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Posted by ブクログ 2024年02月27日
久しぶりにSFの面白い本に出会えた感がある。時代はこの物語でいう過去も未来も自分が生まれていない時代ではあるのだけれど、なぜだかノスタルジーに駆られてページを捲る手が止まらなかった。
巻末の星新一が昭和52年に書いたという解説があってそれによれば、この著者はその時点では既に亡くなられたようで、つまり...続きを読むはもっと読みたくてもそれが叶わなそうなのが残念だ。
自分が星新一に夢中になったのはこの52年の3,4年後だったから、リアルで知っていたとしても読めなかったのかもなのだけれど、本当にタイムマシンでもあれば、読める時代に遡ってみたかったなと。
もっとも、そんなことよりももっとやりたいことがあるだろうけど…
Posted by ブクログ 2023年12月19日
予測できそうでできない少しできる……ような………という、言うなれば真相の気配が輪郭を帯びないまま漂い続ける。それはレイコが"あの日"の前日に孔雀の本に書き走ったメモに具体化されるひっかかりとして私たちの脳内における。
なーんとなくうまいこと納得しちゃいそうだなぁという予感を捨...続きを読むて(きれ)ないままに読み進めていくと、最終章にて怒涛の──本当に怒涛の真相解明がある。それは私たちの納得の予感を裏切るわけではなく、むしろ過剰、ほとんどイビツというか、「マジで言ってんの?ヤバ!」と語彙がギャル化してしまうような世界の不思議な話。ほとんどメビウスの輪だ。マジで言ってんの?ヤバである。
Posted by ブクログ 2021年04月04日
最高に面白い作品。
時間旅行モノの王道SFでありながら、穏やかでノスタルジックな読み口。が、油断してると最終盤で一気にこちらの度肝を抜いてくる。
タネが明かされた絶望から希望への転進と、それを後押しする人物が何と…という粋な演出。
解説は星新一氏。なんという贅沢。
新版5刷
2021.4.4
Posted by ブクログ 2020年08月30日
タイムスリップ物。もう、タイムパラドックスしまくり。けど、細かなことはどうでもいいです。とても劇的に、情緒たっぷりに、ロマンチックに物語は展開します。
この小説のメインは昭和7年の、戦前の平和な風景です。とても詳細にリアルに描かれており、まさにタイムスリップした気分で没入するように読みました。当時の...続きを読む状況を知る貴重な史料とも言えるのではと考えます。
マイナスゼロ地点である昭和37年の状況ですら読み手の現代から見たら過去になるわけで、色々な年代の錯覚にめまいを起こしそうです。
未来から来たタイムマシンの設定が10進数ではない故、それを使う登場人物達を誤った年代に飛ばすアイディアも秀逸。意外だったのは伝蔵さんが徴兵に取られてそのまま終戦まで生きるところです。先が見通せなくなり不安になります。ひねりがきいています。
しかし、啓子さんが実は美子さんで自分が自分を産んでその子供にとってはお母さんとおばあちゃんが同一人物なんてなんてやり過ぎですね。タイムマシンの存在が否定される最たる例えの1つになりそうです。それにしても俊夫さん、手が早すぎ。
更にこの先戻ってくるタイムマシンでその娘が考える過去と未来がパラドックスを深めそうです。
昭和7年から37年に来た警官はどうなるのでしょうね。
未来から来た伊沢先生は?ヨーヨーの特許ネタはほったらかしですね。結局ほぼ働かずに浪費するだけの俊夫さん。
