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ネタバレ

連載当時は1965年と、半世紀以上前の作品ながら、今も色褪せないプロットに感服する。
そしてその高い構成力のみならず、戦前・戦後の昭和の風俗を生き生きと描き出している文章も味わい深い。
藤子・F・不二雄氏の作品群に通じる着想も感じられる。
主人公本人にとっては、人生において相当のウェイトを占めたであろう、兵隊時代の十数年が作中で軽やかにすっ飛ばされているところもまた、主題をぼかさないための大胆な手法として奏功。

例えば伊沢先生の出自なんかが置き去りにされて気になったり、完全に閉じられた環の中にいる美子=啓子が発生した端緒は一体…? など考え出すと混乱が深まったりはするが、この時代特有の空気感を帯びつつ、タイムトラベルものとしての特徴を活かしたミステリーとしても、充分読み応えがあった。
また、解説が星新一氏ということからも、いわゆる玄人受けも良かったことが分かる。

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2020年11月21日

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タイムトラベルものの金字塔というにふさわしい佳作。相当な取材をしただろうと思われる昔の描写は秀逸であるけれども、SF作品として楽しむにあたっては多少中だるみ感と、なってしまい、また作品自体がだいぶ古くなってしまっていることと合わせて、☆-1しましたが、読み応えある名作だと思います。

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2020年10月18日

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結末は圧巻。タイムトラベルものは後半になるにつれ面白くて止まらない。
また、昭和初期の風景が目に浮かぶ。現代とはモノが少なく生活環境は厳しいだろうが、人間味溢れるシーンが多く、この時代の日本は戦争以外は幸せだったのかもしれない。

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2020年10月16日

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知人に勧められて読んだ、日本版『夏への扉』ともいえる壮大なタイムトラベルもの。
1970年の作品ながら文章に古臭さはなく、文庫で500ページの長さだが読みやすさと物語の魅力ですらすらと読むことができる。

タイムトラベルものでは時系列の整理が作家の腕の見せ所の1つであると思うが、本作は複雑な時間移動をしているのにもかかわらずきれいに説明されていてわかりやすい。
ただ、そのせいもあってSFに慣れ親しんだ人にとっては先が読みやすくなってしまっているかもしれない。
「この人がこの後あれするんだな」とか、「この人とあの人が同一人物で・・・」とか。
それと、最後の最後で閉じられた円環の話が出てきて少し腑に落ちないところがあった。
どうしても矛盾が生じる。

それでも、時間SFのワクワク感や話の壮大さ、未来を知る人間だからこそできる「俺TUEEEE!!」感などの魅力あふれる作品だった。
昭和の東京の出来事や風景などは考証を重ねて丁寧に作られており、当時の生活を体感しているかのようだった。
しかし、私は当時の出来事はもちろん今の東京にも詳しくないので、その楽しみがかなり薄められたものだと考えるととても惜しい。

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2020年10月07日

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第64回直木賞候補作
SFは直木賞を取れないを形作った中の1つでしょう

選評が大変、面白い

源氏鶏太
席上あまり高く評価されなかったようだが、私にはひどく面白かった。しかし、直木賞作品となると別のことと思われた

司馬遼太郎
読者として一番面白かった。どうも分が悪く、分の悪い理由もよくわかるから途中で推し続ける根気を失った


おわかりだろうか(ニチャァ

でもまあ、気持ちはよくわかる
あ、こういうのに歴史ある賞あげるんだ、ふーん
選考委員は、へえ(笑)
とか思われたくないのだ
今でこそ文化が変わり意味合いが一昔前と違うなと感じるがSFはマニア、オタク向だったのだ

面白いけれど、違うよね


文才ある人達による、ごめんな、わかってくれ選評
最高に面白い

タイムマシンだとかそういうガジェットこそ出てはくるが、戦前と戦後という特殊な時間を主題に街の描写、食、人々の振る舞いから令和の今読んでもノスタルジーを色濃く感じられる
それはジャンル関係なくこの作品の小説としての凄さだと思う

時は流れ2023年1月
小川哲、地図と拳で直木賞を受賞

広瀬さんもきっと笑っただろう
マイナスゼロはあそこで
今はプラス2、なのかもしれない

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2025年11月23日

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ネタバレ

タイムリープもののアイデアとしては新規性はないので星3つ。
本作品は戦前の銀座の描写が秀逸と星新一が解説しているし、当時のスピーカーアンプ技術の描写も細かいが、個人的にはあまり興味がわかない。しかし1970年にここまで仕上げていたのには驚き。タイムループの矛盾をあるがままに捉えているとは。
ここからネタばれ
自分が過去で自分を産むというタイムループ(循環)は理屈ではありえないはずだが、母であり姉である人から生まれた娘があっけらかんとして謹慎相関でも身体に異常はないから心配いらないという落ちはありえるかも。今が良ければ過去なんて無視!時間を循環しているライターは生産されていなくても存在することを認める?始まりがあって終わりがあるという常識を捨てると、どんな世界が開けるのだろう?

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2025年08月19日

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時代を移動するタイムトラベルもののストーリーとしては、想像しておくべき展開だったのかもしれないけれど、最後に明かされる登場人物たちの身上には、怒涛のように押し寄せる時間の交差に頭が混乱して眼を見張るしかなかった。随分昔の作品だけど、まったく色褪せておらず、「これぞタイムトラベル!」と思える小説だった

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2023年04月29日

Posted by ブクログ

物語の中心であるところのタイムトラベルにまつわるエピソードが、え?人の反応ってこんな?って腑に落ちなくて、ちょっとスムーズに入ってこなかったんだけど、戦前の東京と昭和38年の東京がノスタルジックで、面白かった。みんな、のんびりしてみえる。こんなにすぐ人を信じちゃって、大丈夫?って感じ。

なんだけど、物語が終わりに近づくほどに、無限ループの流れにはまり込んだ感じになって、軽く混乱する。のんびりした世界が、実は伏線だらけの複雑な世界だったことがわかる、捩れっぷり。

08年の本屋大賞で「この文庫を復刊せよ!」のリクエストNo.1となった作品。全集復刻の担当編集さんが墓前に報告に行こうとしたが、どうしてもお墓が見つからなかったと、10年4月の読書欄で読んだけれど、その後墓前報告はできたのだろうか?

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2022年12月31日

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字体が少々読みにくいが、それは昭和初期の作品という事なので。 
内容はタイムトラベルものの王道なので、ここでは割愛する。ボリュームはあるが、気にすることなく読み進められる。

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2022年09月11日

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タイムマシン本との事ですが、だいぶ想像と違ってました。
章立てが、プラスゼロ、プラス18、マイナス31、ゼロ、マイナスゼロ、な所が気になりましたが、読み進めるにつれ謎が解けていき最後に一気に畳み掛ける!気持ちのいいラストです(^^)

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2022年09月03日

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