①恋愛描写が下手
小豆とサイコーの関係がどうにも気持ち悪い。中途半端。夢が叶うまで結婚しないのは「夢があるのに恋愛にうつつをぬかしていられない」という大義名分のため。しかし本当に恋愛にうつつを抜かしていられないなら関係を切ればいいだけ。切らないで関係を続けること自体が結局大義名分と矛盾している。
「アニメ化して小豆がヒロイン声優」という夢が叶ったら結婚するという目標設定も変。「アニメ化したら漫画家として成功だから結婚していい」というのは理屈が通らない。恋愛すると漫画に支障をきたすから結婚できないのなら、漫画家を続ける限り結婚することはできない。
ガモウは最高の純愛が描きたいと言っていたが、純愛の必須条件は自己犠牲。見返りを求めないこと。相手のために自分を捨てること。サイコーと小豆が犠牲にしているのは「己の夢の達成に邪魔な恋愛」であって、私利私欲。これでは純愛にならない。
構造がよくない。二人とも自分の夢のために頑張っているのだから、相手に尽くしている(=純愛)の構造など作りようがない。これだったらまだアニメ化したら小豆の親が納得→結婚できるの方が相手に尽くすという構図を作れた。
②主人公の行動理念が魅力的でない
サイコーはアニメ化(結婚)のために面白い漫画を描いている。作家として絶対に表現したいものは持っていない。「邪道王道バトル」もアニメ化するための手段であって作家性ではない。これは漫画家というキャラとして絶望的に弱い。漫画家としての信念が「女と恋愛し結婚しセックスするために描いてる」というのは魅力的ではない。
①②からこの漫画の最終目標である「アニメ化して小豆と結婚」はアニメ化に意義を持たせるためにその目標を「作った」という作為の跡があまりにも見えすぎている。その上肝心の恋愛描写があまりにヘボなのでこの構造は失敗と言わざるをえない。ガモウは恋愛ほんっと下手くそだわ。編集が恋愛入れるの禁止令出すべき。
③悪役に魅力がありすぎて主役が薄っぺらく見える
こういった主人公たちよりはデブなスケベ爺の中井や勝つために策に溺れて孤立し自滅する七峰の方がよほど人間臭く、共感できる。
④文章が下手
ネームとしては面白いが文章が冗漫。漫画全体としても緩急が冗漫でダレるときはものすごくダレる。