音響機器の事情にやたら詳しいところは作者の造詣の深さではなくお話の都合ですね。
いつかまた読み返したい傑作です。
Posted by ブクログ 2020年08月29日
いわゆるタイムマシンもので、時間旅行のパラドックスを上手に扱ったもの。SFの要素はもちろんあるのだが、それよりも戦前、戦後の東京の様子や市民の描写が素直に楽しめる。SFとして読むのにはやや無理があって、矛盾というか、置き去りになるエピソードもあるが、読み終わると繋がりが理解できることもあり、読後も楽...続きを読むしめる。
Posted by ブクログ 2020年08月12日
多くの読友さんからの推薦本、その理由が分かります、壮絶な内容でした!最後に真相が明らかになる、どんでん返し。まさかの真相にそんなことあるんだ!と驚嘆。読み終えた瞬間は「まじかっ!こりゃ大変だ」、少し時間を置いたら「本当に、良かった!」となる。そもそもの間違いは、俊夫さん、なぜに啓子を連れて行かなかっ...続きを読むたんだ!ということに尽きる。昭和レトロの雰囲気が鮮明で、浅田次郎「メトロに乗って」、宮部みゆき「蒲生邸事件」とともに、昭和の香りが伝わった。只、警察官はどうなったのかな?彼の幸せを願わずにはいられない。
Posted by ブクログ 2020年06月21日
昭和初期の東京を舞台にしたSF小説。
戦前の庶民の暮らしや価値観の描写が生き生きと魅力的だった。貴重な資料を読んでいるような気分になる。自分もタイムトラベルしたようだ。
丁寧に文字を追っていたが、後半の畳み掛けは食い入るように読んだ。タイムトラベル小説の金字塔とされる理由が分かる。
はじ...続きを読むめは元の時代に戻ることだけを考えていた主人公が、今現在の自分の役割に気付いていくところは胸が熱くなった。自分にご馳走をするところなんかは特に。
Posted by ブクログ 2019年01月17日
333p南京町へ行ってたらふくご馳走を食べるところや、394p邪魔者が頭を上げたところ。おもしろい。
銀座の描写など緻密であり、熱気を感じる。もれなく帽子を被った人々、目が痛くなるようなけばけばしいネオン、顔が真っ白の女たち、自転車の往来、などなど生き生きとしている。元々の設定にあぐらをかくことな...続きを読むく、こういう描写がしっかりしているからなおおもしろい。
人々の住む街での描写も、所々おもしろい表現があり、テンション高く読み進めた。
怒涛の終盤は手に汗握るスピード感。主人公の感じるもどかしさにみごとにシンクロしてしまった。混乱しながらも丁寧に読む必要がある、しかし早く先が読みたいというせめぎ合いの中読み進めた。
戦争から帰ってきたあとの主人公から、心理描写が減った気がする。それが気味悪く、この先どうなるのかという不安と期待が湧き上がった。後半の奔走はなんだかマヌケでおもしろかった。
啓子の最後の行動は少し無理があったかと思うし、蛇足な気がする。
レイ子、健気な子だ。みんな、ノーパンしゃぶしゃぶとか言ってないで、パンティは履こう。
Posted by ブクログ 2019年01月16日
「マイナス・ゼロ」は広瀬正のタイム・トラベルものの傑作SF。1960年に刊行された小説だけど、今読んでも最高に面白く、全く古さを感じさせない驚異的な作品。一時は絶版になっていて、結構な値段で売られていた記憶がある。
2008年に復刊された時の文庫本のチラシには
不朽の感動に満ちあふれた作品世界に書...続きを読む店員さん大絶賛!!
「日本人によって書かれたタイムトラベル小説の最高傑作。」
「今読んでも古びてない、むしろ風味が増していてさらに熟成している名作」
「当店店長が十年以上前に読んで、今も印象に残っているという一冊。」
「奇抜なアイデア、どんでん返し。ぜひ、もう一度売りたいし、売れる!!これは。」
さすが目利きの書店員さん。すべて言い尽くしてますね。新刊だったら「本屋大賞」に選ばれること間違いなしでしょ。
ストーリーは、空襲のさなかに主人公は隣に住む「先生」から憧れの啓子さんを18年後に迎えにきて欲しいと頼まれる。そして見事にタイムトラベルした啓子さんを迎えることができるのだが、今度は自分がタイムトラベルする羽目に・・・というもの。
僕はタイムトラベルものでも、タイムパラドクスをメインとしたアイデア中心の作品は好みじゃなくて、行きたい時代に行けなかったり、会いたい人に会えなかったりでハラハラしたり切なかったり感情を揺さぶってもくれる作品が好き。「マイナス・ゼロ」はその代表。何層にも入り組んだタイムラインとそこでの登場人物の思いが最後には見事に収束。ほんと何度読んでも惚れ惚れする。
しかも主人公は昔の日本に一人放りだされても全然めげずに、技術者としての知識を生かして前向きに生きてゆくのが、また好ましいところ。
僕の中で「マイナス・ゼロ」に近い位置づけの傑作タイムトラベルものは、ハインラインの「夏への扉」。こちらもハラハラしたり切なかったり。タイムトラベルものとラブロマンスって食い合わせがいいと思う。そういえば、こちらも主人公は前向きな技術者だった。
あとタイムトラベルSFの傑作は、ケン・グリムウッドの「リプレイ」。こちらは何度も何度も人生を繰り返す男の話で、これも切なかった。日本では北村薫のタイムトラベル三部作「スキップ」「ターン」「リセット」。特に「リセット」は泣けたな?。
映画では「バタフライエフェクト」が断トツ。この切なさったらないね。最後のシーンで街の喧騒が消えた一瞬にオアシスの「Stop Crying Your Heart Out」がそっと流れる。痺れる~
Posted by ブクログ 2021年06月26日
鮮やかだ。ジグソーパズルのピースが一枚一枚あわさっていって、そして最後の一枚がパチリと音を立ててはまる瞬間の、あの鮮かさだ。ラストが近付くにつれて震えが止まらなくなり、読み終わったときにはしばし茫然とした。
タイム・マシンに憑りつかれ、夭折した広瀬正の代表作。全体を貫くテーマは、「存在の環のパラド...続きを読むクス」だが、アイデア一発ではなく、的確な肉付けによって血が通い、活き活きと躍動する一遍の小説に仕上がっている。とくに戦後間もない銀座の描写は、解説の星新一ならずとも、感銘を受けるところだろう。そして、ずっと暗示されていた大きな環(ネタバレするので、詳細略)の存在が示されたとき、すべてのピースがおさまるべき場所におさまり、一枚の、しかし無限に続く絵が浮かび上がる。小さな環(ライター)が好対照を成しているのも素晴しい。
Posted by ブクログ 2023年03月08日
長編タイムトラベルものの楽しさは、タイムパラドックスをいかにしてうまく丸め込んで最後にパズルのピースをぴったりあわせるか、だと思う。「マイナス・ゼロ」も順調にパズルのピースが埋まっていくのがまさに快感。だがしかし先の見え透いた予定調和ではなく、予想外の事柄も起こりつつきっちり落ち着くところにまとまる...続きを読むのには参ったというしかない。特に終盤の展開は、まさかの連続。矛盾がないといえば嘘になるが、そんな重箱の隅をほじくるのが野暮に思えるほど全体構成の完成度が高い。
タイムマシンが跳んだ昭和初期を舞台に戦前日本の人々の暮らしが蘇って、昭和をあまり知らない私にとっては、二重の意味でタイムトラベルしたみたいだった。日本人として、読んでおきたいSFと言われている(?)のも素直に肯ける。
Posted by ブクログ 2024年03月18日
おー、これはマルチバースのはしりか。
パラレルワールド、マルチバース、
今のような概念は
この本のようなタイムパラドクスが
積み上がったんだろうなぁ。
Posted by ブクログ 2024年01月21日
これは面白い。
ある少年が空襲下で隣人の先生に頼まれ事をする。18年後の今日、ここに来てほしい、と。そして約束の日、彼が目にしたのはタイムマシンだった……。
このタイムマシンでもって過去に飛ぶ物語が面白い。失われた風景が眼前、鮮やかに描かれるのは興味深いし、タイムスリップによって巻き起こるパラドクス...続きを読むも読み応えがあった。
Posted by ブクログ 2023年02月17日
戦中、戦後、戦前に渡るタイムトラベルSF
初出が1965年、単行本が1970年に発売されたという物語
60年前に書かれたとは思えないくらいにタイムトラベルもののストーリー構成が完成されている
作中でも言及されている通り、1895年に出版されたH・G・ウェルズの小説「タイム・マシン」がタイムマシンも...続きを読むのの原点として
未来や過去に行って歴史を改変するという構造ではなく、過去の改変自体が歴史に含まれているパターンは当時としては珍しかったでしょうね
1957年に出版されたロバート・A・ハインラインの「夏への扉」の日本版の物語という印象でしょうか
序盤のあらすじ
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昭和20年 中学2年生の浜田少年
隣家が空襲に巻き込まれ、家主の伊沢先生から亡くなる前に「18年後にまた同じ場所に来て欲しい」と伝えられる
娘さんの啓子さんはコンクリート製の研究室にはおらず、行方不明扱いとなる
そして18年後、32歳になった俊夫は旧伊沢邸を訪ねると、住んでいた及川老人は快く研究室への鍵を渡してくれる
そこで待っていると、18年前行方不明だった啓子が当時の姿のまま不思議な箱から現れる
啓子の話や箱の中の様子から、その箱がタイムマシンだと判明する
二人は伊沢先生を助けるために、先生が未来からやってきた昭和9年に向かおうとするが、俊夫は一人で意図ぜずに昭和7年に行ってしまう
俊夫はすぐに戻ろうとしたが、トラブルによりタイムマシンだけが戻ってしまい、この時代に取り残される
俊夫はタイムマシンの中にあったお金と現代知識で、伊沢先生が現れる昭和9年まで上手く立ち回ろうとするが……
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タイムトラベルものあるある
謎の人物からの奨学金の支援
やけに協力的な人
年齢の合わない似ている人
自分が経験した通りになるような辻褄合わせのための行動
などなど
メインの舞台は昭和7年なので、SFものとしてではなく昭和初期の物語としても読める
当時の東京が子細まで描写されてあって、生活の様子を思い浮かべることができる
歴史的な出来事ならともかく、物価や当時の商品、庶民として得られる情報については調べるのは大変だったろうなぁと思う
その分、ラジオや電気機器の説明や車の種類や歴史に関しての蘊蓄がところどころで煩わしく感じる部分もある
レイ子さんのタイムトラベルでの過去干渉の解釈は面白い
改変者の知識によって出来事が確定する
詳細な日付を覚えていないのであれば、今日自分が起こしたらそれが確定するし、未然に防げば来るべき来るべき日にその事件が起こる
あと、レイ子さんの推測のあたりで、物語の枠組みに「やはり」という確信が持てる
それにしても、まさかレイ子さんがああなるとはね……
医者に診せていたので、結核でも疑っていたのかと思った
ただ、そうでであれば、色々と行動が軽率な気がする
結核の特効薬であるストレプトマイシンも戦後にんらないと出回らないので、そっちの方向に進んでいても悲しい結末を迎えた気がするけど
タイムトラベルものには付き物のタイムパラドックスへの言及
親殺しのパラドックスをどう考えるかは、その作品の立ち位置を決めるよねー
今作の場合は親殺しではなく、生誕のパラドックスだけど
生物学的にありえない
遺伝的にありえないし、現代の倫理的にもやべぇ
当時の倫理観でもどうかと思うんだけど?
それにしても、タイムマシンの影響が正式な歴史としてループする構図は最初のきっかけという点で色々と疑問が湧く
作中でも時間軸をループするライターの例で語られている
伊沢先生が異なる時間軸から来たのが最初のきっかけであれば、その時点では存在しない人がいるわけで
このループはどうやっても発生しないんですけどねぇ
まぁ、その辺の不思議を楽しむのがSFですか
その辺の物語構造を成立させるための設定が都合良すぎ
記憶喪失とか、潜在意識で無意識での行動という解釈も無理やり感がある
あと、巡査は結局どうなったんでしょうね?
一番の被害者は彼なのかもしれないなぁ
解説が星新一というのも見どころ
そして、タイトルの付け方への言及はもっとも
この後に読む予定の「エロス」なんてその最たる例でしょうねぇ
それにしても、終戦からもう78年なんだな
自分が生まれる数十年前には戦争してたという事があまり実感としてない
多分、高度経済成長によって日本の豊かさが爆上がりしたせいなんだろうなぁ
逆の意味で、今の若い人たちにとって30~40年前でバブル景気の様子なんかは同じように遠い昔のように感じられるんでしょうね
Posted by ブクログ 2021年07月25日
20年って、ムーバが5Gになって、テレビが薄っぺらくなるくらいの長さでしょ。だけど、戦後復興期の激動の20年でも、改悪とか何もしてこなかったとかそう思うフシがあったんだなと思うと、今の20年も、感じるよりも実は大きく変わっているのかもしれないなと思えた。ストーリーは秀逸。
Posted by ブクログ 2020年11月21日
連載当時は1965年と、半世紀以上前の作品ながら、今も色褪せないプロットに感服する。
そしてその高い構成力のみならず、戦前・戦後の昭和の風俗を生き生きと描き出している文章も味わい深い。
藤子・F・不二雄氏の作品群に通じる着想も感じられる。
主人公本人にとっては、人生において相当のウェイトを占めたであ...続きを読むろう、兵隊時代の十数年が作中で軽やかにすっ飛ばされているところもまた、主題をぼかさないための大胆な手法として奏功。
例えば伊沢先生の出自なんかが置き去りにされて気になったり、完全に閉じられた環の中にいる美子=啓子が発生した端緒は一体…? など考え出すと混乱が深まったりはするが、この時代特有の空気感を帯びつつ、タイムトラベルものとしての特徴を活かしたミステリーとしても、充分読み応えがあった。
また、解説が星新一氏ということからも、いわゆる玄人受けも良かったことが分かる。
Posted by ブクログ 2020年10月18日
タイムトラベルものの金字塔というにふさわしい佳作。相当な取材をしただろうと思われる昔の描写は秀逸であるけれども、SF作品として楽しむにあたっては多少中だるみ感と、なってしまい、また作品自体がだいぶ古くなってしまっていることと合わせて、☆-1しましたが、読み応えある名作だと思います。
Posted by ブクログ 2020年10月16日
結末は圧巻。タイムトラベルものは後半になるにつれ面白くて止まらない。
また、昭和初期の風景が目に浮かぶ。現代とはモノが少なく生活環境は厳しいだろうが、人間味溢れるシーンが多く、この時代の日本は戦争以外は幸せだったのかもしれない。
Posted by ブクログ 2020年10月07日
知人に勧められて読んだ、日本版『夏への扉』ともいえる壮大なタイムトラベルもの。
1970年の作品ながら文章に古臭さはなく、文庫で500ページの長さだが読みやすさと物語の魅力ですらすらと読むことができる。
タイムトラベルものでは時系列の整理が作家の腕の見せ所の1つであると思うが、本作は複雑な時間移動...続きを読むをしているのにもかかわらずきれいに説明されていてわかりやすい。
ただ、そのせいもあってSFに慣れ親しんだ人にとっては先が読みやすくなってしまっているかもしれない。
「この人がこの後あれするんだな」とか、「この人とあの人が同一人物で・・・」とか。
それと、最後の最後で閉じられた円環の話が出てきて少し腑に落ちないところがあった。
どうしても矛盾が生じる。
それでも、時間SFのワクワク感や話の壮大さ、未来を知る人間だからこそできる「俺TUEEEE!!」感などの魅力あふれる作品だった。
昭和の東京の出来事や風景などは考証を重ねて丁寧に作られており、当時の生活を体感しているかのようだった。
しかし、私は当時の出来事はもちろん今の東京にも詳しくないので、その楽しみがかなり薄められたものだと考えるととても惜しい。
Posted by ブクログ 2020年07月24日
from backspace.fm
マイナス31が長すぎて、だいぶダレてしまった。。けど、終わりの伏線回収とオチはさすがでした。礼子さん悲しみ。昭和初期のノスタルジーに浸りたい方にはおすすめですが、個人的にはあんまし興味なかったかな。
あと、やたらとH. G. ウェルズの「タイムマシン」が引用され...続きを読むるので読みたくなってしまった。
Posted by ブクログ 2020年06月10日
日本の当時の風景が思い浮かびます。
登場人物がタイムトラベル への理解が早く感じましたけど、まどろっこしいのよりいいかもしれません。読者はタイムトラベル してることを知ってますからね。
様々な登場人物が紡ぐ時間の輪のストーリー。
Posted by ブクログ 2020年05月21日
バックトゥザ・フューチャーや
ドラえもんなど
昔からタイムマシンものは
ワクワクする気分にしてくれるなぁ。
タイムマシンがあったら、
未来の世界を見たい方が強いかな?
って思っていたけど、
少し昔の日本を見てみたい気持ちに
させられました。
長い話だったけど、
まだまだ読んでいたいって思える作品...続きを読むでした。
Posted by ブクログ 2019年07月01日
1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。
『18年後の今日、ここに来てほしい』
というのだ。
そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械ーーそれは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。
時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見...続きを読むたものは?
失われた風景が鮮やかに蘇る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。
(あらすじより)
面白かった!
パラドクスや平行世界やらは考慮しない空想科学小説ですが、なかなか手の込んだプロットになってます。
書かれた当初は戦前と戦後の東京が描かれ、その世代の人たちはまさにタイムトラベルした気分になれたでしょう。
時代を知らない世代の人でも当時の生活を知る資料になりそう。
Posted by ブクログ 2019年01月16日
タイムマシンものです。
なにげな~く読んでいて、最後に「あっ!」と驚かされるような感じでした。
途中で、「えっ、これどうなっちゃうわけ?」と思うようなことが起こって、そこから先は一気に「おお~、そうかぁ」と、タイムマシンものの醍醐味と言えるような展開になります。
ドラえもんで、ドラえもんがのび...続きを読む太の宿題をやるために、2時間後・4時間後とかの自分をタイムマシンで連れてきて、一緒に宿題をやらせる、というのがありましたが、あれを読んだときと同じような感覚に陥りました。
Posted by ブクログ 2023年04月29日
時代を移動するタイムトラベルもののストーリーとしては、想像しておくべき展開だったのかもしれないけれど、最後に明かされる登場人物たちの身上には、怒涛のように押し寄せる時間の交差に頭が混乱して眼を見張るしかなかった。随分昔の作品だけど、まったく色褪せておらず、「これぞタイムトラベル!」と思える小説だった...続きを読む。
Posted by ブクログ 2022年12月31日
物語の中心であるところのタイムトラベルにまつわるエピソードが、え?人の反応ってこんな?って腑に落ちなくて、ちょっとスムーズに入ってこなかったんだけど、戦前の東京と昭和38年の東京がノスタルジックで、面白かった。みんな、のんびりしてみえる。こんなにすぐ人を信じちゃって、大丈夫?って感じ。
なんだけど...続きを読む、物語が終わりに近づくほどに、無限ループの流れにはまり込んだ感じになって、軽く混乱する。のんびりした世界が、実は伏線だらけの複雑な世界だったことがわかる、捩れっぷり。
08年の本屋大賞で「この文庫を復刊せよ!」のリクエストNo.1となった作品。全集復刻の担当編集さんが墓前に報告に行こうとしたが、どうしてもお墓が見つからなかったと、10年4月の読書欄で読んだけれど、その後墓前報告はできたのだろうか?
Posted by ブクログ 2022年09月11日
字体が少々読みにくいが、それは昭和初期の作品という事なので。
内容はタイムトラベルものの王道なので、ここでは割愛する。ボリュームはあるが、気にすることなく読み進められる。